脳波信号処理①… 生体特有ノイズ除去フィルタ

第1部
第
5章
0.5 ∼ 30Hz バンドパスで一網打尽
脳波信号処理①…
生体特有ノイズ除去フィルタ
辰岡 鉄郎
After
652μV
652μV
Before
0
時間
[S]
0.5
0
(a)A-D変換直後
時間
[S]
0.5
(b)0.5∼30Hzバンドパス・フィルタ後
図 1 制作する 0.5 〜 30Hz バンドパス・フィルタの効果
表示範囲は縦軸± 326 μ V,横軸 0.5s
本章では脳波計測の際にマイコンに実装したバンド
パス・フィルタ(図 1)の設計方法について解説しま
す.図 2 のように,アナログ回路でもハイパス / ロー
パス・フィルタを入れています.
アナログ回路のハイパス・フィルタは,電極装着部
アナログ回路
0.16Hz 1次ハイパス
で生ずる静止電位と呼ばれる直流電圧成分を除去する
ために入れています.ローパス・フィルタは A-D 変
換時のエイリアシング・フィルタとして最低限必要で
あるために入れています.
バンドパス・フィルタはディジタル・フィルタで実
159Hz 1次ローパス
電極の接触具合によるDCオフセット電圧の除去
159Hz 2次ローパス
A-D変換時のエイリアシングを防ぐ
LPC11U35
10ビット
A-D
コンバータ
ディジタル
回路
電極の接触具合や
発汗などによる
ドリフトの除去
0.5Hz 1次ハイパス
30Hz 2次ローパス
本章でプログラムを設計.位相遅延が揃っていないと
波形がひずみ元波形を忠実に再現できないためバター
ワース型とする.しかも次数を抑えてある
50/60Hz ノッチ
50または
60Hzのハ
ム・ノイズ
を除去
一般の脳波は0.5∼
30Hzそれ以外の
周波数を除きたい
次章でプログ
ラムを設計
図 2 本章で紹介するバンドパス・フィルタの位置付け
ハイパス / ローパス・フィルタを組み合わせて脳波の周波数帯とされる 0.5 〜 30Hz を抜き出すこと
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2015 年 4 月号