CHEMOTHERAPY DL-8280の 体 内動態 第3報14CDL

VOL.32
CHEMOTHERAPY
S-1
DL-8280の
第3報14CDL-8280の
1203
体 内動態
各種 動 物 に お け る代 謝
須藤 賢一 ・橋 本 浩 一・ 倉 田忠 司 ・岡 崎
治 ・津 村 光 畿 ・立 澤 晴 男
第一製薬株式 会社 中央研究所
14C-DL-8280の
各 種 動 物 に お け る代 謝 物 を定 量 し,血 清,組 織 お よび 排 泄 物 中代 謝 物 パ クー ン と代 謝
の種 差 を検 討 した 。
ラッ ト.イ ヌ,サ ル の 生体 試 料 中 には,4個
グル クロナ イ ドと同 定 され た。M-2は
た。M-4はDL-8280N-oxideと
の 代謝 物 が認 め られ た 。M-1はDL-8280の
未 変 化 体 で あ り,M-3はN一
同 定 され た 。
ラッ ト,イ ヌ,サ ル の 血 清,尿 中 には,主 に 未 変 化 体(M-2)が
あ り,そ の他 の代 謝 物 の 存在 率 は約21%以
が約80%以
あ り,M-2が
存 在 し,存 在 率 は概 略80%以
上で
下 で あ っ た。 ラッ ト肝 臓 お よ び腎 臓 内 にお い て も未 変 化体
上 の存 在 率 で検 出 され,M-1,M-3,M-4は
代謝 物 は,M-1で
エ ステ ル 型
脱 メ チ ル体 で あ る こ とが 碗 認 され
数%の 存 在 率 で認 め られ た 。 ラ ッ ト胆 汁 中 主
これ に次 い だ 。 これ らの成 績 か ら,DL-8280は
ラ ッ ト,イ ヌ,サ ル体
内で代謝 を受 け に く く,大 部分 が 未 変 化 体 と して 体 内 で挙 動 す る こ とな らび に 代謝 上 の種 差 が ほ とん ど
認 め られ な い こ とが 明 らか とな った 。
著者 らは,前 々報1)にお い てDL-8280の
法とHPLC法
体 内 動 態 をbioassay
に よ り比 較 検 討 し,DL-8280が
速に経 口吸収 され,ほ
イ ヌ,サ ル で 急
Fig.
1
Chemical
its
structures
of DL-8280
and
metabolites
とん ど代 謝 され ず に 未 変 化 体 と して 抗菌
力を発揮 し,主 に尿 中 へ排 泄 され る こ とを報 告 した。 前 報2)で は
14C-DL-8280を 用 い て ラ ッ ト,イ ヌ,サ ルに お け る 吸 収,分 布,
排泄に関す る詳 細 を明 らか に した。
本報で は,14C-DL-8280を
ラ ッ ト,イ ヌ,サ ル に 投 与 した 際
の血清,組 織,排 泄物 中の 代 謝 物 を 同定 す る と と もに 経 時 的 に 定
DL-8280
量 し,代 謝 物 の動 態 を 明 らか に した の で,そ
の 成績 を 報告 す る。
なお,代 謝物 の同 定 の 詳 細 は 別途 報 告 す る3)。
実 験材 料 お よ び方 法
1.
合成 標 品お よび 試薬
代謝 物 の 同 定 の た め に 以 下 に 示 す 標 品 を 当 研 究 所 で 合
成 し用 い た 。 そ れ ぞ れ の 化 学 構 造 をFig.1に
示 す。
Desmethyl
DL-8280
(±)-9-fluoro-2,3-dihydro-3-methyl-10-(4-methyl-1pipeazinyl)-7-oxo-7H-pyrido[1,2,3-de][1,4]benzoxazile-6-carboxylic
acid(DL-8280,M-2),(±)-9-
fluoro-2,3-dihydro.3-methyl-10-(1-piperazinyl)-7-oxo7H-pyrido[1,2,3-de][1,4]benzoxazine-6-carboxylic
acid(desmethyl
DL-8280
DL-8280,M-3),(±)-9-fluott)-2,3-
ビー グル 犬,カ ニ クイ ザル に投 与 した 際 に 得 ら れ た 血
dthydro-3-methy1-10-(4-methyl-1-piperazinyl)-7-exo-7
H-pyrido[1,2
そ の 他 の 試 薬 は,す
2.
