公務員・教員採用試験

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公務員採用試験
公務員の種類
公務員は、大きく国家公務員と地方公務員に分けることができます。採用先が国の機関であれ
ば国家公務員、地方自治体の機関であれば地方公務員になります。国家公務員は、国家全体の運
営に関わるようなスケールの大きな仕事に携わることもできます。地方公務員は、特定の地方公
共団体の範囲に限定されますが、その職務内容は自治体ごとに多種多様です。
公務員の仕事
公務員の仕事は、勤務する官庁やそれぞれの部門、職種によって違います。民間企業と比較に
ならないほど幅広く多様な分野があることも特徴です。
ここでは、
(1)行政(事務)系、
(2)技術系、
(3)公安系に分けて紹介します。
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公務員採用試験
■ 行政(事務)系の仕事
採用数が多く、公務員を代表する職種。特定の部局に限定されず、本庁の各部門や出先機関等
さまざまな職場に幅広く採用されます。国家公務員の場合は、総合職(院卒者)行政、
(大卒程度)
政治・国際、法律、経済、一般職(大卒程度)行政がこれに当たります。
「事務」といってもデス
クワーク中心ではなく、
「人」相手の仕事が多く、対人折衝が重要な部分を占めています。
■ 技術系の仕事
技術系職は、専門分野により限定されて採用される仕事です。異動も専門分野内の部署でしか
行われません。ただし、企画立案や事業執行にあたっては、専門分野だけでなく行政全般を見渡
せる幅広い視野が求められ、対人折衝力や調整能力が求められます。
● 土木職
公共事業の企画立案、実施計画の策定、土地区画整理等に携わります。地方公務員では、土
木、建設、水道、下水道、都市等の部局、出先機関(土木事務所、ダム・道路建設事務所、港湾
事務所等)、国家公務員では、国土交通省、経済産業省、農林水産省および地方機関、試験研
究機関等に勤務します。
● 建築職
都市開発の企画調整や計画推進、市街地の再開発等、快適で安全な街づくりに携わります。地
方公務員では、建設、土木、住宅等の部門、国家公務員では、国土交通省や文部科学省、試験
研究機関等に勤務します。
● 電気・電子職
地方公務員では、建築、土木、環境、交通、上下水道、商工労働等の幅広い部門で、電気設備
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の設計・積算や工事監督、設備の運転・管理等に従事します。国家公務員では、総務省、文部
科学省、経済産業省、国土交通省、試験研究機関等に勤務します。
● 機械職
機械設備の設計・工事監督、設備の運転・管理等に従事します。地方公務員および国家公務員
の勤務先は、電気・電子職と同様です。
● 化学職
地方公務員では、環境、生活、衛生、保健福祉、上下水道等の部門に勤務し、地球環境問題全
般に携わります。国家公務員では、文部科学省、経済産業省、特許庁、環境省、試験研究機関
等に勤務します。
● 農業・農学職
農山村の振興、農畜産物の生産者育成、農業技術指導、新品種の試験研究等に従事します。地
方公務員では、農政、農業振興、生産流通、農業技術、農林水産部門等、国家公務員では、農
林水産省、試験研究機関等に勤務します。
■ 公安系の仕事
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公務員採用試験
社会の安全と平和を守る仕事に携わるのが公安系の仕事です。地方公務員では、警察官、消防官
等。国家公務員では、刑務官、入国警備官、皇宮護衛官、自衛官(陸・海・空)等があります。
国家公務員
平成 24 年度から、Ⅰ種試験、Ⅱ種試験、Ⅲ種試験を廃止し、総合職試験および一般職試験に
再編されました。また、総合職試験に院卒者試験が創設されたほか、専門職試験および経験者採
用試験が創設されています。
Ⅰ種試験
Ⅱ種試験
Ⅲ種試験
その他の採用試験
(国税専門官等12種類)
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Recruit Handbook
➡
総合職試験
一般職試験
専門職試験
経験者採用試験
● 試験の種類および仕事の内容(一例)
試験名
主な勤務先
仕事の内容等
総合職
各省庁本省
主として政策の企画立案等の
高度の知識、技術または経験を
必要とする業務に従事する
一般職
各省庁本省および出先機関
主として事務処理等の定型的な業務に
従事する
国税専門官
全国の国税局や税務署国税局管内
