先週の問題 • 自分の気がついた逆選択の具体的な例をあ げ、以下の点に注意して説明して見ましょう – 情報を持っている側はだれか – 情報を持っていない側だれか – どのような被害(非効率性)がおこるか – 誰が被害をこうむっているか 解答例 • 通販などの無店舗販売 – 買うまで商品がわかりにくい – 売り手:高く売れない – 買い手:よいものが出回らない • 労働市場 スクリーニング 自己選択 非線形価格 保険市場のスクリーニング 逆選択の解決法 • 情報の非対称性を解消 • スクリーニング – 情報を持っていない側が、持っている側から情報 を引き出すための仕組み • シグナリング – 情報を持っている側が、その行動を通じて情報を 伝えようとすること 自己選択 • 自己選択(Self-selection) – いくつかの選択肢を提示して、情報を持っている 側が自ら選ぶこと – スクリーニングの基本的な考え方 • 誘因整合性 – タイプAは「タイプA向けの選択肢」を選ぶ – タイプBは「タイプB向けの選択肢」を選ぶ – となるように選択肢を設計する 非線形価格付け • 非線形価格付け(Non-linier pricing): – 収入が販売量に比例しない – 価格差別の一般化 • 価格差別 – 第1種価格差別:個人ごとに異なる価格 – 第2種価格差別:販売量に応じて異なる価格 – 第3種価格差別:市場ごとに異なる価格 – 消費者間で裁定取引ができない場合 携帯電話の通話料 • 携帯電話会社の料金プラン戦略 – 携帯がなくてはならない人 → 高い料金 – 携帯がなくてもよい人 → 安い料金 – 消費者がどちらのタイプかは不明 – → どのようなプラン? • 2つのタイプ – 携帯好き x:通話時間 y:支払額 u ( x, y ) 2 x y – 携帯嫌い u ( x, y ) x y 無差別曲線 支払額 通話時間 O 携帯会社の利潤 • 携帯会社の費用 – 通話時間当たりc、 → 総費用=cx • 携帯会社の利潤 – 収入=消費者の支払額=y – 利潤 y cx • 携帯会社は独占 – 消費者は携帯会社のプランを受け入れるか携帯を持たない – → ほかの選択肢はない 等利潤線 支払額 y 0 cx 通話時間 O 情報の非対称性がない場合 • 消費者がどちらのタイプかわかる場合 – そのタイプ向けの料金プランをタイプごとに • あるタイプ向けの最適な料金プラン – 利潤を最大化する料金プラン – 通話時間と支払額の組み合わせ – 制約条件=自己合理性(参加条件) – 効用がゼロ以上になるようなプラン – → 負になれば携帯は持たない 無差別曲線 支払額 通話時間 O 最善の料金プラン • 情報の非対称性がないので、それぞれの個人合理 性の条件(参加条件)が満たされればよい。したがって、 x A y A 0, 2 xB y B 0 • この制約条件の下で、利潤を最大化するプランを見 つける。 • 携帯嫌いからの利潤 y A cx A x A x A • 携帯好きからの利潤 y B cxB 2 xB xB 1 1 xA , yA , 4 2 xB 1, y B 2 情報の非対称性がある場合 • 携帯会社 – 市場には2タイプの消費者 – 誰がどのタイプかは不明 – どのようなプランを提示すればよいのか? • 逆選択 – タイプがわかる場合のプランを提供すると – → 携帯好きタイプは携帯嫌いのプランを選択 – 携帯好きから料金を取りそこなう 無差別曲線 支払額 通話時間 O 誘因整合性 • 逆選択 – 携帯好きが携帯嫌いのプランを選択 – → 誘因整合性が満たされない • 誘因整合性条件 – それぞれのタイプは自分向けのプランがいい x A y A xB y B 2 xB y B 2 x A y A 誘因整合的なプラン 支払額 通話時間 O 最適な料金体系 • 最適な料金 – 誘因整合的な料金は最適? – 消費者のタイプの比率によっては改善の余地 • 一方のタイプのふりをしにくくする – 携帯嫌いのプランを変更 – → 携帯嫌いからの収入は減少 – 携帯好きからの収入を増加 最適な料金プラン 支払額 通話時間 O 実際の料金プラン 支払額 通話時間 O スクリーニングの効果 • スクリーニングの利得への効果 – 携帯好きタイプ → 利得上昇 – 携帯嫌い → 利得は変化せず – 携帯会社の利潤 – → スクリーニングで部分的に回復 • スクリーニングの通話時間への影響 – 携帯嫌いタイプ → 通話時間減少 – 携帯好きにふりをさせないため 無差別曲線 支払額 通話時間 O 今日の問題
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