清,尿 お よ び糞 を分 析 試 料 と した 。 また,ラ
,3-de][1,4]benzoxazine-6-carboxylic
acid piperazine-4-oxide(DL-8280
N-oxide,M-4)。
血 清 と と もに 採 取 した肝,腎
ッ トで は,
を分 析 試 料 と し た 。 さ ら
に,ラ ッ ト胆 汁 を総 胆 管 ヘ カ ニ ュー レを施 した ラ ッ トよ
べ て 試 薬特 級 品 を用 い た。
分 析 試料
前 報2)で14C-DL-828020mg/kgをslc-SD系
N-oxide
ラ ッ ト,
り採 取 し分析 試 料 と した。 分 析 試 料 は,使 用 時 まで ブ リ
ー ザ ー 中 で 凍結 保 存 した。
CHEMOTHERAPY
1204
3.
薄 層 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー(TLC)
TLCプ
gel
レ ー ト と して はMerck社
60 F254 glass
plateを
用 い、た 。 展 開 溶 媒 は,ク
ホ ル ム/メ タ ノ ー ル/28%ア
よ びn-ブ
製precoated silica
タ ノ ー ル/酢 酸/水(3:1:1,v/v)を
ン プ に よ り行 っ た 。
POPOP
0,91),ア
0.3g,ナ
謝 物 を 薄 層 プ レー トよ り か き 取 り放 射 能 を 測
突
化学 構 造 式 を示 す 未 変化 体 お よび代 謝物 が同
り,M-3お
よびM-4は,そ
希 釈 し,Amberlite
2.
XAD-2カ
(9:1,v/v)で
14C-DL-8280単
溶 出 し た 画 分 を減 圧 濃 縮 し,定
量 用 試料
ラ ッ ト肝 お よ び 腎 の 前 処 理
肝 お よ び 腎 に 水 を 加 え て 約10%の
で 溶 出 し た 。 溶 出 画 分 を 減 圧 乾 固 し,残
XAD-2カ
ラ ム ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー に 付 し
出画 分 を減 圧 濃縮
尿 は そ の 一 部 を 直 接TLCに
付 し,胆
汁 は水 で希 釈 後
28%ア
実 験 で使 用 した
ンモ ニ ア を含 む展 開 溶媒 系 では加 水 分解 さ れ て
DL-8280の
ア ミ ド体 と推 定 され る分 解物 にな る こ と が
確認 され た。 イヌ お よ び サ ル血 清 のTLCで
は,M-1
検 出 された 。
示 す放 射 能 存 在 率 か らは,血 清 中には未変
化 体(M-2)が
いず れ の動 物種 にお い て も最 も高率 に存
間 にお け るM-2の
糞 の前 処 理
凍 結 乾 燥 し た 糞 の 一 定 量 を メ タ ノ ー ルl酢
79.6%,イ
酸(7:3,
て 加 熱 溶 出 し た 。 溶 出 画 分 を 減 圧 乾 固 後,残
を 水 に 溶 解 しAmberliteXAD-2カ
渣
ラ ム ク ロマ ト グ ラ フ
ィ ー に 付 し た 。 メ タ ノ ー ル ノ酢 酸(7:3,v/v)溶
出画分
2hr)で80.7%で
与 後24hr後
ま で概略 一 定 して いた。 一 方,M-2以
下 液 シ ン と略)を
用 い て 測 定 し,
よ る外 部 線 源 チ ャ ンネ ル
外の
代謝 物 の存 在 率 には僅 か なが ら種差 が認 め られ た。 すな
ッ トではDL-8280の
エ ステル 型 グル ク ロナイ
分 の存 在 率 が投 与 後6hrま
次 い で 高 く,投 与 後8hr以
放 射 能 は 液 体 シ ン チ レ ー シ ョ ン カ ウ ン タ ー(Aloka
