原 稿 集 - 大分県地域医療研究会

蹄
留
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第34回'大分県地域医Ⅱ療研究会
OITA COMMUNITY MEDICINE
原 稿 集
呈
一
詫
〆
Ⅲ
日時/20 年2月8日(士)13:00∼17:00
会場/天分アリスドンホテル(アリストンホール)
主催/大分県地域医療研究会
後
援
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犬
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会
大分県自治体病院開設者協議会
(社)犬分j県庫看,護協iJ会
公益社団法人地域医療振興協会
第34回大分県地域医療研究会日程
総合司会:藤田由利加(豊後大野市民病院)
1.受付12:302.開会式13:00∼13:15
開催者挨拶大分県地域医療研究会代表代理
社会医療法人関愛会佐賀関病院理事長
大分県医師会祝辞代読
来賓祝辞
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長松宜哉
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大分県看護協会会長代理
玉井保子
大分県福祉保健部医療政策課地域医療政策監
清末明
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Ⅱ
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3.一般演題発表前半(6題) 13:15∼14:15座長甲斐博宜(杵築市立山香病院)
1演題10分(発表7分、質疑応答3分)
①職種間における退院支援の現状と課題∼アンケート調査を実施して∼
豊後大野市民病院3病棟
○川野洋美
刈久美角'悦美小林美枝広瀬百恵
②離島における肩関節サイレントマニピユレーシヨンの経験
姫島国民健康保険診療所
○匹田貴雅佐藤新平三浦源太
③廃用症候群における栄養状態とADL能力の関係
国東市民病院リハビリテーション科
○森麿尚久松本翼田口亨子神林佑磨江本智子
④「高齢者が急変したら、その前の対応できてますか?」
新別府病院
○中村夏樹奥山英策甲斐亮太(MSW)
⑤東日本大震災被災石巻仮設住宅住民のうつ病スクリーニングについて
­受診理由と継続性についての一考察一
大分大学医学部附属地域医療学センター
○渡辺大※石井稔浩塩田星児上田貴威加島尋吉岩あおい阿部航野口剛
白石憲男宮崎英士(※大分大学医学部5年生)
⑥ターミナル期の在宅家族支援∼家族心理に関する危機理論を用いた分析∼
杵築市立山香病院訪問看護ステーション
○甲斐弘美池田文恵佐藤圭子
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小 休 憩 1 4 : 1 5 ∼ 1 4 : 3 0
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4.一般演題発表後半(6題) 14:30∼15:30座長木崎佑介(豊後大野市民病院)
⑦へき地医療拠点病院におけるものわすれ相談室の現状と課題
医療法人新生会高田中央病院ものわすれ相談室
○後藤聡美
⑧当院における医療的ケアを要する児と在宅医療の現状
大分県立病院地域医療部兼小児科
○長漬明日香糸長伸能
大分県立病院看護部兼地域医療連携班
○品川陽子
⑨臨床テータから血紫BNP(Brain Natriuretic Peptide)値を推測する試み
国東市民病院検査科同循環器内科*
○斉藤めぐみ小野結香小俣健崎野正博橋本裕子野遥靖基*
⑩退院後訪問調査で見えてきたもの∼独居生活を送る症例を通じて∼
社会福祉法人農協共済別府リハビリテーションセンター回復期リハビリテーション部
○尾形諭香
⑪当院における誤礁性肺炎についての臨床的検討
杵築市立山香病院内科
○土師恵
⑫癌ターミナル患者の在宅看取りを振り返って
豊後大野市民病院すこやか訪問看護ステーション
○山形美代
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5 . コ ー ヒーブ レ イク 1 5 : 3 0 ∼ 1 5 : 5 0
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6.特別講演15:50∼16:50座長三浦源太(姫島国民健康保険診療所)
『「地域に"寄りそ医"20年」
∼地域住民と診療所医師の強くて温かい粋の物語∼』
おおい町国民健康保険名田庄診療所所長
自治医科大学地域医療学臨床教授
中村伸一先生
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7.総括、閉会式16:50∼17:00
閉 会 挨 拶 ・ 総 括 平 山 匡 史 ( 佐 伯 市 国 民 健 康 保 険 因 尾 診 療 所 )
大分県地域医療研究会終了の挨拶長松宜哉(関愛会佐賀関病院理事長)
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●
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吾
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挨 拶
大分県地域医療研究会代表
坪
山
明
寛
第34回大分県地域医療研究会の開催にあたりご挨拶申し上げます。
地域医療は、住民が地域で安心して生活し、満足した人生を過ごせるように
支援することを目指していますが、このことは医療従事者だけでは達成できま
せん。地域医療が効果を発揮する仕組みの
は、家族・住民・自治体・医療保
健福祉関係者による「目標を共有する連携」であり、この構築により住民の健
康問題を包括的に見守る力が生まれると思います。この研究会は、このような
マインドを持つ者同士が紳を深め討論し、各地域でより良い地域医療の姿を具
現する場でありたいと願っています。今回は特別講演として、 名田庄寄り添
い医 中村伸一先生をお招きし、先生の実践されている地域医療を熱く語って
いただきます。皆様のご参加と活発な意見発表を心待ちしています。最後にな
りましたが、ご後援いただきました各位に感謝申し上げます。
▲
般
第
演
1部
題
職種間における退院支援の現状と課題
∼アンケート調査を実施して∼
キーワード:退院支援多職種連携
○川野洋美
刈久美角 悦美小林美枝広瀬百恵
豊後大野市民病院3病棟
I.はじめに
医療制度改革により、在院日数の短縮化や、急性期病床数の削減、医療機関の機能分化と連携の推進などの政策が
とられるようになった。!)
