Bond Report - Goldman Sachs

Goldm an Sachs Asset M anagem ent
今週の債券投資戦略
情報提供資料 2015年12月21日
※ 本資料に記載されている見通しは、弊社グローバル債券・通貨運用グループ(以下、債券チーム)の見解です。
今週の戦略要旨
• FRB(米連邦準備制度理事会)は12月16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)会合にて、政策金利であ
るFF金利(フェデラル・ファンド)の誘導目標を0.25%引上げ0.25~0.50%とすることを全会一致で決定し
ました。また、イエレンFRB議長はFOMC後の会見で、今後の利上げについて「緩やかな」ペースとなる
見通しを強調しました。弊社では、米金利に対して中立に見ています。
• 米国ハイ・イールド社債のスプレッドは、原油価格の下落や投資信託の流動性低下に対する懸念から、
拡大しました。先週、米国ハイ・イールド社債ファンドは約35億ドルの流出となり、今週も同程度の流出
が見込まれています。弊社では、米国ハイ・イールド社債を強気に見ていますが、分散と流動性を意識
した銘柄選択が必要と考えています。
• 格付け会社のフィッチ・レーティングスは、12月16日にブラジルの長期外貨建て債務の格付けをBB+と
し、見通しはネガティブで据え置きました。格下げの理由として同社は、「ブラジルの景気後退が予想以
上に深刻化していることや、財政の不安定さ、政治の不透明感」に言及しました。今回の格下げで、同
国債は投資適格級から投機的水準に変更されたことになります。弊社では、ブラジルの外貨建て国債
に対して弱気、現地通貨建て国債に対して強気、ブラジル・レアルに対しては弱気に見ています。
今週のチャート 「2006年以来初めて、ついにFRBが利上げを決定」
【FF金利誘導目標(上限)】
(%)
•
左図は、FF金利誘導目標(上限)の
推移を表しています。
•
米国の金融政策は引き続き非常
に緩和的な状況にあります。しかし
ながら、今回の利上げ決定は、
2008年の金融危機以来続いてい
たゼロ金利環境が正常化に向かう、
最初の一歩となりました。
•
FOMCの声明文では、米経済及び
インフレ見通しの改善について触
れられました。一方で、外部環境
等の向かい風がある中で、引き締
めのペースについては注視してい
く考えが強調されました。
6
5
4
3
2
1
0
05/12
07/12
09/12
11/12
13/12
(月/日)
出所:ブルームバーグ 期間:2005年12月末~2015年12月18日
※本資料は2015年12月18日時点の弊社見通しに基づき作成しています。
上記は経済や市場等の過去のデータであり、将来の動向を示唆あるいは保証するものではありません。
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今週の債券投資戦略
情報提供資料 2015年12月21日
デュレーション戦略 (金利戦略: 各国の金利動向を予想)
「欧州に対してやや金利低下の見通し。米国、日本に対する中立の見通し」
• 米国では、FRBが12月16日のFOMC会合にて利上げを決定しました。労働市場や住宅市場を中心に、米
経済の堅調さを示す指標が過去数ヵ月にわたり確認されたことで、市場でも期待されていた利上げがつい
に実行される形となりました。弊社では、米金利に対して中立の見通しとしています。
• FOMC後の記者会見でイエレンFRB議長は、今後の利上げについて「緩やかな」ペースとなる見通しを強
調しました。また、インフレ率が目標とする2%を依然下回っている状況について、FRBは引き続き注視して
いくとの考えを示しました。上記発言への市場の反応は、限定的なものとなっています。
国別配分戦略 (金利戦略: 他国に対する相対的な金利の動きを予想)
「ユーロ圏は米国・英国と比較して、相対的に金利低下の見通し。ユーロ圏内では、イタリア・スペ
インの金利が相対的に低下する見通し」
• 弊社では、スペインの金利はドイツ金利と比較して低下するとの見通しを強めました。スペイン国債のスプ
レッド(対ドイツ国債)は、12月20日の選挙を控え拡大傾向にありましたが、弊社では現在のスプレッド水準
は高すぎると見ています。
• カナダ国内の経済指標は引き続き堅調な一方で、原油安の影響が同国経済の重しになると見ており、追
加緩和の可能性は引き続き残っていると考えています。しかしながら、カナダの金利が足元大きく低下した
ことを受け、弊社ではカナダの金利が低下するとの見通しを後退させています。
【欧州周辺国10年債金利】
【先進国10年債金利】
米国
4%
20%
英国
ドイツ
3%
日本
15%
2%
10%
1%
5%
0%
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
0%
13/1
15/7
(年/月)
ギリシャ
ポルトガル
イタリア
スペイン
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
(年/月)
出所:ブルームバーグ 期間:2013年1月2日~2015年12月18日
※本資料は2015年12月18日時点の弊社見通しに基づき作成しています。
上記は経済や市場等の過去のデータであり、将来の動向を示唆あるいは保証するものではありません。
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今週の債券投資戦略
情報提供資料 2015年12月21日
通貨配分戦略
「米ドルに対する強気見通し、エマージング通貨に対する投資機会を模索」
