工業会活動 平成26年度航空宇宙工業国際交流・広報事業 (一社)日本航空宇宙工業会は、7月14日から18日まで、英国ファンボロー国際航空宇 宙展2014に参加し、我が国の航空宇宙工業について国際交流・広報活動を実施した。以 下にその活動状況を報告する。 1.国際交流活動 本からの招待者数は、最大の英国の招待者数 1.1 会長レベルの交流 10名に続く8名であった。SJAC釡会長、永野 (1)米国航空宇宙工業会幹部との交流 副会長、満岡国際委員長とAIA会長Michael 開会式前日の7月13日夕刻、米国航空宇宙 Strianese氏(L-3 Communications社CEO)、副 工業会(AIA)主催のレセプションがロンド 会長David Joyce氏(GE Aviation社CEO)との ン市内のホテルで開催され、総勢約300人が 懇談の中で、いままで日米のビジネスが友好 参加した。米国以外の政府、企業、団体への 的に行われてきたことや、今後両国の民間や 招待者数は約50名で、日本からはMETI飯田 防衛部門での新たな協力関係について意見交 課長、SJACは釡会長、永野副会長、満岡国際 換が行われた。また、レセプションの挨拶で 委員長、今清水専務理事他が招待された。日 は、AIA会長の他、今回の主要スポンサーで 左から今清水専務理事、永野副会長、AIA Strianese会長、釡会長、満岡国際委員長 14 平成26年8月 第728号 左から満岡国際委員長、AIA Joyce副会長、釡会長、今清水専務理事 あるLockheed Martin社CEO Marillyn Hewson Land Systems社CEO)と釡会長が隣同士で着 氏、Boeing社CEO James McNerney氏や、在英 席した。日英関係の歴史を紐解いたり、防衛 米国大使 Mathew Barzun氏、商務省輸出管理 などを含む今後の協力関係などについて昼食 次官補Kevin Wolf氏など米国企業、米国政府 をとりながら、意見交換を図ることが出来た。 を代表し合計8名が登壇した。「米国航空産業 が今後も安全保障や貿易、経済など世界を リードして行く」ことなどが基調として語ら 1.2 海外工業会との交流 (1)SJAC-ADS-ASD共催レセプション れた。なお、昨年まではAIAとSJACの共催に 初 日 の 午 後、ADS の シ ャ レ ー に、SJAC、 よるレセプションが開催されていたが、米国 ADS、ASD(欧州航空宇宙工業会)の会員企業、 側の財政的な理由でAIAの単独開催となり、 政府の方々が約120名集まり、3団体共催で交 日本からは前述の限られた方が招待された。 流会を開催した。 挨拶はADS Bryson会長から始まり、UKTI (2)英国航空宇宙防衛工業会幹部との交流 ファンボローエアショーの主催者である英 DSO Director David Hatcher氏、METI磯崎政務 官、SJAC釡会長(会長の挨拶は別頁参照)、 国航空宇宙防衛工業会(ADS)が、開催初日 ASD Pie専務理事へと続いた。今年はMETI政 に英国の政府・企業、海外の政府・団体など 務官として初めて海外の国際航空宇宙展に参 約100人をシャレー(UK Partnership Pavilion) 加された磯崎政務官から、「METIは日本の航 に招待し、恒例の昼食会を開催した。SJACか 空宇宙産業の国際競争力強化を支援する用意 らは釡会長、満岡国際委員長と今清水専務理 があり、それが欧州との産業協力に繋がれる 事、板原国際部長の4名が招待された。SJAC ことを期待する」旨の挨拶を頂いた。また、 会長以下はメインテーブルに招待され、ADS 戦闘機の展示飛行による爆音で一時挨拶が中 会 長 Marcus Bryson 氏(GKN Aerospace and 断されるハプニングがあったが、「日欧、日 15 工業会活動 ご挨拶された方々:左からHatcher氏(UKTI DSO)、Bryson氏(ADS会長)、 磯崎政務官(METI)、Pie氏(ASD専務)、釡会長 英の航空宇宙分野において産業間連携を推し のブルロ専務理事とゴリー国際部長がSJAC 進めて行くことが重要」という主旨の挨拶が ブースに来場し、今清水専務理事ほかと意見 それぞれから行われた。ここ数年、日欧関係 交 換 を 行 っ た。今 年 12 月 に フ ラ ン ス 政 府 強化に向けた取り組みや交流がいろいろなレ (DGAC)とMETIがフランスで開催する第2回 ベルで積極的に進められており、挨拶に引き 日仏民間航空機産業協力に関するワーク 続いで行われた懇親会で新たなビジネス展開 ショップについての情報交換を行い、今後支 を模索する企業同士のネットワークづくりも 援や協力を相互に行うことを約した。 活発であった。 (2)韓国航空宇宙工業会(KAIA) 1.3 その他意見交換会 会員企業を交えた交流会の開催以外に、工 7月15日の午後、韓国航空宇宙工業会のキ ム副会長とハン部長がSJACブースに来場し、 業会専務理事レベルでの意見交換会を以下の 今清水専務理事ほかと意見交換を行った。来 ように実施した。 