もんじゅ保守管理不備の問題の 反省と取組

第6回もんじゅ安全・改革検証委員会資料
もんじゅ 保守管理不備の問題の
反省と取組
平成27年 12月25日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
はじめに
原子力規制委員会の勧告について
平成27年11月13日
日本原子力研究開発機構
理事長 児玉 敏雄
本日、原子力規制委員会から文部科学大臣に対して、高速増殖原型炉「もんじ
ゅ」の運営に関する勧告がなされました。
私は、本年4月の日本原子力研究開発機構理事長就任以来、「もんじゅ」の抱
える課題とそれを乗り越えるための方策について検討して参りました。そして、
保全計画の抜本見直し等により、来春には保守管理不備問題を解決していく決
意を11月2日の原子力規制委員会で表明致しました。しかしながら、原子力規
制委員会からご理解を得られずこのような事態に至ったことは誠に残念であり
ます。
日本原子力研究開発機構は、長期間に亘る実験炉「常陽」の運転経験やナトリ
ウム取扱い技術等を蓄積し、設計・建設段階から「もんじゅ」プロジェクトを実施
してきました。「もんじゅ」を通じて開発成果を確実に生み出していくことは、日本
原子力研究開発機構の責務です。また、日本原子力研究開発機構は、現時点
において「もんじゅ」を預かる当事者であり、「もんじゅ」の安全について責任を
有していることに変わりありません。
私としては、原子力規制委員会で説明した保守管理プロセス総合チェックや保
全計画の抜本見直しなどの徹底的な改善に全力を傾注し、その成果をお示し
することにより、日本原子力研究開発機構の責務を果たしていく所存です。
本日ご説明したい内容
○ 保守管理不備の問題のこれま
での経緯を踏まえ、未だ解決で
きないことの反省
○ 反省を踏まえたもんじゅの課題
解決と改善の取組
原子力機構は、引き続きもんじゅ施
設の安全確保と研究開発遂行を旨
に、保守管理を始めとする運営活
動の改善と問題解決に立ち向かっ
ていきます。
本日は、これらの取組に対しまして
ご意見、ご指導いただきますようお
願いいたします。
1
目
次
1.もんじゅに関する基本的認識
2.建設時からの経緯
3.保守管理不備の経緯と問題点の分析
問題① 保全計画が内包する問題解決の対応
問題② 新たな問題発生による手戻り繰り返し
問題③ 根本的な問題(技術基盤、マネジメント、意識)
未だ問題解決に至らない反省のまとめ
もんじゅ安全・改革検証委員会への諮り方
4.課題に対する今後の取組への反省ポイントの反映
5. 潜在する根本的な課題への取組
6.今後のスケジュール
7.まとめ
2
1.「もんじゅ」に関する基本的認識
• 「もんじゅ」は日本が国策として推進している高速炉路線に
関して、次プラント(国産の高速炉実証炉)に反映してゆくた
めの基盤データ(Na冷却発電炉の特性、安全性、運転性、
保守性、他)の取得を目的に建設された原型炉。
• 加えて、将来の高速炉に関する「安全性強化を目指した
研究開発」として、新規制基準に係る技術要件を模索する
役割も期待されている。
• 一方、発電炉でもあるという観点から、研究炉を超えたプラ
ントの安全・安定な運転維持管理 等が要求されている。
• さらに、Na冷却炉は電力でも運転経験がなく、新しいものを
動かすという観点等からも、軽水炉を上回る安全意識をもっ
て運営にあたることが必要である。
3
1.「もんじゅ」に関する基本的認識
一方、
• 「もんじゅ」はナトリウム冷却高速増殖発電炉の初号機であることから、
① 保全プログラムの核となる保全計画はゼロから作り上げなければ
ならない。
② 保全計画を作成するに際して必要な設備・機器の劣化度合い、故
障頻度、寿命等の蓄積されたデータが極めて少ない。
• 運転・保守データを取得し、適切な保全計画を開発するのが原型炉と
しての重要な役割の一つだが、運転しないと十分なデータが得られな
い。
• 研究開発段階炉のため機器数が多く、ナトリウム冷却炉の特殊性から
ループ毎にナトリウムを抜き取った後に点検を行うなど、
軽水炉にはない制約がある。
こうした制約や条件を踏まえた保守管理の対応が必要
4
2.建設時からの経緯
・「もんじゅ」は国主導の下、国内各電力やメーカの英知を結集して建設
・平成4年に性能試験を開始したが、40%出力試験時にナトリウム漏えい事故が発生し運転停止
・平成22年に性能試験再開するも、保守管理不備等により、再び長期停止の事態に陥っている
(暦年)
S58~H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H17 H18
H16
H19 H20
H21 H22
H23
運転停止期間(14年以上)
性能試験
原子炉設置許可
(S58.5)
建設工事着工
(S60.10)
サイクル機構⇒
地元自治体
地元自治体への
安全審査入り了承
改造工事事前了解願い
(H13.6)
(H12.12)
改造工事
地元了解
(H17.2)
「もんじゅ」
開発の
位置付け
性能試験開始
(H4.12)
もんじゅ全体の総点検
原子力長期
計画策定
(科学技術庁、動燃)
初臨界
(H6.4)
初送電
(H7.8)
原子力
政策円
卓会議
高速増
殖炉懇
談会
改造工事
本体工事
開始
(H17.9)
国による
安全性の確認
原子炉設置 もんじゅ改造
変更許可 工事等設工認
安全性総点
(原子力安全・保安院
検改善事項
原子力安全委員会)
の確認
終了
(H19.5)
プラント確認試験
及び性能試験前
準備・点検開始
(H19.8)
新原子力
政策円卓
会議
東海再処理施設 スーパーフェニ
JCO臨界事故
火災・爆発事故
ックス廃止
→「動燃改革」
核燃料サイクル開発機構発足
H27
(第2保全サイクル)
(原子力規制委員会)
保全プログラム導入
(H21.1)
原因究明と総点検
原因究明と再発防
止策の検討
H26
運転停止期間(5年以上)
(第1保全サイクル)
ナトリウム
漏えい事故
(H7.12)
H24 H25
保守管理不備 保安措置命令