• 弊社では、日本円、ユーロ、豪ドル、ニュージーランド・ドルに対し米ドルを強気に見ています。また、カナ
ダ・ドルについては、足元の原油価格の乱高下を考慮しても割安な水準にあると考えていることから、カナ
ダ・ドルを強気に見ています。
• 弊社では、中国元及び韓国ウォンに対して弱気に見ていましたが、足元、両通貨が対ドルで下落したこと
で、見通しを若干中立方向に変更しています。弊社では、中国元、韓国ウォン、シンガポール・ドル、台湾ド
ルを含むアジア通貨を弱気に見ています。これらの通貨は、長引く中国の経済減速や、日本円やユーロの
下落から下押し圧力を受けるものと考えます。
【先進国通貨(対円パフォーマンス)】
160
【エマージング通貨(対円パフォーマンス)】
160
米ドル
ブラジル・レアル
ユーロ
140
メキシコ・ペソ
豪ドル
円
安
140
120
120
100
100
円
高
80
トルコ・リラ
80
60
60
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
13/1
15/7
13/7
14/1
(年/月)
14/7
15/1
15/7
(年/月)
出所:ブルームバーグ、GSAM 期間:2013年1月1日~2015年12月18日(2013年1月1日を100として指数化)
MBS(モーゲージ証券)戦略
「政府系MBSに対する中立の見通し。集合住宅MBSをやや強気見通し」
• これまで政府系MBSに対して弱気としていた見通しを、FOMCに先駆けて中立に変更しました。FOMCの
結果を受け、一部の証券化商品のスプレッドは拡大する可能性がありますが、政府系MBSに対しては割
安度が中立であるとの見方を反映しています。
「非政府系MBSをやや強気見通し」
• 弊社では、CLO(ローン担保証券)のシニア債を強気に見ており、証券化商品の中で最も投資妙味が高
まっている資産の一つと考えています。CLOのスプレッドは6月以降拡大してしまいましたが、CLOはエネ
ルギーや金属鉱業セクターのエクスポージャーが限定的なことで、足元のスプレッドは安定しています。
• 弊社では、FFELP(教育に関する政府保証民間ローン)を裏付けとしたABS(資産担保証券)、および高格
付けCMBXを強気に見ています。CMBXはCMBS(商業用モーゲージ証券)を対象とするクレジット・デリバ
ティブ商品のインデックスであり、足元のスプレッドは魅力的な水準にあると考えます。
※本資料は2015年12月18日時点の弊社見通しに基づき作成しています。
上記は経済や市場等の過去のデータであり、将来の動向を示唆あるいは保証するものではありません。
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コーポレート・クレジット戦略
「投資適格社債、ハイ・イールド社債に対して強気の見通し」
•
資源価格の下落により、引き続き金属鉱業セクターおよびエネルギーセクターに下落圧力がかかっています。
一部の投資適格級の企業では、自社のバランスシート保全のため資本支出の抑制などを検討し始めています。
•
先週、ハイ・イールド社債ファンドは34.6億ドルの流出、バンクローン・ファンドは5.8億ドルの流出となりました。
(ハイ・イールド社債ファンドについては、今週も同程度の流出が見込まれています。)
【投資適格社債スプレッド】
【ハイ・イールド社債スプレッド】
1.8%
7.0%
1.6%
6.0%
1.4%
5.0%
1.2%
4.0%
米国
1.0%
3.0%
欧州
0.8%
13/1
13/7
14/1
米国
欧州
14/7
15/1
2.0%
13/1
15/7
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
(年/月)
(年/月)
出所:ブルームバーグ 期間:2013年1月2日~2015年12月18日
エマージング債券戦略
「エマージング債券に対してやや強気の見通し」
•
•
•
格付け会社のフィッチは、12月16日にブラジルの長
期外貨建て債務の格付けをBB+とし、見通しはネガ
ティブを据え置きました。また、ムーディーズは格付け
を投資適格級のBaa3に維持しているものの、格下げ
方向で見直す旨を公表しています。
南アフリカではジェイコブ・ズマ大統領がンフランフラ・
ネネ財務相を解任し、新たにANC(アフリカ民族会議)
の幹事であるデービッド・ファンルー氏を起用すること
が12月9日に決定されました。南アフリカ・ランドは発
表後に対米ドルで10%近く下落、10年債利回りは2%
程度上昇し10.5%に近づきました。しかしその後、12
月13日には再度ズマ大統領が財務相の交代を発表
し、新たに2009年から2014年まで財務相を務めたプ
ラビン・ゴーダン氏の起用を決定しました。
弊社では、ズマ大統領に対する議会の発言力が増し
ていることは、将来的に同国の安定化につながると
考え、南アフリカ資産を強気にみています。
【エマージング国債 スプレッド】
4.5%
4.0%
3.5%
3.0%
2.5%
2.0%
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
(年/月)
出所:ブルームバーグ 期間:2013年1月2日~2015年12月18日
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上記は経済や市場等の過去のデータであり、将来の動向を示唆あるいは保証するものではありません。
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