MK-0787/MK-0791

VOL.33
CHEMOTHERAPY
S-4
注 射 用 抗 生 物 質Imipenem/Cilastatin
793
sodium
(MK-0787/MK-0791)の
ヒ ト前 立 腺 液 へ の 移 行 と複 雑 性 尿 路 感 染 症 に 対 す る 臨 床 的 評 価
鈴 木 恵 三 ・玉 井 秀 亀
平塚市民病院泌尿器科
名 出 頼 男 ・藤 田 民 夫 ・小 川
平 林
忠
聰 ・柳 岡 正 範 ・石 黒 幸 一
藤 田学 園保健 衛生大 学泌尿器科
置 塩 則彦
静岡赤十字病院泌尿器科
長 久 保一 朗 ・青 木 清 一
立川共済病院泌尿器科
平 野
功
日野市立総合病院泌尿器科
浅 野 晴 好
愛 知県済 生会病 院泌 尿器科
Imipenem/Cilastatin
sodiしm(MK-0787/MK-0791)の
ヒ ト前 立 腺液 へ の移 行 と51例
の 慢性 複
雑性 尿路 感 染症 と1例 の急 性 副 睾 丸 炎 を 対 象 に 治療 成 績 を 検 討 した 。
1)前
立 腺 液へ の移 行:本 剤 を500mg/500mg投
ml(n=5)で,血
2)臨
中 との比 は1.6%で
床 成績:慢 性 複 雑 性 尿 路 感 染 症 には1日500mg/500mg∼1,500mg/1,500mg(分1∼
3)で おお む ね5日 間 投 与 した 。UTI薬
効(著 効7例,有
効21例)で,有
効 以上 の評 価 が38例
73%で
与1時 間後 の 前 立 腺 液 内濃 度 は 平 均0.22μ9/
あ った 。
効 評 価 基 準 で 評 価 し得 た 例 は37例
効 率76%を
で,有 効 率76%で
得 た 。UTIに
で,こ の うち28例
対 す る50例
を 得た。 効 果 が 劣 った菌 種 はSepidermidis,S.
faecium,
が有
の 主 治 医 判 定 で は,有
あ った 。 病 態 群 別 では,単 独 感 染 群80%,複
大 きな 差 を み なか った 。 細 菌 学 的 効 果 は31種94株
種 に は100%ま
分
の うち,80株
数菌感染群
が 消 失 し,除 菌 率85%
Raeruginosaの3菌
種 で,他
た は そ れ に 近 い 効 果 を 認 め た 。 投 与 後 出現 菌 は,GPCとCandidaが
の28菌
多 く計23
株 を検 出 した 。1例 の急 性 副 睾 丸 炎 に は著 効 を み た。
3)安
全 性:自 覚 的 副 作 用 ば1例(65歳
女 性)に 認 め られ た 。 症 状 は ,嘔 吐 で,こ の例 で は投
与 を中 止 した。 中止 後1時 間 以 内 に正 常 に復 した(発 現 頻 度,2%)。
み た ものが1例(発
4)ま
現 頻 度,2%)あ
った が,中 止後1週
とめ:MK-0787/MK-0791は,invitroの
臨 検 値 で は,S-GOT上
昇を
で正 常 に復 した 。
効 果 を反 映 して,ほ
とん どめ菌 種 に 強 い 抗菌
活性 を示 し,こ れ に よ り難 治 性 要 因 め 多 い 慢 性 複 雑 性 尿 路 感 染症 に優 れ た 臨 床成 績 を 得 た 。 安 全 性
に も特 記す べ き こ とが な く,総 体 的 に 有 用 性 の 高 い 抗 菌 剤 で あ る と考 え られ た。
Imipenem
(MK-0787)/Cilastatin
sodium(MK-0791)
は,近 年 米 国 メ ル ク 社 研 究 所 に お い て
いcarbapenem系
,開
腔 表 面 に 存 在 す るrenal
発 され た 新 し
抗生物質 であ る
とcilastatinを1:1に
。 本 剤 はimipe薮em
配 合 した もの で あ るが
,抗 菌 活
性を 示 す も の はimipenemで
性を 示 さ な い 。 こ れ はimipenemが
あ り,cilastatinは
抗菌活
腎尿細管上皮の管
dipeptidaseに
る こ と を 阻 害 す る た め に,配
ぞ れ の 構 造 式 はFig.1に
つimipenemは,既
よっ て代 謝 さ れ
合 され た もの で あ る。 そ れ
示 した。 この うち抗 菌 活 性 を も
存 の い ず れ の抗 菌 剤 に も類 似 しな
い ユ ニ ー ク な 構 造 式 を も っ て お り,そ
の 特 長 も,従
抗 菌 剤 に は な い 広 い 抗 菌 ス ペ ク トラ ム と,強
来の
い抗菌力に
CHEMOTHERAPY
794
Fig. 1
Chemical
structure
NOV.
