10 新宮川水系(熊野川)の総合的な治水対策のさらなる推進 (国土交通省) 【提言・提案事項】制度・予算 《現状・課題等》 ■ 平成 23 年の台風 12 号による紀伊半島大水害では、熊野川や相野谷川をはじめとした支川流域において大規模な浸水被害が発生す るとともに、熊野川の河道内には大量の土砂が堆積しました。このため、熊野川の河口から約5㎞の直轄管理区間では激甚災害対策 特別緊急事業により堆積土砂の撤去が進められています。一方、直轄管理区間の上流域においては本県をはじめ各河川管理者が堆積 土砂の撤去を行っていますが、依然として大量の土砂が堆積していることから今後も莫大な費用が必要です。また、水系内に複数存 在する河川管理者が短期間に効率的かつ効果的な対策を進めることには限界があることから、直轄管理区間を拡大し、国の管理の下、 効率的かつ効果的な堆積土砂撤去など、総合的な治水対策を推進することが求められます。 ■ 熊野川の流域内には、主なものだけで 11 基のダムが設置され、電源開発(株)、関西電力(株)、国土交通省がそれぞれダムの管理 を行っています。このうち、一部の利水ダムにおいては、平成 24 年度より洪水時のダム放流量の低減を図る暫定運用が実施されて おり、平成 27 年の台風 11 号でも一定の水位低減効果(相賀地点で約 70 ㎝)が得られています。引き続き、利水ダムの治水利用の 継続と拡大を進めるためには、国によるマネジメントの継続が必要です。 ■ 熊野川では、紀伊半島大水害以降、山腹崩壊等による土砂の流出により、濁水の発生とその長期化が問題となっており、その対策 として関係機関により、堆積土砂の撤去、砂防工事等の土砂災害対策やダムにおける水路トンネル整備、選択取水設備の設置などの 対策を進めています。また、平成 27 年3月には「熊野川の総合的な治水対策協議会」において関係機関が実施する濁水対策が決定 されたところです。濁水対策の確実な実施と効果の検証を実施するためには、国によるマネジメントの継続が必要です。 県担当課名 関係法令等 31 県土整備部 河川課 河川法 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法 「紀伊半島大水害」 新宮川水系の総合的な治水対策のさらなる推進 10 新宮川水系(熊野川)の総合的な治水対策のさらなる推進 (国土交通省) 利水ダムの治水利用 【紀伊半島大水害】 【複雑で特異な流域】 ・河川の計画規模を超える洪水により、甚大な 被害が発生 ・河道内に堆積した大量の土砂 ・深層崩壊が発生し、不安定土砂が存在 ・濁水の長期化 ・全国有数の多雨地帯 ・流域が三重県、奈良県、和歌山県の3県に跨る ・流域内には11基の利水ダムが存在 ・流域内には複数の河川・ダム管理者が存在 平成 23 年 浸水範囲 相野谷川輪中堤 台風 12 号 被災状況 新宮川水系 流域図 流域界 主なダム (H23.10.17時点) 熊野川・相野谷川の浸水戸数等 浸水戸数 河川 市町 備考 水没 床上 床下 計 熊野川 新宮市 0 1,188 957 2,145 (本川) 紀宝町 0 306 48 354 192 449 8 649 相野谷川 紀宝町 (79) (107) (0) (186) 輪中堤内 全体 192 1,943 1,013 3,148 *いずれも住家を対象とした戸数 *新宮地区は内水による浸水を含む *浸水戸数は紀宝町、新宮市、紀南河川国道事務所調べ 九尾ダム 河川(国管理) (L=10.9km) (関電) 河川(県管理) 川迫ダム (関電) 熊野川の総合的な治水対策の実施への取組 瀬戸ダム (関電) 猿谷ダム (国) ① 高岡地区:相野谷川のはん濫 ② 熊野川の河川管理者である国、三県と沿 【従前からの取組】 川自治体及びダム管理者が緊密な連携を 「ダム操作に関する技術検 図りながら熊野川の一貫した総合的な治 討会」 池原ダム (電発) 水対策を推進することが重要 (電源開発) 七色ダム (電発) 【構成員】 国・和歌山県・奈良県・三重県・流域自治体・関西電力・電源開発 坂本ダム (電発) 旭ダム (関電) ② 浅里地区:熊野川のはん濫 約 0.7m(推定)の水位低下! 風屋ダム (電発) ① 「熊野川の総合的な治水対策協議会」 二津野ダム (電発) ⑤ ③ 北桧杖地区:洪水痕跡 ④ ⑥ 電線にゴミが! ⑤鮒田地区 小森ダム (電発) ③ 放水口 相野谷川のはん濫 【治水対策】(国・県・電源開発) ・各管理者による堆積土砂撤去 ・治山・砂防事業の実施 熊野川 ④ 熊野大橋の冠水 ⑥ 鵜殿地区:熊野川のはん濫 (L=12.7km) 北山川 熊野川 提 言 H27.3 第 8 回協議会で確認 【濁水長期化軽減対策】(国・県・電源開発) ・流域対策(直轄砂防・治山、各県砂防・治山) ・ダム施設の改良(風屋ダム・二津野ダム) ・ダムの運用改善(風屋ダム・二津野ダム) 1 直轄管理区間を拡大し、国の一元的な管理の下、効率的かつ効果的な堆積土砂撤去など総合的な治水対策を推進すること。 2 複数の管理者が存在する新宮川水系において、利水ダムの治水利用および濁水対策の実施について、国によるマネジメントを継続すること。 【県土整備部】 32
© Copyright 2024 ExpyDoc