国税調査官、国税徴収官、国税査察官として
税金に関する専門的業務に当たる
財務専門官
全国の財務局
財務省の総合出先機関として地域において
財政や金融に関する施策を実施する
労働基準監督官
全国の労働局、労働基準監督署
労働条件等について、事業体の監督・
指導を行う
裁判所職員
総合職・一般職
全国の裁判所
総務等の事務、書記官の補助を行う
書記官になるための制度がある
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公務員採用試験
● 試験日程
各試験の実施要項が掲載されている Web サイト等で、早めに確認しましょう。
● 採用試験と官庁訪問
国家公務員の場合、
「最終合格=採用決定」とはなりません。最終試験合格者は人事院作成の
「採用候補者名簿」に記載され、各官公庁は、その名簿に記載された候補者の中から面接等を
行って採用者を決定します。
国家公務員試験では、受験者本人が直接希望の官公庁を訪問する「官庁訪問」が、実質的な採
用面接となっています。官庁訪問のスケジュール等詳細は、各省庁人事担当窓口または人事院
ホームページで確認できますので確認のうえ希望する省庁に連絡し、早めに官庁訪問をしてくだ
さい。
地方公務員
地方公務員試験は、自治体ごとに採用試験を実施していますので、志望する都道府県や市町
村の Web サイト等で実施要項を確認しましょう。
なお、3 年生の 11 月以降に学内で公務員ガイダンスや官公庁説明会を開催します。
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独立行政法人
独立行政法人は、それぞれの根拠法に基づき政府や所管官庁の監督下に置かれ、主に国からの
運営費交付金で運営されています。国家公務員試験に類似した試験が課される場合があります。
国立大学法人等職員
国立大学法人等職員は国家公務員総合職・一般職とは別に、独自の採用試験により採用されま
す。一次試験までは各地区の実施委員会が取りまとめを行い、受験資格や試験内容等も全国で共
通ですが、二次試験(面接等)に関しては、各国立大学法人等によって個別に実施されます。
民間企業との併願
民間企業と併願する場合は、民間企業の採用選考活動の後ろ倒しに伴い、これまで以上に負担
がかかるので、以下の点に気をつけましょう。
① そもそもなぜ自分は併願するのかをよく考えましょう。民間企業への就職活動は大変な苦労が伴
います。二兎を追って一兎をも得ず、といった結果にならぬよう固い決意を持って臨みましょう。
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公務員採用試験
② 一般的な民間企業への就職活動と公務員の採用試験スケジュールを確認し、あらかじめ周到な
計画を立てましょう。情報収集が勝負を分けます。
③ 自己分析や業界・企業研究を、一般的なスケジュールよりも早めに準備しましょう。いずれ公
務員試験の面接でも、
「なぜ民間企業ではなく公務員なのか?」や「公務員だからできることは
何か?」等の質問を受けるので、その対策にも繋がります。また、公務員として経済や企業の
知識を収集して損になることはありません。民間企業での就職活動を自分の武器にできれば、
他の受験者との差別化もできます。
④ 自己分析から企業選びの軸を考え、業界や企業をある程度絞って効率的な就職活動を行いまし
ょう。
⑤ 面接の際に、あえて自分から併願していることを伝える必要はありませんが、いずれ公務員を
併願していることを相手に伝える必要が出てきます。面接の段階で公務員併願の意思を伝える
と採用をためらう企業がありますし、ある種の駆け引きが必要となります。面接等の採用担当
者とのコミュニケーションの中で、最も伝えやすい局面を見極めて伝えるようにしましょう。
⑥ 公務員試験は一発勝負であるうえ、筆記、面接、グループディスカッション等の難関な試験が
課せられます。そのため、当然ながら試験に成功しない場合も想定され、例年、試験の結果が
出る 4 年生の秋頃から民間企業への就職活動を始める学生もいます。時期が遅くなればなるほ
ど企業の採用活動は収束していきますので、意中の企業がすでにある場合は、民間企業への就
職活動に完全に軸足を移すことも考えましょう。
⑦公務員受験後に民間企業を受ける時は、今までの事を採用担当者に質問される場合があるので、
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Recruit Handbook
「なぜ公務員ではなく民間企業に進路変更したのか」を説明できるようにしておきましょう。