1985
of MK-0787
Table 1
Chemical
structure
Molecular
formula:
Ci6H2sN2OsSNa
Molecular
weight:
380.43
Background of the patients treated with
MK-0787/MK-0791
of MK-0791
Max.
Age:
87,
Min. Age:
19
Table 2 Administrationof MK-0787/MK-0791
dailydose
あ る とい わ れ て い る(Fig.1)。
陰 わ れ わ れ は,日 本 メ ル ク萬 有(株)と
鳥居 薬 品(株)
に よっ て導 入 され た 本 剤 を 用 い て ヒ ト前 立腺 液 へ の濃 度
移 行 を 測 定 した。 臨 床 的 に は 慢 性 複 雑 性尿 路 感 染 症 の治
療 に 供 し,有 効 性 と有 用 性 に つ い て 検討 を行 な った 。 以
下 そ の 成績 につ い て 報 告 す る。
1.対
1.前
象 と 方 法
立 腺 液 へ の濃 度 移 行
慢 性 前 立 腺 炎 の 鎮静 期 にあ る 患 者5名 にimipenem/
cilastatin(500mg/500mg)を15分
で 点滴 静 注 した 後
に,血 漿 と前 立 腺 液 を前 立 腺 マ ッサ ー ジに よ り採 取 して
濃 度 を 測定 した。 濃 度 測 定 方 法 は,検
MMOPSbuffer
(pH7.0)に
てB. subtilisATCC
12432を 用 い たbioassay法
た。 測 定 下 限 界 の濃 度 は0.005μg/mlで
2.臨
床的検討
1)対
象:症 例 数 は 合 計52例
別 はTable1に
る。70歳
体 を直 ち に0.05
て 希 釈 した後,検 定 菌 と し
に よっ
あ る。
た 。 対 象 疾 患 は 慢 性 複 雑 性 尿 路 感 染 症51例
症(急
性 副 睾 丸 炎)1例
2)投
与 量,投
与 日 数,投
与 量 はimipenemと
分1∼
分3で
の 計52例
与 方 法(Table2):1日
示 した とお りで,男
以 上 の 高齢 者は28例
女 比 は7対3で
で全 体 の54%
あ
.を 占 め
よ った 。 投 与 直 前
生 傘100m1に
こ れ を ピギ ー パ イ ア ル と し て 用 い 約15∼60分
与 した 。
Table 3 Diffusion into human prostatic fluids of MK-0787/MK-0791
(500mg/500mg I.V.D. 15min) after 11w
PF: Prostatic
fluid
効 評 価 基準 に
間 が お お む ね で あ る。投 与
方 法 は 全 て 点 滴 静 注(1.V.D.)に
にimipenemとcilastatinを
Lowest assay limit: 0.005gg/m
投
し て 示 した 。500mg∼1,500mgを
与 え た 。 投 与 日数 はUTI薬
合 致 さ せ る 目 的 の た め,5日
で あ る。 年 齢 構 成 ,性
と性 器 感染
で ある。
て混 合 し,
か け て投
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CHEMOTHERAPY
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796
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800
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Table
Table 6
3)効
5 Overall
clinical efficacy of MK-0787/MK-0791
Overall clinical efficacy
果判 定:UTI薬
801
of MK-0787/MK-0791
効 評 価 基 準1)に合 致 す る例 は こ
2.臨
につ いて行 な った。
1)
1.前
立 腺液 へ の濃 度 移 行(Table
血 中濃度 は8.87∼18.84μ9/mlで
classified by type of infection
床
慢性 複 雑 性 尿 路 感 染 症(Table
UTI薬
績
3)
で,こ れ か ら
