フィオナ・タン まなざしの詩学

PRESS RELEASE
2014/9/10(12/18 改訂)
フィオナ・タン
まなざしの詩学
Fiona Tan Terminology
2014.12.20 sat ‒ 2015.3.22 sun
《インヴェントリー》2012 年 HD・ヴィデオ インスタレーション 作家蔵
Courtesy of the artist and Frith Street Gallery, London; Wako Works of Art, Tokyo
フィオナ・タン
Fiona Tan
まなざしの詩学
Terminology
開催情報
展覧会名
フィオナ・タン
まなざしの詩学
(英) Fiona Tan Terminology
会
期
2014 年 12 月 20 日(土)─ 2015 年 3 月 22 日(日)
会
場
国立国際美術館
地下 3 階展示室(〒530-0005 大阪市北区中之島 4-2-55)
開館時間
10:00 ─ 17:00
※金曜日は 19:00 まで(入場は閉館の 30 分前まで)
休 館 日
月曜日(ただし、2015 年 1 月 12 日(月・祝)は開館、13 日(火)は休館)、
2014 年 12 月 29 日(月)─ 2015 年 1 月 3 日(土)
主
催
国立国際美術館、朝日新聞社
後
援
在大阪・神戸オランダ王国総領事館
助
成
モンドリアン財団
協
賛
ダイキン工業現代美術振興財団
観 覧 料
個人 / 一般 900 円
大学生 500 円
団体 / 一般 600 円
大学生 250 円
※団体は 20 名以上
※高校生以下・18 歳未満、心身に障害のある方とその付添者 1 名無料
(証明できるものをご提示願います)
※本料金で「コレクション 3」もご覧になれます
一般のお客様からのお問い合わせ先:国立国際美術館
06-6447-4680(代表)
本展のみどころ
●フィオナ・タン、関西初の大規模な個展
現代美術界を代表する映像作家・フィオナ・タン。彼女の初期から近年までの代表作を紹
介する、関西初の大規模な個展です。
●アジア初公開の作品を含む代表作14点が集結
アジア初公開の《インヴェントリー》
(2012)、2009 年のヴェネチア・ビエンナーレで大き
な注目を集めた《ディスオリエント》(2009)、彼女のルーツを探す旅をまとめた《興味深
い時代を生きますように》(1997)など、代表作 14 点を展示します。
フィオナ・タン
Fiona Tan
まなざしの詩学
Terminology
展覧会概要
フィオナ・タンは、1966 年、中国系インドネシア人の父とオーストラリア人の母のもとにイ
ンドネシアで生まれ、オーストラリアで育ちました。その後、ヨーロッパに移住し、現在はオラ
ンダのアムステルダムを拠点に活躍している映像作家です。
初期の代表作《興味深い時代を生きますように》(1997)は、彼女の出自を探る映像作品で、
インドネシアにおける反中国人暴動によって離散した自身の一族を追ったドキュメンタリー・フ
ィルムです。この作品は、現代の民族間の問題をも含んだ文化的多元性を象徴的に示していると
いう点で高く評価されました。この作品を足がかりとして、タンは、人間の存在が時間や場所と
どのように関わっていくのかという簡明ながらも根源的ともいえるテーマを表現するようにな
ります。例えば、本展に出品される《リフト》(2000)は、30 個余りのヘリウムガスが入った
赤い風船によって作家自身が空中に浮かぶ様子を映した映像作品です。それは、タンばかりでな
く、多くの人々が子供の頃に一度は夢想したであろうことを現実化したとも言えるでしょう。
さらに、近年において、タンは、初期作品で試みたアイデンティティの探求から、そのアイデ
ンティティを作り上げる記憶へとテーマを推移させます。2009 年のヴェネチア・ビエンナーレ
で発表した《ライズ・アンド・フォール》
(2009)は、水の流れと女性の生活を対比的に見せるこ
とによって人の記憶を隠喩しています。また、同時に発表した《ディスオリエント》
(2009)で
は、マルコ・ポーロ(イタリアの商人・冒険家、1254-1324)の旅行記『東方見聞録』を題材に、
長大な時間をまたいだ人類の文化的記憶を表現しました。
本展は、タンの初期から近年までの代表作 14 点によって、彼女が追求してきたテーマの変遷
をたどろうとするものです。フィオナ・タンの作り出す映像世界を通じて、人類が積み重ねてき
た文化的記憶と共に個々の人間の中に形成される様々な感情が、見事に形象化されていることを
実感されるでしょう。
作家略歴
フィオナ・タン
Fiona Tan
1966 年、中国系インドネシア人の父とオーストラリア人の母の間に
インドネシアで生まれ、オーストラリアで育つ。
1988 年からオランダに移住し、リートフェルトアカデミー、ライク
スアカデミーで学ぶ。
横浜トリエンナーレ(2001)、第 8 回イスタンブル・ビエンナーレ
(2003)、ドクメンタ 11(2007)、オランダ館代表をつとめたヴェ
ネチア・ビエンナーレ(2009)など、多くの国際展に参加。
©Marieke Wijntjes
フィオナ・タン
Fiona Tan
まなざしの詩学
Terminology
主な出品作品
《インヴェントリー》(2012)
アジア初公開
Inventory
この作品で映し出されるのは、イギリスの建築家ジョン・ソーン