ル(投 与後
あ った 。 また,こ れ らの存 在率 は投
ドで あ るM-1画
放 射 能 の測 定
存 在 率 は ラ ッ ト(投 与 後2hr)で
ヌ(投 与 後3hr)で92.8%,サ
わ ち,ラ
を 減 圧 濃 縮 して 定 量 用 試 料 と し た 。
ク エ ン チ ン グ の 補 正 は137Csに
放射 性 スポ
在 す る こ とが 判 明 した。 各 動 物 の最 高 血清 中濃 度到達 時
付 した。
よ び900,以
1に 示 す。ラ ッ ト血 清 の薄 層 クロ
マ トグ ラム 上 に はM-1,M-2,M-3,M-4の
Table1に
尿 お よび 胆 汁 の前 処 理
そ の 一 部 をTLCに
降 で はM-2に
の存 在率 が増 加 した 。 投 与後24hrの
でM-2に
次 いでM-3
存在 率 は,M-1が
7.0%,M-2が72.2%,M-3が12.7%,M-4が6.0%で
あ った 。 これ に対 して,イ ヌ お よ び サ ル 血 清 中 で は
比 法 に よ り行 っ た 。
レ ー ト上 の 代 謝 物 の 放 射 能 は ラ ジ オ 薄 層 ク ロ
マ ト ス キ ャ ナ ー(AlokaJTC-203型)に
よ る 測 定 とオ ー
ト ラ ジ オ グ ラ ム の 作 成 に て 検 出 し た 。 ま た,TLCプ
ト上 の 放 射 能 は,オ
レー
ー トラジ オ グ ラム の黒 化 部 に対 応 す
る 部 分 を プ レ ー トよ りか き取 り,メ
え て 室 温 に30min放
mlを
回経 口投 与 後 の ラ ッ ト,イ ヌ,サ ル
は痕 跡 で あ り,M-2,M-3,M-4が
して定 量 用 試 料 と した。
ー(PPO
同 定 され た。 これ らの代謝
ッ トが 検 出 され た。 なお,M-1は,本
渣 を水 に溶 解 し
た 。 メ タ ノー ルl酢 酸(7:3,v/v)溶
TLCプ
脱
血清 中代 謝物
放 射 能 存 在 率 をTable
ホ モ ジ ネ ー ト と し,
そ の 一 部 を 凍 結 乾 燥 し て メ タ ノ ー ルl酢 酸(7:3,vlv)
LSC652お
れ ぞれ,DL。8280のN一
血 清 中代謝 物 の薄 層 ク ロマ トグ ラムの一 例 をFig,2に,
と した 。
5.
エステル
未変 化体 であ
代 謝物 の 定量
2.1.
v/v)に
績
物 の同 定 に 関 す る詳 細 は別 途綴 告 す る3》.
血 清 約1mlをH20で
d)
成
定 され た 。M-1は 未 変化 体 であ るDL-8280の
ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に 付 し た 。 メ タ ノ ー ルl酢 酸
c)
験
メ チル 体 お よ びN℃xideと
血 消 の前 処 理
てAmberlite
製)も 使
代謝物の同定
型 グル ク ロナ イ ド と 同定 さ れ た。M-2は
定 して 定量 した。
b)
フ タ レ ン100g,ジ
ク ア ゾー ル シ ンチ レー ター(NEN社
F塩1に
よ り行 っ た 。 獣 料
は あ ら か じ め 以 下 に 示 す 前 処 理 法 に 従 っ て 処 理 後TLC
a)
7g,diオ キサ ン
1.
代謝 物 の定 量
に 付 し,代
の他 に,ジ オ キ サ ン系 シ ンチ レー ター(PPO
metyl
使 用 した。
生 体 試 料 中 代 謝 物 の 定 量 はTLCに
1964
用 した 。
ン モ ニ ア(2:2:1,vlv)お
標 品 お よ び 代 謝 物 の 検 出 はUVラ
4.
ロロ
FEB.