年ソウルで行われるソウル国際航空宇宙防衛 展および東京で開催される2016年国際航空宇 (1)フランス航空宇宙工業会(GIFAS) 7月14日の午後、フランス航空宇宙工業会 16 宙展に関して情報交換を行い、セミナー等で お互い積極的に参加することを確認した。 平成26年8月 第728号 ADS-ASD-SJAC Reception 会長挨拶文 Mr. David Hatcher, UKTI DSO, Mr. Yoshihiko Isozaki, Parliamentary Vice Minister of Economy, Trade and Industry, Mr. Marcus Bryson, President of ADS, Mr. Jan Pie, Secretary General of ADS, Distinguished guests, ladies and gentlemen, Good afternoon, I am Kazuaki Kama, Chairman of the Society of Japanese Aerospace Companies. I assumed this position last May. It is my great pleasure and honor to be here in the opening day of Farnborough Air Show. The aerospace industry is developing steadily through technical innovation. In spite of some ups and downs in business, the global market is expanding in the long run. I think the key word of aerospace business is International Collaboration. Between Europe and Japan, we have been maintaining a variety of collaborative business in airframe, aero-engine, helicopter, system and equipments and so on for a long time. Last year, in the civil sector, European and Japanese partners have commenced three research activities, such as high speed aircraft, anti-icing system and Engine cooler in the European Commission program of FP7, also supported by Japanese government of METI. In the defense, Japanese government announced newly“Three principles on transfer of Defense Equipment and Technology”last April. This may open the door to enhance the international joint development and production for the defense equipments with countries cooperating with Japan in security area. I believe we can continue collaboration and it will strengthen the cooperative relationship between Japan and Europe further. Finally, I wish the best success to all of you here. Thank you. 17 工業会活動 2.国際広報活動 2.1 平成26年度事業の概要 コーナーを含め340㎡ ・三菱航空機㈱は個別にシャレーを開設する ・期 日:平成26年7月 とともに別棟のパビリオンにてMRJ実物大 14日(月)∼18日(金) 客室モックアップを展示し、販売活動及び トレードデー 世界のメディアへのPRを実施した。会期中、 18日(金) MRJ90に関する覚書締結と正式契約締結の フューチャーデー 2件が発表された。 19日(土)∼20日(日) パブリックウィークエンド SJACは例年と同様に7月14日∼ 18日のトレードデーのみに出展 した。 2.2 広報活動結果 (1)SJACブース出展会社の活動結果 SJACブースは、さくらをモチーフした日本 らしさを示す装飾により多くの来場者の関心 ・場 所:ロンドン郊外 ファンボロー空港 を集めるとともに、大型モニターを用いて各 ・参加企業:(一社)日本航空宇宙工業会及 出展会社の活動内容を常時紹介することで来 び会員企業9社が出展参加した。 