尾張旭市工場立地法に基づく緑地面積率等に係る準則に関する条例の

尾張旭市工場立地法に基づく緑地面積率等に係る準則に関する条例の解説
<条例制定のポイント>
●工場立地法により、市内に9つある特定工場※1は、施設の新設や増設を行う場合、
敷地内に一定の緑地及び環境施設を設置する必要があります。
●特定工場が設置すべき緑地等については、全国一律の基準が定められていましたが、
地方への権限移譲により、平成24年4月から、各市が地域準則条例を制定するこ
とで、地域の実情に応じて緑地面積率等※2を設定できるようになりました。
●それ以降、産業振興や経済活性化の観点から、また、企業誘致の手法として、県内
をはじめ多くの市で地域準則条例が制定され、全国的に緑地面積率等の緩和が進ん
でいます。
●本市においても、税収や雇用を含め、長年にわたり地域に多大な貢献をしてきた企
業を支援するため、設備投資の促進と市外への流出防止を図る手立てが求められて
います。
●周辺地域の生活環境との調和を図りつつ適正に工場立地が行われることを前提と
し、本市の実情を踏まえた上で、緑地面積率等の規制緩和を行うものです。
※1 特定工場…製造業等のうち、敷地面積9,000㎡以上又は建築面積の合計3,000㎡以上の工場
※2 緑地面積率等…緑地及び環境施設の面積の敷地面積に対する割合。国の基準では「環境施設面積25%
以上、うち緑地面積20%以上」
(趣旨)
第1条 この条例は、工場立地法(昭和34年法律第24号。以下「法」という。)
第4条の2第2項の規定に基づき、法第4条第1項の規定により公表された準則に
代えて適用すべき準則を定めるものとする。
解説
1 本条例の趣旨にある工場立地法の目的は、工場立地が環境の保全を図りつつ適正
に行われるようにするため、工場立地に関する調査を実施し、及び工場立地に関す
る準則等を公表し、並びにこれらに基づき勧告、命令等を行い、もって国民経済の
健全な発展と国民の福祉の向上に寄与することにあります。
2 工場立地法では、工場の立地が、周辺地域の生活環境との調和を図りつつ適正に
行われることを目的として、緑地等の面積の敷地面積に対する割合等を定め、特定
工場が工場等を新設又は変更する際に、事前の届出を義務付けています。
(定義)
第2条 この条例において使用する用語は、法において使用する用語の例による。
1
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(区域並びに緑地及び環境施設の面積の敷地面積に対する割合)
第3条 法第4条の2第2項に規定する区域並びに当該区域における緑地及び環境
施設のそれぞれの面積の敷地面積に対する割合は、次の表のとおりとする。
区域
緑地の面積の敷地面積 環境施設の面積の敷地
に対する割合
面積に対する割合
都市計画法(昭和43年法律第1 100分の15以上
100分の20以上
00号)第8条第1項第1号の第
2種住居地域のうち、尾張旭市都
市計画マスタープラン(同法第1
8条の2の規定に基づき、市が定
めた基本方針をいう。以下同じ。)
の土地利用計画において住工複
合地区に位置付けられている地
域をもとに市長が定める地域(以
下「住工複合地域」という。)
都市計画法第8条第1項第1号 100分の10以上
の準工業地域及び尾張旭市都市
計画マスタープランの土地利用
計画において工業地区に位置付
けられている地域をもとに市長
100分の15以上
が定める地域(以下「準工業地域
等」という。)
都市計画法第8条第1項第1号 100分の5以上
の工業地域(以下「工業地域」と
100分の10以上
いう。)
趣旨
本条は、特定工場が設置しなければならない緑地面積、環境施設面積の敷地面積に
対する割合を、工場立地に関する準則に基づく割合(緑地面積20%、環境施設面積
25%)に代えて新たに定めるものです。
解説
1 緑地及び環境施設とは、工場立地法第4条第1号(※)に定める「緑地」及び「環
境施設」と同義であり、工場周辺の生活環境の保持に寄与するよう、特定工場の設
置者に管理されるものです。
2 尾張旭市都市計画マスタープランの土地利用計画に定める「住工複合地区」には、
都市計画法上の「準工業地域」のほか、「第2種住居地域」でありながら既存の特
定工場が立地するエリアが含まれており、そのエリアについても規制緩和の対象と
2
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します。なお、具体的な地域は市長が定め、告示等により公表することとします。
3 「準工業地域」とは、主に軽工業の工場等、環境悪化の恐れのない工場の利便を
図る地域で、住宅や商店を建てることもできます。ただし、危険性や環境悪化の恐
れが大きい花火工場や石油コンビナートなどは建設できません。このほか、都市計
画法上の「工業地域」以外の地域で、都市計画マスタープランの土地利用計画に「工
業地区」と定められたエリアについても同様の取り扱いとし、具体的な地域は市長
が定め、告示等により公表することとします。
4
「工業地域」とは、主に工業の業務の利便増進を図る地域であり、工場のほか、