で あ った 。 した が って37例
は この
基 準 に よ り薬 効 評 価 を行 な った 。 こ の基 準 か ら逸 脱 した
13.59μg/miで あ った
。前 立 腺 液 中 の濃 度 範 囲 は0.04∼
0.46μg/mlで 平 均(n=5)は0
.22μg/mlで あ った 。血
例 を 含 め て合 計51例
中濃度 と前 立腺 液濃 度 と の比 の平 均 は0.016と
た 。37例
中濃度 の1.6%が
4)
効 評 価 基 準 に合 致 した 例 は37例
逸 脱 した例 は14例
平 均(n=5)は
UTI
た0
れによ り効果 判定 を 行 な った 。 主 治医 に よる判 定 は全 例
II。 成
in complicated
な り,血
前 立 腺 液 へ 移 行 して い る結 果 を 示 し
UTI薬
を 主 治 医 判 定 の対 象 と した 。
効 評 価 基 準 に よる総 合 成 績 はTable
中,著 効7例,有
例 とな り,有 効 率 は76%で
効21例
5に 示 し
で,有 効 以上 が28
あ った。 個 々の 指 標 で み る
CHEMOTHERAPY
802
Table
7
Bacteriological
response
to MK-0787/MK-0791
NOV. 1985
in complicated
UTI
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CHEMOTHERAPY
S-5
Table 8
Relation
between MIC and bacteriological
803
respose
in MK-0787/MK-0791
treatment
CHEMOTHERAPY
804
と膿 尿 に対 す る効 果 は 正 常 化10例,減
は43%で
少6例
で有 効 率
少1例,菌
あ る。 細 菌 尿 に 対 す る 効果 は消 失24例,減
交 代6例,不
68%,菌
あ った 。
で 総 合 成 績 は80%の
た。 複 数 菌 感 染 例 は22例
有 効 率 であっ
で,有 効 率 は73%で,両
群
に ほ とん ど差 を 認 め な か った 。個 々の 群 別 で み る とG-3,
G-4の
カテ ー テ ル非 留 置 の単 独菌 感 染 群 が それ ぞれ75
%,100%の
成 績 で あ った 。 複 数菌 群 のG-6で
1985
は や や 効 果 が 劣 り9株 中4株
,44%の 除
2株 にはいずれ
も効 果 を 認 め,消 失 した 。Table 8はMICと
細菌学的
効 果 を み た もの で あ る。 い ず れ の菌 種,菌 株 に対 しても
Table 6は 病 態 群別 の効 果 を示 した も ので あ る。 単 独
菌 感 染 例 は15例
aeruginosaに
菌 率 て あ った。そ の他 にP.maltophilia
変6例 で,減 少 以上 の有 効 率 は
交 代 まで を 含 め る と84%で
NOV.
MICは
低 く,感 受 性 の 劣 ったSfaecium
μg/mi以
上,Eodoratum
1株 が100
1株 が6.25μg/mlのMIC
で,そ の 他 の 菌種,菌 株 に 対 して は3.13μg/m1以
MIC値
下の
を示 した 。
Table 9は 投 与後 出 現菌 を示 した も のであ る。12種23
株 が 分 離 され た が,こ の うちSaurmsを
は じめ とする
とや や有 効 率 が 低 下 した 。カ テ ー テ ル留 置 群 のG-1,G-5
は67%
GPCが6種10株
が3種10株 ,
で は そ れ ぞれ71%,75%と
43%と
む しろ複 数菌 感 染 群 の有 効
Table 7は 細 菌 学的 効 果 を示 した も ので あ る。 グ ラム
dida 3株 の計97株
ラ ム陰 性菌23菌
種69株
グ ラ ム陰 性菌 で は69株
中17株,68%が
中63株,91%が
ム陽 性 菌 とグ ラム陰 性 菌 の 合 計 で は94株
%が
とCan-
と,E.faecalisは11株
消 失 した 。
S.mamscensに
は9株
2株 は
2株 はい ず れ も存
6
1株,Kpneumoniae
Table 9 Strains*
treatment
な ど全 てが 除 菌 され た 。
中8株,89%が
appearing
消 失 した 。P.
