オルプロリクスを ご使用される血友病 B の 患者さまのために

オル プ ロリク スを
ご使 用され る血 友 病 B の
患 者 さまのた めに
くすり相談室(フリーダイヤル)
午前9 : 00∼午後5 : 00
祝祭日、会社休日を除く
月曜日から金曜日まで
病・医院名
2014年9月作成
ALP100SW1409V1
血 友 病 は 、出 血したときに
血 友 病Bの 患 者 さん は 、
日 本 に1, 0 0 8 人いま す。
血 がとまりにくくなる 病 気 で す。
平成25年度の血液凝固異常症全国調査によると、
血液は、人体の血管を循環して重要な物質を運んでいます。
国内の血友病(A、B)患者さんは、5,769人いると報告されています。
血管が傷害されて出血が起きると、まず初めに血小板が集まり、
このうち血友病Bの患者さんは1,008人*( 男性995人、女性13人)で、
凝固因子が活性化され、最終的にフィブリン血栓(血
世界にはおよそ25,000人いると報告(世界血友病連盟)されていますが、
血友病の患者さんは、この凝固因子が不足または欠乏しているので、
発展途上国にいる患者さんのほとんどが、
止血に十分なフィブリン血栓が形成されにくく、
まだ診断されていないと考えられています。
*HIV非感染または感染している患者の生存合計数
けっぺい
)が形成されて止血します。
形成された血栓も壊れやすいため、止血するまでに時間がかかります。
血 管
血小板
血管の傷害により
赤血球
男性995人・女 性13人
出血が起こる
人
傷害部位に血小板が集まり、
厚生労働省委託事業:血液 凝固異常症全国調査 平成25年度報告書より引用
血小板血栓が形成される
正常な
血 管
血友病
患者の
血 管
フィブリン血栓
A 不足している凝固因子の種類が異なります。
Q 血友病Aと血友病Bは
どう違うの?
血 友病の原因は、遺伝子の異常です。血 友病Aは血
液凝固第Ⅷ因子が、血友病Bは第Ⅸ因子が不足また
は欠乏しているために発症します。第Ⅷ、Ⅸ因子は共
同して、止血作用に重要な役割を担っています。
凝固因子が活性化し、
凝固因子が不足/欠乏しているため、
強固なフィブリン血栓が
十分なフィブリン血栓が形成されず、
形成され止血される
止血まで時間がかかる
白幡 聡(編)
:みんなに役立つ 血 友病の基 礎と臨床 改訂版. 医薬ジャーナル社 2012年より引用
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出 血したときは 、早 めに 適 切 な
補 充 療 法 を 行 うことが 大 切 で す 。
は、血 友 病Bの患者さん
に使われる注 射 剤です。
血友病の患者さんが出血したら、なるべく早めに止血を行うことが重要です。
出血した部位や重症度によって対処法は異なりますが、
オルプロリクス は、
早期に(できれば2時間以内)血液凝固因子製剤を注射するのと同時に、
遺伝子組換え血液凝固第Ⅸ因子製剤です。
出血した部位を圧迫したり冷却する補助的ケア『RICE』も行うようにしましょう。
RICEは症状を軽くしたり、再出血を予防する効果があります。
[ RICEとは ]
製造工程でヒト及び動物由来の原料を使用していないことから
HIVやC型肝炎ウイルス等への感染リスクが低減されています。
オルプロリクス は、体内に長く留まる性質をもっており、
定期的な投与及び急性出血時に使用することが可能です。
Rest
安 静
500、1000、
2000、3000国際単位の
500
IU
4規格 があります。
Ice
1000
IU
2000
IU
3000
IU
オルプロリクス総合製品情報概要より引用
厚生労働省医薬食品局血液対策課:血液事業報告 平成17年版より引用
冷 却
タオル
時計
廃棄容器
投与記録表
注射時に
必 要 なもの
Compression
圧 迫
製剤バイアルと
注射筒の入った
ハードケース
翼付針
電話
駆血帯
廃棄用
ビニール袋
Elevation
アルコール綿
挙上
絆創膏
バイアルアダプター
● オルプロリクスの「溶解方法」及び「自己注射手順」を用意してください。
● 注射の方法や使用済みの医療機器の廃棄方法については、主治医の指示に従ってください。
石黒 精ほか(編)
:はじめての血 友病診療 実践マニュアル. 診断と治療社 2012年より引用
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オルプロリクスの投与量は 、
オルプロリクス は 、
患者さんの状 態に合わせて調 節します。
ヒトや 動 物 由 来 の 成 分を 使 用しな いで
オルプロリクスは通常、下記の初回用量及び投与間隔で注射しますが、
精 製・製 剤 化して いま す 。
患者さんの状態に合わせて適宜調節します。
自己判断で調節せず、必ず医師の指示に従った投与方法で注射してください。
オルプロリクス製 剤化までの 流れ
第Ⅸ因子を産生する
細胞の培養
定期的な投与
出血が起こっていなくても、定期的に注射する方法
以下のいずれかの方法で、投与を開始します。
●1回50国際単位 /kgを週1回投与
●1回10 0国際単位 /kgを10日に1回投与
以降の投与量・投与間隔は患者さんの状 態に応じて
産生された治療用タンパク質を
数種類のクロマトグラフィー ※1 で精製
医師により調節されますが、1回あたり10 0国際単位 /kgを超えて
※1 クロマトグラフィーとはタンパク質
を精製する技法のことです。
投与されることはありません。
ナノメートル
15nmのナノフィルター ※2 によるろ過
急性出血時の補充療法
出血が起こってから注射する方法
※2 非常に目の細かいフィルターで、
ウイルスが混入した場合に
ウイルスを排除します。
●軽 度∼中等度の急性出血に対する初回用量は30∼60国際単位 /kg
出血 所見が認められる場合は、48時間毎に追加投与
●重 度の急性出血に対する初回用量は10 0国際単位 /kg
オルプロリクス添付文書より引用