住宅、店舗を建てることができ、学校、病院、ホテル等は建てられません。
※工場立地法第4条第1号
製造業等の業種の区分に応じ、生産施設(物品の製造施設、加工修理施設その他の主務省令で定める施設を
いう。以下同じ。
)
、緑地(植栽その他の主務省令で定める施設をいう。以下同じ。
)及び環境施設(緑地及びこ
れに類する施設で工場又は事業場の周辺の地域の生活環境の保持に寄与するものとして主務省令で定めるもの
をいう。以下同じ。
)のそれぞれの面積の敷地面積に対する割合に関する事項
(敷地が2以上の区域にわたる場合の措置)
第4条 特定工場の敷地が前条の表に規定する区域及び同表に規定する区域以外の
区域にわたる場合においては、当該敷地のそれぞれの区域に存する部分の面積の敷
地面積に対する割合(以下「敷地割合」という。)につき、同表に規定する区域の
敷地割合が高いときは当該敷地の全部についてこの条例の規定を適用し、同表に規
定する区域以外の区域の敷地割合が高いときは当該敷地の全部についてこの条例
の規定を適用しない。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。
(既存工場等に係る面積の算定)
2 昭和49年6月28日に設置されている特定工場又は設置のための工事が行わ
れている特定工場において、生産施設の面積の変更(生産施設の面積の減少を除く。)
が行われるときは、第3条の規定に適合する緑地及び環境施設の面積の算定につい
ては、工場立地に関する準則(平成10年大蔵省、厚生省、農林水産省、通商産業
省、運輸省告示第1号。以下「法準則」という。)備考第1項第2号及び第3号並
びに第3項の規定を準用する。この場合において、次の表の第1欄に掲げる区域に
ついて、同表の第2欄に掲げる規定中同表の第3欄に掲げる字句は、それぞれ同表
の第4欄の字句と読み替えるものとする。
住工複合地域
法準則備考第1項第2号(※1) 0.2
0.15
法準則備考第1項第3号(※2) 0.25
0.2
法準則備考第3項第1号(※3) 0.2
0.15
法準則備考第3項第2号(※4) 0.25
0.2
3
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準工業地域等
工業地域
法準則備考第1項第2号(※1) 0.2
0.1
法準則備考第1項第3号(※2) 0.25
0.15
法準則備考第3項第1号(※3) 0.2
0.1
法準則備考第3項第2号(※4) 0.25
0.15
法準則備考第1項第2号(※1) 0.2
0.05
法準則備考第1項第3号(※2) 0.25
0.1
法準則備考第3項第1号(※3) 0.2
0.05
法準則備考第3項第2号(※4) 0.25
0.1
解説
1 昭和49年6月28日(工場立地法施行以前)に設置されている工場等又は設置
のための工事が行われている工場等(以下「既存工場等」という。)において、生
産施設の面積の変更(生産施設の面積の減少を除く。以下同じ)が行われるときは、
特例措置が適用され、緑地及び環境施設の面積の算定は次の式によって行います。
なお、本市に立地する9つの特定工場は、いずれも工場立地法施行以前から設置さ
れており、この特例措置が適用されます。
※1
法準則備考第1項第2号
当該生産施設の面積の変更に伴い設置する緑地の面積
P
Go
γ
S
G≧ (0.2-
)
P
Go
γ
S
ただし、 (0.2-
)>0.2S-G1>0 のときはG≧0.2S-G1とし、0.2S-
G1≦0 のときはG≧0 とする。
これらの式において、G、P、γ、G0、S及びG1は、それぞれ次の数値を表わす
ものとする。
G 当該変更に伴い設置する緑地の面積
P 当該変更に係る生産施設の面積
γ 当該既存工場等が属する別表第一に掲げる業種についての同表に掲げる割合
当該変更に係る届出前に設置されている緑地(当該届出前に届け出られた緑
地の面積の変更に係るものを含む。)の面積の合計のうち、昭和 49 年 6 月 29
日以後の当該変更以外の生産施設の面積の変更に伴い最低限設置することが
必要な緑地の面積の合計を超える面積
S 当該既存工場等の敷地面積
G0
当該変更に係る届出前に設置されている緑地(当該届出前に届け出られた緑
地の面積の変更に係るものを含む。)の面積の合計
下記の㈠、㈡のいずれの要件とも満たし、周辺の地域の生活環境の保全に支障
を及ぼさない場合には、算定式により求まる緑地の面積に満たなくとも建替え
G1
を可能とする。ただし、ビルド面積がスクラップ面積を超えない部分に限る(3
4
尾張旭市工場立地法に基づく緑地面積率等に係る準則に関する条例の解説
‐一において同じ。)
㈠ 対象工場要件
以下の①かつ②に該当する場合
①老朽化等により生産施設の建替えが必要となっている工場で、建替えによ
り景観が向上する等周辺の地域の生活環境の保全に資する見通しがあるこ
と
②建替え後に緑地の整備に最大限の努力をして緑地面積が一定量改善される
こと
㈡ 生活環境保全等要件
以下の①から③の内いずれか一つに該当する場合
①現状の生産施設面積を拡大しない単なる改築、更新
②生産施設を住宅等から離す、住宅等の間に緑地を確保する等、周辺の地域
