別紙2 2014年IEC東京大会における 国際標準化の進展について (専門委員会/分科会(TC/SC)会議の成果) 2014年11月 経済産業省 1.2014年IEC東京大会における国際標準化の進展について 2014年IEC東京大会における国際標準化活動については、53分野の専門委員会/分科会(TC/SC)を 招致した。 これらの会議における、日本が国際標準化活動において主導的役割を果たしている具体的な成果例 として、IEC東京大会の大会テーマである”Integration toward a Smarter World”に関連する①電力・ス マートグリッド分野、②家電製品分野、③半導体・光ファイバ分野、④電子技術分野に分類し整理した。 具体的な成果例 1 電力・スマートグリッド分野 電気エネルギー貯蔵システム(TC120)などにおいて、日本の技術・製品の質の高さが国際的に評価され、受け入れられるよう な、日本提案の国際規格案について、審議プロセスを進めた。 2 家電製品分野 ランプ(SC34)において、日本提案の直管LEDランプの安全性等に関する国際規格案について審議を進めるとともに、ランプ類口 金受金及びソケット(SC34B)の国際議長に日本人(東芝ライテック㈱杉山謙二氏)が選出された。また、TC111(電気電子機器の環 境規格)において、日本提案により、ISO/TC207(環境マネジメント)と共同で様々な製品に適用する環境配慮設計に関する国際規 格案の審議プロセスを進めた。 3 半導体・光ファイバ分野 ファイバオプティクス(TC86)では、日本が提案した車載LANに用いる光ファイバの測定方法に関する国際規格案の最終審議が 行われた。集積回路(SC47A)においては、新たな作業グループの設置を日本から提案し認められた。また、日本提案の半導体 集積回路の電磁両立性の国際規格案の最終審議が行われるとともに、3次元半導体の測定法に関する新規の国際規格案を提 案した。MEMS(SC47F)において、新たに設置される作業グループのコンビナ(主査)に日本人が選出された。また、日本が提案し た振動発電デバイスの発電効率に関する国際規格案の審議プロセスを進めた。 4 電子技術分野 オーディオ・ビデオ・マルチメディア(TC100)において、日本が提案した、①自分が保有する映像等のデータをどの機器でも自由 に探し出せる一元的管理手法、②ワイヤレス給電技術、③テレビ、オーディオ、録画機器等の省エネのための消費電力測定方法、 の国際規格案についてそれぞれ審議プロセスを進めた。電子実装技術(TC91)において、経済産業省の委託事業の成果を活か して日本から提案した、鉛フリーはんだによるはんだ付け装置材料関連の国際規格案の審議プロセスを進めた。プリンテッドエレ クトロニクス(TC119)において、日本から提案した導電インク及び基材の評価法に関する国際規格案の審議プロセスを進めた。 2.2014年IEC東京大会招致のTC/SC一覧 ・TC 1 (用語) ・TC 3 (情報構造、ドキュメンテーション 及び図記号) ・SC 3C (機器・装置用図記号) ・SC 3D (電気・電子技術分野のメタデータライブ ラリ) ・TC 8 (電力供給に関わるシステムアスペクト) ・TC 14 (電力用変圧器) ・TC 17 (開閉装置及び制御装置) ・SC 17A (高圧開閉装置及び制御装置) ・SC 17C (上記装置の組立品) ・SC 21A (アルカリ蓄電池) ・SC 22F (送配電システム用パワーエレクトロニク ス) ・TC 25 (量及び単位) ・TC 28 (絶縁協調) ・TC 34 (ランプ類及び関連機器) ・SC 34A (ランプ類) ・SC 34B (ランプ類口金・受金及びソケット) ・SC 34C (放電ランプ用付属装置) ・SC 34D (照明器具) ・TC 38 (計器用変成器) ・TC 40 (電子機器用コンデンサ及び抵抗器) ・TC 42 (高電圧試験方法) ・TC 47 (半導体デバイス) ・SC 47A (集積回路) ・SC 47D (半導体パッケージ) ・SC 47E (個別半導体デバイス) ・SC 47F (MEMS) ・TC 48 (電子機器用機構部品) ・SC 48B (コネクタ) ・SC 48D (電子装置の機械的構造) ・TC 51 (磁性部品及びフェライト材料) ・TC 57 (電力システム管理) ・TC 61 (家庭用電気機器の安全性) ・SC 61C (電気冷蔵庫の安全性) ・TC 66 (計測、制御及び研究用機器の安全性) ・TC 69 (EV及び電動産業車両) ・TC 76 (レーザ機器の安全性) ・TC 86 (ファイバオプティクス) ・SC 86A (光ファイバ及び光ファイバケーブル) ・SC 86B (光ファイバ接続デバイス及び光受動部品) ・SC 86C (光ファイバシステム及び光能動部品) ・TC 91 (電子実装技術) ・TC 100 (AV・マルチメディアシステム及び機器) ・TC 103 (無線通信用送信装置) ・TC 105 (燃料電池) ・TC 108 (AV、IT、通信技術分野における 電子機器の安全性) ・TC 110 (電子ディスプレイデバイス) ・TC 111 (電気・電子機器、システムの環境規格) ・TC 112 (電気絶縁材料とシステムの評価と認定) ・TC 113 (電気・電子分野の製品及びシステムの ナノテクノロジー) ・TC 117 (太陽熱発電) ・TC 119 (プリンテッドエレクトロニクス) ・TC 120 (電気エネルギー貯蔵システム) ・TC 122 (超高電圧交流送電システム) 3.個別TCの成果例 (1)電力スマートグリッド分野 電気エネルギー貯蔵システム(TC120) 【製品・技術の状況】 太陽光、風力等の再生可能エネルギーの普及に対する要 請が高まる中、出力変動が大きい再生可能エネルギーの 導入と、電力品質の確保を両立するため、世界各国で蓄電 池などの電気エネルギー貯蔵システムが重要となっている。 世界各国で大型蓄電池の実証研究等が進められており、 一部地域においては商業ベースでの運用も開始されている。 日本でも、北海道・東北エリア及び離島を中心に、鉛蓄電池、 リチウムイオン電池、レドックスフロー電池等、様々なタイプ の蓄電システムを用いた開発、実証、実用化が進められて いる。 【東京大会における日本の国際標準化の取組】 蓄電池や電力変換装置など電気エネルギー貯蔵システム を構成する個別要素の評価方法の検討・開発は、個別専門 委員会で行われてきたが、システム全体としての性能や安 全性等の評価方法を検討する場がこれまで存在しなかった。 このような状況から、我が国より蓄電池をはじめとした「蓄 電システム」の国際標準化について検討する専門委員会の 設置をIECに提案し、2012年10月にTC120が設立された。 日本が主査を担う作業グループ(WG2)では、蓄電システ ムに求められる標準的な要件・仕様を規定するための項目、 および性能及び仕様を満足しているかの確認試験方法の 作業原案(WD)の作成を日本が主導して進めており、東京 大会では、これを委員会原案(CD)とするための議論が行わ れた。 再生可能エネルギー 風力発電 太陽光発電 電力系統 大型リチウムイオン蓄電池システムの例 (提供 株式会社東芝) 電気エネルギー貯蔵システムは、電力貯蔵部(電池盤等)と電力変換 装置(PCS)等を一つのシステムとして、出力変動が大きい再生可能エネ ルギーの電力品質を確保し、安定した電力供給やピークシフト・ピーク カット等を実現する 3.個別TCの成果例 (2)家電製品分野 ランプ(TC/SC34) 【技術・製品の状況】 LEDランプは、従来の照明と比べてエネルギー消費量が少ないこ とから、日本をはじめ世界中で省エネルギーへの寄与が期待され ている。高品質で安全性の高いLEDランプが世界中に普及するた め、日本提案の国際規格案の審議が進んでいる。 【東京大会における日本の国際標準化の取組】 以下の日本提案による国際規格案等が審議される見込みである。 ①直管LEDランプの安全性に関する国際規格案 直管LEDランプの安全性について、日本提案の国際規格案 「GX16t-5直管LEDランプ-安全仕様」が新作業項目(NP)として承 認され、審議が開始される。本規格案の審議を行うプロジェクトの コンビナ(主査)には、杉山謙二氏(東芝ライテック㈱)が就任した。 今後、迅速に審議が進むことが期待できる。 ②ランプ類の口金(ソケット部分)の国際規格案 日本の3提案が東京大会で順調に審議プロセスを進めた。 ・「自動車用ランプ口金W(X,Y,Z)3x16」の国際規格原案(CDV)発行 ・「二輪車用ランプ口金BA15d-3(100°/130°)」の最終国際規格 案(FDIS) ・「直管LEDランプ用口金GX16t-5」の最終国際規格案(FDIS) ③審議体制 ランプ類口金・受金及びソケット(SC34B)の国際議長が、2015年2 月にArnrich氏(ドイツ)から杉山謙二氏(東芝ライテック㈱)に交代 することが決定した。これにより、今後、TC34全体の方針や会議の 進め方などについて、日本がさらに積極的に貢献できることが期 待できる。 