コンポジットレジン 1.コンポジットレジンの構成 フィラー ガラス(無機質) ガラスとレジンの混合 レジン (間質、マトリックス) ジメタクリレート (Bis-GMA、TEGDMA,UDMAなど) ・シランカップリング剤(γ-MPTS) ・重合開始剤 (化学重合型はBPO、光重合型はCQ +第三級アミン) ・重合禁止剤 2 MW: 470 MW: 665 MW: 512 MW: 286 MW: 198 3 ガラスフィラー ハイブリッド型 複合フィラー ハイブリッド型 従来型 4 2.コンポジットレジンの機械的性質 機械的性質 従来型 超微粒子型 ハイブリッド型 圧縮強(MPa) 260 260 300 引張強さ(MPa) 45 40 50 曲げ強さ(MPa) 110 80 150 弾性率(GPa) 12 6 14 硬さ(VHN) 60 30 90 Applied Dental Materials (8th edition)から引用 フィラーとマトリックスレジンの種類、量によって コンポジットレジンの性質が決まる 5 フィラー含有量の異なるコンポジットレジンの構造を 図に示す。(2)に比べ(1)の方が大きい物性はどれか。 選択肢: A.熱伝導率 B.耐摩耗性 C.圧縮強さ D.ヌープ硬さ E.重合収縮量 F.熱膨張係数 G.吸水量 H.変色傾向 ねらい:フィラー含有量と物性 6 フィラーとレジンの素材としての 性質の比較 性質 素材 A.熱伝導率 フィラー B.耐摩耗性 フィラー C.圧縮強さ フィラー D.ヌープ硬さ フィラー 大小関係 > > > > E.重合収縮量 素材 レジン レジン レジン レジン レジン F.熱膨張係数 フィラー G.吸水量 フィラー H.変色傾向 フィラー < < < レジン レジン レジン 7 3.化学硬化型と光硬化型の違い 重合開始剤 操作 気泡 操作時間の余裕 化学硬化型 光硬化型 過酸化ベンゾイル +ジメチルパラトル イジン 混和する カンファーキノン +ジメチルアミノエ チルメタクリレート 光照射(475 nm) 多い なし 尐ない あり 重合収縮の発生部位 全体に収縮 窩洞底に集まる 8 接着 1.接着性モノマーの分子構造の特徴 マトリックス のレジンと 重合する 化学的接着 に関与 CH3 CH2 C COO CH2 CH2 OOC CO CO O 4-methacryloxyethyl trimellitate anhydride (4-META) 2個のカルボキシル基から1分子のH2Oを取った酸無水物 接着性モノマーの開発(1978年) 10 接着に関与するモノマー 参考 11 2.被着体としての歯質 被着体としてのエナメル質と象牙質は材質が異なる → 表面処理法が異なる! ① エナメル質 無機質(ハイドロキシアパタイト):97% ② 象牙質 ハイドロキシアパタイト:70% コラーゲン:20% 水:10% 象牙細管の存在 12 1)エナメル質との接着 リン酸水溶液でエッチングを 施したエナメル質 エナメル質接着 システムの基本的手順 ① 酸処理 ② 水洗 ③ 乾燥 ④ ボンディグ材塗布 ⑤ コンポジットレジン充填 エナメル質に酸処理を施す目的 ①清浄なエナメル質面を露出させる。 ②微小な凹凸を接着面に形成する。 エナメル小柱 (鍵穴構造) 小柱間質部の凹凸 13 さらに 拡大すると エナメル質の 接着の主体は 機械的嵌合効力 ハイドロキシアパタイト結晶 の微小な凹凸 14 2)象牙質接着と樹脂含浸層 象牙質接着システムの基本的手順 ① 酸処理 ② 水洗 ③ 乾燥 ④ プライマー塗布 ⑤ 乾燥 ⑥ ボンディグ材塗布 ⑦ コンポジットレジン充填 15 1) 象牙質の酸処理 酸処理後 ス ミ ア ー 層 象牙細管 16 スメアー層上面 酸洗(軽い) 酸洗(強い) 象牙質を酸処理する目的 ①スミヤー(smear、スメアー、汚れ)層の除去 ②コラーゲン線維を露出 17 2) 象牙質接着プライマーの役割と成分 象牙質接着プライマーには、親水性モノマーの HEMAが含まれている。 HEMAは、象牙質の酸処理後に残留したコラーゲン線維 が倒れるのを防ぎ、線維を立たせる。 その結果、立ち上がった線維の間にボンディング材が 浸透しやすくなり、良好な樹脂含浸層が形成される。 HEMA(hydroxyethl-methacrylate) H CH3 C= C H COOCH2CH2OH 18 HEMAの役割 概念図 倒れたコラーゲン線維 未脱灰象牙質 立ったコラーゲン線維 未脱灰象牙質 倒れたコラーゲン線維 未脱灰象牙質 酸処理 酸処理 酸処理 水洗・乾燥 水洗・乾燥 水洗・乾燥 プライマー塗布 プライマー塗布 乾燥 水洗・乾燥 19 3) ボンディング材の役割と成分 役割:コラーゲン線維のネットワークの中に浸透する。 成分: TEGDMA(3G)など分子量が小さいジメタクリレート 4)ジメタクリレートの分子構造と分子量 Bis-GMAやUDMAは、分子量が大きいため、流動性がない。 TEGDMAは、分子量が小さいため、流動性がある。 そのために、TEGDMAは、コラーゲン線維の ネットワークの中に浸透し易い。 