特 集 とっさの事故の 応急処置! 覚えておきましょう 予防 と 対応 〈予防法〉 床に余計なモノを置かない。階段には手すりを付ける。段差をなるべ くなくし、段差のあるところを自覚する。よく歩いて足腰を鍛える。 骨折の応急手当 〈観察〉 骨折している場合は、動かさなくても痛みを感じ、場所(部位)により患 部は腫れて曲げられないほど変形し、皮膚も変色します。 しかし高齢者は骨折しても痛みを感じなかったり、打撲でも多量の皮下出血を 生じたり、腫れたりするのでよく観察しましょう。 〈応急手当〉 上腕骨頚部骨折 特集│とっさの事故の応急処置! ①骨折、脱臼、ねんざは患 部を動かさず、安静にして 様子をみます。軽度の場合 は固定して病院へ。 ② 骨 折 や頭などを打った 可能 性 がある場合はすぐ に病院へ。 前腕の骨折 大きく転倒した場合は、痛 お餅の美味しい季節ですが、飲み込む力が弱くなるとノドを詰まらせ たり、また、足腰が弱くなってくると少しの段差にも転倒したりします。 みや腫 れなどを確 認しま 脊椎 圧迫骨折 しょう。高齢者だと太もも 冬場のお風呂も外気との気温差で、ヒートショックを起こして血圧が高 のつけ根を骨折しているこ くなって倒れたりします。そんなとっさの事故にすぐに対応するために、 とがあるので 119 番に通 前もって対処の仕方を知っているのと知らないのとでは大違い。命に関 報。救急車を待っている間 わることもあります。今回は日常生活の中で起こりやすい事故の応急処 は毛布などで覆って保温し 置と予防方法を特集します。 てあげましょう。 〈協力:大阪市消防局 救急部 救急課〉 大腿骨頚部骨折 高齢者に多い骨折部分です 転倒したら…骨折しているか観察します 意識があるか、大出血していないか、骨折していないか 【注意点】脱臼やねんざは軽く考えがち。突き指などは“引っ張れば治 る”と思われがちですが、動かすと症状が悪化するので、やたら揉ん だりしないようにします。 年と共に足腰が弱くなり、バランスを崩して転倒しやすくなります。特に家庭 内での転倒・転落が多いので、転倒しやすい環境をなくしてあげましょう。 3 4 特 集 とっさの事故の 応急処置! 覚えておきましょう 予防 と 対応 打撲の応急手当 〈観察〉頭や胸、お腹を打ったとき、元気そうに見えても、顔色が青くなったり、 脱水症状や熱射病熱中症 熱っぽい、暑さでぐったり…早い目の水分補給を 〈予防法〉 ①冷房は 28 度設定とし、過度に控えない。 ②こまめに水分をとる。外出時も水筒を持参しましょう。 寒気、冷や汗、脈の乱れ、生あくびなどのショック症状が見られたら命に関 ③ 1 日 1 回は外出して外気に慣れる(日傘を持つか帽子をかぶる)。 わることもあります。119 番に通報。 ④温度計で気温を確認しながら熱中症に注意する。 ⑤テレビの熱中症予防情報を参考にする。 ります。軽いと思っても病院へ。目や耳、鼻、口から出血したときは重症です。 脱水症状 ②胸を打った・・・呼吸のしやすい体位で安静にさせます。咳や痛みが激しい 元気がなく、微熱があり、脇の下が乾燥しています。このような場合は血が ときは、肺や肋骨などを損傷しているかもしれないので救急車で早く病院へ。 どろどろになり、脳梗塞や心筋梗塞を起こしかねないので、早く水分補給を ③背中を打った・・・痛みが激しくなくても手足や下半身のマヒがみられたら、 おこない病院へ。 脊椎が損傷している可能性があるので首から背骨を動かさないように移動に 注意して救急車で病院へ。 特集│とっさの事故の応急処置! ①頭を打った・・・吐き気や嘔吐、意識がなくなるという症状がでることがあ 熱中症 ④お腹を打った・・・寝かせる。吐く時は体を横向きにします。