2008年度の診療報酬改定では「退院調整加算」や「退院時共同指導加算」が設けられ、退院に際しての情報の共有
の円滑や、医療関連職種の連携・協働が推進されている。その中で、患者は退院後に向けた生活調整が不十分な状態
で、在宅療養へ移行している現状がある。このことから、退院後の生活を視野に入れた看護実践の提供や在宅で利用
可能な医療・福祉サービスとのスムーズな連携が強く望まれ、それらの患者・家族のニーズを基盤とした退院支援の
質の向上が求められている。また、退院支援を充実させるためには、全スタッフが退院計画や退院支援を医療機関の
基本的な責務として認識し、チーム医療として取り組む必要がある。
当院は、地域の中核病院として位置し、当病棟は急性期疾患を主とした病棟である。入院患者は高齢者が多く、家
族の介護力不足や受け入れ困難等の問題から在院日数が延長する傾向にあった。
2013年9月より「退院支援計画書」の導入が開始され、患者・家族の意向に沿った多職種で関わる退院支援を始め
た。医師・看護師・コメディカルといった医療スタッフが連携を密にし、患者・家族にとっての質の高い退院支援が
求められている。そのためには、医療スタッフが高い意識や知識をもち多職種間での連携が必要である。しかし、退
院支援に関しては職種間の意識の違いや連携不足を感じていた。そこで、退院支援における職種間の意識や実態の違
いを明らかにし、退院支援における当院の現状と課題を知る。
Ⅱ目的
退院支援に関わる職種間の意識や実態の違いを明らかにし、現状と課題を知る。
[用語の定義]
・退院支援とは、患者・家族の療養生活上のニーズに応じて、退院後の療養生活を安定させるために、患者・家
族への教育・支援を行うこと
Ⅲ方法
L対象:当病院スタッフ199名(医師15名看護師133名コメデイカル51名)
ここで云う、コメデイカルとは薬剤師・栄養士・リハビリテーションスタッフ・地域連携室職員・放射線科・
事務職を示す。
2.研究期間:平成25年10月∼12月
3.調査方法:自記式アンケート調査。各部署に配布。各自記入後、部署単位での回収を行った。
4.調査内容:藤津')の先行研究を参考にアンケート調査票を作成。調査項目は①退院支援に関する意識(6項目)
②多職種との連携状況(12項目)③退院支援に関する知識・研修の参加状況(3項目)④属性等
­1­
5.分析方法:順序尺度4段階(非常にそう思う.ややそう思う.そうは思わない.全く思わない)で回答して
もらい職種別の集計を行う。「非常にそう思う」「ややそう思う」を肯定とした。
6.倫理的配慮
アンケート調査票には、研究目的・方法、公表の意図を記載した説明書をつけアンケート調査票の回収をも
って同意とした。アンケート調査票は無記名とした。研究発表後には記録物等は破棄し、電子某体のデーター
はすべて消去することを約束した。
Ⅳ結果
1.回収率:有効回答数167名(82.9%)
医師10名(66.6%)・看護師112名(84.2%)・コメデイカル43名(84.3%)
2.対象の属性
・研究対象者、平均年齢は40.95 10.55歳であった。
3.アンケート結果
1)退院支援に関する意識
「退院支援は必要である」や「多職種との連携が必要である」は、医師・看護師・コメデイカルすべての職種にお
いて肯定的であり、「全く思わない」と回答した人はいなかった。
2)多職種との連携状況
「退院支援カンファレンスが実施されている」は、医師60.0%・看護師86.6%・コメデイカル36.6%であり、「多
職種との退院支援カンファレンスの場が確保されている」は、医師70.0%・看護師74.1%・コメデイカル30.2%
といずれもコメディカルのカンファレンスの参加状況は低かった。また、「関連部署の多職種と患者の情報を共有
している」は、医師60.0%・看護師68.8%で患者の情報共有では医師・看護師共に60%以上を占めているが、コ
メデイカルは37.2%と低かった。「関連部署の多職種と共通する目標設定を行っている」では、医師20.0%・看
護師50.0%・コメデイカル20.0%と低く、退院支援を継続的に行えていないといった現状であった。
3)退院支援に関する知識・研修の参加状況
「退院支援に必要な知識がある」は、医師50.0%・看護師49.1%・コメデイカル29.3%で、「院内の退院支援マニ
ュアルを知っている」は医師10.0%・看護師。58.0%・コメデイカル26.8%が「非常にそう思う」「ややそう思う」
と答えた。また、「退院支援に関わる研修に参加したことがありますか」に「ある」と答えたのは医師0%・看護
師46.8%・コメデイカル9.8%で、いずれの職種も知識の不十分さは否定できない。
V考察
今回の調査結果を、意識・連携・知識の3つの視点で分析し、当病院の現状と課題を明らかにした。
意識面ではどの質問に対しても「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した人が、すべての職種で97%以上を
占めており「退院支援は必要」と意識していることが分かった。
連携面では、退院支援カンファレンスを実施し、個々による退院支援活動は行われていると考える。しかし、多職
種と行う目標設定や患者の問題を共有することについては、「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した人が、
全体の半数以下に減っており、退院を目指す患者の状態を共有化し医療チームによる退院支援を進めることにまでに
至っていない。退院支援は、多職種協働によって行われるチームアプローチであり、病院内外の専門職が知恵と力を
合わせて目標に向かって取り組む目標志向型アプローチであると示されている3)というように、複数の専門職が専門
性を発揮しながら医療機関全体で取り組むものだと考える。多職種間の連携を行っていくためには、共通認識を持っ
た退院支援の関わりを行っていく必要がある。意図的に患者家族の意向を聞き、多職種参加のカンファレンスの開催・
定着が必要と考える。
­2­
知識面では、退院支援の研修に参加した割合が少なく、退院支援への知識・関心不足が課題となる。看護師の知識
や支援内容に個人差があること、また、ケアに関わるスタッフが知識をもって同様な支援ができるように、スタッフ
への教育が求められる。
本研究によって、当病院職員に退院支援の重要性を認識してもらい、退院支援活動への参加ができるきっかけづく
りになればと期待する。
Ⅵ結論
アンケートの結果から以下の課題が明らかとなった。
・多職種参加のカンファレンス開催・定着に向けたシステムの構築。
・院内教育として退院支援の学習を行う。
・個々の知識を深め、患者・家族への統一した退院支援活動ができるようにする。
その課題解決に向けた方策を検討し取り組むことが当院の退院支援の質向上につながると考える
Ⅶ 引用 文献
1
巴
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2
』
ケ
尾崎裕也:看護職のための医療経営学講座、看護、60(9);58­61,2o08
永田智子:退院支援の発展一いつでもどこでも、安心してケアを受けられるために­,保健の科学、52
(5);323-326,201o
3
】
篠田道子:退院支援者に求められる役割と機能院内チームと地域連携システムづくりを中心に、地域
連携network,! (4) ; 5-10 ; 2008
Ⅷ参考文献
­医療機関の
1)藤濯まこと:医療機関の退院支援の質向上に向けた看護の在り方に関する研究(第1部)­
看護職者が取り組む退院支援の課題の明確化一岐阜県立看護大学紀要第12巻1号,2012
­3­
離島における肩関節サイレントマニピュレーションの経験
姫島国民健康保険診療所○匹田貴雅佐藤新平三浦源太