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最後に添加物を加えて製剤化
充填、凍結乾燥、包装をして
オルプロリクスは完成です。
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オルプロリクスの
【お薬の使用中に、注意しなければならない症状】
副 作 用 に つ いて
オルプロリクスの投与により、ショック、アナフィラキシー、血栓塞栓症や
血友病Bの患者さん119例を対象にオルプロリクスを投与した
以下に示すような自覚症状を認めた場合にはこのお薬の使用を中止し、
臨床試験では、副作用が10例に認められました。
医師・薬剤師に連絡して速やかに受診してください。
インヒビタ―の発生がみられることがあります。
緊急を要する症状がみられた場合には、救急車を呼ぶなどして、
ただちに処置を受けてください。
このお薬でみられた副作用(2%未満)
重大な副作用
主な自覚症状
疲 労 、注 射部位 疼 痛、動 悸、閉塞性 尿 路 障害、低 血 圧
ショック、
アナフィラキシー
* 錯感 覚…触 覚 が障 害された状 態で 、触れただけで痛みや冷たいと感じるなど 、
通常とは異 なった 感 覚になること 。
めまい、しゃがれ声、眼と口唇のまわりのはれ、じんましん、
判断力の低下、動悸(どうき)、息切れ、息苦しい、からだが
だるい、考えがまとまらない、ほてり、意識の低下、ふらつき
血栓塞栓症
血を吐く、吐き気、嘔吐、胸の痛み、胸をしめつけられる感じ、
胸を強く押さえつけた感じ、激しい腹痛、腹がはる、足の激
しい痛み、出血、知覚のまひ
インヒビタ―の
発生
お薬を投与しても効果が十分でないと感じられた場合には、
インヒビタ―の発生が考えられます。
とくにお薬を使い始めの時期や、短期間に集中して使用した
ときに、インヒビタ―ができやすいことが報告されています。
頭 痛 、口の錯感 覚 * 、浮 動 性めまい、味 覚 異常、呼気 臭
この 他 にも気 に なる 症 状 が あら わ れ た 場 合 に は 、
医 師 ま た は 薬 剤 師 にご 相 談くだ さ い 。
■ 次のようなことがある方は、オルプロリクスの投与を始める前に、
医師にお伝えください。
●過去にオルプロリクスの成分または他の血液凝固第Ⅸ因子製剤を
Q.インヒビターってなあに?
投与して、過敏な反応を起こしたことがある
●肝臓の病気がある
A.注射によって補われた凝固因子に対する抗体のことで、
●最 近手 術を受けた
これが体内にできるとお薬の効果がなくなります。
●新生 児
人間の体にはウイルスや細菌(異物)が侵入してきたと
●血栓塞 栓症が起こりやすいといわれている
● 線維素溶解の徴候または播種性血管内凝固症候群(DIC)がある
●妊娠中または授乳中である
き、これらの攻撃から体を守る免疫システムが働いて
抗体がつくられます。これと同じで、血友病の患者さん
に注射された凝固因子を異物とみなし、抗体がつくら
れる場合があります。これをインヒビタ―といい、お薬
を注射しても止血するのが難しくなります。
オルプロリクス添付文書より引用
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オルプロリクス患者向医薬品ガイドより引用
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オルプ ロリクス は 、家 庭 で の
オルプ ロリクス は 家 庭 療 法 時 に 、
自己 注 射 に よる治 療 が 可 能 で す 。
室 温( 3 0 ℃ 以 下 )で
医療機関において在宅自己注射教育を受け、医師により適切に
保 存 することが で きます 。
使用できると判断された患者さんまたは家族の方は、
オルプロリクスを家庭で使用することができます。
自己注射時に止血効果が不十分だと
オルプロリクスは、遮光して冷蔵庫(2∼8℃)で保存することが望ましいですが、
光を避けて室温(30℃以下)で6ヵ月間保存することもできます。
特に夏場など、保管場所が30℃を超える場合や外出時に携帯するときは、
感じたときは、繰り返し注射するのでは
なく、速やかに医師に相談をしましょう。
注射時・注射後に気になる症状を
認めた場合も、医師に相談してください。
また異常が認められない場合でも、
定期的に医療機関を受診するようにしてください。
必ず冷蔵庫や保冷庫(保冷剤)を用いてください。
室温で保管した場合は使用期限を超えない範囲で6ヵ月以内に使用し、
再び冷蔵庫に戻さないようにしてください。
また、凍結は避け、誤って凍結させた場合は
使用しないでください。
オルプ ロリクスの 使 用 後 は 、
出 血 の 程 度 や 投与 量 等 に つ いて
記 録 することが 大 切 で す 。
投与記録表への記入の目的は、患者さんの輸注状況が医療従事者に正確に伝えられ、
患者さんと医療従事者がその情報を継続して共有できることにあります。
オルプロリクスの取り扱いについて
したがって受診時には投与記録表を持参し、医療従事者へ提示してください。
●お 薬 を 遮 光して 、冷 所 に保 存した場 合 は 、調 整 前に室 温に戻
また、本剤は血液代替医薬品に指定されていることから、
してください。
使用日から少なくとも20年間 は医療機関において以下の情報が保管されます。
●お薬は、添付の溶解液を使 用して溶解してください。
● 溶 解した 液は乳白色∼ 無 色になりますが 、沈 殿または 濁りが
保管される情報
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製品名
製造番号(製造記号)
注射した日
使用患者名、住所 等
みられたときは、使 用しないでください。
● 他の製 剤と混合しないでください。
●お薬を他の人にあげないでください。
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