症例6松江生協

症例 6
松江生協病院 放射線科
提示
第73回島根画像診断研究会_2014年11月12日(水)_ホテル宍道湖
• 症例:60代男性
• 腰背部痛精査のため胸腹部CTが施行された。
単純CT軸位断像
冠状断像
矢状断像
考えられる疾患は?
診断
SAPHO症候群
SAPHO症候群
1987年にChamotらによって報告された疾
患概念で、その特徴であるSynovitis(滑膜
炎)、Acne(ざ瘡)、Pustulosis(膿疱症)
Hyperostosis(骨化過剰症)、Osteitis(骨
炎)の頭文字を取り命名された。
SAPHO症候群
発生機序:詳細は不明であるが弱毒菌感染
に伴う自己免疫反応説と血清脊椎反応陰
性関節症の範疇と見なす説の2つが考えら
れている。
日本における頻度:人口当たり0.00002%で
10万人あたりの年間発症率は0.00144人1)。
1)Hukuda S, Minami M, Saito T, et al. Spondyloarthro-pathies in Japan : nationwide questionnaire
survey performed by The Japan Ankylosing SpondylitisSociety. J Rheumatol 2001 ; 28 : 554.
2)
SAPHO 症候群の診断基準
1. 多発性、反復性の慢性骨髄炎
通常無菌性
脊椎病変が認められることもある
皮膚症状の有無は問わない
2. 関節炎(急性、亜急性、慢性のいずれで
もよい)
掌蹠膿疱症、膿疱性乾癬、重症の座瘡
のいずれかに伴うもの
3. 無菌性骨炎
掌蹠膿疱症、膿疱性乾癬、重症の座瘡の
いずれかに伴うもの
2)Chamot AM, Benhamou CL, Kahn MF, et al. Acnepustulosis-hyperostosis-osteitis Syndrome. Results
of a national survey. 85 cases. Rev Rhum Mal Osteortic1987 ; 54 : 187―196.
SAPHO症候群
1)前胸壁(65~90%):胸肋鎖関節、上部胸肋関節、胸
骨柄体結合部に好発し、骨侵食像、骨膜反応、骨硬
化、骨過形成を認める。進行すると鎖骨は肥大して第
1肋骨と癒合する。
2)脊椎(33%):胸椎が最も多く、腰椎と頚椎がこれに次
ぐ。脊椎椎間板炎と類似した椎体終板の骨侵食・硬化、
椎間腔狭小化、傍脊椎骨化を認める。
SAPHO症候群
3)仙腸関節炎(13~52%):片側性、または左右非対称
性のことが多く、腸骨側優位の骨侵食や骨硬化が見ら
れる。
4)長管骨(30%):骨硬化や骨膜反応を認める。
5)末梢関節炎(36%):膝、股、足関節に最も多い