図1.GX16t-5直管LEDランプと口金 W(X,Y,Z)3x16 図2.自動車用 ランプ口金 BA15d-3(100°/130°) 図3.二輪車用 ランプ口金 [資料提供:一般社団法人日本照明工業会] 電気電子機器の環境規格(TC111) 【東京大会における日本の国際標準化の取組】 電気・電子製品の環境配慮設計に関する既存のIEC規格 (IEC62430:電気・電子製品が環境に与える有害な影響を削減 するため、電気・電子製品やその材料・部品の設計・開発プロ セスに、環境への配慮を導入する手順等を規定)をベースとし て、全ての製品やサービス等の環境配慮設計についての国際 規格の開発をIECとISOと共同で進めることについて日本が提案 したところ、IEC/TC111、ISO/TC207(環境管理)のそれぞれにお いて承認されている。 IEC東京大会では、IECとISOとの新しい共同作業グループの 準備会合を開催するとともに、IECとISOのそれぞれに共同コン ビナ(共同主査)を置き、IEC側では山田 秀 教授(筑波大学)の 就任が決定。また、共同作業グループの幹事には齋藤 潔 氏 ((一社)日本電機工業会)が就任。環境配慮設計に関する国 際規格の開発を開始した。 (参考:IEC62430の概略) ●環境配慮設計の基本的枠組み 環境配慮設計がライフサイクル思考の概念に基づいていること、国内及 び国際的な法規制による制限や義務等を踏まえることで実効性があること 等について記述。 ●環境配慮設計プロセス 環境配慮設計を実施する組織は、環境配慮設計プロセスを確立・文書 化・実施・維持しなければならず、このプロセスにはPDCA(計画→実行→評 価→改善)サイクルを含むことについて記述。 電気・電子製品に限らず、 全ての製品やサービスに 適用するため、規格の対 象範囲を拡大する。 製品等の 設計・開発プロセス IEC62430 (電気・電子製品の 環境配慮設計) 環境に配慮した 優良な製品・サービス の創出 3.個別TCの成果例 (3)半導体・光ファイバ分野 半導体(TC47) 【製品・技術の状況】 電子製品を迅速に市場投入するためには、半導体、半導体パ ッケージ、プリント回路基板の設計初期段階において、それぞ れの形状や寸法、電気特性等のデータを各設計者が共有し、 相互に協調・協力して設計を進めることで、設計のやり直し防止 や開発期間の短縮に取り組むことが求められている。 製品設計の為の書式統一化・LPB規格 電子回路 半導体(LSI) 電子製品 パッケージ(Package) 基板(Board) EV・PHV 相互協調設計 Note PC 【東京大会における日本の国際標準化の取組】 IEC/TC47は半導体デバイスに関する用語や評価・試験方法、 パッケージ外形、実装技術などに関する国際規格を定めている。 半導体(L)、半導体パッケージ(P)、プリント回路基板(B)の各 設計データの標準フォーマット(LPB規格)の策定が米国のIEEEで 日本主導のもと進んでいる。2015年にはIEC/IEEEデュアルロゴに て、LPB規格の国際標準化が見込まれている。東京大会では、 TC47傘下のSC47Aにおいて、このLPB規格を活用するためのイン ターフェース規格に関する新しい作業グループの設置について 日本から提案し、認められた。 SC47Aではこの他にも日本から半導体集積回路のEMC( Electromagnetic Compatibility:電磁両立性)の測定法や次世代 の集積回路技術である3D(3次元)半導体に関する測定法につ いて、新作業項目(NP)の提案を行っており、EMC測定法につい ては国際標準化に向けた最終審議が行われた。 LPBやEMC、3D半導体に関する国際規格は、製品設計におけ る主要規格になると見込まれており、今後、日本が中心となって 国際標準化を進める。 Smart Phone 情報 情報 情報 共通の書式 LPB規格 3D半導体測定法の国際標準化 出展: ドリームチップ 平成 23年度研究成果報告会 (2011年6月21日)より 半導体貫通接合部の電気特性の定義と測定法の提案 EMC測定法の国際標準化 電磁波 電磁波 Note PC EV・PHV 誤動作 誤動作 (参考) EMC(電磁両立性):電気電子製品から出る電磁波がどのような機器、システムに も影響を与えず、また、他の機器等からの電磁波を受けても満足に動作する耐性 電子回路 曖昧な測定法の定義の明確化と周波数範囲の規定を撤廃 ファイバオプティクス(TC86) 車載カメラシステムなどでデータ処理量は増大 【製品・技術の状況】 光ファイバーは高速かつ長距離に大容量のデータを伝送できるため、通 信基幹ネットワーク等で広く使われている。