after MK-0787/MK-0791
in complicated
UTI
は 治 療 前 と ま った く違 う3菌 種 を検出した。
例 は カテ ー テ ル フ リーの 症 例 で あ る。
5株,P.vlugaris,P.rettgeri,
AlRaligenes sp.そ れ ぞれ2株
(症 例5)で
中80株,85
中8株,73%,Saums
4株,E.cloam
3株,M.morganii
の間に再発をみた
例 は6例 で あ った 。 そ の多 くは再 燃 とみ られ るが,1例
な お これ らの症 例 は,5例
続 した 。 グ ラ ム陰性 菌 では,E.coli12株,Cfreundii
株,E.aerogenes
あ る。 これ ら は いず れ も治療 終 了時 に有 効以上 の成績を
消 失 し,グ ラ
消失 した。 グ ラム陽 性 菌 の 主 な 菌 種 につ い て み る
い ず れ も消 失 した。 しか しS.faecium
につ い て,治 療 後 の経 過をみた もので
示 した もの で あ るが,中 止後2∼9日
が 治 療 前 に 分 離 され た。 総 合 的 にみ
る と グ ラ ム陽 性菌 は25株
それ ぞれ が 大 半 を 占め た。
Table 10は7例
率 が単 独菌 感 染 のそ れ を 上 回 った。
陽 性菌8菌 種25株,グ
で,43%とCandida類
2)性
器感 染 症(Table
が,カ テ ー テル留置症例で2
11)
急 性 副 睾丸 炎1例 で あ るが,本 剤 を1日0,59(MK0787と
して)を2回5日
間 投 与 し,副 睾丸 の疹痛,腫
脹,発 熱 らの いず れ の症 状 も消 失 し,著 効 と判定 した。
3)主
治医 に よ る総 合 効果 判 定(Table
被 検 対 象52例
12)
につ い て の効 果 を ま と め る と著効8
例,有 効31例,や
や 有 効8例,無
な り,有 効 以上 の成 績 は39例
効4例,不
明1例 と
で,総 合有効率は76%
で あ った。
3.安
全性
本剤 に よる 自覚 的 副 作 用 は52例
%)に
認 めた(Table13)。
中1例(発
症 例 は65歳
現頻度2
女性で,腎 結石
術 後 よ り本 剤 を投 与 した と ころ,3∼4分
後か ら嘔気を
訴 え,そ の後 胃 内容 を 嘔 吐 した。 症状 は 点滴 終了後20
∼30分 程度 で消 失 した の で ,再 び そ の後2回 の投与を行
な った 。 しか し前 回 とほ ぼ 同様 の症 状 を認めたため,以
後 の 投 与 を 中止 した 。 処 置 は 特 に行 なわ ず に,い ずれも
投 与終 了後1時 間 以 内に 症 状 は消 失 した 。
臨床 検 査値 で はGOT上
昇 例(GOT29→202)が1例
認 め られ た 以外,本 剤 に よ る と思わ れ る異常 を認めなか
った 。 こ の 例 で は 投 与 中 止後9日
目に 正 常 に復 した
(Table14,Table15)。
III.考
Imipenemの
察
ヒ ト前 立 腺 液 へ の移 行 は500mg投
時 間 で,平 均 濃 度0.22μg/ml,血
与1
清濃 度 との対比で1.6
%を 得 た。 この移 行 レベ ルは,こ れ まで にわれわれが β* RegamdlessOfbacterialcount
lactam剤 につ い て測 定 して きた成 績 と比較 する と,中等
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S-4
CHEMO
THERAPY
805
CHEMOTHERAPY
806
Table 11
Table
* Drug
was
Clinical summary
12 Overall
discontinued
of epididymitis
NOV.
case tread
clinical efficacy of MK-0787/MK-0791
on account
of side
effects
Table
13
Side
aemginosaを
を 対 比 させ る と,GPCで
tive
Sepidermidisら
が,ま たGNBで
はSaureus,
はE.coli,K.pneu-
を 上 回 る濃 度 を示 した ので
有 用 な こ とが 期 待 で き る。 これ に 比べ てEfaecalisや
君aerugnosaはMIC値
by the investigators
judgement
effects
離 菌 種 のMICと
の 多 くは,MIC値
with MK-0787/MK-0791
.