(1753-1837)が蒐集した
考古学資料や骨董品。 自ら改築を繰り返したという自宅(現在は博物館として公開)のいたる
所に陳列されています。ソーン
の美学や思考、そして人生が詰まったポートレイトともいえる
展示空間には、時代や背景の異なる様々な遺物が混在しています。かつては彫像もイメージを記
録するメディアでした。撮影にあたってフィオナ・タンは、用途や特性の異なる6つの技術(35
ミリフィルム、16 ミリフィルム、スーパー8、8ミリフィルム、デジタル・ヴィデオ、ヴィデ
オ8)を使いそれぞれを異なる画面として併置しました。個人や美術館・博物館が、物を収集・
保存・展示すること、そして時代を超えてそれらを見つめるという営み――、その意味を静かに
問いかける作品です。
1
2
1、2:《インヴェントリー》
2012 年
HD・ヴィデオ インスタレーション
作家蔵
Courtesy of the artist and
Frith Street Gallery, London;
Wako Works of Art, Tokyo
フィオナ・タン
Fiona Tan
まなざしの詩学
Terminology
《ディスオリエント》(2009)
日本初公開
Disorient
第 53 回ヴェネチア・ビエンナーレ(2009)のオランダ館における個展で発表された記念碑的
な作品。タイトルの「ディスオリエント」は、「方角を失う、混乱する」という意味の動詞であ
ると同時に、
「非・東洋」
(否定を意味する接頭語ディス[dis]+東洋を意味するオリエント[Orient])
ともとらえることができます。ナレーションは、マルコ・ポーロ(イタリアの商人・冒険家、
1254-1324)の遺した中東・アジア旅行記『東方見聞録』からの抜粋。ヴェネチアから始まっ
たマルコ・ポーロの旅を、2つの大きな画面で同時に映し出される現代の風景やさまざまな文物
の映像とともにたどり直します。ひとつの作品のなかに、フィクションとドキュメンタリーが同
居し、異なる時空間が交差する。これも多くのフィオナ・タン作品に共通する面白さのひとつで
す。
3
4
3、4:《ディスオリエント》
2009 年
2 チャンネル・HD インスタレーション
作家蔵
Courtesy of the artist and
Frith Street Gallery, London;
Wako Works of Art, Tokyo
フィオナ・タン
Fiona Tan
まなざしの詩学
Terminology
《ライズ・アンド・フォール》(2009)
Rise and Fall
カナダのナイアガラの滝や、ベルギーとオランダで撮影した映像を用いた、ダブルスクリーンに
よる巨大なインスタレーション作品です。蕩々と流れる水と、年老いた女性と若い女性が日々繰
り返す日常的なシーンを対比的に映し出した映像は、人生の記憶を想起させるメタファーとして
捉えることもできるでしょう。人間存在の儚さに目を向けた本作品は、私たち自身を見つめ直す
きっかけを与え、また、記憶が私たちにどのような影響を与えているのかを問い掛けているのか
もしれません。
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5、6:《ライズ・アンド・フォール》
2009 年
2 チャンネル・HD インスタレーション
作家蔵
Courtesy of the artist and
Frith Street Gallery, London;
Wako Works of Art, Tokyo
Photo: Per Kristiansen
フィオナ・タン
Fiona Tan
まなざしの詩学
Terminology
《プロヴナンス》(2008)
日本初公開
Provenance
ポートレイト(肖像)は、フィオナ・タンが繰り返し探究している主題。時間を凍結して切り取
る静止写真によるポートレイトと違い、映像で提示される肖像は、繰り返し再生され、モデルの
気配や息遣い、表情のゆらぎを伝えます。モデルになっているのは、フィオナ・タンも暮らすア
ムステルダムの市井の人々。オランダ美術の伝統的な肖像絵画にならって、それぞれの生活空間
や所有物を背景に撮影されています。「プロヴナンス」とは、美術作品の出所や来歴(作者の手
元を離れてから現在の所蔵先に至るまでの詳細な経緯)を意味する用語です。インドネシアに生
まれ、オーストラリアで育ち、ヨーロッパで学び、今はオランダに拠点をおくというフィオナ・
タン自身の「来歴」とも共鳴するタイトルです。
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7、8:《プロヴナンス》
2008 年
デジタル・インスタレーション
作家蔵
Courtesy of the artist and
Frith Street Gallery, London;
Wako Works of Art, Tokyo
Photo: Per Kristiansen
フィオナ・タン
Fiona Tan
まなざしの詩学
Terminology
《リフト》(2000)
Lift
作者であるフィオナ・タン自身がフィジカルなアクションを行う様をとらえた映像は、複数の初
期作品にみられる特徴です。アナログからデジタルへと主流メディアが急速に移行する 20 世紀
の終わり、2000 年の新年にアムステルダムで撮影されたこの《リフト》では、彼女自身が、30