6g ,dimethyl
置 後,ト
タ ノ ー ル1m1を
加
ルエ ン系 シ ンチ レー タ
POPOPO.29,ト
ル エ ン11)15
加 え て 液 シ ン に よ り放 射 能 を 測 定 して 定 量 し た 。
こ の 他 の 試 料 中 放 射 能 に は,ト
ル エ ン 系 シ ン チ レー タ ー
M-1の
存在 率 は,い ず れ も3.0%以
下 であ り,ラ ッ ト
にお け る よ り も著 明 に低 か っ た。 最 高 血清 中濃 度到達時
間 にお け る各 代 謝物 の存 在 率 の 順 位 は,ラ
M-2》M-1>M-3,M-4で
M-4>M-1で
ッ トで は
あ り,イ ヌ ではM-2》M-3>
あ り,サ ル ではM-2》M-3>M-4>M-1
で あ った 。
2.2.
組 織 内 代謝 物
ラ ッ ト肝 臓 お よび 腎 臓 内 代謝 物 の 存 在 率 をTable 2
に示 す。 肝 臓 内 で は,未 変 化体(M-2)が
投 与後8hr
VOL.32
CHEMOTHERAPY
S-1
Table 1
Each
value
a Pohr
b Not
Metabolite patterns in the serum of the rat, dog and monkey
single oral dose of 20 mg/kg of 14C-DL-8280
represents
the
mean•}S.E.
for
次 い でM-3とM-4が
9%の 存在 率 で検 出 され,血
一
と もに約6∼
清 ,腎,尿,糞
と比 較 して
比較 的 多か った 。 また,後 述 す る よ うに
胆汁中代謝 物 の大部 分 が抱 合 型 代謝 物(M-1画
るに もかか わ らず,肝 臓 中で はM-1の
分)で あ
存 在 率 は低 か っ
た。
four
dogs
or
four
monkeys.
が,M-2以
外 の代 謝 物 の存 在 率 は,個 体差 に よ る変 動 が
比 較 的 大 きか っ た。
2.3.
尿 中代 謝 物
ラ ッ ト,イ ヌ,サ ル の尿 中代 謝 物 の 薄 層 ク ロマ トグ ラ
ム の一 例 をFig.3に
示 す 。 ラ ッ ト尿 中 代謝 物 と し て
は,血 清 中代謝 物 と同様 にM-1,M-2,M-3,M-4が
出 され た 。 イ ヌ お よ び サル 尿 中代 謝 物 と して は,ラ
ラッ ト腎臓 内 で は,未 変 化 体(M-2)が
投 与 後4hr
までは最 も高 率 に認 め られ,そ の 存 在率 は87%以
つ い でM-3が4.0∼8.8%の
検出され,M-1とM-4の
投与後8hrに
rats,
detected
までで最 も高率 に認 め られ,そ の 存在 率 は 約80%で
逮した。M-2に
four
after a
metabolites
定していた。M-2に
M-3とM-4が
1205
存 在 率 は2%以
お い て もM-2が
上 に
同様M-1,M-2,M-3,M-4が
検
ット
検 出 され た 。
ラ ッ ト尿 中 未 変化 体 お よび 代 謝 物 の 存在 率 をTable
3
存在率 で
に,イ ヌ,サ ル 尿 中未 変 化体 お よ び 代 謝 物 の 存 在 率 を
下 で あ った 。
Table 4に 示 す 。 い ず れ の 動 物種 に お い て も尿 中 に は主
最 も高率 に認 め られ る
とし て未 変 化 体M-2が
存 在 し,そ の 存 在率 は,ラ
ット
CHEMOTHERAPY
1206
Fig. 2
Thin-layer chromatograms of metabolites
of 14C-DL-8280 in the serum of the rat,
dog and monkey after a single oral dose
of 20mg/kg of the drug
Solvent system: CHC13/MeOH/NH3(28%) (2:2:1,
a Autoradiogram
(投 与 後0∼24hr)で85.2%で
で78.8%で
あ り,サ
あ り,イ
ル(8∼24hr)で
っ た 。 こ れ に 対 し て,未
イ ヌ(8∼24hr)に
あ
hr)に
は
次 い で 高 く7.6%で
あ り,
順 で 低 下 した 。
お け る 存 在 率 はM-1で3.8%,
M-3で6.2%,M-4で8.1%で
あ っ た 。 従 っ て,未
く排 泄 さ れ た 代 謝 物 は,ラ
体,イ
のN-脱
2.4.
