今日の問題 • 教育年数が選択できる場合 – 高生産性タイプがx年教育を受ける分離均衡が あるとき、誘因整合性の条件をもとめ、xの満た す条件を求めなさい。 – 分離均衡の中で、教育年数の最小値を求めなさ い。 – 分離均衡と、一括均衡を比較しなさい。 解答例(1) • 高生産性タイプがx年教育を受ける分離均衡 – 低生産性タイプ: • 高給料をもらっても、教育を受けるのは引き合わない • H-Dx≤L – 高生産性タイプ: • 教育を受けて高給料をもらうほうが得 • H-Cx≥L – 教育年数の幅 – ≤ ≤ 解答例(2) 賃金 企業の戦略 x年以上教育を受けていればH そうでなければL H L 教育年数 1 解答例(3) 賃金 H L 教育年数 解答例(4) 賃金 H pH+(1-p)L L 教育年数 広告 • 広告(Advertisement): – 商品などの情報を伝達 – ブランドイメージの向上 – シグナリング? • 豪華で、費用のかかった広告 – 何の広告なのかよくわからない • 情報伝達としては不十分 – ブランドイメージの向上 • 消費者は単純? 2 シグナリングとしての広告 • 費用のかかる広告 – 商品の品質に自信を持っていることのシグナル • 品質に自信がない場合 – 売れるかどうかわからない – → 無駄な広告はしない • 品質に自信がある場合 – お金をかけても品質がよいので売れる 広告のモデル • 車の販売広告のモデル – タイプ=販売する車の品質 よい 確率 p 悪い 確率 (1-p) – – シグナル=試乗の広告 – 消費者が試乗した場合 よい車 確率 a で販売できる – 悪い車 確率 b で販売できる – – 広告の費用=C 販売の利益=R 外部機会=S シグナルとしての広告(1) 試乗 広告 品質良 しない 確率p aR-C S 消費者 しない 自然 確率(1-p) 広告 消費者 試乗 品質不良 bR S しない しない 3 シグナルとしての広告(2) • 広告がシグナルとして機能 – 品質良 → 広告 – 品質不良 → 広告しない • 誘因整合性の条件 分離均衡 – 品質のよい車 広告して試乗してもらう – aR-C≧S – 品質のよくない車 真似をしても割に合わない – bR-C≦S 参入阻止価格 • 参入阻止価格(Limit pricing): – 参入を阻止するため製品価格を低くすること • 参入阻止価格はカラ脅し? – たとえ低い価格をつけていても参入を阻止できな ければ、複占価格をつけるべき – 参入後も低い価格が続くと考えるのは、から脅し が成功する場合 – → 部分ゲーム完全均衡ではない – なぜ現実には、参入阻止価格はあるのか? シグナルとしての低価格 • 参入阻止モデル – タイプ 既存企業(独占) – – シグナル 低価格 高価格 – – 潜在的参入企業の行動 – 高費用 確率 p 低費用 確率 (1-p) 参入 参入しない • 既存企業が高費用タイプのときだけ、参入で利益 • 低費用タイプの場合は、参入すると損失 4 参入阻止モデル • 2期間にわたるゲーム – 第1期 • 既存(独占)企業が価格を設定 – 第1期末 • 参入企業が価格を観察し • 観察した価格に基づいて、参入・不参入を決定 – 第2期 • 参入がなければ、既存企業は独占を維持 • 参入があれば複占 情報の非対称性がない場合 • 既存企業 – 高費用タイプ 独占価格 複占価格 – 低費用タイプ 独占価格 独占価格 • 新規参入企業 – 既存企業が高費用タイプなら参入 • 相手が高費用タイプなら、参入して利益 – 既存企業が低費用タイプなら参入しない • 相手が低費用タイプなら、参入すると損失 情報の非対称性 • 既存企業 – 第1期の価格を、費用タイプのシグナル • 参入企業 – 第1期の価格を受けて、既存企業のタイプを推測 – その信念のもとで、参入・不参入を決定 5 参入阻止ゲーム 参入 参入阻止価格、複占 低価格 低費用 しない 確率p 参入阻止価格、独占 新企業 高価格 自然 確率(1-p) 低価格 新企業 独占、複占 参入 高費用 高価格 独占、独占 しない シグナルとしての低価格 • 低価格が参入を阻止(分離均衡) – 低費用タイプ → 低価格で参入阻止 – 高費用タイプ → 高価格で阻止できない • 誘因整合性の条件 – 高費用タイプ – → 参入を阻止できても価格が低すぎ – 低費用タイプ – → 低価格で参入を阻止したほうがよい 参入阻止価格の水準 • 参入阻止価格はどのぐらい低いのか? – 低費用タイプの独占価格 – < 高費用タイプの独占価格 – 参入阻止価格は、独占価格でよいのか? • 誘因整合性 – 低費用タイプの独占価格は、高費用タイプに真 似される恐れ – → 独占価格より低い価格 – → シグナリングの費用 6 分離均衡 • 既存企業は参入阻止価格をつけるが、新規 参入企業は正確に既存企業のタイプを見分 けることができる • 新規参入企業に見破られるにもかかわらず、 既存企業は参入阻止価格をつける • 情報の非対称性がない場合と比較すると、参 入パターンは変わらないが、価格は低下 一括均衡 • 一括均衡ではあるが、参入阻止価格 – 参入企業の期待収益がマイナス • 既存企業が確実に高費用タイプのときだけ利益 – 低費用タイプ 独占価格 – 高費用タイプ 低費用タイプの独占価格 • 一括均衡の特徴 – 常に参入を阻止 – 高費用タイプが参入阻止価格 – 情報が対称的な場合と比較すると、参入パターン、 価格ともに変化 さまざまなシグナリング • 社会におけるシグナリング – 銀行やデパートの立派な建物 – 名前入りの皿やコップを使う – → 長期のビジネスのシグナル 7 生物界でのシグナル • 孔雀のオスの羽 – 目立つので、外的に襲われやすい – → 費用が高い – 「逃げる体力がある」ことのシグナル 体力がある=生存の可能性 – – → 生き延びる子供 – → メスにアピール 今日の問題 8
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