水道法新基準項目の亜硝酸態窒素分析における塩化物イオンの影響と

水
水道法新基準
準項目の亜
亜硝酸態窒素
素分析にお
おける塩化物イオンの
の影響と実
実態調査
上村育代(健
上
健康科学研究
究センター健康
康科学部)
【はじめに】
亜硝酸態窒
窒素は、窒素肥
肥料、腐敗した
た動植物、家
家庭排
水、下水等に
に由来するが、
、食品安全委員
員会から食品
品健康
影響評価の結
結果が示された
たこと、全国の
の検出状況の
の結果
から、
平成266 年4 月1 日よ
より、
水道水に新
新基準値0.04m
mg/L
が適用された
た。検査法は告
告示法としてイ
イオンクロマトグ
ラフによる一
一斉分析法が示
示されているが
が、塩化物イオン
が微量の亜硝
硝酸態窒素の定
定量に及ぼす影
影響範囲につ
ついて
の検討は殆ど
どなされていな
ない。本研究で
ではイオンクロマ
トグラフによ
よる亜硝酸態窒
窒素の分析条件
件を始め、塩
塩化物
イオン濃度が
が亜硝酸態窒素
素分析に与える影響、そし
して実
態調査につい
いて検討したの
ので報告する。
【方法】
1.試料
実態調査に
に用いた試料は
は、平成 21 年度から平成
年
223 年
度の兵庫県水
水道水質管理計
計画に基づく水
水質監視 20 地点
(水源種別:
:河川水 5 地点
点、湖沼水 1 地点、伏流水
地
水・浅
井戸 10 地点、深井戸 4 地点
点)の原水及び
び浄水それぞれ
れ 84
(図 1)
検体とした。
2.分析方法
法
塩化物イオ
オンが亜硝酸態
態窒素測定に与
与える影響に
につい
ては、精製水
水及び水道水に
に亜硝酸態窒素
素を 0.004mg/L
L(一
定)
、塩化物イ
イオンを 15-3300mg/L の範囲で添加量を
を変化
させ、その影
影響を解析した
た。
イオンクロ
ロマトグラフ条
条件は表 1 のと
とおり。
【結果及び考
考察】
1.基準値の
の 1/10 濃度の再
再現性
イオンクロ
ロマトグラフ法
法を用いて基
基準値の 1/10 濃
濃度
(0.004mg/L)
)の再現性(N
N=10 の変動係
係数)につい
いて評
価した。亜硝
硝酸態窒素を精
精製水に 0.004
4mg/L 添加し
した場
合の再現性は
は CV=0.61%(N=10)
、水道
道水に 0.004mg//L 添
加した場合の
の再現性は CV
V=0.51%(N=10)であり、極め
て高い再現性
性であった。
2.本条件に
における定量下
下限値
本条件にお
おける定量下限
限値(変動係数
数 10%の濃度
度値)
は 0.0001mg//L で、新基準
準値と比較して
て 1/400 の低濃
濃度レ
ベルまで定量
量が可能であっ
った。
3.塩化物イ
イオンの影響
精製水に亜
亜硝酸態窒素を
を 0.004mg/L、
、塩化物イオ
オンを
15-300mg/L の
の範囲で添加濃
濃度を変化させ
せたときの亜
亜硝酸
態窒素の回収
収率への影響は
は、
塩化物イオ
オン濃度が100m
mg/L
までは全く影
影響を受けない
いことが分かっ
った。しかし
し、塩
化物イオン濃
濃度が 100mg/L
L を超えると濃
濃度依存的に
に回収
率は低下する
る傾向を示した
た。水道水の場
場合において
ても、
概ね同様の結
結果が得られた
た。
(図 2)
4.過去 3 年
年間おける検出
出状況
本法を過去
去 3 年間分、水道原水及び浄
水
浄水 84 検体ず
ずつの
実態調査に適
適用した結果(定量下限値 0.5μg/L)
0
、水
水道原
水からの検出
出率は 35.7%で
で最高濃度とし
して 23.8μg/L が検
出さ
された。浄水か
からの検出率は
は 15.5%で、最高濃度とし
し
て 2.5μg/L
2
が検出
出されたが、新
新基準値 0.04m
mg/L と比較し
し
て低
低濃度レベルに
にあることが分
分かった。なお、浄水中塩
塩
化物
物イオンの最高
高濃度値は 42..9mg/L で、亜
亜硝酸態窒素の
の
定量
量に影響はない
い濃度レベルで
であった。
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◆河川水
水
◆湖沼水
水
▼浅井戸
戸・伏流水
▼深井戸
戸
図1 採
採水地点
表 1 イオンクロマ トグラフ分析
析条件
装置
置
ICS2
2000(Dionex 社製
製)、AS50(Dione
ex 社製)
分析
析カラム
IonPa
ac AG20、AS20(内
内径 4mm)
溶離
離液
水酸
酸化カリウム(溶離液
液ジェネレーター使
使用)
0-1m
min(2.5mmol/L)、 1-6min(2.5-4.0mm
mol/L)、6-13min
(4.0-10mmol/L) 、13--20min(10-17mmol/L) 、20-30min
(17-40mmol/L)
溶離
離液流量
1.0mL/min
カラ
ラム温度
35℃
℃
サプ
プレッサー
ASRS-300
検出
出器
電気
気伝導度
試料
料導入量
200μ
μL
図 2 亜硝
硝酸態窒素 0.0004mg/L の回
回収率
(塩
塩化物イオン添加
加前を 100 とする)
)