場者の集客に貢献した。 ㈱ IHI、㈱ IHI エ ア ロ ス ペ ー ス、 川崎重工業㈱、大同特殊鋼㈱、 VIPとして、7月14日に経済産業大臣政務官 ナブテスコ㈱、日本飛行機㈱、 磯﨑仁彦様、7月17日に防衛大臣政務官 若宮 富士重工業㈱、三菱重工業㈱、 健嗣様にご視察頂いた。 三菱電機㈱ ・JA2016プロモーション: ①SJACブースへの来場者等 上 記 出 展 会 社 に 加 え て SJAC SJACブースへの来場者数は前回と比較し 2016年国際航空宇宙展事務局が て大幅に増大し、各社ブースに1,226名、商 ブースを設けてプロモーション 談コーナーに242名、合計1,468名がSJAC 活動を行った。 ブースに来場された。 ・広報拠点:展示ブースHALL2/C-17 商談 磯﨑経済産業大臣政務官ご視察 18 今回は商談コーナースペースを6卓(4席 若宮防衛大臣政務官ご視察 平成26年8月 第728号 SJACブースを視察する釡会長 /1卓、計24席)に増席(2012年は4卓)し、 開催初日から出展会社のみならず会員企業 の皆様に有効に使っていただいた。 品を展示した。 またファンブレード修理過程の展示により ジェットエンジンの修理事業を紹介した。 また、7月16日には、今回エアショーから 本格的に実施した出展会社によるプレゼン テーション企画Japan Aerospace Workshopと JA2016の記者会見などプロモーション活動 の会場としても活用した。これらの企画は事 前及び現地に入ってからの案内の効果もあ り、多くの来場者をお迎えし盛況であった。 次回以降の計画においてスペース拡大を 含め、更なる有効活用を検討したい。 (SJACブース来場者数) 区分 来場者数 ブース 1,226名(853名) 商談コーナー 計 ・IHIエアロスペースは、昨年初めての打上 げに成功した新型の小型個体ロケット イ 242名(241名) 1,468名(1,094名) 注.( )は前回2012年の実績 ②SJAC出展概要 ・IHIは、PW1100G-JMの電動式模型により GTFエンジンの特徴を解説するととも に、実物大ファンケース、CMC(セラミッ クス複合材)タービンブレードなどの部 19 工業会活動 プシロンの模型を展示した。 ・大同特殊鋼は、昨年のパリに引き続き今 回のファンボローに参加。歴史のある航 空機エンジン・機体用の素材メーカーで あり、ジェットエンジンシャフトは世界 のエアラインに使用されている。今回は エンジンシャフトなど3点を展示した。 ・日本飛行機は、「かぐや」にも採用され た衛星用のコイラブル伸展マストを展 示。また、航空機複合材部品の加工技術 としてバータム製法によるスポイラーと ウイングレットの試作品を展示した。 ・川崎重工業は、P-1固定翼哨戒機模型、次 期輸送機XC-2模型及びXC-2民間転用機 模型を紹介するとともに、T-IDGトラク ションドライブ、CF34-8アクセサリーギ アボックス、MD900メイントランスミッ ションの展示を行った。 ・富士重工業は、ボーイング787中央翼模 型を展示するとともに、CFRP 専用ドリ ル(Rドリル)とCFRP穿孔板をもって高 ・ナブテスコは、 世界のトップクラスの航空 機装備品メーカーとして737MAX Spoiler Actuatorの他747-8、 777用のボーイング社向 け装備品及びMRJ用装備品を展示した。 20 平成26年8月 第728号 い加工技術を紹介した。 また、今年試験中のJAXA D-SEND#2の 模型を展示した。 日∼15日に東京で開催する「2016年国際 航空宇宙展」のプロモーション活動を、 共催する㈱東京ビッグサイトとともに 行った。 ・三菱重工業は、宇宙関係ではH-ⅡBの模 型とそれに搭載される宇宙ステーション 補給機「こうのとり」(HTV)の模型を 展示した。 航空機関係では、製造を担当している 787複合材主翼を紹介するとともに、MRJ 模型を展示・PRした。 ③SJAC企画 ・JA2016 プレスカンファレンス開催 会期中3日目の7月16日(水)11:30 SJAC ブースの商談コーナーにおいて、海外の メディア向けに、JA2016開催に関しての 記者発表を今清水専務理事、秦常務理事 ・三菱電機は、今回が初めての参加であっ および、共同主催者である株式会社東京 た。GaN 高 周 波 デ バ イ ス / 送 受 信 モ ビッグサイトの及川常務理事が参加して ジュール、GaN高出力増幅器、風況観測 行った。出席した海外メディアの方から 用ライダー、ヘリコプター衛星通信シス は、東京で開催することにより、政府関 テムを展示・紹介し、来訪者に説明した。 係者、主要企業の本社からの多くの入場 者が見込まれ、注目される展示会になる との期待があがった。 ・Japan Aerospace Workshop開催 会 期 中 3 日 目 の 7 月 16 日(水)の 午 後、 SJAC ブ ー ス の 商 談 コ ー ナ ー に お い て、 SJACブース出展会社による会社紹介のプ レゼンを行った。これは、各社10分の持 ち時間で、各社の概要および主要製品の 紹介、実績等をPRする企画である。