粒子線治療施設用小型 ECR イオン源の開発

粒子線治療施設用小型 ECR イオン源の開発
村松 正幸
放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター
放射線医学総合研究所では、これまでに永久磁石で閉じ込め磁場を形成する小型 ECR イオン源の開発を行ってきた。これらのイオ
ン源は、粒子線治療用の炭素イオンを生成することを目的として開発された。現在、世界的に粒子線治療施設の建設が予定されている。
それらの計画の中では、炭素以外のイオンを加速し、研究などに用いることが計画されている。たとえば、H3+, 3He+, 11B4+のようなイ
オンの要求がある。これらの要求を達成するために、様々なイオンの供給を行える小型 ECR イオン源(Kei3)の開発を行っている。
今回は、Kei3 の開発状況について報告する。また、既存の小型 ECR イオン源の問題点の解決のための試験についてもあわせて紹
介する予定である。
NIRS
HIMAC
PTFOM,2014年10月3日,放医研
粒子線治療施設用
小型ECRイオン源の開発
村松正幸 1, 大島康輔 2, 高橋伸明 3, 北條悟 1,
北川敦志 1
1 放射線医学総合研究所
2 東洋大学
3 住友重機械工業株式会社
NIRS
目次
HIMAC

小型ECRイオン源の開発
• 炭素イオン生成用小型ECRイオン源
• 様々なイオンの生成を目的とした小型ECRイオン源

既存の小型ECRイオン源の問題点
• 引出電極付近の放電
• Kei2を用いた試験


まとめ
今後の予定
NIRS
炭素イオン生成用小型ECRイオン源たち
HIMAC
2.45 GHz compact NIRS-ECR ion source
microwave:
2.45 GHz, 1300 W
Vext:
30 kV
requirement (result): C2+, 150 emA(17 emA)
Kei source
microwave:
9-11 GHz, 300 W
Vext:
30 kV
requirement (result): C4+, 200 emA(300 emA)
Kei2 source
microwave:
9.75-10.25 GHz, 750 W
Vext:
30 kV
requirement (result): C4+, 500 emA(760 emA)
KeiGM
microwave:
9.75-10.25 GHz, 750 W
Vext:
30 kV
requirement (result): C4+, 300 emA(600 emA)
NIRS
イオン源の設計指針
HIMAC
KeiGM同等の性能を持ちつつ、分子イオン、多価イオンが生成可能な、
小型なECRイオン源!




炭素以外のイオンも作りたい
C4+ (Keiシリーズ) → H3+ to Ne7+
多価イオンの強度を増やすテクニック
ガスミキシング、マイクロ波二重加熱、
引出電極の最適化(形状、電極間隔)、
引出電圧を上げる (30 kV → 60 kV)
既存のKeiシリーズからの改良
低コスト
永久磁石
磁場分布はそのままで!
NIRS
Kei3概略図
HIMAC
Movable
system for
lens and
puller
Einzel lens
Puller
Plasma chamber
Movable
system for
Biased disk
Permanent
magnets
Downstream
vacuum
chamber
Insulator
Upstream
vacuum
chamber
Wave guide
NIRS
イオン源テストスタンド
HIMAC
NIRS
イオン源テストスタンド
HIMAC
NIRS
ヘリウムの価数分布と引出電圧依存性
HIMAC
価数分布
He2+ビーム強度
目標値:3He+, 250mA
NIRS
炭素の価数分布と引出電圧依存性
HIMAC
C4+ビーム強度
価数分布
目標値:C4+, 300mA
NIRS
窒素の価数分布と引出電圧依存性
HIMAC
N5+ビーム強度
価数分布
目標値:N5+, 100mA
NIRS
酸素の価数分布と引出電圧依存性
HIMAC
O6+ビーム強度
価数分布
目標値:O6+, 100mA
NIRS
ネオンの価数分布と引出電圧依存性
HIMAC
Ne7+ビーム強度
価数分布
目標値:Ne7+, 50mA
NIRS
引出電圧30kVの時の電極間隔依存性
HIMAC
NIRS
多価イオン(Ne7+の強度増強)
HIMAC
ガスミキシング
マイクロ波power依存性
NIRS
目次
HIMAC

小型ECRイオン源の開発
• 炭素イオン生成用小型ECRイオン源
• 様々なイオンの生成を目的とした小型ECRイオン源

既存の小型ECRイオン源の問題点
• 引出電極付近の放電
• Kei2を用いた試験


まとめ
今後の予定
NIRS
改造前と改造後
HIMAC
NIRS
長時間運転
HIMAC
パラメータ
Kei2
ガス(CH4)
0.05 sccm
真空(イオン源)
2.8e-4 Pa
真空(ein)
5.6e-5 Pa
真空(分析後)
7.6e-6 Pa
μ 波(pow_f)
580 W
μ 波(pow_r)
135 W
μ 波(Freq.)
10.2181 GHz
μ 波(パルス幅)
40 msec
引出電圧
30 kV
引出電流
6.8 mA
引出ベース電流
0.85 mA
Ein電圧
19 kV
Ein電流
0.05 mA
BD電圧
-45 V
C4+
446 mA
NIRS
まとめ
HIMAC
• ECRイオン源(Kei3)をつくり、ビームテストを行いました。
• 現在までの最大強度は、C4+と Ne7+でそれぞれ、565 mA、13.8
mAでした(引出電圧30 kV)
• 可動式引出電極は違うイオンを生成するときに効果がある。
• Ne7+の生成でガスミキシングが効果があった。
目標値にとどいていない。
• 引出電極の改造を行い、半年間安定に供給できた。
NIRS
今後の予定
HIMAC
•
•
•
•
ミキシングガスの調査
マイクロ波源の出力を上げる
エミッタンス測定
固体試料からのイオン生成
• どこまでもつのか調べる。