近年では自動車内の情報シス テム(車載LAN)や工業用構内システム(構内LAN)でも利用され始めている 。また、新たな用途として、ファイバ内の光の変化を検知して温度や傾きな どを測定する光センサ等での応用も進んでいる。なお、IEC/TC86では、光フ ァイバ、光部品、光システム等に関する国際規格が策定されている。 【東京大会における日本の国際標準化の取組】 車載LANは、これまで欧州の業界団体が標準化を主導してきたが、伝達 容量の小さいものしか規格化や実用化が進んでいなかった。他方、車載 LANに求められる伝達容量は、増大の一途をたどっており、大容量で低コス トの光ファイバによるシステムが必要となっている。 欧州規格では、部品の通信特性等に関する標準化は行われておらず、 特に光ファイバを使った車載LANでは部品の汎用化、低コスト化における課 題となっている。 光産業技術振興協会では、光LANに関する国際標準化を推進するため、 経済産業省の標準化事業の一つとして、光ファイバを用いた車載光LANの 国際標準化について本年9月より活動を開始している。 TC86では、車載LANに用いる光ファイバの性能を評価する測定法につい て、日本から国際標準化の提案を行っている。東京大会では、この測定法 について、国際規格に向けた最終的な審議が行われた。 なお、車載LANの関連では、ケーブルやコネクターについては、自動車関 連規格を定めるISO/TC22に日本から国際規格案を提案する。また、車載や 構内光LANプロトコルの標準化が進むIEEEにも積極的に関与している。 出典:レーザー研究, vol.42,p.320 (2014) 高速化、電磁ノイズ対策が必須 Source: IEEE 802.3 Call for Interest 出典:IEEE802.3/RTPGE/CFI 国際規格を整備し、光部品を汎用化 MEMS(Micro Electro-Mechanical System:微小電気機械システム)(SC47F) 【製品・技術の状況】 MEMSデバイスはインクジェットプリンタのヘッドやスマートフォ ンの傾検知センサー(ジャイロセンサー)などに使われ、応用 範囲の広さから国内だけでも数兆円の市場規模になると期待 されている。 【東京大会における日本の国際標準化の取組】 ①体制 SC47Fは、微細な機械構造と電子回路を併せ持ったMEMSデ バイスに関する用語の定義、材料の試験法、デバイスの性能 評価などについて国際規格を定めている。日本は、新たに設 置された3つの作業グループ(WG1:MEMS用語及び一般、 WG2:MEMS材料・構造体の試験法及び測定法、WG3:MEMS デバイス及びパッケージング)において、議論をリードするコン ビナ(主査)に就任した。 ②振動発電デバイス 本デバイスは、環境に存在する振動を、微小な機械構造を利 用して電気に変換するMEMSデバイスで、マイクロサイズで長 期に渡る動作が可能なことから、道路や橋梁、工業用設備等、 インフラの老朽化を測定・評価するセンサなどに電気を供給す る画期的なデバイスとして注目を集めている。 日本からは、デバイスの発電効率に関する国際標準化の提 案を行っており、東京大会で委員会原案(CD)に向けた審議を 行った。この国際規格が策定されれば、ユーザはデバイスの 発電効率を正しく評価することができるようになり、公平な競争 環境の確立に貢献すると期待される。 出典:NEDO よくわかる!技術解説 マイクロマシンのポイント 3.個別TCの成果例 (4)電子技術分野 電子実装技術(TC91) 【製品・技術の状況】 鉛は、欧州では「電気・電子機器における特定有害物質 の使用制限に関する指令」(RoHS指令)の対象となっている 物質であるが、日本では、鉛を使わない「はんだの鉛フリー 化」が世界を主導する形で進められており、生態等への悪 影響の低減に寄与している。 しかし、鉛フリーはんだをはんだ付け装置に入れると、装 置を構成する金属材料が、従来の鉛入りはんだの場合に 比べて侵食されやすく、最悪の場合には、装置の構成材料 に穴があき、一部溶融はんだが漏れ出す可能性があること が判明した。そのため、関連する企業・研究機関等で種々 の対応策が検討されてきたが、侵食の状況を評価する試験 方法が標準化されていないため、対応策が確立されていな かった。 