※ 秋採用について・・・秋採用とは、内々定のピーク時(8 月)の後に行われる追加募集のことで
す。実際は秋から応募が始まるわけではなく、公務員試験の行われる時期と重なる夏頃からエ
ントリーが行われます。秋採用では、採用資金の豊富な超大手企業の一部と、中堅・中小企業
や地方の企業が中心です。企業側の狙いは、採用数の確保と、留学や研究等で就職活動のス
タートが遅れた優秀な人材の採用です。春の時期は学生の志向が大手企業に集中しがちです
が、この時期になると地方の企業や知名度が高くない企業にも目が向けられていきます。
※ 通年採用について・・・通年採用とは、秋以降も随時選考を行っていく企業です。決して採用
基準が低いわけではありませんし、企業としての質が悪いわけではありません。必要な採用数
が多いため、継続して選考を行っています。現状では、ソフトウェア業界や小売業界等に多い
と言えます。
※ 公務員試験浪人について・・・留年して公務員を目指すにせよ、卒業したうえで公務員を目指
すにせよ、非常に険しい道のりになります。浪人の後公務員試験に合格すればそれに越したこと
はありませんが、仮に合格に至らず、一般企業への就職へと進路を切り替える場合、浪人は決し
てプラスにはなりません。留年は多くの企業から消極的に評価されますし、また既卒者であれば、
公務員採用試験
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たとえ新卒者と1年しか違っていなくても全く同じ土俵に立つことは難しいと言えます。留年し
たこと、また卒業して公務員を目指したことに確かな意味付けができ、それを採用側が理解して
くれれば、採用への道は開かれますが、明確な理由も見出せず安易な気持ちで浪人を選択するな
ら、取り返しのつかないことになりかねません。就職支援室では既卒者へのサポートを行ってい
ますが、確かな意思決定もせずに流れに任せて浪人の選択をするのは避けましょう。
公務員試験の二次試験対策
■ 近年は人物重視
試験対策についてはとにかく一次試験(筆記試験)だけに目が行きがちですが、近年では人物
重視の傾向が強まっています。例えば、一次試験合格者を多くし、二次試験で人数を絞る官公庁
もあります。また、地方自治体では、民間の人事担当者が面接官を務めている場合もあるため、
「安定しているから公務員を志望」という気持ちだけでは最終合格は難しくなっています。
国・自治体とも厳しい財政状況で、公務のあり方や公務員の倫理と熱意が一層問われる時代で
す。したがって、単に決められたことをこなすのではなく、ビジョンを持って創造的に仕事を行
える人材が求められています。「自分はなぜ公務員になりたいのか」、
「公務員となって何を実現
したいのか」を自分の人生観・職業観と絡めながら、しっかりと考えておくことが必要です。ま
た、熱意は知識によって裏打ちされます。公務員として知っていて当然の知識、すなわち社会・
経済動向や国家・自治体の政策、国際潮流等の幅広い知識を身につけましょう。また、たとえ公
務員志望でも、学内の企業就職ガイダンスや OB・OG 懇談会に出席し、民間的な発想や手法を知
っておくことも役に立ちます。そして、最も重要なこととして、国家・地方がどうあるべきかと
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いう自分なりの意見を持つようにしましょう。こうした日頃の積み重ねが、面接や官庁訪問の際
に大きな違いとして表れます。
■ 二次試験の内容
① 面接
面接官が複数で受験者は一人という個別面接、受験者が複数である集団面接があります。
質問内容は、
「なぜ国家公務員(地方公務員)ではなく地方公務員(国家公務員)なのか」
、
「公務員
と民間企業の違いは何か」
、
「公務員でしかできないことは何か」
、
「公務員となって何を実現したい
のか」という主旨の質問が多いようです。
② 集団討論
国家公務員試験の多くが面接のみですが、地方公務員試験では集団討論があります。集団討論
とは複数(5 〜 12 人程度)の受験生が、出された課題についてディスカッションする様子から、
採用担当者が公務員としての資質があるかどうかを判断する評価方法です。これは、民間企業の
採用活動でも広く行われています。ここから、協調性やコミュニケーション能力等の対人対応能
力や問題意識・創造力等を見ているようです。出される問題は、時事問題的なものが多く、議論
公務員採用試験
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も高度なものになる場合があるので、一次試験(筆記試験)対策もかねて、議論についていける