度 に位 置 す る も の と思 わ れ る2),3)。
前 立 腺 液 内 濃 度 と分
moniaeら
1985
が や や 高 く,前 立 腺 液 内 濃 度 を
は じ め と し てEnterobactorl
Proteus,
NF-GNRと
た 。 感 染 タ イ プ で は,3種
daを
hdole
posi-
い っ た 難 治 性 の も の が多 か っ
以 上 の 複 数 菌 感 染 症(Canゐ
含 む 例 は 除 く)が13例,25%含
ま れ て い た。こ
う し た 難 治 性 要 因 を 多 く も った 症 例 を 多 く対 象 に選 んだ
理 由 は,既
に 本 剤 がin
vitroで
優 れ た 抗 菌 活 性 と広 い抗
下 回 る傾 向 が 伺 え る。 した が って これ らに起 因 す る前 立
菌 ス ペ ク トラ ム を 示 した こ と に 基 づ く4)。 成 績 も これを
腺 炎 に は,投 与 量 を増 加 す るな どの 対 応 が 必 要 であ ろ
反 映 し て,病
う。 も っ とも実 際 には こ う した 対 象 に,臨 床 治 験 を 行 な
高 い 有 効 率 を 得 た も の と考 え て よ
い,有 用 性 を確 認 す る必 要 が あ る。
で み る と31種94株
慢 性複 雑 性 尿 路 感 染 症 の成 績 に つ い てみ る と,UTI
薬 効 評価 基 準 で76%,主
治 医 判定 で76%と,こ
の種 の
対 象 に対 す る成 績 と して は,か な り高 い有 効 率 を 得 た 。
一 般 に薬 剤 の有 効 性 を 評 価 す る時 に,直 ち に有 効 率 の 高
低 のみ で断 定 す る こ とは 容 易 に で き な い。 そ れ は 薬 剤 の
態 群 別 に 差 が な く ど の 感 染 群 に も 平均 して
菌 率 を 示 し,効
。 細 菌 学 的 効果 のみ
の う ち80株85%と
い う高 い除
果 が 劣 っ た 菌 種 が,S.epidmidis(1/
3,33%),Sfaecium(0/2,0%),P.aeruginosa(4/9,
44%)で,こ
の 他29種
に 近 い 除 菌 率 を 示 し,in
に は ほ と ん ど100%ま
vitroの
強 い 抗 菌 活 性 が 臨床 で
も確 認 さ れ た 成 績 で あ る 。 な お 本 剤 はP.maltopma
性 格 に よっ て,対 象 の選 択 が主 治 医 に よ って 相 応 に な さ
に は 抗 菌 活 性 が 劣 る と い わ れ て い る が5),わ
れ るか らで あ る。 今 回 対 象 と した 慢性 複 雑 性 尿 路 感 染 症
績 で は2株
の基 礎 疾 患,起 炎 菌 らに つ い てみ る と,重 症 な も のが 多
く含 まれ,細 菌 の 種 類 だ け で も31種
そ の 内容 もR
た はそれ
臨 床 成 績 を 更 に 解 析 し て み る と,有
28例
れ われ の成
いず れ も消 失 した。
で あ る が,著
効 は7例,有
効21例
効 以 上 の成 績 が
で,著
効率 が
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808
CHEMOTHERAPY
NOV.
1985
VOL.
