試験報告 CF アンカー扇部接着耐力試験 (工試第 U-2013030775-201303013608) この欄で掲載する報告書は依頼者の了解を得たものです。 1. 依頼者 新日鉄住金マテリアルズ株式会社 コンポジット社 2.試 験 体(依頼者提出資料) CFアンカー の 種 類 CFRP板 CFアンカー用 含 浸 接 着 樹 脂 の 種 類 C F ア ン カ ー 樹 脂 含 浸 日 CFストランド 本 数 扇 幅 ㎜ 扇 長 ㎜ 数 量 FTA-C1-72 FTS-C1-40 FR - E3P 平成 25 年 3 月 13 日 144 本 310 450 5個 3.試験内容 試 験 試 試 方 験 験 場 法 試験は,2000kN万能試験機(使用レンジ:200kN)を使用して行った。 試験体の両端部を試験機でチャッキングして,試験体に破壊に至るまで連続的に引張荷重を加えた。なお,目標載荷速 度は150kN/分程度とした。 (図1参照) 日 平成25年 3月25日 所 浦和試験室 試 験 責 任 者 北村保之 4.試験結果 最 大 荷 重 kN 試験体番号 FTS-C1-20 平 均 備 考 22 破 壊 状 況 1 117.2 CFアンカーのはく離 2 118.5 CFアンカーのはく離及び破断 3 136.7 CFアンカーのはく離 4 112.8 CFアンカーのはく離 5 167.6 CFアンカーのはく離及び破断 130.6 - ・試験室内温度:19.0 ~ 19.5℃ ・破壊状況例を写真1に示す。 建材試験センター 建材試験情報 4 ’ 14 コメント・・・・・・・・・・・・・・・・ 荷重 荷重 今回は,新日鉄住金マテリアルズ株式会社コンポジット社 より依頼された CF アンカー扇部接着耐力試験を紹介した。 これまで,土木分野におけるコンクリート構造物の耐震 補強は,鋼板巻立てやコンクリート増し打ちなどの拡幅や 鋼管 (加力ジグ) 断面増強が主体であったが,最近では外形寸法や重量増加 がほとんどない炭素繊維シート類( CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic 炭素繊維強化プラスチック)による補強 が増加している。 炭素繊維シートによる耐震補強では,鋼材等に比べて軽 量であるため,揚重機等が不要で施工性・安全性に優れ, 腐食することもなく,メンテナンス性も向上する。 今回対象とした CF アンカーの扇部と炭素繊維シートと の接着は,炭素繊維のシート同士の接着であるため効率が 良く,かつ,CF アンカーを構成している炭素繊維ストラン ドの引張強さは,アンカーボルトに比べて大きく,コンク CFRP リートへの後付け定着においても,CF アンカー埋め込み用 孔の寸法が従来工法(例えば金属系など)と比べ小さくする ことも可能である。なお,炭素繊維ストランドは,弾性係 数 230kN/mm2,引張強さ規格値 3400 N/mm2 である。 また,本工法は技術名称「 CF アンカー」として平成 18 年 に(財)土木研究センター(当時)の建設技術審査証明を取得 している。 試験体は,CF アンカーと炭素繊維シートとをエポキシ樹 脂を含浸させて接合部を構成し,試験体の両端に試験機 鋼板 (加力ジグ) チャッキング用の鋼管および鋼板を引張ジグとして取り付け たものである (前掲図1参照) 。試験は養生期間を経て行った。 試験の目的は,接着施工における CF アンカー扇部の平 荷重 荷重 図 1 試験方法 面寸法等を考慮した設計接着耐力(荷重)の確認であり,今 回実施した試験では,施工現場で要求される接着耐力設計 値 57.6kN 以上であることが確認された。また,破壊状況で は接着部での CF アンカーのはく離が主であるが,そのほ か CF アンカー自体の破断や炭素繊維シートの破断の場合 もある。 壁 部 炭素繊維 シート 貫通孔 CFアンカー 貫通型 柱部 柱部 柱部 炭素繊維 シート 埋込孔 CFアンカー 壁 部 埋込型(1) 炭素繊維 シート 埋込孔 CFアンカー 埋込型(2) CFアンカーの適用例 (土木研究センターホームページより引用) 写真1 破壊状況例 建材試験センター 建材試験情報 4 ’ 14 (文責:工事材料試験所 浦和試験室 北村 保之) 23
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