超高温用マスフローメーター (PDF: )

新製品紹介
超高温用マスフローメーター
Ultra High-Temperature Mass Flow Meter
Mass flow meter :FMT1870F M-8VL(T280)
半導体製造プロセスにおいて,LSI
ことにより,従来品使用環境温度上
上昇を従来設計の 50℃から 40℃
チップを積み重ねて高集積化する 3
限の 250℃より 30℃高い 280℃環境
以下に低減した。これらの改良に
次元実装技術が注目を集めている。
下においても使用可能なマスフロー
より,280℃環境下でもセンサー動
LSI の 3 次元実装には,LSI 間のワ
メーターを開発した。外観を図 1 に,
作時の温度を320℃以下にすること
イヤボンディングスペースが不要な
基本仕様を表 1 に示す。
シリコン貫通電極(TSV: Through
特 長
が可能になった。
また,センサー全体の高温絶縁寿
Silicon Via)技術が不可欠で,TSV
(1)流量センサーに使用しているセン
命試験において,320℃で 3 年の絶
加工プロセスには高温の絶縁膜原料
サーワイヤー被覆を従来のポリアミ
縁寿命が見込まれることから,使用
昇華ガスの流量を測定する超高温用
ドイミド樹脂(PAI)から,より耐熱
環境温度 280℃でも約 3 年の絶縁寿
マスフローメーターが必要となる。
性の高いポリイミド樹脂(P I)に変
命が期待できる(図 3)。
日立金属は半導体製造装置メー
更した。ワイヤー被覆としての高温
上記(1),(2)の改良を行った流量
カーからの要求に応えるため,当社
絶縁寿命の比較を図 2 に示す。
センサーを搭載したマスフローメー
従来品のマスフローメーターの構成
(2)流量センサーの駆動回路を改良
部材を高耐熱性材料へ変更し,且つ
して通電によるセンサーの発熱量
センサー動作時の発熱量低減を図る
を低減して,センサー動作時の温度
ターを開発した。
(高級機能部品カンパニー)
表 1 開発品の基本仕様
Table 1 Basic specifications of the developed product
仕様
項目
使用環境温度範囲
5 ∼ 280℃
精度保証温度範囲
270 ∼ 280℃
流量精度
測定レンジの ±2% 以内
直線性
測定レンジの ±1% 以内
測定レンジの ±0.2% 以内
繰り返し性
0.2 kPa 以上
動作差圧
20 mm
ゼロシフト量
測定レンジの ±1.0% /月以内
温度ドリフト
測定レンジの ±0.05% /℃以内
1.0 MPa (Gauge)
耐圧
図 1 超高温用マスフローメーター
Fig. 1 Ultra high-temperature mass flow meter
Reciprocal operating absolute temperature (1,000/K)
1.75
1.7
1.65
1.6
1.55
1.5
1.45
1.4
Developed PI coated wire: coating thickness of
5μm (newly applied sensor wire)
Conventional PAI coated wire: coating of
4μm
1,000
100
10
1
300
320
340
360
380 400 420 440
Operating temperature (℃)
図 2 センサーワイヤー被覆の高温絶縁寿命評価結果
Fig. 2 Evaluation results for life of sensor wire coatings
Reciprocal operating absolute temperature (1,000/K)
1.8
100,000
1.75
1.7
1.65
1.6
1.55
1.5
1.45
1.4
Target life of 3 years
Life to breakdown (h)
Life to breakdown (h)
1.8
10,000
10,000
Life of PI insulation coating
1,000
100
Relaxed sensor
operating temperature
(320℃)
10
1
300
320
340
360
380 400 420 440
Operating temperature (℃)
図 3 配管表面 PI 絶縁被膜の高温絶縁寿命およびセンサー動作
温度
Fig. 3 Life of PI coating on sensor tube and sensor operating
temperature
日立金属技報 Vol. 30(2014) 63