(H24.11) 保安規定変更命令
(H25.5)
性能試験再開(H22.5)
炉心確認試験
もんじゅ改革
(H22.5-H22.7)
集中改革期間
終了
(H22.1)
炉内中継装置落下
(H22.8)
炉内中継装置
引き抜き完了(H23.6)
中央省庁再編
新耐震指針 新潟県中越沖地震
日本原子力研究開発機構発足
原子力政策大綱
東日本大震災
東電福島第一事故
5
3.保守管理不備の経緯と問題点の分析
•
H24年11月に保守管理不備の問題を確認し公表以降、原子力規制委員会からの保安措置命
令を受け、改善に取り組んできたが未だ解決に至っていない。
⇒ 問題点を整理し、解決に時間を要している原因を分析
⇒ その結果を反省し、解決・改善の取組を実行
平成20年 11月 :原子力安全・保安院(当時)の方針を受け、軽水炉の供用期間中
と同等の保全計画の作成を開始。
平成21年 1月 :保全プログラムを導入
(初号機のため十分な技術的根拠や点検・故障等の実績に基づくデータが
ない状況下で短期間に保全計画を策定)
問題①
保全計画が内包する問
題への対応不十分
平成24年 11月 :点検時期の延長/点検間隔・頻度の変更手続きに不備
(保守管理不備)
12月 : <第36条 保安措置命令、第67条 報告徴収>
平成25年 1月 :保安措置命令、報告徴収に対する報告書提出
5月 : <第36条 保安措置命令、第37条 保安規定変更命令>
(平成25年6月、9月の保安検査で違反・指摘を受領)
問題②
手戻りを繰り返した
9月、11月 :保安措置命令に対する報告書提出
(平成25年12月、平成26年3月、9月の保安検査で違反・指摘を受領)
平成26年 12月 :保安措置命令に対する報告書提出
平成27年 3月 : <原子力規制庁の保安措置命令に関する対応方針>
(平成27年3月、6月の保安検査で違反・指摘を受領)
9月 : <第67条 報告徴収>
10月 :報告徴収の報告書提出
11月 : <原子力規制委員会から文部科学大臣宛てに勧告>
問題③
根本的な問題(技術基盤、
マネジメント、意識等)
6
問題① 保全計画が内包する問題への対応不十分(1/3)
~保全プログラム導入経緯~
【保全プログラムの導入経緯】
○ H20年10月、原子力安全・保安院(当時)より
示された方針を受け、軽水炉と同様に
H21年1月より保全プログラムを導入。
○ 保全プログラムの核となる保全計画を
2カ月足らずの期間で策定。
⇒十分な技術的根拠や
点検・補修の実績データがないため、
従前の点検内容やメーカ推奨等を基に作成。
そのため保全計画は多くの問題を内包。
➢ 保全対象範囲(含めるべきものの漏れ、含めなくて良いものの登録)
➢ 保全重要度(機器毎の安全重要度分類の未制定による影響)
➢ 点検内容・頻度等の技術根拠が不十分
➢ 現場の状況の点検内容への反映が不十分 など
⇒ また、保全計画の実施を支える要領類の
最適化や職員の修練等は
実践しながら修正していく必要があった。
【第15回もんじゅ安全性確認検討会(H20年10月22日) 原子力安全・
保安院資料より抜粋】
「もんじゅ」は、使用前検査の段階であるが、初臨界から14年を経過
し、今後試運転を再開しても2年以上これを行うことを考慮すると、設
備の重要度に応じ、劣化の状況を踏まえ適切な保守管理が行われ
る必要がある。原子炉等規制法に基づく研究開発段階炉規則の改
正等(新検査制度に係るもの)により、事業者は、保安規定等を改正
し、来年1月から使用前検査中の設備であっても、保全プログラムを
作成し、計画的に劣化の状況を把握し、健全性を維持することが義
務付けられることになった。当院は、原子力機構が、今回確認された
保守管理上の問題*を十分に踏まえた保全プログラムを作成してい
るか保安検査等で厳格に確認することとする。
_:下線は、出典資料に元々引かれていたもの
* :ナトリウム漏えい検出器誤警報(H20.3)、屋外排気ダクトの腐食孔(H20.9)
保守管理の実施方針及び保守管理目標
<保全プログラム>
保全対象範囲
保全重要度
保全計画の策定
不適合管理
是正処置等
保全の実施
点検補修結果の評価
保全活動管理指標
保全活動管理指標の
監視
保全の有効性評価
保守管理の有効性評価
7
問題① 保全計画が内包する問題への対応不十分(2/3)
~保全計画の問題~
反省①:保安措置命令解除に必要な保全計画の改善の範囲の判断
が適切でなかった。そのため、最初から抜本的な見直しを行
わず、段階的に改善範囲を拡大していくこととなり、結果とし
て時間を要した。
保全計画が内包する問題に対し、
これまで改善に取り組んできたが
未だ解決すべき課題あり。
保全計画の問題点
PDCAによる
改善の継続
・保全計画策定に用いた機器ごとの安全機能の重要
度分類に適切でないものがあった
・現場の実際の状況に則した保全内容になっていない
ものがある
・十分な技術根拠に基づく保全内容・頻度になってい
ないものがある(クラス1、2機器を順次整備)
保全計画の
改善範囲
・設備台帳との不整合、誤記・記載漏れ
・設備の二重登録や増設設備等の登録漏れ
・長期停止における機器の劣化度合や使用条件を踏
まえ特別な保全計画に移すべきものがある
・十分な技術根拠に基づく保全内容・頻度になってい
ないものがある(低温停止中、機能要求のある機器
から整備)
保全計画の
全面的な確認作業
(ローラー作戦)
・点検実績の管理等が計算機システム化されておらず、
膨大な機器を手作業で管理していた。
・過去の点検実績の記載がないため次回点検期限が
不明確
H21.1
保全計画策定
オールジャパン体制
による改善活動
保守管理業務
支援システムの導入
保全計画策定後、保全の最適化に
向けた保全計画の見直しを
十分に進めてこなかった。
前回点検実績
及び次回点検期限
の明確化
H25.1
10次改訂
H25.11
15次改訂
H26.12
20次改訂
xx次改訂
8
問題① 保全計画が内包する問題への対応不十分(3/3)
~要領類の最適化や職員の修練等の問題~
【要領類の最適化や職員の修練等の問題】