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CHEMOTHERAPY
S-4
Table
* 1 Unquestionable
15
Clinical
abnormal
values
relationship
2 Relationship
is likely
3 Relationship
may
exist
25%と 低い傾 向 をみ た 。これ は除 菌 効 果 に比 べ て,膿 尿
に対する効果 が劣 った(正 常 化27%,減
による。UTI薬
809
少16%)結
果
効 評 価 基準 で は5日 が 投 与 規 定 日数 で
あるため,重 症 な症 例 を 多 く取 り扱 った 場 合,こ
の程 度
の期間で は消失 効果 は 充 分 な 治療 日数 で な い こ とを示 し
ている。 こ う した対 象 には 薬 効 評 価 を は な れ て,治 療 上
た 症 状 で あ った のが 印 象 に残 った 。
臨 床 検 査 値 ではS-GOTが29→202に
1例 あ った が,中 止 後9日
上 昇 した 例 が
で正 常 に復 して お り問題 が な
か った。 全 体 に臨 検 値 に対 す る 異常 が 少 な く,こ の 面 で
安 全 性 に対 して高 い評 価 を与 え て よい と思 わ れ た。
Imipenemは
腎 で の 安 定性,腎
毒 性 な どの 点 で 開 発 当
さらに投与 を続 け て有 用 性 を 検 討 す る必 要 が あ る。 この
初 問 題 が あ った が,cilastatinの
際,臨 床 上留意 す べ き 点は,投 与 後 出 現 菌 の 検 討 で も示
れ 臨 床 検 討 に 入 った が,こ
した ように菌 交代 と してCandidaが
た よ うに,こ の点 に 関 して 特 に 問 題 は な か った 。 た だ し
クローズアップさ
配 合 で 解 決 され た と さ
こに わ れ わ れ の成 績 に も示 し
れるもの と思 う。 本 剤 の よ うに ほ とん ど の菌 種 を カバ ー
容 易 に 投 与 量 を 増 加 す べ き で な く,1日
できる抗菌 スペ ク トラ ムを もつ も ので は,当 然 の結 果 と
2000mgが
いえるが,こ う した 現 象 に対 処 す る こ とが 今 後 の課 題 で
本 剤 は,ほ
とん ど の細 菌 に有 効 な 抗 菌 剤 で そ の面 では
検 討 した うち6例 が 薬
切 り札 的 な存 在 と もい え るが,反 面 投 与 対 象 の選 択 に は
以 内に再 発 を みた 。 これ は カ テ ー テ ル
充 分 留 意 す る必 要 が あ り,安 直 に 用 い るべ きで は ない 。
ある。再発 につ いて み る と,7例
剤中止後2∼9日
量1000mg∼
妥 当 と思 わ れ る。
留置例 を含む複 雑性 要 因 が 多 か った こ とや 治療 期 間 が短
さ らに投 与 量,投
かかった こ とな どを考 慮 す る と,当 然 と も考 え ら れ る
る。
与 方 法 に も習 熟 す る こ とが 肝 要 で あ
が,一 面本 剤 の組織 内移 行 性 に つ い て も考 慮 す る必 要 が
ある。 慢性炎症 に よっ て組 織 移 行 で 薬 剤 分 布 に 差 が あ る
文
大 越 正 秋, 他: UTI薬
効評価基準
Chemotherapy
28 :324∼341,
1980
2)
鈴 木 恵 三, 名 出頼 男: 細 菌 性 前 立 腺 炎 の 基 礎 と臨
3)
床 的検 討 。 日本 泌 尿 器 科 学 会72回
総 会 号74:
2012∼2013, 1984
鈴木 恵 三, 玉 井 秀 亀, 名 出頼 男: 細 菌 性 前 立 腺 炎
と,移 行の優 れた 部分 と悪 い 部 分 に 差 を 生 じ,表 面 上 有
効にみえて も,薬 剤 の到 達 が 低 い組 織 ではdrug
freeと
ともに再発が み られ る恐 れ が あ る。 特 に本 剤 では 投 与 量
が従来の β-lactam剤 とは異 な って 少 な い の で,こ の点
に 対す るCeftazidimeの
を配慮すべ きで あ る。
吐によ り中 止 した 。 この症 例 をみ る とア レル ギ ー で は な
4)
KAHAN,
F. M.;
J. BIRNBAUM:
く,血 中濃度 の上 昇 に つ れ て生 じた 中 枢 へ の影 響 に よる
ものと考 え られ た。 特 に 点滴 ス ピー ドに も問題 は な く,
3回 投与で,全 て 同 じよ うな 症 状 が み られ た 。 この よ う
な症例は 中止に よ り無 処 置 で1時 間 以 内 に 正 常 に 復 して
とは 多 少 異 な っ
H.
32: 870∼881,
KROPP,
bial
Chemotherapy
J. G.
Thienamycin:
imipenem-cilastatin.
5)第32回
(第 二 版)。
有 効 性 と安 全 性 に 関 す
る 検 討。Chemotherapy
安全性につ い てみ る と,自 覚 的 副 作 用 と して1例 嘔
お り問題 はない が,既 存 の β-lactam剤
献
1)
&
development
Journal
12
1984
SUNDELOF
(S-D):
of
1•`35,
of
Antimicro1983
日 本 化 学 療 法 学 会 西 日 本 支 部 総 会,
シ ン ポ ジ ウ ムII。MK-0787/MK-0791,
S.
