FDGPETの不明熱診断への応用: 先進医療への応用をめざす多施設共同研究について 演題番号P203 窪田和雄、小早川雅男、田中紀子、田中康弘、和泉静枝、安原明美、安藤幸恵、 川崎敏克、佐藤敬、梶原宏則、南本亮吾、諸岡都、岡﨑百子、宮田陽子 国立国際医療研究センター病院、臨床研究支援部、 JCRACデ タセンタ JCRACデータセンター、放射線核医学科 放射線核医学科 1:背景:炎症性疾患へのFDG-PET/CTの応用 FDG集積細胞 線維芽細胞 疾患群 膿瘍 肉芽腫 滑膜炎 腱付着部炎 線維化 炎症細胞浸潤 血管炎 不安定プラーク 壊死心筋 線維化 血管新生 組織新生 etc. 膿瘍 結核 サルコイドーシス リウマチ 関節炎 自己免疫性膵炎 炎症性腸疾患 感染性動脈瘤 大動脈炎症候群 その他 動脈硬化 動脈瘤 心筋梗塞 心筋リモデリング 不明熱の原因 マクロファージ リンパ球・白血球 病理組織 新生血管内皮細胞 3.研究の概要・進捗 2.背景:不明熱のFDG-PET/CT研究の現状 Meta analysis 1 Dong M, et al. Eur J Radiol 2011;80(3):834-844. Sensitivity Specificity AUC FDG‐PET 0.826 (95% CI;0.729–0.899) 0.578 (95% CI; 0.488–0.665) 0.810 FDG‐PET/CT 0.982 (95% CI; 0.936–0.998) 0.859 (95% CI; 0.750–0.934) 0.947 Meta analysis 2 Hao R, et al. Nucl Med Commun 2013; 34(7): 682-8 Sensitivity 85%, Area under the ROC curve 0.88 ・小規模研究が大半 ・小規模研究が大半、 我々の以前の研究は 多施設後ろ向き研究。 ・エビデンスは不十分。 ・炎症性細胞、そして 様々な炎症性疾患にFDG は集積し、臨床応用の可 能性が高い。 5.不明熱の分類について 4.プロトコールの概要 <研究のゴール> FDGPET/CTによる不明熱の診断への保険適応拡大 / による不明熱の診断 の保険適応拡大 <何が必要か?> ・FDG自動合成装置の薬事承認の適応拡大 ・FDGスキャン注の適応拡大 <方法> ①通常は治験。膨大な費用がかかる。 ×合成装置メーカーも製薬企業も投資する意志はない。 ②代替手段、先進医療Bによるレベルの高い臨床研究 (IHC‐GCP準拠:前例モニタリング、施設監査等) FDG‐PET/CT画像のQC: ファントム試験を実施する。 *SUVによる定量評価は参考値とし、視覚評価を主要評価とする。 Ga‐SPECT画像のQC: ガンマカメラの品質管理を実施する。 9.今後の計画・見通し Nosocomical FUO 急性期・院内発症不明熱 入院患者(急性期病院)入院時に感染症なし。 潜伏感染も否定的、38.3℃ (101℉)以上の発熱、 3日以上持続、3日間の検査で診断がつかない、 48時間の培養検査も陰性 好中球<500/μL :38.3℃ (101℉)以上の発熱、 3日以上持続 3日間の検査にて診断がつかない、培養陰性 HIV感染患者 :38.3℃以上の発熱、 外来患者4週間以上、入院患者3日以上持続 3日間の検査にて診断がつかない、培養陰性 HIV associated FUO HIV感染者不明熱 進捗:ステップ1 ②が本研究により可能かどうか? 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に薬事戦略相談を 申し込み プロトコールの審査を受け 申し込み、プロトコ ルの審査を受け、承認された。 承認された。 進捗:ステップ2 厚労省、先進医療会議で、先進医療の承認を取る。 事前相談・再相談⇒修正依頼 現状:書類提出し、先進医療会議の審査の順番待ち。 1.同意取得時の年齢が20歳以上の患者 2.同意取得前の14日間に38℃以上(腋窩体温)の発熱が 週2回以上繰り返していた患者 3.