連続うね利用栽培 - 佐賀県

佐賀県研究成果情報
イチゴ
連続うね利用栽培
の収量性と土壌特性
[要約]一度立てたうねを崩さずに利用するイチゴの 連続うね利用栽培 では、5作連用
しても収量は低下しない。土壌の硬度はやや硬くなり、化学性は有機物を施用しないと交換
性塩基類が減少する。
上場営農センター・研究部・畑作経営研究担当
連 絡 先 0955-82-1930
部 会 名 上場営農専門部会
対
専
門
栽
培
象 果菜類
[背景・ねらい]
上場地域の施設イチゴ生産では、夏場の耕起やうね立ての省力化のために 連続うね利
用栽培 が導入されてきている。 連続うね利用栽培 を継続した時の収量性と土壌の理
化学性を検討する。
[成果の内容]
1. 連続うね利用栽培
を 5年 継 続 し て も 、 収 量 は 低 下 し な い (図 1)。
2 . 土 壌 硬 度 は 、浅 い 層 で 連 続 う ね 利 用 栽 培 が や や 硬 い 。深 さ 30 cmく ら い ま で 15
kg/cm 2 よ り 小 さ く 、 根 が 伸 長 で き る 固 さ で あ る (図 2)。
3 . 土 壌 の 化 学 性 は 連 続 う ね 利 用 栽 培 で 有 機 物 を 連 用 す る と 、慣 行 う ね と 明 ら か
な 差 は 認 め ら れ な い 。有 機 物 を 施 用 し な い と 石 灰・カ リ・苦 土 等 の 交 換 性 塩 基 が
減 少 す る (表 1)。
[成果の活用面・留意点]
1 . 連 続 う ね 利 用 栽 培 は 、前 作 終 了 後 の う ね の 中 央 表 面 に 有 機 質 肥 料 を 窒 素 成 分
量 で 0.2 kg/a施 用 し 、 深 さ 約 10 cmを 耕 起 し た 。 有 機 物 は う ね の 表 面 を 中 心 に 腐
葉 土 (仮 比 重 0.15)を 700 L/a施 用 し た 。
2.肥料及び有機物を施用後、定植までうねを古ビニルで覆って陽熱消毒を行う。
3 . 連 続 う ね 2、3、4、5年 の 試 験 年 次 は そ れ ぞ れ 平 成 14、15、16、17年 度 、追 肥 量 は
窒 素 成 分 で 0.5、 0.15、 0.13、 0 kg/aで 慣 行 区 も 同 じ 。 そ の 他 の 栽 培 管 理 も 慣 行
に準ずる。
4 . 現 地 の 連 続 う ね 利 用 栽 培 で は 、100 kg/a程 度 の 有 機 物 を 施 用 す る よ う に 指 導
さ れ て い る 。有 機 物 を 施 用 し な い で 長 期 連 続 う ね 利 用 す る 場 合 は 、土 壌 養 分 が 減
少 し て 生 育・収 量 が 劣 る こ と が 予 想 さ れ る の で 、土 壌 診 断 を 行 い 適 当 な 資 材 を 施
用する。
-1-
[具体的データ]
12000
10000
(95)
10株当り収量(g)
(109)
(101)
(105)
8000
慣行
連続
6000
4000
2000
0
連続2年
図1
2
0
5
kg/cm
10
15
25 0
20
連続3年
連続5年
イチゴの連続うね利用栽培と収量
kg/cm2
10
15
5
連続4年
20
25 0
5
kg/cm2
10
15
20
25 0
5
kg/cm2
10
15
20
0
慣行
連続2年
10
慣行
連続3作
慣行
連続4作
慣行
連続5作
深さ ㎝
20
30
40
50
60
図2
イチゴの連続うね利用栽培が土壌硬度に及ぼす影響
※ DIK-5520で 測 定 、 4∼ 6反 復 の 平 均 値
表1 イチゴ連続うね利用栽培と土壌化学性
交換性塩基
基肥N
EC 無機態 有効態
有機物 利用 pH
全窒素 腐植 可給態
うね
成分量
(1:5)
窒素
リン酸
K
O
CaO
MgO
窒素
2
施用 年数 (H2O)
(%)
(%)
(mg/100g)
(mg/100g)
(kg/10a)
(ds/m)
慣行
8
無し
1
5.5
0.13
9.4
106 57 311
98 0.39 6.8
8.2
(更新)
有り
1
6.1
0.04
1.3
79 50 302
86 0.27 4.9
6.4
有り
1
6.2
0.07
1.3
92 43 290
77 0.26 5.0
6.3
有り
1
6.3
0.07
1.3
90 46 242
65 0.30 4.9
5.2
連続
2
無し
有り
有り
有り
2
3
4
5
5.5
6.1
6.1
6.3
0.14
0.03
0.06
0.07
8.7
0.9
0.9
0.7
119
79
85
89
60
44
38
45
337
296
293
287
109
88
75
67
0.43
0.28
0.27
0.32
7.4
5.1
5.1
5.5
8.6
7.8
6.6
6.8
連続
2
無し
無し
無し
無し
2
3
4
5
5.6
6.2
6.2
6.4
0.09
0.04
0.05
0.04
5.7
1.1
0.5
0.4
94
79
90
86
51
39
31
30
308
275
276
216
89
78
68
57
0.39
0.28
0.27
0.26
6.9
4.9
4.8
4.0
7.3
6.8
7.6
5.5
[その他]
研究課題名:畑作イチゴの省力・軽作業化生産技術の確立
予算区分:県単
研 究 期 間 : 2004∼ 2007年 度
研究担当者:岡和彦、中山敏文
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