姫島村は大分県国東半島沖に位置する人口2400人余の離島である。島内唯一の医療
施設である診療所は16床の有床診療所であり3人の常勤医師がいる。
凍結肩とは、関節包の肥厚短縮を主病態とする疾患である。主症状は痩痛と可動域制
限で、中高年に多発することから"五十肩,,とも呼ばれてきたもののうちの1つである。
肩関節拘縮の定義は報告者によって様々であるが、自動・他動挙上角度が共に120度以
下の症例を肩関節拘縮と定義されている。一般的な疾患ではあるが肩関節拘縮に至った
患者は、長期にわたり夜間痛や強い動作時痛に悩まされ続ける。
肩関節拘縮に対する治療である従来の肩関節マニピュレーション(受動術)は、全身麻
酔下に強制挙上し、大きな音を伴いながら関節包を裂断させる手技である。一方、サイ
レントマニピュレーションは神経根ブロックした上で関節包に切れ目を入れ、徐々にそ
の切れ目を引き裂きながら静かに広げていく手技である。そのため、意識下にある患者
でも不安を られることなく手技が終了する。
今回、城東整形外科皆川洋至先生のもとで短期研修を行った後、数例のサイレントマ
二ピュレーションを離島診療所にて施行したので報告する。
­4­
廃用症候群における栄養状態とADL能力の関係
国東市民病院リハビリテーション科
●森麿尚久松本翼田口亨子神林佑磨江本智子
【目的】
廃用症候群患者に対するリハビリテーションを行っていく上で、栄養状態の把握
の必要性を感じ、今回栄養データとADLの関係性について検証を行った。
【方法】
平成24年8月∼平成25年1月、平成25年6月∼平成25年7月に当院に入
院し、内科にて廃用症候群で処方され、継続的にデータ(TTR)が得られた患者
を対象。リハビリ処方時の栄養状態で2群、リハビリ処方から2週間後の栄養動
態で2群に分別し、それぞれのBarthel Indexを検討した。
【結果】
栄養状態で分けた群では、BI平均値において有意な差が見られたが、BI変化率
は有意な差は認められなかった。栄養動態で分けた群では、BI平均値に有意な差
は見られなかったが、BI変化率は高い傾向が得られた。
【結論】
リハビリ処方時の栄養状態でADL能力の変化率を予測することは困難であるが、
栄養動態を観察していくことでADL能力の変化率を予測できる可能性が示唆され
た。栄養評価としてNSTへの積極的な介入を行っていき、効率・効果のあるリハ
ビリテーションを展開していきたい。
­5­
第34回大分県地域医療研究会演題
「高齢者が急変したら、その前の対応できてますか?」
新別府病院中村夏樹、奥山英策、甲斐亮太(MSW)
【はじめに】今後我が国は超高齢者社会となります。一方国の方針は急性期医
療後は回復期医、慢性期、介護施設、在宅といった方向を出しています。
高齢者が突然致死的な状況に陥った場合にどうすべきかはリビング・ウイルも
含めご家族、医療者が向き合わなければならない問題だと思います。
【症例】83歳、男性。【現病歴】特養ホームに入所中のかたでADLはベッド
上ほぼ寝たきりで、意思の疎通は困難。平成24年10月4日未明の午前5時
頃から、突然強直性の痘箪を繰り返すため当院ERへ救急搬送された。
【入院後経過】ER受診時の心電図は完全房室ブロック。繰り返す1 0秒以上持
続する洞停止によるアダムス・ストークス発作による意識消失と診断され妻に
説明をして体外式ペースメーカーを挿入した。後日恒久的ペースメーカーの植
え込みを予定したところ、娘夫婦から拒否された。娘夫婦、妻へ何度も説明を
するも植え込みを拒否し、流動食も拒否した。主治医は今後の治療継続に困難、
疑問を感じ当院臨床倫理委員会での検討を依頼した。院外の大学学長・弁護士
を含む委員会を開催し本事案について協議・検討・決定を行った。最終的には
ご家族の意向に沿う形で体外式ペースメーカーは挿入したまま、栄養補給もな
く11月1日に死亡確認。
【まとめ】医療者側とすれば虚しい対応を余儀なくされた。救命と延命、尊厳
死の理解に対する疑問。意思の疎通ができなかった患者様にとって尊厳ある死
ではなかったのではないか?。
­6­
東日本大震災被災石巻仮設住宅住民のうつ病スクリーニングについて一受診理由と継続
性についての一考察一
大分大学医学部附属地域医療学センター
渡辺大※、石井稔浩、塩田星児、上田貴威、加島尋、吉岩あおい、阿部航、野口剛、
白石憲男、宮崎英士(※大分大学医学部5年生)
東日本大震災から早3年が経過しようとしているが、被災住民や地域間で経済的・社会
的格差が拡大しつつある。なかでも自立が遅れがちな仮設住宅住民において「抑うつ・う
つ病」が数多く認められるようになってきた。
受診者のほとんどが被災者である石巻市立病院開成診療所の外来患者カルテ(平成24年
5月から平成25年6月の1年間分)から「抑うつ・うつ病」患者を抽出し、その受診動機・
治療継続性について検討した。
結果、「抑うつ・うつ病」患者群の最大受診動機は「転医希望」で17%であった。治療継
続性は、なんらかの持病のあるものが69%,持病のないものが45%の継続率であった。
最も多かった受診理由が「転医希望」であったことは、仮設住宅内で増加していると思
われる「抑うつ・うつ病」患者が、いままで通院していた医療機関で拾い上げられていな
かった可能性が示唆された。高血圧や糖尿病などの持病を持たない患者群の治療継続性が
低かったのは「抑うつ症・うつ病」に対する病識に乏しく、治療継続の必要性を理解でき
なかったことが原因と推察された。
地域のプライマリ・ケア医は被災地住民の診察において、「抑うつ・うつ病」を意識した
継続的医療を提供する必要がある。
­7­
ターミナル期の在宅家族支援∼家族心理に関する危機理論を用いた分析∼
杵築市山香訪問看護ステーション甲斐弘美
I.はじめに
高齢社会から2025年の超高齢社会を目前とし、将来的には在宅での看取りが増えると言われ
ているが、がん患者がターミナル期をどこで過ごすかは、本人・家族にとって重大な決定である。
今回の事例は、直腸癌で骨盤内転移した独居の高齢者である。入院・手術によりせん妄が出現
し、入院生活が困難になったことから家政婦との在宅生活を開始した。経過の中で訪問看護師は
家族の揺れ惑う思いを支え、最終的には本人の思いを尊重し在宅での看取りを決定できた事例で
あった。事例を通して看護の関わりを評価し今後の対応に生かすことを目的に、看護師の援助と家
族のバランス保持要因について危機理論を用いて分析したので報告する。
Ⅱ、事例紹介
A氏男 性T14年10月1日生まれ(障害高齢者の日常生活自立度J2)
家族構成一独居。妻は15年前に他界(子供は娘3人:キーパーソンは三女)
皿.病:歴及び看護経過
H 15年9月直腸癌手術(ボールマン2型中分化型線癌)
H22年10月再発ストーマ造設手術訪問看護開始一ストーマ管理・内服管理.入浴介助
H23年3月勝眺転移勝耽婁造設左腎痩造設せん妄にて家政婦導入
Ⅳ、方法
臨終期をアギュララ&メスイックの危機理論を使用して分析する
その中で均衡を回復させる働きをする三要因について考察する
V.結果
臨終期になると家政婦から急変時の不安の声が聞かれるようになった。家族は血尿・下血が続くこ
とで貧血になり食欲不振・熱発・痛みの増強などの諸症状に対して、死が迫っているという事を正し
く受け止めていた。しかし傍に24時間付き添えない事で在宅での看取りに跨曙し始めた。看護師
は家族の不安を察知し、医師との面談をコーディネートし本人の希望であった在宅での看取りを家
族全員で決めた。また心の準備が出来るように、状態の報告や予期悲嘆への援助・デスエデュケ
ーシヨンを意図して行った。家政婦に対しては、対処能力を見極め経験や知識を補えるように指導
した。また家政婦も大切な支援者であるため病状説明にも家族の同意のもと同席してもらった。主
治医や家族からも承認を得たことで家政婦の不安が軽減し家族とともに看取りをすることができた。