飲み物は絶対 急に暑くなったり、高温多湿環境下で体内の水分や塩分などのバランスが崩 に与えないこと。 れたり、体温の調整機能ができなくなり発症します。 ⑤手足を打った・・・まず患部を冷やします。皮膚が青黒いときは皮下出血。 ①顔色が赤く脈が早い、皮膚が熱く乾いている場合は、風通しの良い涼しい 痛みが激しいときは骨折を疑って病院へ。 場所で、上半身を高くして寝かせ、衣服をゆるめて冷たいタオルで体を冷や します。 大出血の応急手当 ①出血している場合には、ハンカチなどで圧迫し、止血します。患部を心臓 より高くし、冷やしたりして痛みをやわらげます。 ②傷口や骨が露出しているときは細菌感染を防ぐため、まわりの物にふれな いようにして病院へ。傷口が大きい場合は 119 番。 【注意点】人間の血液量は、体重1㎏当たり約 80㎖で、その3分の1 以上失うと生命に危険があります。 ②顔色が青く脈が弱い、皮膚が冷たく汗ばんでいる場合は、体を冷やさず、 足の方を高くして寝かせます。軽い日射病だと、皮膚が冷たく感じられますが、 意識の回復は早いです。 ※いずれも意識があるときは、吐き気がなければ、飲み物を少しずつ飲ませ ます。意識がないときは、横向きに寝かせておいて 119 番。呼吸をしていな ければ人工呼吸や胸骨圧迫をします。 【注意点】体温が異常に高い場合は、服の上から水をかける、首や脇 の太い血管に近い部位を冷やすなどして強制的に体温を下げます。 5 6 たたく! 特 集 とっさの事故の 応急処置! 覚えておきましょう 予防 と 対応 後から抱くように腹部に腕を回し、片方の手で握りこぶしをつくり、相手の 上腹部(ヘソのすぐ上、みぞおちより下)に当て、両手で上腹部を上のほうに 向かって圧迫するよう突き上げます。 ③背中をたたく(背部叩打法)・・・上腹部を圧迫しても出ないときは、頭を 下げさせて背中(肩甲骨の間)を強くたたきます。 異物がのどに詰まったら… たたく! 詰まっているモノを確認。できるだけ早く吐き出させます! お餅がのどに詰まると窒息するおそれがあります。パン、魚の骨、薬の PTP 包、 たたく! たたく! 流動食やその他の食べ物でも詰まります。特殊なモノにタバコの吸い殻、洗 特集│とっさの事故の応急処置! 浄剤などがあります。 〈予防法〉 ①少しずつ口に入れる(食べ物は小さく薄く切る)。 ②よく噛んで食べる。 ③お茶などで喉を湿らせてから食べる (乾いていると食べ物がくっついてしまう)。 ④ 1 人では食べない(周囲の人が見守る)。 ⑤しゃべりながら食べない。 ③背中をたたく(背部叩打法) コツ 腹ではなく 胴全体を 引きしぼる! なくてもがき苦しむ、顔色やつめの色が青黒くなる、次第に意識がなく 「詰まった餅を掃除機で吸い出す」といったニュースをみますが危険で ①激しく咳をしているとき・・・そのまま す。胃の内容物まで吸い出し、気道を詰まらせる危険があります。 咳を続けさせます。強い咳で詰まったモノ ②上腹部を圧迫する(腹部突き上げ法) ・・ ・ 腹ではなく 胴全体を 【注意点】激しく咳き込む、ゴロゴロ、ヒューヒューと音が出る、声が出 引きしぼる! なると危険信号です。ただちに心肺蘇生法を行う。 〈観察と対応〉 が自然に出ることがあります。 コツ ※1つでダメなときは②③を数度繰り返します。 たたく! ②上腹部を圧迫する (腹部突き上げ法) 吐いたときは、逆流して肺に入ったり、ノドに詰まらせたりしないよう に横向きに寝かせます。 コツ 腹ではなく 胴全体を 引きしぼる! せば止ま を離 る ー 高さの 調節も 自由自在 ら… か 脱衣場から洗い場、浴槽まで、ビーチェア DX に 乗ったまま入浴を楽しむことができます。 