の生活環境に配慮した配置への変更
③工業専用地域、工業地域等に立地し、周辺に住宅等がないこと
※2
法準則備考第1項第3号
当該生産施設の面積の変更に伴い設置する環境施設の面積
P
E≧ (0.25-
γ
E
S
P
)
ただし、 (0.25-
γ
E
S
)>0.25S-E1>0 のときはE≧0.25S-E1とし、
0.25S-E1≦0 のときは、E≧0 とする。
これらの式において、E、P、γ、E0、S及びE1は、それぞれ次の数値を表わ
すものとする。
E 当該変更に伴い設置する環境施設の面積
当該変更に係る生産施設の面積
γ 当該既存工場等が属する別表第一に掲げる業種について同表に掲げる割合
E0 当該変更に係る届出前に設置されている環境施設(当該届出前に届け出られ
た環境施設の面積の変更に係るものを含む。)の面積の合計のうち、昭和 49
P
年 6 月 29 日以後の当該変更以外の生産施設の面積の変更に伴い最低限設置す
ることが必要な環境施設の面積の合計を超える面積
S 当該既存工場等の敷地面積
E1 当該変更に係る届出前に設置されている環境施設(当該届出前に届け出られ
た環境施設の面積の変更に係るものを含む。)の面積の合計
下記の㈠、㈡のいずれの要件とも満たし、周辺の地域の生活環境の保全に支障
を及ぼさない場合には、算定式により求まる環境施設の面積に満たなくとも建替
えを可能とする。ただし、ビルド面積がスクラップ面積を超えない部分に限る(3
‐二において同じ。)
㈠
対象工場要件
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尾張旭市工場立地法に基づく緑地面積率等に係る準則に関する条例の解説
以下の①かつ②に該当する場合
①老朽化等により生産施設の建替えが必要となっている工場で、建替えにより景
観が向上する等周辺の地域の生活環境の保全に資する見通しがあること
②建替え後に環境施設の整備に最大限の努力をして環境施設面積が一定量改善
されること
㈡ 生活環境保全等要件
以下の①から③の内いずれか一つに該当する場合
①現状の生産施設面積を拡大しない単なる改築、更新
②生産施設を住宅等から離す、住宅等の間に緑地を確保する等、周辺の地域の生
活環境に配慮した配置への変更
③工業専用地域、工業地域等に立地し、周辺に住宅等がないこと
2
昭和 49 年 6 月 29 日以後に生産施設の面積の変更が行われる場合であって当該既
存工場等が別表第一に掲げる二以上の業種に属するときの緑地の面積及び環境施
設の面積の算定は、次の式によって行う。
※3
法準則備考第3項第1号
当該生産施設の面積の変更に伴い設置する緑地の面積
n
P
j-1
γ
G≧Σ
(0.2-
n
P
j-1
γ
ただし、Σ
S
)
(0.2- )>0.2S-G1>0 のときはG≧0.2S-G1とし、
S
0.2S-G1≦0 のときはG≧0 とする。
これらの式において、G、n、Pj、γ、Go、S及びG1は、それぞれ次の数値を
表わすものとする。
G
n
Pj
γj
当該変更に伴い設置する緑地の面積
当該既存工場等が属する業種の個数
当該変更に係るj業種に属する生産施設の面積
j業種についての別表第一に掲げる割合
当該変更に係る届出前に設置されている緑地(当該届出前に届け出られた緑
地の面積の変更に係るものを含む。)の面積の合計のうち、昭和 49 年 6 月 29
日以後の当該変更以外の生産施設の面積の変更に伴い最低限設置することが
必要な緑地の面積の合計を超える面積
S 当該既存工場等の敷地面積
Go
当該変更に係る届出前に設置されている緑地(当該届出前に届け出られた緑
地の面積の変更に係るものを含む。)の面積の合計
G1
※4
法準則備考第3項第2号
当該生産施設の面積の変更に伴い設置する環境施設の面積
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n
E≧Σ
P
E
(0.25-
j-1 γ
n
ただし、Σ
P
j-1 γ
S
(0.25-
)
E
S
)>0.25S-E1>0 のときはE≧0.25S-E1とし、
0.25S-E1≦0 のときはE≧0 とする。
これらの式において、E、n、Pj、γi 、Eo、S及びE1は、それぞれ次の数値を
表わすものとする。
E
n
Pj
γj
当該変更に伴い設置する環境施設の面積
当該既存工場等が属する業種の個数
当該変更に係るj業種に属する生産施設の面積
j業種についての別表第一に掲げる割合
当該変更に係る届出前に設置されている環境施設(当該届出前に届け出られた
環境施設の面積の変更に係るものを含む。)の面積の合計のうち、昭和 49 年 6 月
29 日以後の当該変更以外の生産施設の面積の変更に伴い最低限設置することが
Eo
必要な環境施設の面積の合計を超える面積
S 当該既存工場等の敷地面積
当該変更に係る届出前に設置されている環境施設(当該届出前に届け出られた
環境施設の面積の変更に係るものを含む。)の面積の合計
E1
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