漁業共済の現況 - 全国漁業共済組合連合会

01
GYOSAI
ごあいさつ
全国漁業共済組合連合会
会長理事 西田 晴征
平成26年度 漁業共済の現況
私たち漁業共済団体(ぎょさい団体)は、漁業災害補償法に基づき、漁業再生産の阻害
の防止など漁業経営のセーフティネットとしての役割を担っている漁業共済制度
「ぎょ
さい」
を実施しております。
「ぎょさい」
は昭和39年に創られ、
その後数度の改正を経て、
平成26年度は制度創設50周年になります。
また、平成23年度から「漁業収入安定対策事業」が国の重要な水産施策として実施さ
れていますが、この事業は計画的に資源管理や漁場環境改善に取り組む漁業者を対象
に、
「ぎょさい」
の仕組みを活用して漁業経営の安定を図るものです。
ぎょさい団体では、
漁業収入安定対策事業にあわせて、平成23年度から25年度まで普及推進全国運動「ぎ
ょさいでぷらす!安心経営」
を展開し、
この事業による共済掛金の追加補助、
積立ぷらす
等を活用して加入推進に取り組んでまいりました。
その結果、平成25年度の加入実績は、共済金額で5,114億円と、事業開始以来最高の
実績となり、3年間で832億円、19ポイント増加しました。これも、漁業者の皆様のご理
解と、JFグループ、関連団体、地方自治体及び国等関係の皆様方のご支援、ご協力の賜物
と心より感謝申し上げます。
今年4月には、養殖業に関する「積立ぷらす」の加入要件・補填範囲等の改善が行われ、
さらなる利用の促進が期待されるなど、
今後も
「ぎょさい」
と
「積立ぷらす」
は漁業経営の
安定を図る重要な施策として継続されていく見込みです。
私たちぎょさい団体は、制度創設50周年の節目の年に、新しい普及推進全国運動「し
っかり加入で安心経営」をスタートさせました。全ての漁業者が将来に亘って安心して
漁業経営を続けられるよう、国・地方自治体・漁協系統団体と連携を図りつつ、
「ぎょさ
い」
と
「積立ぷらす」
のより一層の浸透・定着に引き続き取り組み、
漁業経営の安定に貢献
してまいります。
また、
「ぎょさい」
と
「積立ぷらす」
が、
漁業経営を力強く下支えする仕組
みとして、より利用しやすい制度に改善されるよう、今後も行政庁や関係団体と連携を
密にして取り組んでいきます。
ここに
「ぎょさい」
の成果と取組を内容とする冊子をお届けいたしますとともに、
本年
度も皆様方の一層のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
平成26年4月
02
GYOSAI
ぎょさい
ぎょさい制度の目的
ぎょさいは、中小漁業者の営む漁業について、異常の事象又は不慮の事故によって
受けることのある損失を補填し、漁業再生産の阻害の防止及び漁業経営の安定に資
することを目的としています。
ぎょさい事業の種類
事業の種類
補償のあらまし
漁 獲 共 済
採貝採藻業、漁船漁業及び定置漁業を対象とし、不漁等を原因とする
〔収穫高保険方式〕
漁獲金額の減少による損失を補償します。
〔物損保険方式〕
魚類・貝類養殖業を対象とし、養殖水産動植物の死亡、流失等による損
害を補償します。
特定養殖共済
のりやほたて貝等の特定の藻類・貝類等養殖業を対象とし、品質低下
漁業施設共済
養殖施設又は定置網等の漁具を対象とし、その供用中の損壊等による
損害を補償します。
養 殖 共 済
〔収穫高保険方式〕 等を原因とする生産金額の減少による損失を補償します。
〔物損保険方式〕
▲
〔物損保険方式〕
休漁補償共済(漁獲共済とセット加入)
漁船や定置漁具の損傷等による減収の一部を補償します。
▲
地 域 共 済
網いけす分損特約共済(養殖共済とセット加入)
いけす毎の損害が80%を超えるときに補償します。
(大規模養殖業者向けの特約共済)
ぎょさいの機構図
ぎょさいは、漁協、漁連をはじめとするJFグループ、関連団体、地方公共団体、そして国と
密接な連携をとりつつ、事業展開を行っています。
漁 業 者
共
︵組合員 )
出資
漁 協
済
済 組
連
信用基金
済
出資
貸付
出資
漁
合
保険
漁業振興財団等
協力
指導・事務費補助
全漁連
共
出資 会(員 )
信漁連
掛金補助
出資(組合員)
再共済
掛金補助
漁 連
指導・助成
政
都道
府県
府
普及・指導費補助
市町村
03
GYOSAI
平成25年度のぎょさいの契約実績
(金額単位:百万円)
(平成26年3月末時点)
加入実績
契約高
加入員数 (共済金額)
区 分
支払実績
支払員数
支払共済金
漁 獲 共
養 殖 共
特 定 養 殖 共
漁 業 施 設 共
地 域 共
済
済
済
済
済
14,420
277,171
5,827
7,631
5,287
132,935
863
1,007
8,420
78,704
2,793
3,534
35,093
14,706
463
305
1,015
7,923
106
195
合
計
64,235
10,052
12,672
511,439
※漁業施設共済の員数は施設数である。
加入実績の推移 ( 共済金額 )
地域共済
漁業施設共済
特定養殖共済
5026億円
5114億円
4766億円
5000
4084億円
4113億円
養殖共済
漁獲共済
4283億円
787
4000
79
147
共済金額
︵億円︶
1.329
3000
2000
1000
2,772
浜を守る!
