ご挨拶 東京工業大学保健管理センター 安宅勝弘 第 36 回の本研究会総会にて会長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願い 申しあげます。 大学精神衛生研究会として 1980 年に発足した本研究会ですが、現在の全国大 学メンタルヘルス研究会という名称(1995 年〜)にも表れているように、広く 大学におけるメンタルヘルスの問題に関わる専門家、教職員が会員になられて います。会員は大学に籍をおく医師、カウンセラー、看護職など、多職種であ るばかりでなく、各職種にもさまざまな専門領域のエキスパートがおられ、細 分化された専門分野に特化した学会ともまた異なる研鑽、情報交換の場となっ ています。 青年期にあたる大学生の年代は、臨床精神医学的にももっとも重要な時期の 1 つですが、本研究会が発足してからの 30 数年をみても、神経症病像の変化や統 合失調症の軽症化、うつ病概念の拡がり、発達障害への急激な関心の高まり、 などさまざまな変化がみられます。さらにわれわれは必ずしも診断がつくよう な病態ばかりに接するのではなく、広くサブクリニカルな状況や学内で起こる 諸問題に関わることが求められます。 大学は教育・研究を通じて学生が成長を促す場ですが、これに関わる教職員 へのサポートも近年ますます重要になっています。その背景には、社会の職場 のメンタルヘルスへの関心の高まりや国立大学の法人化などがありますが、教 職員のメンタルヘルスというテーマは、そのまま学生支援の在りようにも影響 する大事な問題です。 このようにわれわれが関わる対象やあつかう問題は多岐にわたりますが、対 応するわれわれの側のスキルや方法論にも進化・発展が求められます。その意 味では、ウェルビーイングを指向した第 36 回大会のテーマ設定や、関連した領 域の他学会との合同企画などは、今後の具体的な方向性の 1 つを示していただ いたと思います。研究班についても、新たな立ち上げが検討されているものも あります。 本研究会が大学をはじめとする高等教育機関において日々地道な支援活動に あたられている方々にとって有益な情報発信・交換の場となることを切に願っ ております。会の更なる発展は、ひとえに皆様の積極的な参加、ご協力にかか っています。そして会長の役目は、それがしやすくなる仕組み作りを進めるこ とと考えます。微力ながら研究会の役に立てるよう、今後努力して参りますの でどうぞよろしくお願いいたします。
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