口唇裂・口蓋裂の専門医療機関における母親への看護実践の質的分析

平成27年度臨床研究テーマ成果報告書
診療科(部)名:看護部
研究期間:2014 年 1 月∼6 月
研究課題名:口唇裂・口蓋裂の専門医療機関における母親への看護実践の質的分析
-看護師の実践とそれを支えている要因研究課題の概要及び成果:
本研究は、専門病院の 11 名の看護師の経験知を質的に分析することによって、口唇裂・
口蓋裂(以後 CLP とする)の子どもの母親に対する専門医療機関での看護援助の実際に関
連する要因の構造を明らかにし、看護援助のあり方を検討することを目的とした。
その結果、看護援助に関連する【看護実践の基盤】
【出向での看護の実際】
【専門医療機
関での問題意識と対応】のコアカテゴリーを抽出した。さらに、
【看護実践の基盤】は《専
門的看護を実践できる素地》、《個々の看護師の意識や経験から培う能力》、《看護のや
り甲斐やケアのあり方への影響》の3つ、【出向での看護の実際】は《出産直後に専門の
医療者が関わるニーズの存在》、《出向での看護師の役割》、《出向による子ども家族と
の信頼関係》、《出向先の医療者への必要性》、《出向による医療者間の専門的知識の伝
達効果》の5つ、【専門医療機関での問題意識と対応】は《看護を継続する意欲やケアの
改善》、《現状の看護システムへの問題意識》、《現状の病院システムへの問題意識》の
3つのカテゴリーで構成されていた。
看護援助は、専門病院という職場環境と CLP の子どもと家族に直接接する経験の豊富さ
や看護師自身の看護を含めた人生経験が基盤になっている。看護師は、それらを基盤に母
親の状況に応じて種々のアセスメントとアプローチを選択していた。コアカテゴリーは相
互に影響しあう関係であった。
専門医療機関での取り組みが、日々の看護実践に繋がっており、専門的看護を実践でき
る職場環境を整え、看護に対する能力や意欲を引き出すような取り組みを今後検討してい
く必要が示唆された。
上記概要・成果に関連する図表等
【 専門医療機関で の問題意識と対応】
現状の病院システムへの問題意識
看護を継続する意欲やケアの改善
現状の看護システムへの問題意識
【 専門医療機関内で の看護援助の実際】
出向での
看護の
役割
出向によ
る子ども
家族との
信頼関係
出産直後
に専門医
療者がか
かわる
ニーズの
存在
口唇裂・
口蓋裂の
子どもの
母親の心
情の理解
心を閉ざし
ている母
親へのア
プローチ
母親の変
化のアセ
スメント
子どもと母親のニーズに応じた
アプローチ
出向先
の医療
者との連
携
出向によ
る医療者
間の専門
的知識の
伝達効果
母親の心
理状態の
アセスメ
ント
同じ経験をしている者との
交流の促進
親子関係や母
親の理解度の
アセスメント
【 出向での看護援助の実際】
個々の看護師の意識や経験から培う能力
【 看護援助の基盤】
子どもと母親と看護師との
信頼関係の構築
子どもの成長
を見据えた母
親の対応への
支援
看護のやり甲斐やケアのあり方への影響
専門的看護を実践できる素地
【 】:コアカテゴリー :カテゴリー :関係 :すでに報告した箇所
図1 抽出したカテゴリーとコアカテゴリー間の関係