よう事前に深く学習しておくことが大切です。ただし、知識を披露する場ではなく、あくまで組
織的に問題を解決していく能力等を見ているので、その点を忘れないでください。
③ 論作文
一次試験で書かせて二次試験に考慮する場合と、二次試験で書かせる場合があるようです。例
えば国家公務員一般職の場合は、前者の形式になります。内容は時事問題が多いようですが、地
方自治体の場合、その自治体が抱える特有の問題を出されることがあります。情報収集をし、自
分なりの考えをまとめておくことが大切です。
※ 就職支援室には「受験ジャーナル」等の公務員試験対策書籍があります。情報収集に役立てて
ください。また、面接・集団討論練習会を5〜7月頃に就職支援室で行っています。
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Recruit Handbook
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教員採用試験
近年の教員採用試験は、大都市圏の小学校教諭を中心に全体的に採用枠が増加していますが、
同時に教員志願者も増加しているため、競争率は地域によって差があるものの、依然厳しい状況
です。教員を志望する学生は、
「なぜ教師になりたいのか」、
「どういう教師になりたいのか」とい
う志望動機を明確にし、早期から計画的に勉学に励むこと、そしてできれば複数の県または市公
立学校教員試験の併願と私学教員適正検査(各県単位ごとに実施)の受験を考慮に入れて対策を
講じることが大切です。
※就職支援室には、「教員養成セミナー」(時事通信社出版)等の書籍があります。参考にしてく
ださい。
小学校教員、中学校教員、高等学校教員の違い
小学校と中学校・高等学校での教員の仕事内容は全く違います。小学校では、一人の教員がほ
ぼすべての教科を担当するのに対して、中学校・高等学校では各教科を担当します。そのため、
免許の種類も異なります。まずは、自分か取得できる免許の種類を確認しましょう。
教員採用試験
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■ 小学校教員(小学校教諭普通免許)
小学校教員は、全教科担任制が基本。各教科をはじめ、総合学習や道徳、特別活動のすべてを
担任教員が一人で指導するのが原則です。ほとんどの時間を一人で指導するため、生徒たちとの
結び付きはとても深くなります。
■ 中学校教員(中学校教諭普通免許)
中学校教員は、専門とする教科を学習指導する教科担任制。生徒の生活指導や進路相談、さま
ざまな学校行事の運営等、仕事の幅が広いのが特徴です。中学生という多感な年頃の生徒たちと
向き合う難しさの反面、やりがいもあります。
■ 高等学校教員(高等学校教諭普通免許)
中学校と同じように教科担任制ですが、教科は細分化されています。教科指導もより高度で専
門的な知識と指導力が要求されます。進学や将来の仕事に関すること等、相談される内容も高度
なものになる分、そのやりがいも大きくなります。
■ その他の免許
・養護教諭普通免許 ・幼稚園教諭普通免許 ・特別支援学校教諭免許等
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公立学校と私立学校の違い
学校には、各都道府県や自治体が運営する公立、学校法人が運営する私立があります。公立の
学校で働く教員は地方公務員になります。
公立と私立の大きな違いは、公務員かどうかです。公立学校の教員には、地方公務員としての
待遇が与えられます。ただし、私立学校と違って希望する特定の学校に勤務できるとは限らず、
都道府県のどこのエリアの学校に配属されるか分かりません。また、特色を出しにくいといわれ
ている公立の学校ですが、高等学校では積極的な取り組みが始まっています。例えば、総合学科
や単位制高等学校、特色ある学科・コースの設置等文部科学省指導のもと、生徒の選択を基本と
したカリキュラムづくりが進められているのです。公立でも私立でも、指導力のある教員を求め
ているのは同じです。学校の先生として活躍する場としては、大きな違いはないでしょう。
公立学校教員
公立学校の教員採用試験は、近県ごとにほぼ同じ日程で行われるため、結果的には全国がいく
つかのブロックに分かれて試験を実施する形になっています。このため数県の併願が可能です。
希望学生は、教科ごとの採用予定人数や試験内容・傾向・出題パターン等の情報を的確に収集し
てください。
各都道府県の受験案内等は、各学類の学務係・就職支援室で閲覧できます。また、専門の情報
教員採用試験
