高鳴け、緑風! 第10号 - 山梨県立都留高等学校

溺れる先輩が藁をもつかんで合格した
平成26年度 都留高等学校
1年次通信
高鳴け、緑風!
第 10号
11月 28日 発 行
イレギュラーへの対応能力
定期試験最終日のことだ。「時間だから教室入って!」開始3分前、 廊下で勉強するクラスメイ
トに向かって委員長の声が響いた。一斉に着席しだした生徒たちを横目に「まだ早いんじゃない?」
なんて考えながらストーブにあたっていると、「起立!」の声がかかる。慌てて教卓前に立ち「礼」
。
それから問題を配付すると、今度は列の先頭の者が全員「ありがとうございます」と言いながらそれ
を受け取った。「なんて良い子たちなんだろう…」と思いながら、一方で「よい子達過ぎるよな?」
なんていう風にも考えた。別にいけないことじゃないよ。むしろ、褒められるべきこと。でもね…。
前々から思っていたことなんだけど、都留高校の生徒って本当に真面目で良い子たちばかりなんだ
よね。でも、あとちょっとの何かがたりない。真面目なだけというか…、おとなしくちょこんと座っ
て、言われたことだけやっているというか…。先生は、”都留高生はゆくゆくは集団のリーダーにな
って活躍してもらいたい”と考えている。集団の大小や場所などは問わない。とにかく皆の先頭に立
って導いていってもらいたい。一方で「先頭に立つ際、障害になるのは都留高校での3年間でもある
な~」なんていう風にも考えている。だって良い子たちばかりで、そっぽを向く子がいないから…。
リーダーの多少のミスはそれ以外の者が知らず知らず補ってしまうから…。ここに都留高校生の勝負
弱さの源、(もちろん私も含めて)も潜んでいるんじゃないだろうか。
コミュニケーション能力の必要性はあらゆる方面で説かれている。これを先生は「イレギュラーへ
の対応能力」と言い換えたい。先生は物事が上手くいかないとすぐに怒ってしまうし、顔にも態度に
もそれが出てしまう。特にサッカー部の指導においては顕著だ。周りのサッカー部員に聴いてみたら
いい。「まったく駒田って……」と、いくつもエピソードを紹介してくれるだろう。何とも器が小さ
い。でも、君たちはこれではいけない。
君たちの成長のために、私も様々なイレギュラーを仕掛ける。授業中寝ている生徒の机の上に「起
きろ! by校長」なんてメモを置いてみる。そして咳払いをしてその生徒を起こす。別のあるクラス
でプリントを配布していた時、1番後ろの子が「先生1枚余りました」なんて言ってくる。「ごめん
ごめん前に持ってきて」なんて言いながら、6枚あるプリントすべてを、その子の所に2枚届くよう
に配ってみたりもした。まあ、こんなのはいたずら程度のかわいいこと。そういえば1年前のこの時
期、担任をしているクラスの生徒が、朝のSHRで私の話を聴かずに参考書とにらめっこをしていた
ので、1週間ほどSHRに行かなかったこともある。当の本人が委員長と一緒に職員室に呼びに来るこ
とがわかっていたので、8:30過ぎには、わざと車の中に隠れてもいた。ちなみにこのクラス「絶対
にしないのが席替え、絶対にするのが献血」が私の口癖だった。どう見ても400ccは取れそうな野
球部の男子が、血を抜かれていくことがショックで気を失ったのにはびっくりしたが…。昼休みに昼
食をとる時間もなくグランド整備をすることの意味も、こんな所にあるのかもしれない。試合中には
予測不能なこと、理不尽なことがたくさんあるから…。
閑話休題、イレギュラーなこと、理不尽なことは世の中に溢れている。でも、その度ごとに愚痴を
言ったり、感情をあらわにしたり、あるいはひどく落ち込んだりしていても何も事態は進展しない。
世界がいつも君たちの都合の良いようには動いてくれない。むしろ、そうならないことの方が圧倒的
に多い。そんな時どうするか、どんな行動が取れるか。ここが問われている。文句ばかりで自分を醜
く見せても仕方ない。まずは、つべこべ言わずにやってしまう。相手がぐうの音も出ないほど、時に
はイヤミにも取れるほど完璧にやりきってしまう。
「私、失敗しないので」という米倉涼子扮するドクターXは、”すべてが完璧なミス無しの医者”
というのではないだろう。むしろ、ミスやイレギュラーに対する対処の引き出しが他の人より圧倒的
に多いのだと思う。価値観が同じ気の合う仲間といつも一緒にいると、残念ながらイレギュラーは起
こりにくい。楽は楽なんだけどこれはとても危険なこと。比較的等質な集団を飛び出し、考え方の違
う人とこそ丁寧に接してみて欲しい。そう、丁寧に!不平不満はぐっと呑み込み、しっかりと相手の
考えを「聴く」こと。そして静かに対話してみる。どう?できますか。
この年次通信を読みながらそっと目を閉じ、担任の先生の顔を思い出して下さい。かなりイレギュ
ラーな仕掛けを用意している強者ですよ。仕掛けと言うよりは存在自体?そう、私以上に……ね。
突然ですが11月22日は、何の日だったかわかります?「いい夫婦の日」なんて言わないで下さい
よ。365日いい夫婦の我が家に、そんな日は必要ありませんから。実はその日、指導していた3年生
の推薦入試の試験日だったんです。そして昨日が合格発表日。3.8倍の難関に果敢に挑み、残念なが
ら不合格になってしまった生徒もいた。現実は厳しい。一方で部活終わりを待って挨拶に来てくれた
合格者2名に勝因を尋ねたところ「”絶対に受かってみせるという気持ち、私を取らなければ大学も
損をしますよ位の気持ちで臨んでみな”という先輩からのアドバイス」と返ってきた。
実は1週間前、去年合格した先輩に来校願って、後輩へアドバイスをしてもらっていた。試験日も
近づき、そろそろ煮詰まってきた受験生に、「がんばんなよ~、大丈夫だよ~」なんていう気休めは
何の役にも立たない。気の強い2人の先輩は、当然のことながら強気な姿勢を貫くことを強調した。
藁をもつかむ気持ちの生徒に、一か八かの劇薬投入だったが、功を奏して良かった。一方で私自身は
彼女らの合格の要因は”藁をしっかりとつかんでみせた”ことだと思っている。(これは必要条件。
十分条件じゃないよ、念のため)「藁なんてつかんだってどうせ溺れるし」と考える人に勝利の女神
は微笑まない。結局最後は理屈じゃないんだよね。理屈で考えていたら、藁なんてつかもうとしない
しね…。2年なんてあっという間だよ。再来年は君たちの番!
12月・1月の予定
月
日
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
12 15
月 16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
1
2
1
3
月
4
5
6
7
曜
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
行
事
予
定
答案返却(3・4校時)
答案返却(3・4校時)
総学(6h) SSH:フェロー講演会(5・6h)
土曜学習会
2年次修学旅行(~10日)
総学:エネルギー教育校外学習
SSH:国際教育(5h)
土曜学習会
SSH:サイエンスツアー
キャリアガイダンス:同窓会会員講演(6・7h)
三者懇談(pm)
三者懇談(pm)
三者懇談(pm)
三者懇談(pm)
土曜学習会
天皇誕生日
授業(1~4h)
年次集会
LHR
校内完全施錠(~1/3)
冬季課外(am)
冬季課外(am)
年次集会 服装検査
LHR
大掃除
大掃除
メ
モ