ッ トで は グ ル ク ロ ン 酸 抱 合
ル で はDL-8280
メ チ ル 体 で あ る こ とが 明 ら か と な っ た 。
れ ぞ れ,Table
3お
よ びTable
4に
(M-2)が
ヌ糞 中未変化体 お よ
与 後0∼24hrで,M-1で0.7
%.M-2で77.7%,M-3で14.9%,M-4で5.0%で
っ た 。 さ ら に,投
%で
与 後8∼24hrの
あ
サ ル 糞 中 で は,M-1
あ っ た 。 こ れ ら の 成 績 よ り,M-3の
2.5.
示す。糞 よ
物種
ず れ の 動 物 種 に お い て も未 変 化 体
主 と して 排 泄 され てい る こ とが 判 明 した。 ラ
糞 中 排 泄 が,い
次 い で 高 い こ とが 分 っ た 。
胆 汁 中代 謝 物
ラ ッ ト胆 汁 中 代 謝 物 の 薄 層 ク ロ マ トグ ラ ム の 一 例 を
Fig. 4に
示 す 。TLCで
出 さ れ た 。Table
ル糞 中代 謝 物 の存 在
り抽 出 さ れ た 未 変 化 体 お よ び 代 謝 物 の 存 在 率 は,動
間 で 類 似 し て お り,い
あ っ た 。 ま た,イ
び 代 謝 物 の 存 在 率 は,投
DL-8280の
糞 中代謝 物
ラ ッ ト糞 中 代 謝 物 お よ び イ ヌ,サ
率 を,そ
M-4で3.8%で
ず れ の 動 物 種 で もM-2に
変化 体 に 次 い で多
ヌ で はDL-8280のN-oxide,サ
与 後0∼
24hrで,M-1で0.6%,M-2で85.9%,M-3で7.5%,
が1.1%,M-2が83.3%,M-3が12.3%,M-4が2.0
あ っ た 。 サ ル(8∼24
お け る 存 在 率 はM-1で0.8%,M-3で8.0%,
M-4で1.9%で
Thin-layer chromatograms of metabolites
of 14C-DL-8280 in the urine of the rat,
dog and monkey after a single oral dose
of 20mg/kg of the drug
ッ ト糞 中 未 変 化 体 お よ び 代 謝 物 の 存 在 率 は,投
ヌ(8∼24hr)
変 化 体 以 外 の 代謝 物 の 存在 率 に
存 在 率 がM-2に
1984
Solvent system: CHCIa/MeOH/N113(28%) (2:2:1, sly)
a Autoradiogram
は 若 干 の 種 差 が 認 め ら れ た 。 ラ ッ ト(0∼24hr)で
M-1の
Fig. 3
v/v)
は87.9%で
次 い でM-3(4.6%),M-4(1.8%)の
FEB.
5に
はM-1,M-2,M-3,M-4が
示 す よ う に,代
検
謝物の うち で は
エ ス テ ル 型 グ ル ク ロ ナ イ ドで あ るM-1が
も高 率 に 認 め られ,投
76∼85%で
与 後24hrま
一 定 して い た 。 抱 合 体 に 次 い で,未
のM-2が11∼14%存
M-4は,い
し て も5.4%以
最
で そ の 存 在 率 は
変 化 体
在 し た 。 こ れ に 対 して,M-3,
ず れ も低 率 で あ り,そ
下 で あ った。
れ らの存 在率 は 合 計
VOL.32
CHEMOTHERAPY
S-1
Table 2
Each
value
aPolar
Metabolite patterns in the rat liver and kidney after a
single oral dose of 20mg/kg of 14C-DL-8280
represents
the
mean•}S.
E.
for
four
rats.
metabohtes
Table 3
Each
value
a Polar
考
DL-8280経
1207
Metabolite patterns in the urine and feces of the rat
a single oral dose of 20mg/kg of 14C-DL-8280
represents
the
mean•}S.