○ H22年に炉内中継装置落下、非常用ディーゼル発電機の不具合による点検工程延長により、
ループ毎の点検実施の制約から点検できない機器が多数発生したが、不適合の的確な処置
を行わず、点検期限超過の機器を多数発生させる「保守管理不備の問題」に至った。
平成20年度
10~3月
平成21年度
4~9月
平成22年度
10~3月
プラント確認試験
4~9月
平成23年度
10~3月
4~9月
10~3月
平成24年度
4~9月
平成25年度
10~3月
4月~
起動準備
性
能
試
験 (H22.4時点)
性能試験前準備・点検
炉心確認試験
40%出力プラント確認試験
H22.7
H21.1
出力上昇試験
▼点検計画変更
▼点検計画変更
第2保全サイクル(長期停止を考慮して変更)
第1保全サイクル
16ヶ月(B系統)
保全プログラム導入
(基本16ヶ月サイクル)
16ヶ月(A系統)
16ヶ月(C系統)
B系統
A系統設備点検
A系統
A系統
B系統
C系統
H22.12
C系統
炉内中継装置落下 非常用D/G故障 H23.8
B系統
C系統
制御棒動作不調
炉内中継装置復旧
これまでに対策を実施し改善
➢ 保守管理業務支援システムの導入による計算機管理、点検期限の警告機能等
➢ 工程策定時の点検計画との整合図ることのルール化
➢ 点検期限超過の可能性のある場合の特別採用等の不適合処置の明確化
➢ 職員への指導教育 など
:点検期限超過
新たな点検期限の
超過は発生しておら
ず、適切に管理でき
ている。
9
問題② 新たな問題発生による手戻り繰り返し(1/2)
保守管理不備の問題確認以降、対策・改善を行い、原子力規制委員会に報告書を提出するも、そ
の後に新たな不適合が顕在化し、保安規定違反・監視と判定され、報告書を出し直すなどの手戻り
を繰り返している。
規制委員会
保安措置命令
報告徴収
(H24.12)
保守管理不備確認
(H24.11)
【H24.12】
違反① 点検期限超過
【H25.3】
違反② 点検期限超過
【H25.6】
違反③ 点検期限超過
【H25.9】
違反④ 点検期限超過
規制委員会
保安措置命令
保安規定変更命令
(H25.5)
報告書提出
(H25.1)
規制委員会
報告徴収
(H27.9)
報告書提出
(H26.12)
補正
(H27.2)
報告書提出
(その1:H25.9)
(その2:H25.11)
【H25.12】
監視① 保全計画に適切に
機器が登録されていない
監視② 点検方法が保全計
画と要領で一致していない
報告書提出
(H27.10)
【H26.9】
監視④ ITVの
故障対応不備
【H26.3】
違反⑤ 保全計画に従った点検未実施(可
視可能範囲のみ点検)
違反⑥ 未点検機器の確認作業(所大チェ
ック)の不備
違反⑦ 訂正印による保全計画の訂正
監視③ 点検等の不備(重複登録、点検不
十分、有効性評価不十分)
【H27.3】
違反⑧ 原子炉補機冷
却系配管点検不備
違反⑨ 重要度分類
QMS文書制定不備
違反⑩ 特別採用の技
術評価不十分
【H27.9】
違反⑫ 非常用D/G
の点検に係る調達
管理の不備
違反⑬ 機器ごとの
安全機能重要度分
類の設定不備
【H27.6】
違反⑪ 保修票等の未処理
監視⑤ 記録紙の紛失
10
問題② 新たな問題発生による手戻り繰り返し(2/2)
保守管理不備に伴う作業(非定常業務)
通常の点検・保守業務
反省②:
早期に保安措置命令解除を目指す思い
が先行し、保安検査で「違反」や指摘を受
けた箇所に関する改善に留まっていた。
反省③:
保全計画に従った点検作業を実施しつつ
並行して是正処置を行わねばならず、職
員に大きな負荷がかかりミスを誘発した。
反省④:
他拠点からの異動や実務経験者採用等
により「保守管理に必要な」要員を増強し
たが、更に人員を投入して「潜在する問題
点を洗い出す」措置まで執らなかった。
潜在する問題が顕在化し、手戻りを繰り
返す結果を招いた。
不適合報告書
是正処置計画
書
予防処置計画
通常業務と並行して作業
昼:現場
夜:保守管理不備関係作業
不適合、是正処置等
点検記録の確認作業
保全計画の見直し作業
再点検作業
負荷が増加し、記載ミスや漏れ
などを誘発しやすい状況
「違反」や指摘の改善範囲
「違反」や指摘の外側(課
題が潜在する可能性)
指摘事項の周辺の
改善は実施したが
外側までチェックで
きなかった
⇓
潜在する問題が
顕在化
要員補強したが、業
務量増大に追いつ
かなかった
QMS文書の見直し作業
【1次文書】
・原子炉施設保安規定
・品質保証計画書
【2次文書】
・保守管理要領
・もんじゅ品質記録
管理要領
等
【3次文書】
・保全計画検討要領
・保守管理の有効性
評価要領
等
【記録】
:これまでの改善点
:潜在する問題点
QMS文書体系 イメージ
11
問題③ 根本的な問題(1/2)
~技術基盤、マネジメント、意識~
【もんじゅ改革に際しての分析】
ナトリウム漏洩事故(平成7年)とその後の
情報の不適切な対応
「もんじゅ」を確実に運転でき、技術
伝承を行う体制ができていない。
「もんじゅ」改革として各種の改革
・打ち手を実施してきたが、結果と
して十分な効果を挙げていない
長期の停止
 電力会社からの要員規模の縮小に
対して、機構プロパー職員の増強、
育成が不十分
 自ら改善する取組及び姿勢が薄れ
てしまった(受け身的体質の形成)
反省⑤:
➢根本的な課題への切り込みが不十分
根本的な問題
 職員個々の技術力や自ら定めたルー
ルを守る意識の低下、適切な発電所マ
ネジメントが不十分
➢長期停止による、職員の運転・保守に
関するモチベーション低下、成功体
験が少ないことも影響
12
問題③ 根本的な問題(2/2)
~技術基盤、マネジメント、意識~
➢ 根本原因分析による組織要因への対策の有効性評価を行い、対策の修正・追加
➢ 根本的な問題に対する抜本的・効果的な対策を練る
根本原因分析で抽出した
組織要因(4項目)
1.管理機能が不足
(管理者の役割と責任が不明確、組織とし
ての対応が不十分、他)
2.チェック(横串)機能が不足