ぎょさい
総加入運動
ぎょさいでぷらす!
安心経営運動
ステップアップ
ぎょさい運動
0
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
これまでに支払われた共済金
昭和39.10∼平成26.3
支払共済金
純共済掛金
6,261 億円
6,099 億円
国庫補助額
2,931億円
内訳
契約者負担額
3,167億円
漁獲共済
純共済掛金3,581億円
国庫補助額
契約者負担額
1,650億円
1,931億円
養殖共済
純共済掛金1,571億円
国庫補助額
契約者負担額
744億円
827億円
3,839億円
1,501億円
特定養殖共済
純共済掛金848億円
国庫補助額
契約者負担額
509億円
339億円
漁業施設共済
純共済掛金88億円
国庫補助額
契約者負担額
28億円
60億円
地域共済
純共済掛金10億円
国庫補助額
契約者負担額
0億円
10億円
※契約者負担額には地方公共団体等助成を含む。
漁獲共済
養殖共済
特定養殖共済
757億円
漁業施設共済
143億円
地域共済
20億円
04
GYOSAI
漁業収入安定対策事業
漁業収入安定対策事業は、計画的な資源管理や漁場環境改善を行う漁業者の収入の減少
を、ぎょさいの仕組みを活用して補填します。事業のメリット措置として、①ぎょさい掛
金に対する国の追加補助、
②積立ぷらすを利用することができます。
①ぎょさい掛金に対する国の追加補助
計画的に資源管理又は漁場環境改善に取り組む漁業者は、
従来の掛金補助に追加して国
の掛金補助が行われるので、
掛金負担が更に軽減します。
この追加補助は、
従来掛金補助
の対象外であった100トン以上の漁船漁業等も対象です。
●平成25年度の純共済掛金に占める助成の割合
純共済掛金 19,868百万円
国庫補助
8,209百万円
(41%)
追加補助
契約者負担
5,497百万円
(28%)
6,162百万円
(31%)
国の補助額計 13,707百万円
(69%)
純共済掛金の約 7 割程度を国が補助
割程度を國が補助
※契約者負担には地方公共団体等助成を含む。
②積立ぷらす
計画的に資源管理又は漁場環境改善に取り組む漁業者に対し、収入が減少した場合に、
漁業者の積立金と国費により補填を行います。
「積立ぷらす」
の漁業者と国の積立の割合
は、
1:3です。
●平成23∼24年度に契約した積立ぷらすの積立・払戻の動向
払戻金:285億円
漁業者積立額:188億円
漁獲共済
払戻に該当しないもの
又は
払戻未確定のもの
払戻
処理済
漁業者
積立金
71億円
38%
71億円
養殖共済
払戻
処理済
27億円
57%
213億円
漁業者
積立金
国 費
27億円
82億円
特定養殖共済
漁業者積立額:51億円
払戻に該当しないもの
又は
払戻未確定のもの
国 費
払戻金:109億円
漁業者積立額:48億円
払戻に該当しないもの
又は
払戻未確定のもの
(平成26年3月末時点)
払戻金:85億円
払戻
処理済
漁業者
積立金
国 費
22億円
42%
22億円
64億円
合計 漁業者積立金:287億円
合計 払戻金:478億円
05
GYOSAI
「しっかり加入で安心経営」∼これからも
「ぎょさい」
と
「ぷらす」
∼
平成26年4月から、新しい普及推進全国運動「しっかり加入で安心経営」がスタートしま
した。
∼これからも
「ぎょさい」
と
「ぷらす」
∼をスローガンに、
平成29年3月までの3年間、
運動を進めていきます。
「しっかり加入で安心経営」
とは?