E.
for
four
after
rats.
metabolites
察
大 部 分 が 未 変 化体 と して挙 動 し,代 謝 上 の種 差 は ほ とん
口投 与後 の ラ ッ ト,イ ヌ,サ ル の 血 清,
ど認 め られ な か っ た。 さ らに,第 一 相 臨 床 試験 に お け る
尿お よび糞 中に は主 と して 未 変化 体 が 検 出 され,そ の 他
DL-8280の
体 内 動態 を検 討 し た 成 績 に お い て,DL-
にDL-8280のN-脱
キ シ ド体 お よび エ
ステル型 グル ク ロナ イ ドが確 認 され た。 未 変 化 体 な らび
8280は,経
口投 与 後 ヒ ト体 内 にお い て も未 変化 体 と し
にこれ らの代謝 物 を定 量 した結 果 ,ラ ッ ト胆 汁 を除 くい
8280の 代謝 は,ヒ
ずれ の生体 試料 中 にお い て も未 変化 体 が80%前
して い る と考 え られ る。
メ チル 体 ,N-オ
後 の存
在率 で認 め られ る こ とが 明 らか とな っ た。 こ の こ と か
ら,投 与 され たDL-8280は
生 体 内 で代 謝 を受 け難 く,
て 挙 動 す る こ とが 明 らか に され て い る4)。従 って,DLトと実 験 動 物 と の 間 に お い て も類 似
ラ ッ トの血 清,腎 お よび 尿 中 代謝 物 パ タ ー ン を比 較 し
た結 果,抱 合 体 画 分(M-1)の
存 在率 は 血 清,尿
で高
CHEMOTHERAPY
1208
Table 4
Each
a
FEB.
1984
Metabolite patterns in the urine and feces of the dog and monkey
after a single oral dose of 20mg/kg of 14C-DL-8280
value
represents
the
mean•}S.
E.
for
four
dogs
or
three
monkeys.
Polar metabolites
b n-1
c n-2
Table 5
Each
a
く,未 変 化 体(M-2)の
value
Unidentified
Metabolite patterns in the rat bile after a single
oral dose of 20mg/kg of 14C-DL-8280
represents
the
mean•}S.
存 在 率 は 腎 の方 が高 か った 。 こ
の成 績 は,未 変 化体 のDL-8280が
E.
for
three
rats.
metabolites
腎尿 細 管 か ら再 吸 収
とは著 し く異 な り,未 変 化 体(M-2)が
最 も多 く,グ ル
ク ロ ン酸 抱 合 体 は低 率 であ った。 従 って,DL-8280の
グ
され る可 能 性 を示 唆 してお り,こ れ まで に ミ ロキサ シ ン
ル ク ロ ン酸 抱 合 体 の胆 汁 へ の排泄 速 度 は,未 変 化体 に比
が腎 尿 細 管 よ り再 吸収 され る こ とが 報 告 され て い る5)。
較 して か な り大 き い と推 定 され た。
ラ ッ ト肝 臓 中 代謝 物 パ タ ー ンは 胆 汁 中代 謝 物 パ ター ン
DL-8280の
主 代謝 経路 は,グ ル ク ロン酸 抱 合 体 の 生
VOL.32
CHEMOTHERAPY
S-1
Fig. 4 Thin-layer chromatograms
of the metabolites of 14C-DL-8280 in the rat bile
after a single oral dose of 20mg/kg of
the drug
1209
オ キ シ ド体 を 中間 体 と して脱 ア ル キ ル化 が 進 行 す る経 路
で あ る。 本 研 究 にお い て は,ピ ペ ラジ ン環 の代 謝 物 と し
てDL-8280のN-oxide(M-4)が
DL-8280よ
り中 間 体M-4を
脱 メ チ ル体(M-3)が
確 認 され た こ とか ら,
経 由 してDL-8280のN-
生 成 す る経 路 の存 在 が 推 定 さ れ
た 。 カ ル ビノ ール ア ミン を経 由 す る経 路 が 存 在 す るか 否
か は 現在 ま で不 明 で あ り,今 後 の 検討 が必 要 で あ る。
なお,本 研究は昭和56年8月 か ら昭和58年3月 に実施 した。
文
1)
献
津村 光磯, 佐 藤 敬 喜, 采
孟, 立 澤晴 男: DL-8280の
体 内 動 態, 第1報Bioassay法
とHPLC法
に よるイ
ヌ とサ ル に お け る吸 収, 排 泄 の 比 較 。Chemotherapy
32 (S-1):
2)
岡崎
1179∼1184,
1984
治, 倉 田忠 司, 橋 本 浩 一, 須 藤 賢一, 津 村 光 義,
立 澤 晴 男: DL-8280の