Ⅵ、考察
病状悪化により家政婦の不安が募り、ストレスによる危機状態に陥っていることを看護師が察知し、
介入を出来た事が家政婦の危機回避につながった。家族のストレスは日常のコミュニケーションを
通じて看護師が察知することができ、良い時期に介入できた。看護師が個々の対処能力を見極め
、経験や知識不足を補うことによりストレスコーピングを助けることで危機を回避する事ができる。患
者にかかわる全ての人がチームとなって支援することの重要性と、看護師はそのコーディネーター
であることを確認した。
­8­
▲
般
第
、
白
演
部
題
1
医療法人新生会高田中央病院の概要
へき地医療拠点病院
祷
皇
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へき地医療拠点病院におけそ
ものわすれ相談室の現状と課題
隣接耐
介溌付引
住宅型引
養腫老ノ
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医療法人新生会高田中央病院
○後藤聡言
率:3麺一・二­­̅ー­γ←一国三三弓­­一望
三
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(かかりつけ医、主治医)
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身体合併症で入院してくる認知症者画その家
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ものわすれ相談室の位置づけと活動の全体像
物忘れ外来の受診者数と受診状渦
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▲
認知症疾患医療センター
有料老人ホーム
認知症の人と家族の会
地域包括支援センター
診療:2回/月継続して通院している 患者数:234人
(麗知症看腹圏定看瞳師、認知症ケア専門士の資格羊
在宅支援部
・居宅事栗所
唖扇蓮穏室
4 月 4 月 5 月 6 月 7 月 7 月 8 月 8 月 9 月 9 月 1 0 月 10月11月11月12偶
2 W 4 W 2 W 2 W 2 W 4 W 2 W 4 W 2 W 4 W 2 W 4W2W4W4苧,
相談員・1名
ものわすれ相談室
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相談受けつけ状況(2013年4月∼12月)
三型二:蝋鰻
相談時間・10分∼60分/件
.1回∼3回/件
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相談場所・ものわすれ相談室
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・外来の相談室や待合い旨
・病室
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・家族会の会場
相談料金
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・無料
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・相談総数:233偶
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相談対象者が対象にしている人の
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相談窓口が成り立つ背景
今後の課髭
・病院や地域の協力
・顔の見える関係づくりの発展と継綿
・認知症のリスク因子の緩和、早期発見、治療に向けた活動
・活動による顔の見える関係作弓
1)「認知症の人と家族の会」への参加
2)「はつらつ健脚教室」「高齢者サロン」での
認知症予防教室(行政の依託)
3)地域包括支援センター、居宅事業所との協働
4)物忘れ外来での診療補助業務
①初回受診者の問診
②診察後の服薬、生活指導
5)病棟でのケア介入
6)外部講師の受託
画
・後進の育威
・ケアの質の向上
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私たちは、できないことに目が行きがち..
­10­
・大事なのは、言葉を
修正できないことではない
。この薬は忘れてはいけない
大事な薬と覚えていること。
当院における医療的ケアを要する児と在宅医療の現状
大分県立病院地域医療部兼小児科
長演明日香糸長伸能
大分県立病院看護部兼地域医療連携班
品川陽子
【はじめに】近年、救命技術の進歩にともない、医療機器、医療的ケアを必要とする子ど
もたちが増加している。このような中、重症心身障がい児施設はほぼ満床状態で、NICUや
小児科病棟において重症児の長期入院が常態化している現状があり、気管切開、人工呼吸
器装着といった医療依存度の高い児が、直接自宅退院する割合が年々増加してきた。しか
しながら、地域における小児在宅医療のための社会資源はほとんど整備されていない。こ
ういった現状を踏まえ、今回我々は、当院における医療的ケアを必要とする児と在宅医療
の現状について調査した。
【方法】外来主治医への聞き取りと診療録により在宅療養指導等の管理料を算定している
児を抽出し、個々のデータについては診療録の記載に基づき集計した。
【結果】現在当院において気管切開・在宅人工呼吸・経管栄養・在宅自己導尿・在宅中心
静脈栄養のいづれかを必要とする児は全部で68例だった。気管切開17例、そのうち在宅
人工呼吸管理を行っている児が8例だった。また、経管栄養を必要とする児が最も多く、
53例であり、そのうち32例は胃痩造設を行っていた。在宅自己導尿が9例、在宅中心静
脈栄養が3例だった。次に、これまで当院で訪問診療を利用しているまたは利用したこと
がある児についてまとめた。2歳∼24歳の16例で、このうち現在訪問診療を受けている児
が10例だった。NICU退院例では重症新生児仮死で寝たきりの児が2例、中枢性肺胞低換
気やミオパチーなどによる呼吸障害があり、気切・人工呼吸器を要するが、歩行は可能で
ある児が2例だった。小児科退院例は5例で、脳炎や重症頭部外傷、
水による低酸素性
脳症などで重度の寝たきりの児が4例、脳性麻痩児で加齢に伴い寝たきり、18歳で肺炎り
患後に気管切開、在宅人工呼吸を導入した児が1例だった。他県からの転入例が1例だっ
た。訪問診療を利用した児は全例が気管切開を施行しており、16例中11例(7割)が在宅
人工呼吸管理を行っていた。また、現在当院から訪問診療を依頼しているクリニックのう
ちわけは、訪問診療専門の内科クリニックが2軒、病院(内科)1軒、小児科クリニックが
1軒だった。
【結語】当院における医療的ケアを必要とする児と在宅医療の現状について調査した。全
体の1/4が、気管切開、人工呼吸器装着しており、医療依存度の高い児が多かった。現在訪
問診療を継続している児は10例だったが、7割が人工呼吸器装着していた。小児科医によ
る訪問診療は1例のみでその他は内科訪問診療医により行われていた。大分県内の小児の
訪問診療体制の充実が望まれる。
­11­
【演題】臨床データから血紫BNP(Brain Natriuretic Peptide)値を推測する試み
【所属】検査○斉藤めぐみ小野結香小俣健崎野正博橋本裕子野遥靖基,
国東市民病院検査科,同循環器内科。
【目的】血紫BNP値を臨床データにより推測し、心不全病態評価に役立てること
【方法・結果】心臓超音波検査を実施した250人(男110人、年齢78 12歳、心房細動36例)