(組織としてのルール遵守の定着化
不十分、品証室等のチェック不十分、他)
3.保全に係る技術基盤の整備が
不足
(技術的対応が不十分、技術要員や 力量
不足、他)
4.安全最優先の意識と取組みが
不足及び安全文化の劣化
(意識改革不足 他)
組織要因に対する対策【P、D】
(全78項目 以下、主要なものを抜粋)
・業務管理表の作成
・業務管理表等を活用したコミュニケーショ
ンの強化 等
・是正処置プログラム(CAP)を導入
・品質保証室の独立性を強化。
・品質保証専任副所長及び各課に品質
保証担当者を配置 等
・保守管理業務支援システムを構築
・プラント保全部への増員
・保守担当者個人ごとに育成計画を作成
等
対策の有効性評価
【C、A】
【有効性評価の観点】
・対策が、RCAの提言を
満足しているか
不足していないか
・対策の効果が発揮されて
いるか
等
評価結果に基づき
修正・追加
・マネジメントレビューを年度ごと2回以上
に増加
・安全文化の醸成や関係法令及び規定
の遵守に関する小集団活動を実施 等
13
未だ問題解決に至らない反省のまとめ
問題
反省
今後の取組への反映ポイント
問題①
保全計画が内包する
問題解決の対応に関
すること
反省①:
保安措置命令解除に必要な保全計画の改善範
囲の判断が適切でなかった。そのため、最初から
抜本的な見直しを行わず、段階的に改善範囲を
拡大していくこととなり、結果として時間を要した。
反映P-①:
➢ 保全を確実に実施するため、抜本的に見直
すこと。
問題②
新たな問題発生によ
る手戻りの繰り返し
反省②:
反映P-②:
早期に保安措置命令解除を目指す思いが先行し、 ➢ 指摘を受けた事項の外側に潜在する可能
保安検査で「違反」や指摘を受けたことに対する
性のある課題を洗い出し改善すること。
改善に留まっていたため、それ以外の潜在する問
題が顕在化し、手戻りを繰り返す結果を招いた。
問題③
根本的な問題(技術
基盤、マネジメント、
意識)
反省③:
保全計画に従った点検作業を実施しつつ、並行し
て是正処置等を行わねばならず、職員に大きな
負荷がかかりミスを誘発した。
反映P-③:
➢ 未点検機器の点検を含む通常の点検業務
の体制を補強すること。
➢ 潜在課題をチェックする体制は、通常体制と
は別の体制を整備すること。
反省④:
他拠点からの異動や実務経験者採用等により
「保守管理に必要な」要員を増強したが、更に人
員を投入して「潜在する問題点を洗い出す」措置
まで執らなかった。
反映P-④:
➢ 必要なリソースの投入を行うこと。
反省⑤:
根本的な課題への切り込みが不十分
長期停止による、職員の運転・保守に関するインセ
ンティブ低下、成功体験が少ないことも影響
反映P-⑤:
➢ 根本原因分析の対策の有効性評価に基づ
く対策を修正・追加すること。
➢ 抜本的・効果的な対策を立案すること。
14
もんじゅ安全・改革検証委員会への諮り方
検証委員会においては、
○ 「もんじゅ」改革の対策
○ 対策の実施状況と自己評価 等
を説明し、いただいたご意見に対応するというや
り方で実施
【反省】
・ 分析した課題の説明が十分ではなかった
ことから、対策の妥当性や的確性を見てい
ただくための情報が十分提供できていな
かった。
【今後の対応】
・ これまでの保守管理不備の問題への取組
における反省事項とそれを反映した活動
を説明(第6回)
・ オールジャパン体制の活動で抽出された
潜在する課題とその改善の状況を説明
(第7回)
検証委員会での主な意見と対応
委員コメント
対 応
改革の成果を定量的に示し
自己評価を行うこと
各対策の定量化方法を検討した上で総合的
な自己評価を実施
協力会社等との連携強化を
検討すべき
メーカ、協力会社との連携強化策を計画し実
施(特命クライテリア改善、複数年契約等)
トップの意向を汲んで危機感
の共有が必要
理事長との直接対話を継続実施
経費削減も必要だが安全確
保に必要な予算は確保すべ
き
予算については理事長マネジメントレビューイ
ンプット情報にするようルール変更
安全に日々努力している職員
の人事考課制度も重要
評価者への研修を実施
抜擢制度の改善
国の計画を踏まえもんじゅの
目標を立て機構・協力会社で
共有すべき
もんじゅ研究計画、エネルギー基本計画の勉
強会、再開に向けて乗り越えるべき課題と目
標の共有
規制庁との間で認識の乖離
が生じないようにすべき
検査官とのコミュニケーションの習慣化、原則
2名での応対
管理職だけが改革をやってい
ないか、
小集団活動によるボトムアップ活動を実施
数年で人が入れ替わる組織
を前提として安全確保するよ
うにすべき。
技術力向上のための教育・OJTの改善を図る
IT化・システム化の推進
点検要領等の標準化
職場コミュニケーションは重要、 理事長講話、メッセージの発信、MM、安全大
上層部の意見を現場に正しく
会での訓示などのあらゆる機会を利用し上層
発信すべき
部の方針、意見を発信
15
課題に対する今後の取組への
反省ポイントの反映
16
現状の課題認識
(平成27年11月2日原子力規制委員会との意見交換資料抜粋)
安全確保の為に必要なこと
= 従来からの改善活動
(ポイント - 2)
(継続的な改善点=QMS改善活動)
(ポイント ‐ 1)
(即刻解決すべき点)
⇒ ① 「保全計画」の見直し
⇒ ② 未点検機器の解消
⇒ ③ RCA分析からの対策実施と評価
⇒ ① 保守管理体制と品証体制の定着
(自律的なPDCA)
⇒ ② 継続的な安全確保の体制整備
⇒ ③ 軽水炉を上回る安全要求に
応える改善活動
理事長の民間からの視点
= ここ半年で痛感したこと
(ポイント ‐ 3)
(潜在する根本的な課題)
今後運転までを担うためにも解決せねばならない課題
⇒ 人材、リソース(資金)面の課題、 職員の資質・力量面(視野、コスト感覚、危機感・
スピード感の不足、モチベーション、指示待ち、同じミスを繰り返し 他)
17
4.課題に対する今後の取組への反省ポイントの反映(1/5)
現状の課題への対応状況(1/2)
反省を踏まえた今
後の取組への反映