昨年 ・SJAC 2016年国際航空宇宙展事務局は、 のパリエアショーから始めたもので、昨 SJAC内ブースを拠点として2016年10月12 年は3社のみの参 加であったが、今回は 21 工業会活動 様に別棟のパビリオンにて最新のMRJ実 物大客室モックアップを紹介した。最新 モックアップはプレミアムシートとエコ ノミーシートの間のクラスディバイダー に熟練した職人の手による漆塗りパネル を採用。MRJのコンセプトの一つである 日本のきめ細かいものづくりと、ハイ クォリティでレベルの高いサービスが体 験できるとして、会期中多くのエアライ ン関係者などが来場して盛況であった。 出展した企業のうち8社がプレゼンを 行った。SJACの顧客リストをベースに、 事前にプログラムをメール配信、ポス ター掲示、展示会広報誌に載せて宣伝し た効果もあり、会場は立ち見がでるほど MRJ実物大客室モックアップ 盛況であった。 ④MRJ ・シャレー出展の三菱航空機は、例年と同 三菱航空機シャレー 22 漆塗りクラスディバイダー 平成26年8月 第728号 今回の発表により累計受注は375機(確 ・三 菱 航 空 機 は、米 国 イ ー ス タ ン 航 空 (Eastern Air Lines Group, Inc.)とMRJ90 定191機、※購入権184機)となった。 40機(確定20機、※ 購入権20機)の購入 に関する覚書締結、及びローンチ・カス タマーである全日本空輸株式会社(ANA) ※製造スロットの確保はないが、特定の期間内に 確定した発注条件と同条件で航空機を購入でき る権利 を除けばアジア地域初となるミャンマー 連邦共和国のエア・マンダレイ社(Air ⑤国内メディアへの事前説明と現地での取材 Mandalay Limited:AML)とMRJ90 10機 ・今回の出展に先立ち7月1日に国内メディ (確定6機、 購入権4機)購入の正式契約 アへの出展説明会を当工業会で行い、各 締結を、それぞれ7月14日と15日にファ 出展会社から展示概要を説明した。本件 ンボローで発表した。 に出席したメディアは以下のとおり。 ※ MRJは優れた運航経済性が高く評価さ 日本経済新聞社、航空ニュース社、航空 れ、これまでにANAから25機(確定15機、 新聞社、防衛通信、航空情報、航空ファン、 オプション10機)、米トランス・ステーツ・ 航空ジャーナリスト 青木謙知氏、竹内 ホ ー ル デ ィ ン グ ス 社(T r a n s S t a t e s 修氏、味岡浩二氏 Holdings Inc.:TSH)から100機を受注(確 定50機、オプション50機)、米スカイウェ ・現地には、日本経済新聞社、朝日新聞ヨー スト社(Sky West Inc.:SKW)から200機 ロッパ総局、テレビ朝日、航空情報など (確定100機、オプション100機)している。 が取材に訪れた。 各社出展品目; 会社名 ㈱IHI 出展品 ・ジェットエンジン修理部品 ・ブレードサンプル ・エンジン模型(PW1100G-JM) ・SGV模型 ・PW 1100G-JM FAN CASE ㈱IHIエアロスペース ・イプシロンロケット模型 川崎重工業㈱ ・P-1固定翼哨戒機模型 ・次期輸送機 XC-2模型 ・XC-2 民間転用機模型 ・T-IDG トラクションドライブ ・CF34-8 アクセサリギアボックス ・MD900 メイントランスミッション 大同特殊鋼㈱ ・718PIPE ・Engine Shaft(2点) 23 工業会活動 会社名 出展品 ・737MAX Spoiler Actuator ・747-8 Inboard Aileron Actuator ・777 Aileron Actuator(Reaction Link) ・MRJ Outboard Multi-Function Spoiler Actuator ・MRJ Spoiler Remote Electronics Unit ・Electro Hydraulic Servo Valve ナブテスコ㈱ 日本飛行機㈱ ・スポイラー ・ウイングレット ・コイラブル伸展マスト ・複合材部分模型 富士重工業㈱ ・787中央翼模型 ・CFRP専用ドリル(Rドリル)及びCFRP穿孔板 ・JAXA D-SEND#2模型 三菱重工業㈱ ・MRJ模型 ・787模型 ・H-ⅡBロケット模型 ・HTV(H-Ⅱ Transfer Vehicle)模型 三菱電機㈱ ・GaN高周波デバイス/送受信モジュール ・GaN高出力増幅器 ・風況観測用ライダー (Lidar=Light detection and ranging) ・ヘリコプター衛星通信システム 三菱航空機㈱(シャレー出展) シャレー・パビリオンにてMRJ実物大客室モックアッ プを展示し、エアライン、リース会社との面談などを 通じMRJの販売活動を実施するとともに世界のメディ アに対しMRJのPRを行います。 SJAC出展会社アテンダントと関係者 国際航空宇宙展事務局部長 大野 潤、広報部長 高木 伸吾 24 (一社)日本航空宇宙工業会 国際部長 板原 寛治、
© Copyright 2024 ExpyDoc