同意取得前3週間以内に、胸腹部CT検査および下記検査を 行っても、発熱の原因疾患の診断がつかなかった患者。 血算、血沈、生化学、甲状腺機能検査、検尿、血培1セット、 ウイルス抗体( ウイルス抗体(HIV, CMV, EBVCA)(結果を待たなくて良い)。 )(結果を待たなくて良い) 定義 38.3℃ (101℉)以上の発熱が3週間以上、 3日間の入院or3回の外来検査で診断がつかない Neutropenic FUO 好中球減少患者の不明熱 このデータにより薬事適応拡大、保険適応拡大を図る。 6.エントリー基準・画像QC FUOのタイプ Classical FUO 古典的不明熱 Durack DT, Street AC. Cur Clin Top Infect Dis 11;35‐51,1991. プライマリー・エンドポイント 本研究では、古典的不明熱およびHIV感染者不明熱を対象とした。 38.3℃(101F)は口腔体温、これは腋窩体温38℃に相当と考えた。 7.施設読影・第3者読影 8.確定診断・主要評価項目 施設読影 主治医による診療・確定診断 検査施設で、すべての情報を参照しFDG‐PET/CT、Ga‐SPECT を読影。診断情報を主治医に報告。 画像に加え、必要な追加検査を行い、診断確定し、治療する。 経過観察最長6か月。 経過調査票の提出 中央画像評価委員会 最終効果判定委員会 第3者読影、臨床情報なしで、熱源の評価(視覚評価) 第3者読影⇔経過調査票 照合して診断精度を判定する。 ・PET/CTの診断能がPETよりも高く、普及した。 ・SPECT/CTは普及していない。 ・同じレベルで、臨床の現場に近い比較方法を選ぶべきである ⇒GaSPECT読影時に、PET/CTのCT画像のみを参照する。 これにより、同等レベルで、FDG画像とGa画像を比較する。 10.FDG‐PET/CT不明熱診断例1 主要評価項目: FDG‐PET/CT及びガリウムSPECTによる熱源部位検出感度の差 (優越性を検証) 副次評価項目: ・FDG‐PET/CT検査により特定された熱源部位 ・FDG‐PET/CT検査の感度、特異度、陽性的中率、正診率、貢献度 ・ガリウムSPECT検査により特定された熱源部位 ・ガリウムSPECT検査の感度、特異度、陽性的中率、正診率、貢献度 ・第3者読影と施設読影の一致度。 11.FDG‐PET/CT不明熱診断例2 結核性膿瘍 <先進医療の承認見通し> 2014年1~2月頃。 <当院における開始時期> 承認後、変更点の倫理委員会承認取得、3~4月 症例エントリー:2014年4月頃より1年半 目標登録症例:180例 <共同研究開始の見通し> 当院承認後、実施可能な協力施設を追加申請、 多施設共同研究を開始。 ⇒必要事項・協力施設の先進医療への参加決定。 ・協力施設における倫理委員会承認。 12.FDG‐PETによる不明熱診断のメリット 1.全身検索、頭から足の先まで 2.腫瘍・炎症、両方検出できる “すべての活動性の病変をスクリーニングできる” 3.早期診断、治療の最適化を期待 70才台男 39℃台の熱発を2 週間以上繰り返す。 近医より抗生剤処 方、無効にて紹介。 L3棘突起周囲膿瘍, 膨大動脈リンパ 節腫大、縦隔リンパ節腫大、肝膿瘍。 第3腰椎棘突起周囲の膿瘍を穿刺、 結核菌を検出。抗結核剤にて症状所 見は軽快。 高安大動脈炎 60台女性不明熱精査。 2ヶ月前よりせき 1ヶ月で10Kg体重減少 夜間38℃の発熱 両肩、上肢、背中の痛み CRP:6.5, WBC10130 胸部‐腹部大動脈、 総腸骨動、鎖骨下動脈の 壁に強いFDG 集積 “血管が描出” 13.本研究のゴール 早く見つけて、治療できてよかったですね FDG‐PET/CT診断のフローチャート 私たちは、最先端の知識と技術で、 病める方のために何ができるかをいつも考えております。 日本発の、新しいFDG‐PET/CTの使い方の普及を目指す研究に、 ご理解、ご支援をいただけますようお願い申し上げます。
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