~ (ポイント‐1):即刻解決すべき点 ~
あるべき姿
実施事項
保全計画
通りの
保全を実施
① 技術的根
拠に基づ
く合理的
な保全計
画への抜
本的な見
直し
・安全重要度分類の再整理 : 完了
② 未点検設
備の解消
(点検の
実施)
・未点検機器の点検:B系列分完了
75%完了
③ 保守管
理不備に
係るRCA
対策の実
施
・RCA分析より
78の具体的対策を抽出: 実施中
④ 不適合事
案の処理
・保守管理不備に係る不適合
不適合の除去:
70%完了
保安規定に
従った
保守管理と
品質保証を
実施
現状
・保全方法の技術的根拠の整備 :
実施中
今後の取組
➢来春までに
重要設備の保全計画の見直し
を完了
(H28年5月)
・技術的根拠に基づく保全の
有効性評価方法の高度化:
追加実施中
・安全重要度分類再整理等に伴う追
加点検:
38%完了
➢来春までに
残るA系列/C系列、追加の
未点検機器の点検を全て完了
(H28年3月)
➢実施中対策の有効性評価を
実施(PDCAのC)
➢評価結果により対策の修正・
追加を予定(PDCAのA)
➢来春までに保守管理不備に
係る不適合事案の処理完了
(H28年5月)
反映P-①
➢保全計画の抜
本的見直し
反映P-④
➢電力・メーカ
の協力を得たオ
ールジャパンで
要員を大幅投入
反映P-③
➢潜在課題をチ
ェックする体制
は通常体制とは
別の体制を整備
所の通常の管
理下で確実に
実施
共通:進捗状況の見える化を推進中
18
4.課題に対する今後の取組への反省ポイントの反映(2/5)
・未点検機器の解消に向けて、計画的な保全作業を推進
・不適合の処置など、自律的にPDCAを回す活動を加速中
特別採用機器の点検完了率
保守管理不備に係る不適合の完了件数
100%
100%
120%
C系ナトリウムドレン
A系ナトリウムドレン
不適合報告の処置状況
A系ナトリウムドレン
B系ナトリウムドレン
100%
予防処置の完了状況
80%
80%
未点検機器の点検:実績(累計)
0%
2016/01
2015/01
2014/01
2015年12月
2015年11月
2015年10月
2015年9月
2015年8月
2015年7月
2015年6月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年2月
2015年1月
0%
2014年12月
20%
「技術的根拠に基づく合理的な保全計画への抜本的見直し」につ
いて、オールジャパンで人員を大幅投入し、対策を加速
2016/01
5%
2014年11月
2014年10月
2014年10月
2014年9月
0% 0%
2013/01
20%
%
20%
40%
2015/01
19%
)
)
%
29%
40%
60%
2014/01
38%
40%
完
了
率
2013/01
47% 49%
60%
)
完
了
率
55% 57%
60%
0%
75% 75%
(
%
66%
70% 72%
(
63%
(
完
了
率
80%
19
4.課題に対する今後の取組への反省ポイントの反映(3/5)
現状の課題への対応状況(2/2)
~ (ポイント‐2):継続的に改善すべき点 ~
反省を踏まえた今
後の取組への反映
既に対策に着手しているものの、効果が表れるまでに時間が必要
あるべき姿
①
保
守
管
理
体
制
・
品
証
体
制
②
継
続
的
な
安
全
確
保
自律的にPDCAが
回る組織
実施事項
・業務管理表による管理
現状
新たな視点を加味した活動
・業務管理表:整備済み(4月)
・実行する組織になるように、
組織のMVS*1 制定(6月)
・KPI*2 による進捗状況管理を強
化
(工程表の進捗フォロー等)
➢ライン管理職の徹底指導
(毎日のモーニングミーティングにて、
具体例にて指導を実施)
ラインで業務が確
実に行える組織
・マネジメント能力の高い
人材の登用
・適材適所のライン配置
・ラインの体制:整備済み(4月)
・各階層の責任・権限を定め、指導
を実施(6月)
➢ライン体制の固定化
十分な品質で業務
が実行できる組織
・品証室の強化
・品証専任の所長代理、室長、担
当者を配置(4月)
➢さらなる品証室の強化
11月よりメーカからQMS専門家
を2名招聘
➢信賞必罰の制度を運用
・ISO等外部研修の受講
プラントの運営に
必要な技術力を備
えた人材の配置
・プロパー職員増員
・実務経験者採用
・電力の指導技術者の配置
・若手職員の電力への派遣
➢プロパー中心の指導・啓発
➢業務引継ぎルールの明確化
・保守担当者の力量評価と教育プロ
グラムの運用を開始
技術の蓄積・継承
自分の責務を誠実
に遂行する意識
・プラント保全部にプロパー増員
(プロパー率:34%⇒44%)(~本年4
月)
➢ライン補助要員の強化
・理事長講話、コミュニケーション・
指導による意識刷り込み
・理事長講話・階層別面談等
(H27年度 7回実施延べ67名)
・理事長メッセージを全職員に配信
*1: Mission / Vision / Strategy
理事長の民間か
らの視点での根
本的な課題への
取組であり、継続
して実施
反映P-⑤:
➢根本的な課題
への対策の追加
➢業務の重要性/意義の教
育
*2:Key Performance Indicator
20
4.課題に対する今後の取組への反省ポイントの反映(4/5)
潜在する根本的な課題とその対策
~(ポイント‐3):理事長の民間からの視点での潜在する根本的な課題(1/2)~
課題点
実施済みの対策
人材面
・少数(40%)のプロパーが
多数(60%)の出向者を
リードできていない
・機構内全体から人材を50
人規模で集中投入
(Na取扱技術者、燃料取扱
技術者を中心に配置)
・若年プロパーのスキル
反省を踏まえた今
後の取組への反映
今後の更なる対策
経験が少ない人材の活用のため、
・ 保守管理業務のIT化・システム化を
強力に推進
(電力の先行例を参考に導入予定)
(H28年度中稼働を目標)
・ データや作業手順の標準化
反映P-⑤:
➢根本的な課題へ
の対策立案
