照明用有機EL高出力化の問題点_ 信頼性向上と輝度ムラ改善

照明用有機EL高出力化の問題点
照明用有機 高出力化の問題点_
高出力化の問題点
信頼性向上と輝度ムラ改善
津山工業高等専門学校
電気電子工学科
教授 植月 唯夫
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背景:従来技術の懸念点
• 有機ELは表示用発光素子として研究開発さ
れてきた。近年、その優れた面発光性能から、
照明用途に向けての研究開発がなされている。
• 照明用途では、表示用途とは異なった評価尺
度が用いられる。
– 高出力(大光束)が必要
– 長寿命が必要(LEDは4万、蛍光灯1.2万~2万)
– 明るさ(光束)70%が寿命(表示用途では50%)
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高出力化が及ぼす影響
ルーバー付蛍光灯器具の器具効率 ⇒ 約0.6
Hf蛍光ランプ3本の定格出力 ⇒ 約10500ルーメン
(総合効率 約60ルーメン/W)
約10500×0.6ルーメン/(約120cm×30cm)
⇒ 約1.75ルーメン/cm2 ⇒ 約112ルーメン/
112ルーメン/8cm
ルーメン/8cm×
8cm×8cm
約35.7カンデラ/(8×8)cm2 =約5500cd/m2
参考:2014年 ⇒ 3000cd/m2 60ルーメン/W(開発品)
寿命40000 時間
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長寿命化が及ぼす影響
光束維持率
100%
放電ランプの光束維持率曲線)
70%
50%
50以下
100
点灯時間(au)
寿命時間の定義がLT50⇒LT70では、寿命時間は半分以下
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背景:従来技術の問題点
照明用のための高出力化
大面積化、大入力化
輝度ムラ等
寿命性能低下
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光束・輝度
出力と輝度ムラ、光束の関係
電流
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点灯時間と輝度ムラの関係
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放置(消灯)時間と不点(?)の関係
輝度
電圧
点灯試験後、約6か月放置
電流
電流
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問題点の整理および発生原因の究明
• 点灯後放置することによる不点(?)が発生する
• 入力を増加させると輝度ムラが顕著になる
• 点灯時間により輝度分布が変化する
輝度ムラ、不点?共に
電極間隔変化が原因・・・・
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放置による輝度ムラ(不点?)発生の原因
輝度ムラ(不点?)発生後の電気特性(電圧の低下)
⇒ 電極間の短絡であると推測
消灯時に電極間に働く力
残留電荷による静電力
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不点発生理由
電極間隔にバラツキがある場合
透明電極の抵抗に差がある場合
電極間引力が場所に
より異なる
電極間隔に差ができ、残留
電荷分布は一様にならない
電極間隔の違いを大きくする
方向に力が働きため、短絡
短絡
有機ELは不点灯
有機 は不点灯
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有機ELの電極間距離
有機 の電極間距離
構造的にコンデンサ
S
C=ε
d
誘電率⇒一定
電極面積⇒一定
静電容量の変化は
電極間距離の変化
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静電容量の測定
C=10nF
R=10kΩ
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有機ELの電極間距離
有機 の電極間距離
S
C=ε
d
C1 > C2
(前半)
電荷が多く存在している
C1:100%
電極間距離が短い
(後半)
電荷が少ない
⇒
C2:47~83%
電極間距離が長い
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不点(?)モードからの回復
交流点灯
放置により輝度低下発生した
ものが交番電界を印加するこ
とで復帰
交流点灯後復帰
約半年放置
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電極間変位の測定
点灯
表面に輝度ムラが発生
有機EL素子表面の凹凸の
有機 素子表面の凹凸の
変化が輝度ムラの原因
凹凸の変化と点灯
時間の相関を調査
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表面変位の測定
超高速インラインプロファイル測定器
電圧をかけることによって起こる発光層の変化を素
子表面の膨らみを測ることによって考察する
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表面変位測定結果
表面の変位が安定する
のに10分以上かかる
変位が数百µmと大きい
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素子温度の影響確認
<目的>
点消灯時の特徴的な変化が発光層の電気的な変化なの
か点灯熱による変化なのかを調査する
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構造図と原因についての推測
素子1
素子2
樹脂は発光層と比べて明らかに体積が大きく熱容量も大き
いため温度による変化に時間がかかる
そのため長い時間で凹む特性は樹脂によるものであり、短
時間の変化である点灯・消灯時の特性が発光層の変化で
あると仮定する
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実用化に向けた課題
• 有機ELの発光特性の経年変化や温度依存
性など、信頼性に関係する項目は以下の性
質に依存する。
– 電極(透明導電膜)の導電率
– 発光層材料の誘電率、粘性
– 封止材料の膨張率、粘性など
• これらは構造・材料と密接な関係があり、汎用
的な評価手段にまで落としこめていない。
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企業への期待
• 材料によっては、残留電荷の影響を考慮する
必要があることを掴んだ。
• 有機ELの発光特性の経年変化や温度依存
性など、信頼性に関係する項目は表面変位を
測定することで推測できるようになった。
H25年度電気・情報関連学会中国支部連合大会
電気学会奨励賞(宮永和典)
照明学会奨励賞(丸山慎平)
H26年度電気・情報関連学会中国支部連合大会
電気学会奨励賞(岡遼)
これらの技術を各企業の評価手法に取り入れて、開発の
スピードアップや信頼性の向上に利用してほしい。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :
– ①照明用有機ELの点灯装置
– ②照明用有機EL
• 出願番号
:
– ①特願2013-36797(特開2014-165104)
– ②特願2013-259790(特開2015-118752)
• 出願人
:
– 独立行政法人国立高等専門学校機構
• 発明者
:植月唯夫
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お問い合わ
お問い合わせ
合わせ先(必須
(必須)
津山工業高等専門学校
コーディネーター 柴田
政勝
TEL 0868-24-8333
FAX 0868-24-8406
e-mail rennkei @ tsuyama-ct.ac.jp
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