〈機能紹介〉ファイバーレーザ加工機による最先端加工技術

機能紹介 笊
ファイバーレーザ加工機による
最先端加工技術
三菱電機㈱
レーザ加工機は、任意軌跡の切断が可能な工作
村井
融*
の適用範囲が拡大している。
機械として、現在では多くの産業分野において単
製品仕様と特徴
品試作から大量生産まで適用されている。近年で
は、日本国内や米国、欧州主要国における板金切
前述の市場要求に対して、当社は、2.
5 kW 2
断用加工機において、レーザ加工機の年間導入台
次元ファイバーレーザ加工機 ML 3015 NX−F(以
数がタレットパンチプレスの台数を大幅にしのぐ
降 NX−F と称す)の 3 つの特徴 ①High Speed、
状況が続いている。一方、電力料金のアップや労
②Ecology、③High Quality を踏襲しつつ、4 kW
働人口が減少する中、製造業としても消費電力の
ファイバーレーザ発振器を搭載することで、生産
削減、労働時間の短縮、生産性の向上が大きな課
性の向上、加工性能の向上を実現した ML 3015
題となっており、生産性、省エネ性能に優れたフ
NX−F 40(以降 NX−F 40 と称す)を開発した。写
ァイバーレーザ加工機が注目されている。
真 1 に同機の外観を、表 1 に同機の仕様を示す。
ファイバーレーザ加工機の特徴は、炭酸ガスレ
ーザ加工機に比べて①発振効率が高く省電力、②
高収束性のため薄板の高速加工が可能、③ファイ
ーバ伝送可能なためメンテナンス性が容易、とい
以下、この 3 つのコンセプトについて説明する。
1.High Speed
最初に、NX−F 40 の 1 つ目の特徴である「High
Speed」について説明する。
うことである。市場導入当初は、薄板の加工が主
ファイバーレーザは炭酸ガスレーザに比べ波長
ということで、発振器出力も比較的低出力で充分
が短いため金属へのビーム吸収率が高く、集光性
と考えられていた。しかしながら、ファイバーレ
能も優れるという特徴を有している。また、発振
ーザの特徴である低ランニングコスト、高生産性
器の高出力化に伴い、中板厚においても高速加工
が評価されるとともに、加工技術の急速な進歩に
が可能とすべく、NX−F 40 では、これら特長を
より厚板の加工性能が向上し、ファイバーレーザ
最大限に活かす光学系を有する新型の加工ヘッド
*
(むらい とおる)
:名古屋製作所レーザ製造部 GOS グ
ループ グループマネージャー
〒461−8670 名古屋市東区矢田南 5−1−14
TEL : 052−712−3368
を採用した。これにより、図 1 に示すよう、厚
み 1 mm のステンレス鋼の加工速度は炭酸ガスレ
表 1 ML 3015 NX−F 40 の主な仕様
項目
ML 3015 NX−F 40
移動方式
ストローク(mm)
早送り速度 (m/min)
写真 1 高出力 2 次元ファイバーレーザ加工機
ML 3015 NX−F 40 外観
第 53 巻 第 2 号
(2015 年 2 月号)
光走査方式
X軸
3,
200
Y軸
1,
600
Z軸
150
X、Y 軸
合成 170
位置決め精度 (mm)
0.
05/500(X、Y 軸)
繰り返し精度 (mm)
±0.
01(X、Y 軸)
発振器定格出力 (W)
4,
000
出力安定度
±1% 以下
47