浴槽(スロープもしくはリフトが必要 ) 内に入ると、 ビーチェア DX の座面を無段階に下げることができるので、 肩までとっぷり、ゆったり入浴タイムを 楽しむことができます。 また、入浴介助でのぼせることも少なくなります。 レバ お風呂が楽しくなります! ! 〒571-0043 大阪府門真市桑才新町 21 番 5 号 TEL 06-6916-2177 FAX 06-6916-2188 7 8 特 集 とっさの事故の 応急処置! 覚えておきましょう 予防 と 対応 お風呂でおぼれていたら… 水面に顔を出す、引き上げられなかったら浴槽の栓を抜く 〈予防法〉 化に対応して、体温を一定に保とうとして血管が急激に収縮し血圧や脈拍に 変動を起こしやすいため、心筋梗塞や脳血管障害 などが発症する場合があります。 脱衣室と浴室の温度差をなくす。 お湯は 38 度〜 40 度のぬるめがよい。 〈観察と対応〉 ①浴槽の中でおぼれていたら、顔を水 面 上に出し、呼 吸で きるようにします。 浴槽から引き上げられない場合は、浴槽の栓を抜きおぼれないようにします。 ②浴槽から引き上げることができれば、安静な場所に移し、バスタオルで覆 い寝かせます。意識があるか、呼吸ができているか観察します。 ③意識がない場合には気道を確保して、心肺蘇生法を行います。 お年寄りは感覚が鈍っていることが多く、ホットカーペットや使い捨てカイロ、 保温便座などで低温やけどしていることに気づかないことがあります。やけど が皮膚の深いところまで達していると、冷却の効果が少ないので冷やさずに 医療機関で治療を受けましょう。 〈広範囲のやけどの応急手当〉 広範囲なやけどは部位によって特殊な治療が必要なので 119 番へ。 【注意点】やけどに油やみそ、軟膏、消毒薬を塗ってもだめです。塗る と感染したり、医師の診療治療の邪魔、障害になるのでやめましょう。 特集│とっさの事故の応急処置! ヒートショックのリスクをなくす。人間の身体は入浴時やトイレなど室温の変 〈低温やけどの応急手当〉 食中毒…6月~9月は食中毒発生の季節 〈予防法〉 食中毒を予防するためには、細菌などを食べ物に「つけない」、食べ物に付着 した細菌を「増やさない」、 「やっつける(殺菌する)」という 3 つが原則です。 細菌の多くはマイナス 15℃以下では増殖が停止するので、低温で保存する。 細菌やウイルスは加熱によって死滅するので、特に肉料理は中心部の温度が 75℃で 1 分以上加熱する。ふきんやまな板、包丁などの調理器具は、洗剤 でよく洗ってから、熱湯をかけて殺菌すること。 〈食中毒の原因と対応〉 食中毒の主症状は、下痢、嘔吐、腹痛、発熱です。 下痢や嘔吐は体内から異物を排除しようとするので、下痢止め薬などは服用 やけどをしたら… 広く、深いほど危険。急いで流水、氷で冷やす せず、トイレなどで出せるだけ出して安静にする。ただし、激しい嘔吐や下 痢が続くと、体内にある水分とミネラルが欠乏し脱水症状に陥なる可能性が あるので、スポーツ飲料などで補給し、病院を受診しましょう。 食中毒の症状によっては、もし血便が確認された場合には早急に病院へ。 〈やけどの応急手当〉 流水で痛みがなくなるまで 20 分ほど冷やします。顔や背中などは、氷を包 んだタオルや冷水を入れたビニール袋をあてます。皮膚と服がくっついていた ら無理にはがさず、服の上から水をかけて冷やします。患部を冷やしていると きは、体全体が冷えないように毛布などで体を保温します。 9 【注意点】自己判断で下痢止めの薬を飲んでしまった場合、原因菌や 毒素が腸内にとどまり症状が悪化してしまう場合があるので、受診時 にその薬を医師に伝える。 〈次号は「倒れていたとき」の処置と対応を紹介します〉 10
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