動的つりあい

工業力学 補足・復習スライド
Industrial Mechanics
第11回:運動量と力積
おさらい
回転体のつりあい
 固定軸につけられた物体が回転すると遠心力が発生する.
この遠心力がうまくつりあわないと振動,騒音,摩耗の
原因となり,製品にとってよろしくない.
 これを防ぐには,物体各部に作用する遠心力がつりあって
いる必要がある.
 考慮しなくてはならないつりあいは 2つある:
 静的つりあい:
 遠心力自体がつりあう
 動的つりあい:
 遠心力がつくりだすモーメントがつりあう
静的つりあい
 物体上の各部位に作用する遠心力のつりあい
 物体上の微小部位の水平位置を (𝑥, 𝑦)T ,その軸との距離を
𝑟 = 𝑥 2 + 𝑦 2 ,微小質量を 𝑑𝑚 とするとき,角速度を 𝜔 と
すると,遠心力の大きさは 𝐹 = 𝑑𝑚 𝑟𝜔2 .ベクトルでは,
𝑭 = 𝑑𝑚 𝑟𝜔2
cos 𝜃
sin 𝜃
𝑥
2 𝑥 𝑑𝑚
= 𝑑𝑚 𝜔 𝑦 = 𝜔
.
𝑦 𝑑𝑚
 よって遠心力の合力は
𝑥 𝑑𝑚
𝑀𝑥G
2
2
𝑹=𝜔
=𝜔
𝑀𝑦G
𝑥 𝑑𝑚
2
= 𝜔2 𝑀𝒙G .
静的つりあい
 𝑹=
𝜔2
𝑥 𝑑𝑚
𝑥 𝑑𝑚
=
𝜔2 𝑀
𝑥G
2 𝑀𝒙 .
=
𝜔
G
𝑦G
 板の全質量が重心に集中した場合の遠心力の式
 遠心力の合力 𝑹 をゼロにするには,全体の重心 𝒙G を原点
つまり軸上に持ってくればよい.
 軸上にこういう板が複数ついて
いる場合は,それら全体の
重心を軸上に持ってくれば
よい.
 つまり,軸の付属物全体の
重心を軸に持ってくる設計
が必要.
動的つりあい
 右図のように,軸受けで固定された
回転軸に質量が 2つとりつけられて
いるとする.
軸受け
軸受けとは (Wikipedia)
軸受(じくうけ)とは機械要素のひとつで、回転や往復運動
する相手部品に接して荷重を受け、軸などを支持する部品で
ある。
http://gamette.blog4.fc2.com/blog-entry-6.html
動的つりあい
 右図のように,軸受けで固定された
回転軸に質量が 2つとりつけられて
いるとする.
 2つの質量の重心は軸上なので,
静的つりあいは OK.だが…
 回転させたときに発生する遠心力は
この軸を,軸と直交する方向に回転
させるモーメントを発生させる.
 これが軸受けを押し,製品全体を
振動させる.
 このモーメントもゼロにしたい
 動的つりあい
軸受け
動的つりあい
𝑭2
𝑎2
と表される.
(つまり右図では成り立たない)
𝑎1
 各力のモーメントアームを右図の
ように設定する.
𝑭1
 基準点 (右図では下の軸受け) の
位置は,静的つりあいが成り立って
いる場合はどこにおいてもよい
 この場合,モーメントのつりあいは
𝐹1 𝑎1 − 𝐹2 𝑎2 = 0
回転体のつりあい
 総合的に考えると,
図のようになる.
 静的つりあい:
𝑚𝑖 𝑥𝑖 = 0,
𝑚𝑖 𝑦𝑖 = 0.
 動的つりあい:
𝑎𝑖 𝑚𝑖 𝑥𝑖 = 0,
𝑎𝑖 𝑚𝑖 𝑦𝑖 = 0.
𝑥𝑖
𝑭𝑖 =
𝑖 𝑦
𝑖
𝑁𝑖𝑥 = 𝑎𝑖 𝜔2 𝑚𝑖 𝑦𝑖
𝑁𝑖𝑦 = −𝑎𝑖 𝜔2 𝑚𝑖 𝑥𝑖
𝜔2 𝑚