を対象に、BNP常用対数変換値を従属変数、臨床要因を独立変数として重回帰分析モデノレを適応し
た。有意な独立変数は7ケ(下式中)で、重相関係数.775、決定係数.600o BNP常用対数の推測式
=3.17+(-.095 ヘモグロヒ.ン値)+(.013 左房径)+(.071 心室中隔壁厚) + (-. on 左室駆出
率)+(-.001 E波減速時間) + (-.099 僧帽弁輪部収縮期移動速度) +(.011 三尖弁位逆流圧較
差)。洞調律例の検討では、独立変数6ケにて重相関係数.788、決定係数.620を得た。
【考察・結論】複数の臨床要因を用いれば、強い相関をもって血紫BNP値を推測でき、心不全の
病態評価に有用であることが示唆された。
­12­
I.はじめに
退院後訪問調査で
・右視床出血により左片麻痩、感覚障害、高次脳
機能障害を呈する症例を担当した。
見えてきたもの
・独居生活に向けた退院支援を行う中で、転倒リスク
や生活全般に援助を要する等の課題あり。
∼独居生活を送る症例を通じて∼
社会福祉法人農協共済別府リハビリテーションセンター
回復期リハビリテーション部
。退院後訪問調査を実施し、入院中の介入を振り
返る中で、問題解決に向けたチームアプローチの
重要性や生活期における課題が見えてきたため
考察を踏まえ報告する。
作業療法士尾形諭香
Ⅲ、独居生活に向けた課題
Ⅱ.症例紹甜
70代女性右視床出血
既応歴:うっ血性心不全(浮腫、塩分・水分制限、運動制限)
退院時
入院時一一一
麻揮
(B侭stage)
重度
上肢Ⅱ、手指Ⅲ、下肢
中等属
上肢Ⅲ、手指、、下肢、
感覚障害
重度∼脱失
迩庶鈍味
高次脳機能 注意、記憶、病議低下
障害
基本動作
起居・移乗一部介ロ
/
①転倒リスク軽減
②服薬・塩分。飲水制限管理
注意、記憶、病識低下
起居∼移乗励作自三
③IADL動作
P
(リハ時)4点 歩行見守り∼軽介剛
A
D
L
食事以外部分介蹴
(車いす介助)
へ
二
一
》
吾
入浴以外車椅子使用し自重
Ⅳ、介入内容(入院中
Ⅳ、介入内容(入院中>
①転倒リスク軽減
■ADL動作練習(チームにて)
・注意喚起(張り紙etc)、危険予測への統一した声掛け
→入院中車いすにて入浴以外のADLは自立
②服薬・塩分.飲水制限管理
■記憶や注意機能へのリハビリ
■代償手段、環境調整
メモリーノート、服薬カレンダー、ペットボトル使用
■退院後の移動手段の提案
・歩行は蹟きやふらつきあり介助が必要
→在宅では車いすを提案
③IADL動作練習(車いす使用)
■電子レンジ操作ex
■冷蔵庫の開閉ex
■洗濯機操作ex
■米とぎ、皿洗いetc
■退院後のトイレ動作の提案
・日中:車いす使用
・夜間:ポータブルトイレ使用(眠剤服用のため)
■環境調整(病棟、在宅)
­13­
一/
V.退院後訪問結果
①転倒リスク(移動手段》
退院前
①転倒リスク(トイレ》
退院前
車いすを提案
、
退院後
日中4脚
歩行自立
IADL動作時は車いす使用
趣
安全に動作可能
③1ADL(調理》
②服薬。塩分。飲水制限
退院前
退 院筏
退院前
,メモリーノート活用
・メモリーノーI
:記載忘れあり
退院後
出来事も記嚇
・服薬カレンダー自身でセット
・ヘットボトル使用し自己管理
・服薬カレンダー
1週間分のセット介助
震
電子レンジ操作、冷蔵庫開閉、立位蓋動見守り
ヘルパーを利用し自己管理可能
ヘルパーが鯛理し
冷蔵庫へ保存
冷蔵庫からの
材料国逮(生協)出し入れ
電子レンジで
温める
服薬忘れあし
・ヘットボトル使用し自己管理
『
=サービス、家族の確認蔓
=
峻且り
安全に動作可能
安全に自己管理可能
③IADL(洗濯>
退院前
退院後訪問鯛蓑結果よりⅥ結
. 果感考察
退院後
購職縦r
・トラム式洗濯機操作
・洗濯物を運ぶ、立位で洗剤を
本人の意志に伴った活動
自立
入れる動作は見守りが必要
一
且
=
立位で洗剤をいれる
乾燥する
「ポータブルトイレは使いたくない
恩
くらし百
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DL
危険麗繊
向上
車椅子で洗濯物を運ぶ
「歩きたい.
自身でたたみ、収納
­
A
DL
ADL
ADL
リスク
管理
安全に動作可能
独居嬉活=本人の意志
危険麗微への関わり
本人にとって意味のある活動の提案
可能性を最大限に引き出す関わり
頓を利かせた対応
入院生活=スタッフ
9基、l嵐Z9園PT師BTU■含nIIo唖定先生重置頁料ょ
­14­
Ⅵ、結果・考察
生活全般は入院時に比べ向上していた
<メモリーノートの内容より>
へ
「足の動きが悪い、重い」
「自分はこのままの生活でよいのか」
「夜寂しい』
「今日は日曜で雄も来ない」
デイサービス以外は「どこにも出かけていない」
本人の意志・行動
『
1
本人の独居生活を支える生活基盤をつくることができた
一
騒
議
チームアプローチ
⑳-⑬
Z3B1■2⑧輔師TOT訂画■食嚢村敏■p弓唾五面胸より
ご清聴ありがとうございました
­15­
『当院における誤礁性肺炎についての臨床的検討』
杵築市立山香病院内科土師恵
【背景】H24年度,わが国の死因第3位は肺炎である.特に高齢者における誤嘩性肺炎が近年
増加している.杵築市は人口における65歳以上の割合は32.6%(県平均27.6%),75歳以上の
割合は19.5%(県平均14鱈9%)と,いずれも県平均を上回っている(H24年度).
【目的】誤嘩性肺炎のため入院した患者の臨床的特徴を検討し,今後の診療に活用する.
【対象】H24年度(H24年4月1日∼H25年3月31日)入院時に肺炎と診断され,下記の
診断基準に該当したすべての症例.
誤嘩性肺疾患(誤嘩性肺炎)の臨床診断基準
(礁下性肺疾患研究会:嘩下性肺疾患の診断と治療,2003)
I.確実例
A明らかな誤礁が直接確認され、それに引き続き肺炎を発症した症例
B肺炎例で気道より誤礁内容が吸引等で確認された症例
肺炎の診断は、次の①、②を満たす症例とする。
①胸部し線または胸部CT上で肺胞性陰影(浸潤影)を認める
②37.5℃以上の発熱、CRPの異常高値、末梢白血球数9000/ uL以上の増加、嬉疲など気
道症状のいずれか2つ以上存在する場合
Ⅱ.ほぼ確実例
A臨床的に飲食に伴ってむせなどの嘩下障害を反復して認め、上記①および②の肺炎の診
断基準を満たす症例
B
IのAまたはBに該当する症例で肺炎の診断基準のいずれか一方のみを満たす症例
Ⅲ.疑い例
A臨床的に誤嘩や嘩下機能障害の可能性をもつ以下の基礎病態ないし疾患を有し、肺炎の
診断基準①または②を満たす症例
a .陳旧性ないし急性の脳血管障害
b・嘩下障害をきたしうる変性性神経疾患または神経筋疾患
c・意識障害や高度の痴呆
d.堰吐や逆流性食道炎をきたしうる消化器疾患(胃切除後も含む)
e、口腔咽頭,縦隔腫傷およびその術後。気管食道摸
f.気管切開
g、経鼻管による経管栄養
h.その他の礁下障害をきたす基礎疾患
【方法】対象となる全症例について下記項目を検討した。
① 年 齢 ② 食 事 形 態 ③ 介 護 度 ④ 基 礎 疾 患 ⑤ 入 院 時 所 見 [ アルブ ミ ン ( A l b ) 、 C R P 、
体温、WBC]⑥嬉疲培養⑦抗生剤⑧予後(死亡、軽快)
­16­
【患者背景】症例:72例(男性40例、女性32例)年齢:平均年齢86.1 8.0才
食事形態:経口摂取59例,経鼻胃管4例,胃痩9例
介護度:なし4例,要支援1:1例,要介護1:2例,要介護2:12例,要介護3:9例,要介護4:10例一
要介護5:31例,未記載3例
基礎疾患:脳血管障害35例,認知症28例,大 骨骨折14例,心不全12例等
入院前住居:施設52例,自宅18例,他院2例
曙疾培養の比較
抗生剤の比較
死亡群ではnormal側・応{常在菌)以外の菌が多い印象であった
耐性菌の検出はほと入超見られなかった.