個余りの大きな赤い風船に吊られ宙に浮いています。青空に浮かびただようその姿は、自身を「真
の異邦人」ととらえるフィオナ・タンのセルフ・ポートレイトでもあります。ひとつのアクショ
ンが、16 ミリフィルムとヴィデオで記録された映像や、静止写真をもとに作られたシルクスク
リーン作品によって提示されます。
9
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9、10:《リフト》
2000年
フィルム&ヴィデオ・インスタレーション
東京都写真美術館蔵
Courtesy of the artist and
Frith Street Gallery, London;
Wako Works of Art, Tokyo
フィオナ・タン
Fiona Tan
まなざしの詩学
Terminology
《興味深い時代を生きますように》(1997)
日本初公開
May You Live in Interesting Times
フィオナ・タンが、自身の血縁者をオーストラリア、香港、インドネシア、中国、ドイツ、オラ
ンダに取材した、異国の地に生きる華人の文化的なアイデンティティについて考察した私的なド
キュメンタリーです。インドネシアで、中国系インドネシア人の父とオーストラリア人の母の間
に生まれ、オーストラリアで育ち、やがて欧州(ドイツ、オランダ)に生活するようになってか
ら既に 12 年を経ていたフィオナ・タンにとって、それは「自分は何者なのか」を問う旅でもあ
りました。自らをしばしば「真の異邦人」と称するフィオナ・タンの原点ともいえる一
です。
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11、12:
《興味深い時代を生きますように》
1997年 ヴィデオ
作家蔵
Courtesy of the artist and
Frith Street Gallery, London;
Wako Works of Art, Tokyo
フィオナ・タン
Fiona Tan
まなざしの詩学
Terminology
《影の王国》(2000)
Kingdom of Shadows
「世界がアーカイヴなら、自分はどのイメージを選ぶだろう?」このドキュメンタリーは、フィ
オナ・タンのそんな問いから始まります。写真がいかに私たちの認識を変え得るか、遺された写
真とどのような関係を結んでいったらよいのか。写真の収集家やアーキヴィスト、また同じくア
ーティストのアルフレッド・ジャー(1956 年生まれ/チリ出身の美術家)らを訪ね、タンは問
いを重ねていきます。多くの作品に通底する、彼女の写真論・イメージ論が凝縮した一
です。
タイトルは、1896 年、ロシアの作家マキシム・ゴーリキーが、リュミエール兄弟が発明した映
画装置シネマトグラフによる上映を観て記したという「昨夜私は、影の王国にいた」という言葉
にちなんでいます。
14
13
13、14:《影の王国》2000年
ドキュメンタリー・フィルム
東京都写真美術館蔵
Courtesy of the artist and
Frith Street Gallery, London;
Wako Works of Art, Tokyo
展示作品の上映時間について
展示室にて次のドキュメンタリー作品 2 本を交互に上映いたします。
上映スケジュールについては下記をご覧ください。
A《興味深い時代を生きますように》
1997 年 ドキュメンタリー 60 分 日本語字幕付 作家蔵
B《影の王国》
2000 年 ドキュメンタリー 50 分 日本語字幕付 東京都写真美術館蔵
[上映スケジュール]
A 10:45 ― 11:45 B 11:50 ― 12:40
A 12:45 ― 13:45
B 13:50 ― 14:40
A 14:45 ― 15:45 B 15:50 ― 16:40
※A・B ともに次の上映スケジュールは金曜日のみ
A 16:45 ― 17:45 B 17:50 ― 18:40
フィオナ・タン
Fiona Tan
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関連イベント
1. フィオナ・タン アーティスト・トーク
2014 年 12 月 21 日(日)14:00∼
場所:国立国際美術館 地下 1 階講堂
参加無料
逐次通訳付
定員 130 名
当日 10:00 から整理券を配布します
2. 学芸員によるギャラリー・トーク
2015 年 1 月 17 日(土)、2 月 7 日(土)、3 月 7 日(土)
いずれも 14:00∼
場所:国立国際美術館 地下 3 階展示室
参加無料(要観覧券)
当日 13:30 から聴講用ワイヤレス受信機を貸し出します(先着 90 名)
同時開催の展覧会
2014 年 12 月 20 日(土)─ 2015 年 3 月 22 日(日)
「コレクション 3」
次回の展覧会
2015 年 4 月 7 日(火)─ 7 月 5 日(日)
「高松次郎
制作の軌跡」
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学芸課
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展覧会担当:中井 康之
FAX : 06-6447-4698(学芸課)