・ トレーニングメニューの充実化 (検討中)
リソース(資金)面
・予算が年度区切り
・集中して使用可能な
予算が限定
(電力に比較して)
・重要な点検は複数年契約
として計画的な運用を開始
(~H26年)
・さらなる費用の合理化を推進
・機構全予算の10%以上を
集中、
・機構内予算の理事長特別
枠として、対策費用を投入
・次年度以降の予算確保に向けて
監督官庁と連携
(Q:quality C:cost D:deliveryの同時成立)
(ダイエットプロジェクトとして機構大にて展開)
理事長の民間か
らの視点での根
本的な課題への
取組であり、継続
して実施
21
4.課題に対する今後の取組への反省ポイントの反映(5/5)
潜在する根本的な課題とその対策
~(ポイント‐3):理事長の民間からの視点での潜在する根本的な課題(2/2)~
課題点
実施中の対策
職員の資質・力量
・発電炉に対する
経験不足
・危機感・スピード感
不足
・電力からの支援に
よる啓蒙活動
・理事長によるフォロー
・モチベーション不足
PDCA不調、
指示待ち体質
・KPIによる見える化
・職員の適材配置
・同じ様なミスを繰返す
・組織(ライン)による
フォローの徹底
・約束したことが
実行できていない
・RCA分析による対
策
反省を踏まえた今
後の取組への反映
今後の更なる対策
・20年間の停止で、長期を見越した十分な組織・人
づくりが出来ていなかったと反省し、加速度的に復
旧すべく、人の育成を加速
・オールジャパン体制での根本的課題への取組み
機構内メンバーに加えて、
設計製作ノウハウを有するメーカー、
運転・保守に関する経験とスキルを有する電力、
等の 民間の知恵を結集したオールジャパン体制で、
潜在する課題の洗出しと対策加速 等を実施
ex. 保守管理業務の「原点に帰った自主的な
プロセス総合チェック」により潜在する課題を洗出し
・今後運転までを担っていくために、期限を決めて、
上記に監督官庁を加えたオールジャパン体制で、根本
的課題への対策立案に関する議論を開始
・若手職員に対するモチベーション向上も含めた教
育に力点
①中期的に職員の教育システムの充実
②成功体験 (DG対策 他)
③徹底的なフォロー(成果はフォローに比例)
反映P-②:
➢ 潜在する課題の
洗い出しと改善
反映P-③:
➢潜在課題をチェッ
クする体制は通常体
制とは別の体制を整
備
反映P-④
➢電力・メーカの協
力を得たオールジャ
パンで要員を大幅投
入
反映P-⑤:
➢根本的な課題への
対策立案
22
反省を踏まえた今後の活動
オールジャパン体制による取組
23
5.潜在する根本的な課題への取組(1/9)
オールジャパン体制の発足(平成27年12月1日)
もんじゅの保安管理体制内に、機構内関連部門、電力、メーカの力を結集した「オールジ
ャパン体制」を発足させ、活動を開始
○ もんじゅの保安業務プロセス中に潜在するあらゆる課題を体系的に摘出し改善
○ 保守管理のPDCAを自律的に機能させるために
不可欠な業務基盤整備を加速
○ 早期に保守管理業務の健全化を図る
24
5.潜在する根本的な課題への取組(2/9)
オールジャパン体制図(平成27年12月1日現在)
・ 点検実施や点検結果の評価等、通常の保守管理業務を着実に遂⾏しながら、根本的課題にも積極的に取り組めるよ
う、即刻対応すべき課題を解決するための通常業務担当体制(保守担当課)とは別に短期集中チームを設置。
・ 短期集中チームは、もんじゅ外から要員を⼤幅に増強しつつ、メーカ、電⼒から最⼤限の⽀援を得る。
・ 短期集中チームは、それぞれの作業内容に応じて「もんじゅ」内の各課に置く。
オールジャパン体制
【総括:担当副所長】
通常業務担当体制
短期集中チーム(メーカ助勢含め約100名)
チームX:技術総括課
(全体とりまとめ)
保守担当課:プラント保全部
各課、プラント管理部安全管
理課(保全の実施)
チームA:品質保証室
(プロセス総合チェック)
チームB・C:プラント保全部
(保全計画策定・
保全有効性評価)
チームD:技術総括課
(IT化)
(1) 点検の実施
(2) 点検結果等の評価
(3) 不適合管理
(1) 全体QMS文書チェック
(2) 保守管理業務文書チェック
(3) 記録保管チェック
(1) 安全重要度の設定
(1) 保守管理業務IT化
予備検討~システム設
計、仕様策定
(2) システム製作、運用
協⼒会社
(クラス3以下の分類の考え方)
(2) 保全計画の策定
(3) 保全有効性評価 など
プラントメーカ各社
ITメーカ
25
5.潜在する根本的な課題への取組(3/9)
オールジャパン体制での根本的課題への取組み (一部着手済)
・オールジャパン体制で短期集中チームを組織。
・保安規定通りに業務を実施しているか 自主的に「プロセス総合チェック(チームA)」を実施
・早期改定が必要な「保全計画改定(チームB)」、「保全の有効性評価(チームC)」を実施
・加えて、保守管理に関わる業務管理、標準化の為に、「IT化・システム化(チームD)」を推進
【保安規定主要業務】
【品質保証】
【保守管理】
【燃料管理】
【放射性廃棄物管理】
【放射線管理】
【保全プログラム主要項目】
 保全重要度の設定
 保全計画の策定
 保全の実施
 点検・補修等の結果の確認・評価
 保全の有効性評価
 不適合管理
【運転管理】
【非常時の措置】
【チームA】
保守管理プロセス総合チェック
・要領書・文書の逐条確認
他
【チームB、C】
保全計画改定加速
保全の有効性評価
【チームD】
IT化・システム化推進
・保守管理一元化システム製作
他
26
5.潜在する根本的な課題への取組(4/9)
~ オールジャパン体制の取組と期待される成果 ~
プロセス
総合チェック(チームA)
保全計画改定・
有効性評価(チームB・C)
① QMS文書の合規性確認
② 保守管理プロセスの詳細確認
保全に係わる業務基盤の積極的整備
保安規定
QMS
文書
インプット
保守管理プロセス
取組み事項(例)
保全対象範囲の策定
保守管理に係る規定類の
改善
規定と整合しているか?