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誌を利用することも効果的です。
(就職支援室には「教員養成セミナー」が配置してあります。
)
試験内容は各都道府県によって多少の違いがありますが、筆記試験、論作文、面接、実技、模擬
授業、適性検査等で、これを一次と二次に分けて行っています。最近の採用試験は、教師としての
資質や実践的指導力を見ようとする傾向が強く、面接・模擬授業や論作文試験が重視されています。
ここで注意したいのが、最終試験合格者がすぐに教員になれるとは限らないということです。
合格者は得点の上位者から「採用候補者名簿」に登録され、欠員状況に応じて採用者が決定し、
正規の教員である教諭となれるのです。
なお、本学では 3 年生の 11 月から 4 年生の 5 月にかけて、学外講師を招いてガイダンスを開催し
ます。
● 一般教養
人文科学、自然科学、社会科学分野について教員として必要な一般知識の理解度を見るものです。
※ローカル問題の場合、その地方の情報誌を読むと効果的です。石川県の場合、合格者からは
「ふるさと石川」や「金沢検定」の書籍を読むと効果ありとのアドバイスです。
● 教職教養
教育法規、教育原理、教育心理、教育史、学習指導要領等の知識理解を見るものです。
● 各教科専門
教科・科目についての専門知識を見るもので、志望する校種・教科によって内容は異なります。
※ 筆記試験は過去問題で傾向を分析し、苦手な所を専門書等で補う勉強法が効果的のようです。
● 面接・模擬試験
受験者の社会性や教育に対する考え方を判断するもので、最近は個人面談のほかグループ討論を
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Recruit Handbook
取り入れるところが多くなっています。模擬授業は、実際に疑似的な授業を行い、教師としての適
性を判断する試験です。対策として、あらかじめ友人同士で手分けして指導案を作成し、お互い練
習し合うのが良いようです。面接試験にあたっては、服装(スーツ・ネクタイを着用)
、動作、言葉
遣い等に注意してください。特に笑顔と明るさ、はきはきとした挨拶でかなり印象が違います。
● 実技
実技は一朝一夕で対策ができるわけではないので、日頃から充分に技能を磨いておくことが必
要です。
● 論作文
筆記試験では把握しにくい表現力、指導力、協調性、教職への熱意、人間性等について評価する
ものです。
「理想の教師像」
「教師の使命と責任」といった教師論に関するもの、学校教育や家庭環
境のあり方を問うもの、いじめや不登校児童・生徒の指導に関するもの等テーマは幅広いです。
「ボランティア活動」→ 重要!● 近年、教員の資質向上で求められていることでは、特に社会
活動を通した生徒指導が挙げられています。面接ではこれに関係させ、ボランティア活動につい
て問われることが多くなっています。採用試験のための対策だけではなく、教師になるためには
意義ある活動であるという認識に立ち、社会奉仕の活動を積極的に経験しておくことです。ボラ
ンティア活動は、学生部学生支援課学生相談係(事務局 2 階)で紹介しています。
教員採用試験
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「教育改革について」● 中央教育審議会(中教審)の最近の答申やまとめは、教育の今日的課題
を捉え、その方策を述べています。審議会の方策について考えを求められることもあるので、資
料を入手し内容を理解したうえで、自分の考えをまとめておくと良いでしょう。
「願書と面接」● 提出する願書(志望動機、自己 PR、ボランティア活動等)はコピーを取ってお
きましょう。面接では提出した願書を見ながら質問されることが多いようです。記載した内容に
ついて簡潔にまとめ、質問にすぐに答えられるようにしておきましょう。
臨時教員 臨時教員は、主に小・中・高等学校での教員の産休、育児休業、長期病欠等で欠員が生じた時
に補充される教員のことで、常勤講師、非常勤講師、時間講師の区別があります。
常勤講師は、授業やクラス担任等正規の教員と同様の条件で仕事をすることになり、待遇も正
規の教員に準ずることが多いようです。非常勤講師および時間講師の場合は、主として高等学校
で採用されており、専門教科の授業だけを担当するものです。
臨時教員の採用は、一般的には 12 月から翌年の 3 月まで募集・申込受付が行われています。各
都道府県の教育委員会に問い合わせてください。
私立学校教員
私立学校の教員採用は、大学への求人、各都道府県の私学協会への登録、大学教員・私学教員
の推薦等のルートがあります。