20 MW: 470 MW: 665 MW: 512 MW: 286 MW: 198 21 レジン 樹脂含浸層 象牙質 レジン 酸処理で象牙質を尐し除去 象牙細管に浸入したレジン 象牙質の接着は 樹脂含浸層の形成と機械的嵌合効力による 22 3.現在の接着システム トータルエッチングシステム セルフエッチングシステム 基本的な システム エッチング 水洗・乾燥 プライミング 乾燥 ボンディング 乾燥・光照射 オールインワン システム エッチング 水洗・乾燥 プライミング エッチング エッチング +(1液) + プライミング プライミング 乾燥 +(1液) ボンディング ボンディング 乾燥・光照射 乾燥・光照射 コンポジットレジン填塞 光照射 翌日以降研磨 + (1液) ボンディング 乾燥・光照射 4.陶材とレジンの接着 シランカップリング剤で陶材表面を処理する。 加水分解 シランカップリング剤 マトリックスの (γ-MPTS) レジンと重合 (二重結合) 24 5.金属とレジンの接着 種々の合金の表面処理(改質)法と 種々の金属接着プライマーが市販されている。 サンドブラスターは、合金表面に凹凸を付与する 基本的な操作である。 25 接着性レジンと 金属接着プライマーで 採用されている 接着性モノマー 26 6.レジン系材料に使用されている重用な モノマーと薬剤 • モノマー:MMA、EDMA(床用レジン)、Bis-GMA、UDMA、 Tri-EDMA(3G)(コンポジットレジン) • 接着性モノマー:4-META、MAC-10(カルボン酸系)、MDP、 フェニルP(リン酸エステル系) • 重合開始剤:BPO、第三級アミン、CQ • プライマーとレジン添加型グラスアイオノマーセメントのレジ ン:HEMA • 重合禁止剤;ハイドロキノン、ユージノール 27 コンポジットレジン [1] 99D-087 A コンポジットレジンで正しいのはどれか。 ( ) ベースレジンモノマーはメチルメタクリレートである。 ( ) 光重合型は過酸化ベンゾイルによって重合が開始する。 ( ) 化学重合型は光重合型に比べ内部気泡が少ない。 ( ) 微粒子フィラー配合型では重合収縮が小さくなる。 ( ) ハイブリッド型には種々の粒径のフィラーが配合される [2] 93B-017 A 微粒子フィラー配合レジン(MFR)についてハイブリッド型 コンポジットレジンと比較して正しいのはどれか。 ( ) 熱膨張係数が小さい。 ( ) 弾性係数が小さい。 ( ) 吸水量が少ない。 ( ) 無機質フィラーが多い。 ( ) 研磨面が粗い。 28 [3] 94D-076 A コンポジットレジンで正しいのはどれか。 ( ( ( ( ( ) ) ) ) ) レジンモノマーにはメチルメタクリレートが用いられる。 フィラー含有量が多くなると熱膨張係数が大きくなる。 光重合型は過酸化ベンゾイルによって重合を開始する。 化学重合型は光重合型に比べ内部気泡が少ない。 ハイブリッド型には種々の粒径のフィラーが配合される。 [4] 101A-076 A 光重合型コンポジットレジンと比較したデュアルキュア型 コンポジットレジンの特徴はどれか。 ( ( ( ( ( ) ) ) ) ) 接着強さが大きい。 色調が安定している。 重合収縮量が少ない。 硬化後の硬さが大きい。 光照射なしでも硬化する。 29 接着 [1] 91A-037 A 接着について正しいのはどれか。 ( ( ( ( ( ) ) ) ) ) 象牙質の酸処理によってスミヤー層は溶解する。 エナメル質の酸処理によって接着物質が生成する。 リン酸エステル系接着材は酸素によって硬化が促進される。 ボンディング材に接着性モノマーは含まれない。 接着性モノマーは二重結合と親水性基とを有する。 [2] 93D-076 A 正しい組合せはどれか。 ( ) ハイドロキシエチルメタクリレート(HEMA) ――― プライマー ( ) ベンゾインメチルエーテル(BME)――― ボンディング材 ( ) カンファーキノン(CQ)―― エッチング材 ( ) ベンゾイルパーオキサイド (BPO)――― 光増感剤 ( ) ウレタンジメタクリレート (UDMA)――― 重合促進剤 30 [3] 102B-60 接着性モノマーはどれか。 ( ( ( ( ( ) ) ) ) ) EMA MDP UDMA EGDMA Bis-GMA [4] 101B-130 B セルフエッチングプライマーで正しいのはどれか。 ( ( ( ( ( ) ) ) ) ) 塗布後に水洗する。 乾燥後に処理面は白濁する。 リン酸を含有する 樹脂含浸層を生じる。 フィラーを含む。 31 [5] 97B-030 レジン修復における接着操作で 正しい使用順序はどれか。 a プライマー → リン酸 b プライマー → ボンディング材 c リン酸 → ボンディング材 d リン酸 → プライマー e ボンディング材 → リン酸 → ボンディング材 → リン酸 → プライマー → ボンディング材 → プライマー [6] 100 B-104 含イオウ系官能基を有する接着性モノマーに 最も強く接着するのはどれか。 a 金銀パラジウム合金 b ニッケルクロム合金 c コバルトクロム合金 d チタン合金 e ステンレス鋼 32
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