保全重要度の設定
要求事
項は明
確か?
保全計画の策定
・保全対象範囲確認
・保全重要度設定フロー見直し
など
技術根拠と一体となった
保全計画の策定
作業要領
手順は明確か?
アウトプット
要求事項を満足しているか?
【文書チェックポイント例】
保全の実施
点検・補修等の
結果の確認・評価
保全の有効性評価

潜在する課題を
洗い出し、
保守管理
要領へ反映
保守管
理プロ
セス
点検
IT化・システム化推進
(チームD)
現状は、手作業や個別のシステ
ムで業務を管理⇒システム化
設備・機器データベース
改善
保修票
システム
保守管理業務
支援システム
改善
改善
結果評価
※通常の業務体制で実施
新規
不適合
システム
有効性評価の改善
 保守管理のPDCAサイクルが
自律的に回るための出発点と
なる業務基盤の整備・改善
 従来の手作業のIT化
 各システムの連携化
により一元管理
27
5.潜在する根本的な課題への取組(5/9)
~ 保安業務全般に潜在する課題の摘出と展開 ~
(担当:チームA)
○ 保安業務全般にわたり体系的に業務プロセスのチェックを実施
① QMS文書の合規性確認
② 保守管理プロセスの詳細確認
○ プロセス中に潜在する課題や改善事項を網羅的に摘出
○ 不適合管理の仕組を活用し改善活動に展開し、保安業務を改善
① QMS文書の合規性確認
➢ 保安規定 各条項の規定とQMS文書(2次文書及び3次文書)との合規性、エビデンスの有無と要
求事項を満足しているかどうかについて網羅的に確認する。(全848件)
保安規定
高速増殖原型炉もんじゅ
原子炉施設保安規定
第1章 総則
第2章 品質保証
第3章 保安管理体制
第4章 運転管理
第5章 燃料管理
第6章 放射性廃棄物管理
第7章 放射線管理
第8章 保守管理
第9章 非常時の措置
第10章 保安教育
第11章 記録及び報告
QMS
放射線管理要領
2次文書
エビデンス
QMS
区域管理手順書
3次文書
「第7章 放射線管理」の例
(合規性チェック)
・保安規定だけで完結している
か
・QMS文書に展開している場
合、内容は明確かつ充足して
いるか
(合規性チェック)
・下位QMS文書に展開してい
る場合、内容は明確かつ充
足しているか
エビデンス
(エビデンスチェック)
・エビデンスの有無?
・内容が要求事項を満足して
いるか?
28
5.潜在する根本的な課題への取組(6/9)
~ 保安業務全般に潜在する課題の摘出と展開 ~
② 保守管理プロセスの詳細確認(保安規定第8章
➢
➢
➢
➢
(担当:チームA)
「保守管理」に係る条項が対象)
保守管理のプロセス毎に「インプット」「アウトプット」「作業手順」を確認
要求事項の充足性、プロセス間の「インプット」と「アウトプット」の整合性をチェック
これによりPDCAが回っているかどうかを確認
発見された課題は、電力支援者による指導・助言も受けつつ保守管理に係る規定・基準類等の根本的
改善に反映
不整合はないか?
展開された内容に
不明確な点はない
か?
保安規定
103条3 (保全対象範囲の策定)
QMS文書(2次文書、3次文書)
保安規定
103条4(保全重要度の設定)
QMS文書(2次文書、3次文書)
保守管理要領10条(保全対象範囲の策定)
保全計画検討要領4条(保全対象系統リストの策定)
インプット
インプット
・要領
・データ
・省令・規則 など
作業手順
作業手順
アウトプット
アウトプット
・保全対象系統リスト
プロセスの「インプット」
「アウトプット」「作業手順」
は明確か?
「インプット」と「アウトプット」
が整合しているか?