抗生剤について,死亡群と軽快群で差は見られなかった.
主に使用されている抗生剤はSBT/ABPC(ユナシン5), MEPM (メ
ロベン),CTRX(ロセフイン),C20P(ファーストシン)であった.
【結果】死亡群(14例)と軽'決群(58例)で比較すると, Alb, CRP,体温において有意差が認
められる.白血球値では有意差はないものの,死亡群で低い傾向あり(p=0.052) .年齢,介護
度,食事形態について,有意差は認められなかった.今回得られた結果で,発症前に介入でき
る因子としてAlbが挙げられた.
【考察】高齢者の誤礁性肺炎を検討した複数の文献においても,低Alb血症が予後因子とし
て挙げられている1),2),3).Albは肝臓で合成されるたんぱく質であり,半減期18-20日間であ
る.栄養状態の指標として評価されている4),5).低栄養状態は免疫機能を低下させるため,感
染症増悪のリスクであり,確患するリスクでもある6).総リンパ球数は,低栄養の指標でもあ
り,免疫機能の低下も評価できる3).その他,栄養状態の評価方法は計測値として上腕筋周囲
長(筋量の指標),上腕三頭筋皮下脂肪厚脂肪量の指標)がある3).
今回の検討および先行研究において,低栄養状態が増悪に関与していた.また今回,胃痩だ
からという理由で増悪してはいない.食事形態でなく栄養状態を保つことが大切であると考
えられた.誤I照予防効果のあるACE-I,プレタール,アマンタジン等を投与.誤嘩を起こしやす
くなる薬剤の中止を検討する.薬剤以外には,口腔ケア,カプサイシンの使用が挙げられる.
今後介入する方法として,1礁下障害のある患者の,低栄養状態を早期に発見し,発症前から礁
下リハビリテーション,食事形態の変更(胃痩との併用)や補助食品の検討をすることが考
えられた.
【嘩下リハビリテーション】誤嘩性肺炎患者の減少や死亡する患者を減らすことを目的に
山香病院では礁下チームが発足した.NsやSTによる礁下評価,医師による礁下内視鏡/嘩下
造影検査を行い,効果的なリハビリテーションを行えるように,チーム作りを開始している.
【結語】H24年度に当院で加療した誤礁'性肺炎について検討した.予後と有意に関連してし
­17­
た因子はAlb、CRP、体温であった.Alb値は,礁下障害のある患者に対して,栄養療法の導入
を考慮する簡便な指標になり,発症前からの介入が可能であると思われた.礁下チームを発
足し,今後よりよい医療を提供できるように努力していきたい.
【参考文献】
1)後期高齢者誤嘩性肺炎の臨床的特徴小野博美ら日本化学療法学会雑誌2005
2)施設における誤嘩性肺炎・気道感染症発症の関連要因の検討桑濯実希らDental
Medicine Research 2011
3)高齢者の栄養評価と低栄養の対策
谷雅文日老医誌2003
4)ハリソン内科学第4版
5)静脈経腸栄養ガイドライン
6) Ageing and infection・Gavazzi G, Krause KH・Lancet Infect Dis、2002
­18­
癌ターミナル患者の在宅看取りを振り返って
豊後大野市民病院
すこやか訪問看護ステーション
山形美代
1はじめに
度々、TELで医師の指示を受けた。休日で主治医出張
当すこやか訪問看護ステーションは、スタッフ
の中、夜間になり、なかなか痛みのコントロールがで
4名で運営しており、現在患者数が約70名、平
きないことより、当番医師より、「入院はどうか?」
均年齢84歳、癌ターミナル患者を月平均2∼3名
と再確認するよう訪問看護に依頼があったが、本人は
「入院はしない!」と必死に痛みに耐えていた。家族
訪問している。
在宅看取り件数は、H24年3件、うち癌ターミ
も「お父さんの思うようにします」と決断した。当番
ナル患者2名であったが、H25年は7件、うち癌
ターミナル患者4件であった。在宅で最期まで過
医へ状況を話し、家族の望むよう点滴や痛みコントロ
ールの指示を依頼した。家族へは、「お父さんの体を
ごしたいと希望される癌ターミナルの患者は増
さすってあげてください」と伝えた。タバコの大好き
えているが、一方、在宅では充分な痩痛コントロ
ールができない、また介護者の負担が大きいなど、
な患者だったので長女が喫煙の介助をしたり、座薬の
挿虹をしたり、在宅でないとできないことをそれぞれ
在宅看取りに困難さを感じている。
行ってくれた。翌朝、「呼吸が止まったようです」と
今回、H25年の在宅看取りができた癌ターミナ
長女から訪問看護にTELがあり、駆けつけた。
ル患者のうち、訪問期間が3日間の事例Aと約6
数日後、グリーフケアに訪問すると、子供達、妻と
ヶ月間の事例Bを振り返り、在宅看取りができた
もに「最期まで本人の望むように家で過ごせてよかっ
要因を明らかにすることで今後の課題を考察し
た。訪問看護師さんがいてくれたからできた…」と言
た
。
ってくれた。
この事例を振り返り、在宅看取りができた要因を以
2事例紹介
下のように考察した。
1)事例A
67歳男性、癌性腹膜炎の患者。妻と長男との3人暮
(1)本人が「最期まで在宅にいる」と強い意志を示し、
家族も本人の気持ちを尊重したこと。
らしだが、日中は妻とふたりきりだった。入院中、告
知を受け本人が「家で最期まで過ごしたい」と強く希
(2)家族が希望する医療処置(点滴など)をできる限
望され退院となった。家族(長男・長女・次女・妻)
り行うことで「病院と同じようにしてもらえてい
も「本人の思うようにしてあげたい」と希望したが、
る」という家族の満足感ができたこと。
「これからどうなるのだろう」「日中は二人きりで不
(3)家族が患者のためにできること(マッサージ・座
安…」という思いがあった。退院数日後、外来で医師
薬の挿H工など)行ってもらうことで、「精一杯介護
に不安な思いを相談し、訪問看護が導入された。
ができた」、という思いに変化できたこと。
訪問すると、立ち上がるのも困難なのに、ベッドも
しかし、入院中に退院支援が出来ていれば、訪問看
なくトイレに痛みをこらえながらやっと行っている
護の早期導入・多職種で協働することにより、もう少
状態で、痛みのために時々せん妄状態で妻は不安でオ
し早く患者・家族の苦痛や不安の軽減ができたのでは
ロオロしている状況であった。介護認定も受けておら
ないかという心残り感があった。
ず、サービスも全く導入されてなかった。
2)事例B
79才男性、髄膜腫、肺転移の患者。妻と長男夫婦、
そこで、医師に痛みの状況を報告し、麻薬の増量の
指示をもらった。ケアマネジャーを探し、すぐにベッ
孫の6人暮らし。
本人が「家で過ごしたい。早く退院したい」と希望
ドの設置など依頼し、療養環境の整備を行った。
訪問開始2∼3日目も痛みの増悪でせん妄状態続き、
