12 短腸症候群において BT-PABA 試験が残存小腸の吸収機能評価に有用と思われた1例 ◎松村 充子 1)、嶋田 昌司 1)、畑中 徳子 1)、岡山 幸成 1)、中村 文彦 1) 公益財団法人 天理よろづ相談所病院 1) 短腸症候群は、完全静脈栄養(TPN)管理が基本と 6ヶ月、11 ヶ月(ストマ閉鎖後 1 ヶ月)の TPN 量は 1281 なる。しかし残存小腸の適応により、TPN 管理を離脱 Kcal、920Kcal、820Kcal で、輸液水分量は 4000ml、 できる場合があり、吸収機能評価は論理的な TPN 量調整を 2500ml、1000ml であった。この間、栄養低下、水分 可能にする。今回短腸症候群において BT-PABA(パラ 喪失、ストマ排液の増加などのトラブルはなく腸管の アセトアミノ安息香酸)試験により吸収機能を経時的に 適応が順調に進んでいる事が伺えた。術後 1 ヶ月、 追えた1例を経験したので報告する。 6 ヶ月、11 ヶ月の PABA 排泄率はそれぞれ 13%、21%、 【BT-PABA 試験方法】内服した BT-PABA は、膵臓から 分泌されるキモトリプシンで分解後 PABA となり、腸で 41%と上昇し、経過とともに改善した。 吸収され肝臓で抱合を受けた後、腎臓より排泄される。 症候群における栄養療法の変更は患者の症状に頼ること この代謝を利用して BT-PABA アルコール溶液を内服後に が多い。BT-PABA 試験は本来、膵外分泌能の評価に用い 6 時間の蓄尿を行い、蓄尿中に排泄された PABA 量を られるが、膵、肝、腎機能に問題がない場合、腸の吸収 求める(排泄率の基準値 73〜90%)。 機能を反映すると考えられる。本症例では、PABA 排泄率 【症例および BT-PABA 試験結果】症例は体重 52.1Kg、 は経過とともに改善し、術後 11 ヶ月で 41%となった。 BMI19 で膵、肝、腎機能に問題は無かった。アレルギー PABA 排泄率は患者の経過とよく相関し、腸管の吸収 性肉芽腫性血管炎の治療中、小腸イレウスを発症し小腸 機能をよく反映している事が確認できた。 壊死部分を大量切除、残存小腸は口側 140cm、肛門側 55cm 【まとめ】経時的に BT-PABA 試験を実施した短腸症候群 で 2 孔式人工肛門(ストマ)が造設された。TPN 管理下で の1例を経験した。PABA 排泄率は腸の吸収機能の変化と 徐々に経口摂取量をアップされ、小腸切除術後1ヶ月、 よく一致した。 連絡先 0743-63-5611 【考察】吸収機能を評価できる検査は少ないため、短腸
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