ASEANオープンファンド関連情報

【 ASEANオープンファンド関連情報 】
★ASEAN共同体31日発足 6億人巨大経済圏、統合阻む格差
東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国を「経済」「政治・安全保障」「社会・文化」の3分野で統合す
るASEAN共同体が31日、発足する。その柱が、ASEAN経済共同体(AEC)だ。6億人の単一市場
の誕生で、地域経済の成長加速が期待される。一方、加盟国間には経済規模や発展度合いで大きな格差が横た
わり、結束を試される状況が続く。
◆関税撤廃進む◆
ASEAN事務局が11月に発表した、2015年末の達成を目指した経済統合に関する工程表の進捗(し
んちょく)率は、目標の約8割がすでに実施済み。特に域内関税撤廃は進展し、先行6カ国では99%、後進
4カ国も90%が撤廃済みで、18年までに原則撤廃を目指す。もっともAECは、欧州連合(EU)型の経
済統合は掲げていない。共通通貨や関税同盟などは工程表になく、目指すのは「単一市場と生産基地」で、「共
同体」というより「巨大な自由経済圏」が実態だ。そのため、人の移動の自由化や熟練・技能人材の域内流動、
資本移動では自国産業保護の参入規制などの面で、多くの障壁が残る。
◆GDP差52倍◆
中途半端な“統合”の背景には、「小国が大国にのみ込まれる」との強い懸念がある。例えば、シンガポール
の貿易額はラオスの約67倍、シンガポールの1人あたりの国内総生産(GDP)はカンボジアの約52倍と、
大きな開きがある。このため、AEC発足に伴い示された工程表には、これまで同様、投資や人の移動などの
自由化が盛り込まれたものの、段階的な達成期限は今回、明記されなかった。
見通しが立ちにくい域内経済統合には、加盟国の市民も期待と不安を抱いている。シンガポールの英字紙ス
トレーツ・タイムズが、10月下旬から12月初旬にかけ、加盟10カ国で実施したアンケートでは、AEC
創設でASEANの国際競争力が高まると思うとの回答は77・7%だったが、生活が良くなると回答したの
は49・6%にとどまった。
域内で最もインフラや法律が整備されたシンガポールで、10~14年に地域統括機能を設置した日系企業
は36社と、05~09年の12社の3倍に達した。調査にあたった日本貿易振興機構シンガポール事務所の
小島英太郎氏は、「AECへの期待があったため」とする一方、日系企業が集積するタイへの分散など慎重な
企業行動の実態も指摘する。
◆分断図る米中◆
半世紀前のASEANは、ベトナム戦争が泥沼化するなか、反共産主義連合の色彩が濃かった。だが、冷戦
終結後には、民主的な政治より経済発展を優先する「開発独裁」の加盟国を筆頭に経済重視が鮮明となり、
政治的イデオロギーは希薄化した。ASEANをめぐっては、米国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、
中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)などで囲い込みをはかり、分断圧力も加わる。南シナ海問題への
加盟国間の温度差もあり、ASEANのかじ取りは難しさを増している。
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◆日本企業の域内取引拡大◆
AECの発足は、ASEAN域内に進出している日本企業にも恩恵をもたらす。域内の関税撤廃や通関手続
きの簡素化などにより、安価な人材が活用できる地域への労働集約が進むほか、域内輸出の増加も見込めるな
ど多くのメリットが期待されている。
特に恩恵があるのが自動車や家電などの製造業だ。AECにより域内関税の多くが撤廃されるほか、非関税
障壁も改善が進み、企業の負担は軽減される。モノの移動が容易になり、輸出コストの低減や域内分業による
生産拠点の最適化が進む見通しだ。
例えばタイでは、関税の高さから自動車関連を中心に現地生産が進んでいるが、近年は人件費の高騰や若年
労働者の不足が指摘されていた。AECにより今後は、生産拠点を周辺国に分散し、安価な人材を活用する「タ
イプラスワン」の動きも加速しそうだ。
また、ASEAN域内での取引も拡大する。家電や関連部品産業はこれまで中国などへの輸出が多かったが、
通商条件の改善で域内のメーカーや消費者向けのビジネスが活発化するためだ。また今後、熟練労働者の移転
の自由化が進めば、医療や介護などの新しい事業分野での市場拡大にも期待が高まる。
ただ、約6億人市場の“大動脈”になる域内インフラ整備の遅れは大きな課題だ。政情不安や開発資金不足な
どの影響で、幹線道路や鉄道網が整備されていない地域も多い。「インフラが未整備なら、本格的な生産の最
適化はできない」(政府幹部)だけに、当面は恩恵も限定的となる恐れもある
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