妻より頻回に訪問看護にTELあり、緊急訪問を行い、
され、家族も、本人の思うようにしてあげたいが、日
中は妻とふたりきり、夜も介護はほとんど妻が行うた
­19­
め不安が大きかった。入院中に多職種カンファレンス
てくれたからできた」と言ってくれた。
を、病棟看護師・医師・ケアマネジヤー・訪問看護師・
家族で行った。環境が整ってから数日後、退院となっ
3まとめ
H25年に在宅看取りができた癌ターミナル患者2
た
。
退院後すぐに多職種で関わり、ケアマネジヤー、福
事例より、在宅看取りに大切な今後の課題を以下のよ
祉用具担当者にて介護ベッド・ポータブルトイレなど
うにまとめた。
住宅環境の整備、訪問看護師による身体の保清や排便
1)退院前に多職種で退院支援を行い、また病状の変
コントロール・HOTの指導、また家族へターミナル
化に伴い、多職種で安心できる在宅生活を支援す
患者のパンフレットによる介護指導を行った。患者は
ること。
「頭が痛い。息が苦しい」などの痩痛が出現していっ
た。妻より頻回のTELあり、訪問看護師は24時間体
2)早期に訪問看護導入し、医師と連携してタイムリ
ーに嬉痛緩和や患者・家族の不安の軽減に努めるこ
制で頻回の訪問やTEL対応を行い、患者・家族の不
安の緩和に努めた。また、医師に報告・相談すること
と
。
3)患者・家族の望むできる限りの医療処置など配慮
で医師は、タイムリーに麻薬などの調節を検討し、病
し、悔いのない介護ができる支援を行うこと。
状の変化に伴い家族への病状説明や頻回の往診も行
った。介護が長期になり、妻の介護疲れ増強時、レス
国
一
幻
パイト入院の検討なども行った。
おわりに
私たち訪問看護師は、「本人が望む場所で最難
退院当初は、「いよいよ状態が悪くなれば入院させ
を迎えさせてあげたい」「本人・家族の苦痛・不
てもらわないと…私もきつい」と妻は言っていた。し
かし2∼3ケ月後、患者が痛み増強時「救急車を呼べ」
安を最小限に緩和してあげたい」という思いでタ
ーミナル患者に臨んでいる。しかし、症状緩和が
と言っても「病院に行ったらもう帰れないよ。痛み止
できないとき、介護者の負担が大きいときなど、
めを飲んだらすぐに治まるよ」「入院したら病院で私
在宅なのか.もう病院を選んだほうが良いのか、
を呼んでもいないかもしれない。寂しい思いをさせた
私たちはどのような対応で臨めば良いのか、その
くない。できるだけ私が家で看てあげたい」という思
狭間で
いに変化していった。深夜、穏やかに家族で看取るこ
ている現状である。訪問看護師として、 患者・
とができ、「大好きな孫が傍にいて良かった」と言っ
家族の思いに、心込めて寄り添っていくこと を
ていた。
を何より大切にしていきたい。
この事例を振り返り、在宅看取りができた要因を以
下のように考察した。
(1)退院時、多職種でカンファレンスを行い生活環境
を整えて退院したこと、また病状の変化に伴い多
職種で家族の負担を軽減するための検討を行い、
支援したこと。
(2)医療者が病状変化に伴い説明・往診・麻薬の調節。
24時間対応などタイムリーに行ったこと。
以上のことより、私たちと繋がっているという患
者・家族の安心感が妻の思いを変化していくことがで
きたと考える。
グリーフケアにて「亡くなる前日まで夫婦で会話で
きた。ありがとうと言ってくれた。今でもそこにお父
さんがいるような気がして話しかけている。最期まで
家で看ることができて良かった。看護師さんたちがい
­20­
藤しながら癌ターミナル患者に関わっ
特
別
講
演
おおい町国保名田庄診療所所長/自治医科大学地域医療学
中村
伸
­
先生
臨床教授
地域に 寄りそ医"20年
∼地域住民と診療所医師の強くて温かい紳の物語∼
おおい町国保名田庄診療所所長
自治医科大学地域医療学臨床教授
中 村 伸 一
平成3年、卒後3年目の春に、はじめて名田庄診療所に赴任しました。当初、外科医を目指し
ていた私は、大病院にいる同期の医師から遅れをとることを焦り、自分一人で何もかも診察しな
ければならないへき地診療所での仕事に不安を感じていました。
足が不自由で片足を引きずりながら「リハビリだよ」と言い、診療所へ1時間以上かけて通っ
てくれた高齢の男性。自分の処方で治らなかった難治性湿疹を皮膚科に通い治った後で受診して
「先生、今度からこの薬を出すといいよ」と教えてくれた初老の女性。自分のような若造を医師
として頼りにしてくれたり、医師として育ててくれたりする村の人を診ているうちに、自分自身
の気持ちに変化が現れました。「外科医になるには、ここにいては遅れをとってしまう」という
考えに支配されていたのが、「この人たちのために医師として何ができるのか」と考えるように
なり、そのうちに「自分がこの村を支えるんだ!』という強い思いを抱くようになりました。
「小さな診療所ではできないこと」はたくさんありますが、それを言い訳にせず、「小さな診
療所だからこそできること」を探していきました。そうしているうちに、当地域は「家で最期を
迎えたい」と望む高齢者がほとんどで、家族もそれを支えたいと思っていることに気づきました。
平成3年10月、その思いに応えようと、診療所、役場住民福祉課、社会福祉協議会の全職員
からなる「健康と福祉を考える会」を結成して保健・医療・福祉の連携を進め、ボランティアを
中心とした住民も巻き込んでいきました。
デイサービスの開始、訪問看護を中心とした多職種による訪問調整、事例検討会、健康祭や在
宅ケア講座の開催等、つぎつぎと事業を展開していくうちに、職員もボランティアもいっしょに
活動する「場」がほしいと考えるようになりました。
平成8年、保健医療福祉の総合施設を建設するための「福祉の森検討委員会」を立ち上げ、村
長の後押しで基本構想、基本設計の段階から、職員も住民も参加しました。
平成11年、国保診療所と国保総合保健施設が一体化した「あつとほ∼むいきいき館」が完成
し、ソフト・ハードともに地域を支える基盤ができました。同時に、医師2名体制とし、私は診
療所長と保健福祉課長を兼任することで、保健医療福祉の統合ができました。
平成12年度からの介護保険制度の開始の前後では、課長として住民対象の説明会を何度も開
き、議会対応も前面に立つことで、スムーズに導入することができました。
そうこうするうちに、私たちの活動が数値として、現れるようになりました。私が赴任してか
ら町村合併するまでの15年間(平成3∼17年度)における名田庄村の在宅死亡率は約42%
でした。また、名田庄村の国保医療費地域差指数や老人医療費、第1号介護保険料を福井県内で
最も低いランクに抑えることができました。
平成15年度からの3年間、現在の特定保健指導の元となった厚労省の国保へルスアップモデ