溶融したはんだの侵食作用により生じたはんだ槽 の穴からはんだが漏れ出した実例 【東京大会における日本の国際標準化の取組】 上記の課題を解決するために、経済産業省の標準化事 業の一つとして、「溶融鉛フリーはんだによるはんだ付け装 置材料の侵食試験方法の標準化」(2011~2013年)に取り 組み、その成果を活用して、「第1部 表面処理を施さない 金属材料の試験方法」が既にIEC規格として策定されている。 さらに2013年8月に「第2部 表面処理を施した金属材料の 試験方法」を日本から提案し、東京大会で委員会原案(CD) がまとまった。 この試験方法が国際標準化されれば、溶融鉛フリーはん だによる侵食に強い材料の開発が進むことが期待される。 試験装置概要 AV・マルチメディア(TC100) 【製品・技術の状況】 AV・マルチメディア分野の国際標準化では、マルチメディ アで家庭内を楽しく、便利にするための将来テーマを国際 幹事である日本として、常に模索している。 今後のテーマとして、家庭用ロボットや車の中のエンター テイメントに加え、スマートシティ、スマートホーム、身につけ て便利なウェアラブル機器やシステム、健康関連サポート 機器の国際標準化を検討していく。 オーディオ・ビデオ・マルチメディア分野は、日本が世界を リードしている業界であり、日本が国際標準化で主導的な 役割を果たすことで、国際標準に沿った製品を早く市場に 投入できることが期待できる。 【東京大会における日本の国際標準化の取組】 東京大会では、日本提案を含む以下の国際規格案につ いて、審議プロセスを進めた。 ①自分が持っている音楽や映像などを、どの機器でも自由 に探し出すことができるように、一元管理する手法に関す る国際規格案について、委員会提案(CD)に向けた議論を 行った。 ②ワイヤレスでAV機器やスマホ、PC等に充電する「ワイヤ レス給電技術」について、複数の充電器を配置して、充電 器にセットすることなく充電が行われる「磁界共鳴を用い たワイヤレス電力伝送の制御方法」の国際規格原案 (CDV)に向けた議論を行った。 ③テレビ、オーディオ、録画機器等の省エネのための消費 電力測定方法の最終国際規格原案(FDIS)の内容が確認 された。 <ワイヤレス電力伝送> <ウェアラブル機器> プリンテッドエレクトロニクス(TC119) 【製品・技術の状況】 プリンテッドエレクトロニクスは、導電性材料、絶縁性材料、 半導体材料をインクにし、フレキシブルな基材に印刷して、 ディスプレイ、フィルム太陽電池、電子ペーパー、センサー、 メモリなど、軽く折り曲げ可能で多様な電子機器を生み出す ことができる技術である。 本技術において、インク(導電性、絶縁性、半導体)、基材 などの材料分野は、印刷を得意とする日本企業が世界市 場で競争力を発揮できると期待されている分野である。 【フレキシブルメモリ】 【東京大会における日本の国際標準化の取組】 日本企業が本分野で競争力を発揮するためには、技術開 発を進めるとともに、材料の評価等に関する国際標準化で 主導的役割を果たしていくことが極めて重要である。 既に、TC119の中の材料分野を扱う作業グループ(WG2: マテリアル)において、日本がコンビナーに就任している。 プリンテッドエレクトロニクスの重要技術である、導電イン ク及び基材の評価法について、国際規格に向けた新作業 項目(NP)2件を日本から提案した。これらの提案は、材料に ついての概念的な内容となっており、今後の材料に関する 国際規格の基礎となるものである。 東京大会にて、2件とも委員会原案(CD)段階から、国際規 格原案(CDV)へ進むことが承認された。 【電子ペーパー】 (提供) 独立行政法人産業技術総合研究所 【太陽電池フィルム】 (提供) 三菱化学株式会社 【フレキシブル照明】 (提供) コニカミノルタ株式会社 機密性○ (参 考) IECにおける国際規格の策定手順 IEC規格は、通常次の6つの段階を踏んで策定されます。 新作業項目(NP) (New work item Proposal) 作業原案(WD) (Working Draft) 委員会原案(CD) (Committee Draft) 国際規格原案(CDV) (Committee Draft for Vote) 最終国際規格案(FDIS) (Final Draft International Standard) 国際規格(IS:International Standard)の発行
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