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私学協会への登録は、各都道府県の私学協会が実施する「私学適性検査(統一テスト)
」を受験
することによって行われます。私学によっては、この登録名簿の中から候補者を選考して採用者
を決定しています。
なお、私立学校はそれぞれ独自の教育理念や校風を持って教育を行っています。希望者は、学
校訪問をする等して、職場の状況や身分保障、業務内容等をしっかり確かめるとともに、就職担
当教員等のアドバイスも受けてください。
教職と民間企業との就職活動の両立について
教員を目指しているが不合格になった時のことを考え民間企業も視野に入れているのか、単に教
員免許が欲しいだけなのか、何がなんでも教員になりたいのかで向かうスタンスが違ってきます。
民間企業も受ける場合は、業界や企業をある程度絞り、メリハリのある活動をすることが必要
になります。教員採用試験でも自己 PR をしなければなりませんので、自己分析等も早めに始め
ましょう。
特に教育実習と就職活動の時期が重なることがある点が重要です。民間企業の就職活動スケジ
ュールと教員試験のスケジュールをしっかり確認し、計画を立てましょう。
教員採用試験
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Recruit Handbook
先 輩 体 験 談
■所属/人間社会学域 人文学類 ■内定先/金融業(銀行)
■職種/ CS 職
私は情報開示が始まった 12 月に就職活動を始めました。それ以前に就職支援室が開く業
界ガイダンスに行ったり、本を読んで勉強を始める友人もいましたが、勉強やサークル活
動に集中したかったので、自分で就活は 12 月から、と決めました。その分 12 月からは集中
的に就活をしたので、最初は焦りましたが、すぐ周りがどういう状況なのか、把握するこ
とが出来ました。やはり早めに力を入れていた人は私の状況把握に留まらず、業界研究、
企業研究までしっかりしており、早めに内定を取った人が多かったように思います。その
人たちはその企業に絶対入りたい、という思いが強く、何度もその企業の説明会に行った
り、また東京に行ったりしていた印象があり、私はどの業界に入りたい、というのが絞れ
ていなかったため、見ているだけ、という形でした。リクナビ、マイナビ、アイバック、
日経就職ナビ、みんなの就活日記からくるメール処理に時間を取られるスタートでした。
この時期は毎日メールがくるので一日メールを見ないと大変なことになります。全部削除
しても良いと思いますが、目を通すぐらいはして、気になったものは残す程度がちょうど
良いと思います。
会社説明会はその企業の雰囲気が分かるので、気になるようであれば行った方が良いと
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教員採用試験
思います。志望動機、面接の際のネタにもなりますし、私の場合はいろんな業界を見るこ
とができるチャンスだ、と思い、楽しむことを心がけ、気になったことはドンドン質問し
ました。質問した方が参加した気分になります。お金や時間、体力は使いますが、その分
有意義な時間にしよう、という気持ちでした。
書類選考はやればやるほど上手くなります。回数を重ねても自然と上手く書けるように
なりますが、効率的な方法は他人に見てもらう方法です。また、就職支援室はいろんな話
が聞けるので、行く価値はあると私は思います。問題は面接だと思います。ネタは豊富で
あればあるほど良いと思いますが、一番は、自分が掘り下げられたとしても堂々と、相手
の目を見て答えられる経験談が強いと思います。
集団面接は志望動機、個人面接は経験談が聞かれる、という印象です。グループディス
カッションは恥ずかしさを忘れて、堂々と発言することが大切だと思いました。面接官が
早口ならば自分も早口にするなど、私は面接官のテンポに合わせることを気をつけまし
た。集団面接では簡潔に話すことを気を付けましたが、集団面接でもある程度長く話す人
が通った印象があり、悔しい思いは何回かしました。
ネットを見るとブラック企業、という書き込みがあるものもありますが、それを自分で
変えてやる、という気持ちも自分には必要だったかな、という考え方も今では思います。
その書き込みを見て選考を受けなかったものもあるので。
就活を終えて自分がしてきたこと、自分の強み、弱みを振り返ることが出来ました。そ
れを堂々と話せるまでもっていくことが大切だと思います。
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