全ての漁業者が、
「ぎょさい」
に積極的に加入し、
「積立ぷらす」
を利用することにより、
将
来に亘って安心して漁業経営を継続できるよう、
普及推進を全国的に展開していく運動
です。
未加入漁協
(支所)
の解消
運動目標
漁協
(支所)
の主幹漁業の未加入解消
既契約者の補償力の充実
06
GYOSAI
行政庁・JFグループ・水産関係団体等との連携
水産庁長官から関係各都道府県知
事、JFグループ、水産関係団体等宛に
普及推進全国運動「しっかり加入で
安心経営」への協力依頼文が発出さ
れました。
漁業経営が厳しい状況となってい
る中、
「 ぎょさい」と「積立ぷらす」の
重要性が高まっていることから、
「ぎょさい」と「積立ぷらす」の加入促
進に対して支援と協力を行うよう、
また市町村及び関係団体への「しっ
かり加入で安心経営」運動に対する
周知を依頼されています。
ぎょさい団体は、行政庁、JFグルー
プ、水産関係団体等と密接な連携を
図りながら「しっかり加入で安心経
営」運動を進めてまいりますので、関
係各位の更なるご支援・ご協力をお
願いいたします。
25水漁第1795号
平成26年3月19日
(関係都道府県)
知事 殿
水 産 庁 長 官
漁業共済団体による新たな普及推進全国運動
「しっかり加入で安心
経営」
への協力依頼について
平素より、
漁業共済事業への御理解と御協力を賜り、
厚く御礼申し上げます。
漁業共済事業は、中小漁業者の相互救済の精神を基調として、災害等によっ
て受けた損失を補填する公的保険制度であり、昭和39年の制度発足以来、漁業
再生産の確保と漁業経営の安定に大きな役割を果たしてきたところです。
東日本大震災による被害に対しては、
被災された漁業者の方々への共済金の
早期支払が行われるとともに、資源変動等による不漁や、赤潮等の異常事象に
よる生産高の減少、燃油価格の高止まり等により、漁業経営が厳しい状況と
なっている中、
漁業共済の重要性はますます高まっています。
このような中で、平成23年度から資源管理・収入安定対策がスタートしまし
たが、
皆様の御協力によりこの3年間で漁業共済及び本対策の加入率は大きく
向上しました。平成24年3月に閣議決定された水産基本計画では、10年後(平
成34年度)を目途に、経営として漁業を行う者の大宗(我が国漁業生産額のお
おむね9割に相当)が本対策に加入し、より収益性の高い漁業経営を実現する
ことを施策の目標に設定し、
一層の普及拡大を目指しているところです。
漁業共済制度創設50周年を迎える平成26年度に、
漁業共済団体では、
新たな
普及推進全国運動
「しっかり加入で安心経営」
をスタートさせます。
水産庁としても、本運動を全面的に支援していくこととしておりますので、
貴職におかれましても、本運動の趣旨を御理解頂き、
「しっかり加入で安心経
営」
に対する御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
また、関係市町村に対する本運動趣旨の周知徹底につきましても、よろしく
お願い申し上げます。
ぎょさいのあゆみ(沿革)
昭和32年度
昭和39年度
昭和42年度
昭和47年度
昭和49年度
昭和57年度
昭和59年度
昭和62年度
昭和63年度
平成元年度
平成5年度
平成7年度
平成8年度
平成11年度
平成14年度
平成18年度
平成20年度
平成21年度
平成23年度
平成26年度
漁業共済試験実施
漁業災害補償法制定
全国38都道府県で漁業共済組合設立、全国漁業共済組合連合会設立
第1次漁災法改正(国の保険制度創設)
沖縄県漁業共済組合設立(39都道府県)
第2次漁災法改正(義務加入制度導入、赤潮特約の新設ほか)
第3次漁災法改正(義務加入拡大、長期共済新設ほか)
ぎょさい第1次中期実行計画
ぎょさい第2次中期実行計画
第4次漁災法改正(特定養殖共済の本格実施ほか)
ジャンプ・アップぎょさい運動
ジャンプ・アップぎょさい̀運動
第5次漁災法改正(養殖共済の長期共済の新設ほか)
パワーアップぎょさい運動
パワーアップぎょさい21運動
第6次漁災法改正(加入要件の緩和、
漁業施設共済、
病害不てん補の新設ほか)
新ぎょさい総加入運動21
浜を守る!ぎょさい総加入運動
全国合同漁業共済組合設立
漁業経営安定対策事業の開始
第7次漁災法改正(総代制の導入ほか)
ステップ・アップぎょさい運動
全国合同漁業共済組合第2次合併
ぎょさいでぷらす!安心経営運動
漁業収入安定対策事業の開始
しっかり加入で安心経営運動
ぎょさい制度創設50周年