1.3GHzウインドプロファイラを用いた 接地境界層観測へ向けた検討 古本淳一 本日の内容 • ウインドプロファイラを傾けたときの乱流エ コー強度に対する考察 • ウインドプロファイラのアンテナを傾ける方法 についての検討状況 大気レーダーによる乱流散乱エコー 乱流エネルギースペクトル (Kolomogorovの-3/5乗則) エネルギー密度 -5/3乗 熱エネ ルギー 4 kB LB 波数 ブラッグ条件を満たす スケールの乱流により 電波が散乱される。 乱流散乱エコーのレーダー方程式 ソフトターゲットのレーダー方程式 Pr a 2 L Pt Ae 64 r 2 r Pr:受信電力, Pt:送信電力 : 体積散乱率 Ae:有効開口面積 Δr:レンジ分解能, r:レンジ L:受信ロス, a:レーダー照射の非均一性パラメータ 微細な屈折率変動による散乱を考える 2 2 n ( ) 4 :波数ベクトル n ( ) :屈折率の3次元スペクトル 乱流の等方性を考えると 視線方向の1次元スペクトル S で3次元スペクトルが表される。 S: 屈折率の1次元スペクトル 乱流散乱エコーの体積散乱率 5 / 3 S ( ) Kolmogorovの乱流理論により Ottersten(1969)によると1次元スペクトルは屈折率構造定数 2 (Cn )を用いて、 1 2 5 / 3 S ( ) Cn 4 と表されるので 0.38Cn21/ 3 屈折率変動分の分散値 n 2 は 5 5 2 5 / 3 n n d S ( )d Cn d 0 3 12 2 乱流の最大スケールをL0とすると Cn2 5.45 L02 / 3n 2 2.07 L02 / 31/ 3n 2 ここまでの仮定は、1.乱流の等方性、2.乱流スペクトルは-5/3 乗則に従う、のみである。 Tatarskiによる乱流散乱のモデル Tatarski (1971)は以下のような 関係を考えた。 n n z M 2 L20 z 屈折率高度 勾配M 2 高度 2 Cn2 aL40 / 3 M 2 屈折率 乱流エネルギー消散率eとL0の以下の関係が提唱されている L0 e 1/ 2 N 2 / 3 N:Brunt Vaisala frequency Cn2 e 2 / 3 M 2 N 2 Tatarskiのモデルによると、乱流エコーが得られるためには 乱流の存在有無の境界の高度を電波が通過することが必要。 水平方向観測に関する考察 • Tatarskiのモデルによると低仰角のウインドプロファ イラ観測においてもエコー強度は屈折率の高度勾 配に依存する。 • 完全に水平に向けた観測では、時間連続的なエ コーは得られないと考えられるため、完全に水平で はなく仰角を持たせた観測を行わなくてはならない。 • LES(Large Eddy Simulation)を用いたシミュレーション による n 2 の仰角依存性を計算することが有効で あろう。 Nakanishi, (2000): Boundary Layer Meteorology のLESモデルを現在動作させるべく作業中 アンテナを傾ける方法に対する検討状況 2 1 2 サイドローブ メインローブ WPR アンテナ サイドローブ 1 LTRのビームパターン LTRのビームパターン(4m x 4m) LTRの放射パターンは アンテナの辺に直交、平行する方向 でサイドローブレベルが高くそれ以 外の方向では数十dB以上小さくなる。 Rao, Q. et al. (2003) Radio Sci. アンテナ面を45度回転させて アンテナ頂点を下方向に向けることで 強いサイドローブを水平方向から外す ことができると考えられる。 今後の課題 • LESによる乱流エコーのシミュレーションを進め てゆく。 • 森林調査を行い森林から風船を上げて、タワー とプロファイラ観測点の位置関係、障害物等を 調べる。 • RASSスピーカーの性能評価 ウインドプロファイラによる乱流散乱観測 • • 乱流によるスペクトルを正規分布関数に近似。 • エコー強度 • スペクトル幅 • ドップラーシフト 乱流は風により流されているので視線風速が観 測できる。 大気乱流による電波散乱 強い乱流散乱エコーは、 • 屈折率の高度勾配Mが大きい • 強い乱流ある ときに得られる。 M 2 N 2e 2 / 3 = 体積散乱率 (エコー強度) ブラント・バイサラ振動数 e 乱流エネルギー消散率 屈折率の高度分布
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