表現論シンポジウム講演集,2005 pp.202-203 SCHUR 多項式の一般化とその PIERI の公式 A GENERALIZATION OF SCHUR POLYNOMIAL AND ITS PIERI’S FORMULA 沼田 泰英 (北海道大学大学院理学研究科) NUMATA, YASUHIDE (HOKKAIDO UNIV.) Abstract. We introduce a generalization of Schur polynomials. We show its Pieri’s formula. K を標数 0 の体とする. 整数 i ∈ Z に対して, Vi を有限次元 K-線型 L S 空間とする. i∈Z Vi を V とおく. また, 各 Vi の基底を Yi とおき i Yi を Y とする. 非負整数 j ∈ N と整数 i ∈ Z に対して Uj は Uj (Vi ) ⊂ Vi+j を満す V 上の K-線型写像, Dj は Dj (Vi ) ⊂ Vi−j を満す V 上の K-線型 写像とする. この様な Uj , Dj たちが, ある {am ∈ K}m∈N に対して, D(t0 )U (t) = a(tt0 )U (t)D(t0 ), P P P (ただし, D(s), U (s), a(s) は, それぞれ, 母関数 i Di si , i Ui si , i ai si とする.) を満しているとする. このとき, U (tn ) · · · U (t1 ), D(t1 ) · · · D(tn ) は generalized Schur operaotors と呼ばれている. i 箱のヤング図形からなる集合を Yi とおき, Yi を基底とするような 線型空間を Vi (= KYi ) とする. この時, λ ∈ Y, i ∈ N に対して X Ui λ = µ, (1) µ; λ に各列高々1 箱, 全部で i 箱加えると µ になる. Di λ = X µ µ; µ に各列高々1 箱, 全部で i 箱加えると λ になる. と定義すると, {ai = 1}i∈N とする generalized Schur operators の例に なっている. このヤング図形の例においては, 例えば, µ1 , . . . , µn ∈ N に対し, Dµ1 · · · Dµn λ の κ の係数は, 形が λ/κ でありウェイトが µ であるような skew semi-standard Young tableaux の数を表しており, D(t1 ) · · · D(tn )λ の κ の係数は, λ/κ に対応する skew Schur polynomial になっている. Young tableaux においては, 同じ形の semi-standard Young tableaux の ペアとある行列の間の一対一対応, つまり Robinson-Schensted-Knuth 対応が知られているが generalized Schur operators においても, ある条 - 202 - 件の下では, Robinson-Schensted-Knuth 対応に相当する対応を構成で きることは Fomin によって示されている. さて, ここで, D(t0 )U (t) = a(tt0 )U (t)D(t0 ) を満たす generalized Schur operators D(t1 ) · · · D(tn ), U (tn ) · · · U (t1 ) から定義される 2 つの多項式 を導入する. {D } λ ∈ V , µ ∈ Y に対し, sλ,µm (t1 , . . . , tn ) を D(t1 ) · · · D(tn )λ における µ の係数, 即ち, {D } sλ,µm (t1 , . . . , tn ) = hD(t1 ) · · · D(tn )λ, µi と定義し, シューア多項式の一般化だと思う. {am } 多項式 hi (t1 , . . . , tn ) を k X {a } {a } hj m (t1 , . . . , tn−1 ) · hk−jm (tn ) n > 1, {am } hk (t1 , . . . , tn ) = j=0 a tk n=1 k 1 {a } と帰納的に定義する. このとき, hi m (t1 , . . . , tn ) は a(t1 ) · · · a(tn ) = P {am } (t1 , . . . , tn ) を満たしている. また, 特に, {am = 1}m∈N のとき, i hi {am } hi (t1 , . . . , tn ) は i 次の完全対称多項式 hi (t1 , . . . , tn ) になる. この時, 次の公式を U (t) と D(t) の交換関係 (1) から得た. 定理 (Pieri’s formula) (2) (3) {D } m sUi λ,µ (t1 , . . . , tn ) = i XX ν∈Y j=0 {a } {D } m hUj ν, µihi−jm (t1 , . . . , tn )sUi λ,ν (t1 , . . . , tn ). この公式を, ヤング図形の例において, µ = ∅ (0 箱のヤング図形) の場合について考える. Uj の定義から, hUj ν, ∅i は j = 0 かつ ν = ∅ のときのみ 1 でその他のときには 0 であることに注意すると, (3) は, hi (t1 , . . . , tn ) · sλ (t1 , . . . , tn ) となることがわかる. 一方で (2) は λ に各 列高々1 箱, 全部で i 箱加えた κ について sκ (t1 , . . . , tn ) の和を取ったも のであり, これはシューア多項式における Pieri’s formula そのもので ある. References [1] Fomin,S., Schur Operators and Knuth Correspondences, J. of Combinatoric theory, Series A. 72(1995),277-292. E-mail address: [email protected] - 203 -
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