29
5.潜在する根本的な課題への取組(7/9)
(担当:チームB,C)
~ 保全に係る業務基盤の積極的な整備 ~
<問題認識>
研究開発段階炉であり、運転・保守経験の蓄
積が少ない
⇒ 保全プログラム導入前は保全の目安とし
て点検計画表を自主的に作成し運用
⇒ 軽水炉を参考にしつつ、運転・保守経験を
積み重ねながら保全業務の基盤を順次整備
する方針
原子力安全・保安院の方針を受け、保全プログラムを
導入
⇒ 初号機のため十分な技術的根拠や点検・故障等の
実績に基づくデータがない状況下で短期間に保全計画
を策定
保全のPDCAサ
イクルが的確に
回らない
⇒ 技術的根拠や実績を踏まえた保全計画になってお
らず管理の負荷大
<改善方針>
研究開発段階炉として、これまで取組が不十分であった保全に係る根本的な保全業務基盤の整備・改善に
ついて、
・機構、電力、メーカの力を結集した体制の下で集中的に取り組み、
・技術的根拠に立脚した一貫性のある保全計画と規定類一式を整備する ことにより、
保守管理のPDCAサイクルを着実に回してゆくために必要不可欠な基礎を構築する。
分類
保守管理に係る規定・基準類の根本的改善
作業項目
安全機能の重要度分類の改善
保全対象範囲の確認
保全重要度の設定フローの見直し
現場照合による保全計画との整合性確認
技術根拠と一体となった保全計画の整備
技術根拠書の整備と保全計画の見直し
保全の有効性評価の改善
点検・補修結果の確認評価、保全の有効性評価の改善
30
5.潜在する根本的な課題への取組(8/9)
(担当:チームB,C)
~ 保全に係る業務基盤の積極的な整備 ~
【技術根拠と一体での保全計画の整備】
技術的根拠に立脚した一貫性のある保全計画への改善
➢ 保全内容、頻度、保全方式などの保全計画記載事項の技術的根拠を明確化した根拠書一式を整備
➢ それと一体となった保全計画に改訂
保全業務の発注手続きの省力化、今後の運転・保守経験の蓄積に伴う計画改訂の容易化
➢ 従来不統一であった様式の標準化
保全内容根拠書
原子力学会標準等(※)を参考に劣化メカニズムを整理
※日本原子力学会「原子力発電所の高経年化対策実施基準」
別冊「経年劣化メカニズムまとめ表」
類似機器のベンチマーク評価や、
当該機器の保全重要度、使用頻度を踏まえ
点検間隔を設定
機器毎に要求する保全項目を設定
31
5.潜在する根本的な課題への取組(9/9)
~ 保守管理業務のIT化・システム化の推進 ~
(担当:チームD)
・ 現状は複数の小規模スタンドアローンシステムの寄せ集め
⇒ 保守管理業務の効率化、管理漏れの防止を目的
・ 業務の標準化に加え、主要業務のシステム化と一元管理を目標
・ 「保守管理」、「保修票管理」、「不適合管理」を対象とし、相互連携化
【 保守管理の主なフローと現状の主要課題 】
品質保証
品質方針
文書管理、
力量、教育
調達
・
・
保守管理
P計画
点検計画策定
当年度の
点検機器抽出
D実施
不適合管理
是正処置
予防処置
点検実施
点検実績管理
保修実施
【不適合管理課題】
● システム無し
● 表計算ソフト
で台帳管理
● 処置進捗は
手入力
C評価
A改善
保全有効性評価
【 新規IT化構成案 】
【保守管理業務課題】
● 保守管理
専用データ
ベース使用
● 保修票管理とのシス
テム連携無し
【保修票管理課題】
● 保修票処置は
紙ベース
● 保修票管理専用
データベース使用
設備・機器データベース
改善
保修票
システム
保守管理業務
支援システム
改善
新規
改善
不適合
システム
(平成28年度中稼働目標)
32
6.今後のスケジュール(保守管理不備への対応)
平成27年度
4
7
平成28年度
10
1
4
7
○ 保全計画の見直し及び保守管理体制の強化
保全計画見直し
保守管理体制の改善
安全重要度分類の変更に伴う保全計画変更
保全計画の見直し
(保全単位、技術根拠、要領標準化)
点検記録の評価
(保全の有効性評価)
継続的改善
保守管理業務支援システム機能強化(アラート機能改造、管理単位変更等)
○ 根本原因分析に基づく対策の実施と品質保証の改善
保守管理不備RCAの対策実施
品質保証の仕組み・運用方法改善
○ 未点検設備の解消
是正処置実施、効果の評価
(強化期間)
是正処置計画への反映
改善後の仕組運用、文書適正化、
成果物チェック等
不適合管理委員会、CAP情報連絡会等の運用を改善
継続的改善
Aセル系
Bセル系等
(特別採用技術評価含む)
保安検査 等
予防処置の計画的処理
Cセル系
第1回
(6/4-24)
第2回
(9/3-16)
◆ 67条報告
(10/21)
第3回
第4回
第1回
33
6.今後のスケジュール(潜在する根本的な課題 対策)
平成27年度
4
○ 人材面
プロパー中心に人材補強
7
コスト削減
10
1
4
7
10
1
他拠点等からの異動・補強
(4月2名、7月1名、9月4名、10月1名)
プロパー中心に人材確保・適材適所の配置の継続実施
実務経験者採用
IT化・システム化・標準化
○ リソース面の強化
平成28年度
(10月4名、11月1名)
メーカ・協力会社との連携による
コスト削減:継続実施
機構全体でキャンペーン実施
(JAEAダイエットプロジェクト)
○ 職員の資質・力量の強化
民間の力を借りた
オールジャパン体制での
根本的課題への取組み
【チームA】 保守管理プロセス総合チェック
コスト削減検討の継続実施
メーカのQMS活動経験者による指導
(保守管理業務の自主的総点検、内部監査等を通じて職員を徹底指導)
【チームB】 保全計画改定加速
【チームC】 保全の有効性評価
【チームD】
システム化検討
システム詳細設計
(優先度高いものを選定)
(業務フロー、導入手順など)
・保守管理業務支援システム
・保修票管理システム
・不適合管理システム
設備点検仕様の標準化
システム製作・
導入
(オールジャパンチーム活動【チームB】 保全計画改訂の成果物)
職員の意識改革・責任感
と誇りの醸成
理事長訓示・講話・メッセージなど
徹底的なフォローによる職員の意識改革
(訓示3回、講話7回67名、適宜継続)
(ライン各階層の職責・役割の指導、規程化、MM/CAP/部長会等において繰り返し徹底的に刷り込み)
保守員の教育システム充実
個人ごとの育成シートの運用
スキル評価基準の策定 など
保全部門各課のスキル評価
育成シートへの反映
保守員の力量評価に基づく技術力向上の仕組みの運用
根本的な課題に対する
オールジャパン体制での
対策立案
根本的課題への対策立案に
関する議論を開始(12月)
対策の立案
根本的課題に対する対策実施
34
7.まとめ
• 「もんじゅ」は監督官庁の指導の下、
「もんじゅ」を通じて開発成果を出していくのは原子力機構の責務。
• 国民の信頼を得るために、
早期に 保全計画の見直し、
根本原因分析に基づく対策の実施と品質保証の改善、
未点検設備の解消 を行い、保全体制と品証体制を整備し、
自律的にPDCAが回る組織となる。
• さらに、長年染み付いた悪さ処=根本的な課題 を解消すべく、
保守管理業務について、今一度原点に立ち返り潜在する問題を徹底的
に洗い直し、地道な改善活動を浸透させていく。
• これらを実行・加速させるため、電力、メーカの協力を得たオールジャパ
ン体制の活動を展開し、確実にやり遂げる。
35