ル事業に取り組みました。様々な健康づくり事業を展開しましたが、その中でも携帯電話を用い
た「I T介入」は国からも注目され、平成1 9年度の厚生労働白書に掲載されました。また、当
地域の高齢者には、田畑でよく働き、近所同士が助け合って、自給自足をよしとする地域特有の
伝統的な「生活習慣力」があり、これが健康につながっている可能性が示唆されました。
平成17年度から、前年度に開始された新医師臨床研修制度による地域保健・医療研修の研修
­21­
医を4週間コースで受け入れるようになりました。研修医と私は毎日メールのやり取りをし、こ
のやりとりは当診療所のスタッフや臨床研修指定病院の研修担当医にも送っています。概ね評判
がよかったのか、初年度こそ3名でしたが、徐々に研修医は増えました。平成23年度には17
名が集まり、ほぼ年間を通じて研修医がいるようになっています。
ただし、いいことばかりではありません。
一度、非典型的な症状を呈したクモ膜下出血を見逃してしまいました。クモ膜下出血の典型例
は突然起きる激しい頭痛ですが、この方は肩の痛みを訴えていたので、判断しにくかったのです。
しかし、結果的にクモ膜下出血を見抜けなかったことは間違いないありません。このときは医者
をやめるか、そうでなくてもこの土地を去らなければならないと思いつめていました。手術後、
幸い後遺症もなく回復しましたが、まだどうなるかわからない救急搬送直後の時点で、患者の親
戚の方から「一所懸命やっていてもうまくいかないことは、だれにでもある。先生、お互い様や」
と言われたことは一生忘れられない言葉となりました。
また、平成15年、私は「特発I性頭蓋内圧低下症による慢性硬膜下血腫」を患い、約2ヶ月間、
仕事を休みました。このことを知った住民は、だれが言い出したわけでもなく、コンビニ受診を
控えるようになりました。平成14年度に1098件あった時間外・休日診療は、平成15年度
以降は120件前後に激減しています。いわゆる「共有地の悲劇」を住民は自然に回避している
ことになります。
若い頃は、自分が地域を支えているつもりでした。誤診を許され、コンビニ受診も控えてもら
った私は、地域に育てられ地域から支えられてきたのです。
ここ4∼5年、「医療崩壊」という言葉が、マスコミで頻繁にみかけるようになりました。そ
の根底には、患者側と医療者側の相互不信があると思うのです。相互不信という大きな溝のあち
らとこちらで、互いが勝手な言い分を言い合っていては、その溝は埋まりません。患者も医療者
も「お互い様」の心を持った相互信頼のもとに、医療という限られた公共財を守り、支えあうこ
とが大切ではないでしょうか
くプロフィール>
平成元年
平成3年
平成8年
平成1 0年
平成11年
平成12年
平成21年
自治医科大学卒業
福井県立病院・診療部(スーパーローテイト研修
国保名田庄診療所所長
福井県立病院・外科
国保名田庄診療所所長
あつとほ∼むいきいき館ジェネラルマネジャー
全国国保診療施設協議会理事
自治医科大学地域医療学臨床講師
自治医科大学地域医療学臨床教授
平成元年に自治医科大学を卒業。平成3年に福井県庁からの派遣で旧名田庄村に赴任、
国保名田庄診療所の所長となる。以降、福井県立病院での後期研修2年間を除いて、
名田庄地区で唯一の医療機関の医師として地域医療を支え、幅広い領域に一人で対応
している。
保健・医療・福祉の連携で旧名田庄村の老人医療費や第1号介護保険料を福井県内で最も
低いランクに抑えることを実現した。同地域の在宅死亡率は約4割であった。
現在、保健医療福祉総合施設 あつとほ∼むいきいき館 のジェネラルマネージャーや
全国国保診療施設協議会理事、自治医科大学地域医療学臨床教授を兼任する。
平成21年、『プロフェッショナル仕事の流儀』(N H K)に出演。共同執筆した本邦初の
地域医療の教科書『地域医療テキスト』(医学書院)が出版された。『プロフェッショナル
仕事の流儀コミック版・医療の現場に立つ者たち』(イーストプレス)が出版された。
平成22年6月、初の単著『自宅で大往生一「ええ人生やった」と言うために』(中公新書
ラクレ)を刊行。平成23年8月、『寄りそ医一支えあう住民と医師の物語』(メディア
ファクトリー)を刊行。平成24年9月、『ドロクター』(NH K-BSプレミアム)放映。
平成25年2月、『サヨナラの準備』(メディアファクトリー)を刊行。
­22­
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自宅で大往生
寄りそ医
∼支えあう住民と医師の物語∼
∼「ええ人生やった」と言うために∼
中公新書ラクレ¥798
自宅で逝くためには何が必要か?家が持つ不思議な
力とは? 神の手系医師,,ではない普通の総合医が
住民の日常生活をサポートしながら、在宅で看取る
様子を綴ったエピソードを収載
の
準
備
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ョ
ナ
ラ
メ デイ ア フ アク ト リ ー ¥ 1 , 3 6 5
地域医療再生の突破口は必ずある1
­人の医師が2 0年間地域と歩み、保健、医療、
福祉、行政を変え、地域がかわっていく様子を
描いたノンフィクション
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孤独死も、腹を
くくれば大往生.'
中村催ユ職…け"属…わ…徴
簿 ,@
m大往生スペシャリスト"の対憧〆睦きて逝くノート』付き
朗らかに!今すぐ始めるサヨナラの準備
メ ディア フ ァ ク ト リ ー ¥ 1 . 2 6 0
ベストセラー『大往生したけりや医療とかかわるな』の著者と、『自宅で大往生』の著者が
白熱の対論で、だれもが実行できる「サヨナラの7つの準備」を解説。家族が倒れたとき、
どう対処すればいいか一・自分が倒れたとき、どのようにして欲しいか­。大量死時代を
目前にし、「サヨナラの準備」は、現代日本人必須の新マナー!看取る場合と、逝く場合の
心構えをていねいに解説。簡易エンディングノートの「生きて逝くノート」付き。
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全国で働く職員は約7000人。
北は北海道から南は沖縄まで、全国の運営漉受のネットワークを活用した人事交流も盛んです。
また、米国のThomas Jefferson大学や、オレゴン健康科学大学、ハワイ大学での海外研修(全職種対象)も始まり、職員の教育に警
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施設運営事業
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