体 内 動 態, 第2報14C-DL-8280
の各 種 動 物 に お け る 吸収, 分 布, 排 泄 。Chemotherapy
32 (S-1):
Solvent system. n-BuOH/AcOH/H2O(3:1:1,
a Autoradiogram
1185∼1202,
1984
3)
SUDO, K.; O. OKAZAKI, M. TSUMURA & H. TACHIZAWA: Identification of metabolites of DL-8280, a
new chemotherapeutic
agent, in experimental animal species. Drug Metab. Dispos. (in preparation)
4)
一 原 規 方, 立 澤晴 男, 津 村 光 義, 采
孟, 佐 藤 敬 喜:
DL-8280の
第 一 相 臨 床 試 験 。Chemotherapy
32 (S-1):
v/v)
5)
118∼149, 1984
吉 武 彬, 川 原一 夫, 庄 野 文 章, 井 沢 昭雄, 小 松 敏 昭,
N-脱 アルキル 化反応 機 構 と して は2つ の経 路 が 提 出 さ
山森
れている6)。ひ とつ は,窒 素 原 子 の α位 炭 素 が 水酸 化 さ
6)
代 謝 。Chemotherapy
26 (S-4): 83∼90, 1978
佐 藤 了 編: 薬物 代謝, 肝 小 胞 体 を中心 と して, 薬 物 の
成 とピペ ラジ ン環 の変 換 で あ った。 ア ル キル ア ミ ン の
れ,不 安定 中間 体 カル ビノー ル ア ミ ンが生 成 して ア ミ ン
とアルデ ヒ ドに分解 す る経 路 で あ り,他 の ひ とつ は,N-
募: 14C標 識AB-206の
各 種 実験 動物 に お け る
構 造 と 肝 小胞 体 に お け る 酸 化 様 式(吉 村 英 敏), 213∼
219頁, 講 談 社 サ イエ ンテ ィフ ィク, 1973
CHEMOTHERAPY
1210
METABOLIC
THE
THIRD
FEB.
DISPOSITION
REPORT:
METABOLISM
VARIOUS
ANIMAL
OF
1984
DL-8280
OF 14C-DL-8280
IN
SPECIES
KENICHI SUDO, KOICHI HASHIMOTO, TADASHI KURATA, OSAMU OKAZAKI,
MITSUYOSHI TSUMURA and
Research Institute,
HARUO TACHIZAWA
Daiichi Seiyaku Co., Ltd.
The metabolism of 14C-DL-8280 in the rat, dog and monkey was studied in order to clarify
its metabolic patterns in vivo and species difference.
Four metabolites were detected in the biological materials of the animal species, and
identified as follows: M-1; ester glucuronide of DL-8280, M-2; unchanged form, M-3; N-desmethylated DL-8280, M-4; DL-8280 N-oxide.
In the serum and urine of the rat, dog and monkey, DL-8280 (M-2) existed mainly, and its
composition percentages in those samplep were more than approximately 80%. Accordingly,
composition percentages of the other metabolites were less than approximately 21%. In the
rat liver and kidney, the unchanged drug was also found at the composition percentage of more
than approximately 80%, while composition percentages of M-1, M-3 and M-4 were low. Major
metabolite in the rat bile was M-1 followed by M-2.
From these results, it was clarified that DL-8280 might be hardly metabolised and behave
as the unchanged form in vivo, and that there was no species difference in the metabolism of
the drug.