小テスト2

【地下水盆管理学概論】
小テスト(2016 年 01 月 07 日実施)【10 点満点】模範解答
学籍番号:
氏名:
問1:「絞り出し現象」について,「初期有効応力」と「最終有効応力」という 2 つの用語を用いて説明し
なさい。【配点 2 点】
加圧層内において,
(全応力)=(有効応力)+(間隙水圧)という関係があるが,初期帯水層圧が高い場
合には加圧層内の水圧も高く,初期有効応力は小さい。しかし,帯水層圧が低下すると加圧層内の水圧も
時間とともに低下していく。それに伴い,有効応力は増加していき,最終水圧に達した時には最終有効応
力が加圧層にかかることになる.この有効応力の増加により加圧層が圧密収縮し,加圧層内の間隙水が排
出される絞り出し現象が発生する。
問2:淡水の密度を 1.000 g/cm3 とし,海岸付近の淡水と塩水の分布に関してガイベン-ヘルツベルグの法
則が成立するときに,塩水の密度が 1.030 g/cm3 である場合と塩水の密度が 1.020 g/cm3 である場合とでは,
どちらの場合に塩淡境界面が急傾斜となるか,理由を示して答えなさい。【配点 2 点】
海水準から塩淡境界面までの深度を z,海水準から地下水面までの高さを hf とすれば,塩水の密度が 1.030
g/cm3 の場合には z=33.3hf,塩水の密度が 1.020 g/cm3 の場合には z=50hf となる。したがって,海水準か
ら地下水面までの高さ hf が同じであれば,密度 1.020 g/cm3 の塩水のほうがzは大きくなる。
答え:
塩水の密度が 1.020 g/cm3 である場合のほうが塩淡境界面は急傾斜となる
問3:透水係数が 15 m/day で層厚が 25 m の被圧帯水層Aと,透水係数が 12 m/day で層厚が 32 m の被
圧帯水層Bでは,どちらの帯水層の方が地下水の産出能力が大きいと判断されるのか,理由を示して答え
なさい【配点 2 点】
帯水層の産出能力は,透水量係数(T )の大小により評価することができる。
被圧帯水層Aの T は,15 m/day×25 m=375 m2/day,被圧帯水層Bの T は 12 m/day×32 m=384 m2/day
であるため,被圧帯水層Bの透水量係数の方が大きい。したがって,被圧帯水層Bの方が地下水の産出能
力が大きいと判断される。
問4:次の中から,誤っているものを 2 つ選び,その記号にはっきりと×印をつけなさい。
【配点 2 点】
(a)
地下水障害には,地下水位が異常に上昇して発生するものもある
(b)
許容限界揚水量の代わりに許容限界地下水位を使っても地下水盆の管理はできる
(c)
不圧帯水層の貯留係数は,比浸出量とほぼ同じであるとみなしてよい
(d)
Leakage と Confining layer の層厚とは無関係である
(e)
地下水が二次的平衡状態に達しても,地下水障害は発生することがある
(f)
カナートには蒸発によるロスを低くするメリットがある
(g)
ケーシングパイプには穴が開いており,ストレーナパイプとも呼ばれる
×
×
問5:次の中から,正しいものを2つ選び,その記号にはっきりと○印をつけなさい。【配点 2 点】
(a)
井戸からの揚水がなくても,漏水が発生することがある
(b)
地下水の「賦存量」とは,帯水層や地下水盆から汲み上げることのできる地下水量である
(c)
ハワイのホノルルでは,地下水揚水量が減少した時に塩水化が進行した
(d)
東京の低地帯では地盤沈下が沈静化し,ゼロメートル地帯は無くなった
(e)
中国の内陸盆地では,日本の内陸盆地と同じ許容揚水量を用いるべきである
(f)
地盤沈下と地下水の塩水化は同時に起こることがある
(g)
比貯留量の単位は無次元である