新薬
岡 山, 1984
CHEMOTHERAPY
810
NOV.
1985
DIFFUSION INTO HUMAN PROSTATIC PLUIDS AND CLINICAL
EVALUATION OF IMIPENEM/CILASTATIN SODIUM
IN URINARY TRACT INFECTIONS
KEIZO SUZUKI and
Department
of Urology,
HIDEKI TAMAI
Hiratsuka
Municipal
Hospital
YORIO NAIDE, TAMIO FUJITA, TADASHI OGAWA, SATORU HIRABAYASHI
MASANORI YANAOKA and KOICHI ISHIGURO
of Urology, Fujita Gakuen University,
School of Medicine
Department
NORIHIKO OKISHIO
Department
of Urology,
Shizuoka
Red Cross Hospital
ICHIRO NAGAKUBOand SEIICHI AOKI
Department
of Urology,
Kyosai-rengokai
Tachikawa
Hospital
ISAO HIRANO
Department
of Urology,
Hino Municipal
General Hospital
HARUYOSHIASANO
Department
Imipenem/Cilastatin
assayed
and
for
one
case
(1)
1
The
average
ratio
1500
mg
ned
in
for
7
the
bial
cases
In
of
of
marked
were
ceptions
on
such
Strains
appearing
of
isolates
As
for
(4)
the
after
side
there
one
case
of
the
drug.
(5)
Our
UTI
Furthermore
and
plicated
GNB
the
in
UTI.
vitro
In
the
on
an
there
were
case
carbapenem
51
derivatives,
cases
with
(PF)
was
was
complicated
UTI
by
acute
daily
dose
UTI
criteria.
rate
of
moderate
difference
at
and
strains
were
85%.
0. 22ƒÊg/ml(n=5)
76%.
By
an
efficacy
the
clinical
clinically
P.
mainly
that
of
was
GPC
rate
between
of
76%.
monomicro-
effect
was
excellent.
Eighty
strains
broad
(GNB)
with
were
poorer
and
obtai-
investigator's
-showed
bacilli
consisted
the
isolated.
aeruginosa
mg/
result
efficacy
MK-0787/MK-0791
and
treatment
500mg/500mg-1500
The
in
gram-negative
S. faecium
of
with
epididymitis,
94
(GPC)
or
great
rate
S. epidermidis,
a
the
effectiveness
no
of
fluid
1. 6%.
at
excellent
including
cocci
was
treated
evaluable
as
one
prostatic
level
eradication
vomitting
an
study
might
of
evaluated
500mg/500mg.
were
with
genera
was
discontinued,
caused
data
31
as
with
clinical
complicated
member
Hospital
and
a few
ex-
response.
Candida
and
a total
this
case,
23.
was
was
nuance
types,
gram-positive
effects,
administration
human
of
evaluated
MK-0787/MK-0791
was
in
plasma
were
cases
with
both
vs.
UTI
were
study,
organisms
number
50
infections.
on
was
a dose
cases
infectious
disappeared
activity
PF
moderate
of
bacteriological
94
into
complicated
21
out
polymicrobial
(3)
at
Thirty-seven
observation
and
diffusion
and
38
new
and
MK-0787
infusion
with
days.
excellent
judgement,
of
drip
cases
5
fluid
Saiseikai
epididymitis.
of
Fifty-one
a
prostatic
concentration
intravenous
Aichi Prefectural
(MK-0787/MK-0791),
human
acute
average
after
(2)
out
into
with
The
hour
In
sodium
diffusion
of Urology,
by
proved
be
one
elevation
of
observed
hour
in
after
s-GOT,
which
showed
that
MK-0787/MK-0791
many
stubborn
organisms
that
considered
the
compound
as
a
case
of
returned
a
to
returned
to
and
female
provided
was
well
shown
tolerated
patient.
normal.
nomal
In
a
high
containing
which
useful
one
she
week
after
be
on
exquisitively
especially
the
effectiveness
multi-resistant
to
In
laboratory findings
on
other
active
in
disconti-
treatment
most
drugs.
on
GPC
of
com-