<演習> 材料の機械的性質の解析 - Tsuji Lab - 京都大学

材料科学実験および演習
2014 (H26) 担当・辻
伸泰
<演習> 材料の機械的性質の解析 0.材 料 の 力 学 的 性 質 を 学 ぶ 理 由 : 金属材料は、比較的大きな強度を有しながら、展延性に富んでいる。そのため、単に強度が高いと
いうだけでなく、様々な形に加工することが可能であり、また衝撃力等に対して脆く破壊する危険性
も少ない(靭性が高い)。このことが、金属材料の有用性を際立たせており、安全性と信頼性が必要な
構造材料として多量に使われている理由となっている。
金属材料は、素材として製造する際に圧延、鍛造、線引き等の一次加工を受ける。また、厚板、薄
板、棒、線材などの形状になったあと、実際の製品とするために、鍛造、深絞り、曲げあるいは切削
などの二次加工が行なわれる。いずれもそこで起こっていることは、金属の塑性変形である。そして
製品として用いられる場合、機械設計段階で必ず材料の強度・延性等が問題となる。すなわち、金属
材料の変形の原理を知ることは、構造材料として金属を用いるものにとって避けて通ることのできな
い課題である。本講義(演習)では、材料のマクロな変形を、弾性変形、塑性変形に分けて論じ、応
力とひずみという基礎概念から、実際の材料試験に即した知識までを概説する。本演習の目的は、材
料の機械的性質の基本的概念を学び、力学特性の実験的測定法を理解することである。
【関連する講義】
・ 材料科学実験 D 材料の変形と結晶の配向の決定
・ 「材料科学基礎1」、「結晶物性学」、「金属材料学」、「材料強度物性」
【より詳しく学ぶための参考書】
(1) Materials Science And Engineering, An Introduction: by William D. Callister, Jr., John
Wiley & Sons, Inc.
(2) Mechanical Metallurgy, G.E.Dieter, McGraw Hill, 1987
(3) Fundamentals of Metal Forming, Robert H. Wagoner, Jean-Loup Chenot, John Wiley &
Sons, 1996
(4) 材料の科学と工学、[2]金属材料の力学的性質、W.D.キャリスター著 入戸野修 監訳、培
風館
(5) 材料強度の原子論、日本金属学会、1985
(6) 金属塑性加工学、加藤健三、丸善、1971
(7) 材料強度の基礎、高村仁一、京都大学学術出版会、1998
(8) 材料強度の考え方、木村 宏、アグネ技術センター、2000
【講義情報および資料のダウンロードサイト】宿題の WORD ファイルもダウンロードできます。
http://www.tsujilab.mtl.kyoto-u.ac.jp/01TsujiLab/Education/MaterSciLab&Ex/index.html
【教員連絡先・レポート提出先】
材料工学専攻 教授 辻 伸泰(つじ のぶひろ)
工学部物理系校舎南棟8F 828 号室
E-Mail
TEL
[email protected]
075-753-4868(小池秘書:825 号室)
1
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1. 材 料 の マ ク ロ 変 形 の 基 礎
応力
1.1.材料の弾性変形と塑性変形
破壊
B
加工硬化
A
降伏
C
O
ひずみ
塑性ひずみ
図1.1 金属材料の典型的な応力ひずみ曲線
弾性変形(Elastic Deformation)=力が徐荷された場合、時間的遅れなしに元の形に戻るような変形
σ=E ε
E:
€
Young's modulus
(ヤング率(縦弾性係数))
τ=G γ
G:
€
(1.1)
G=
(1.2)
Shear modulus
(剛性率(横弾性係数))
E
2 (1+ ν)
ν:
Poisson's ratio
€
(1.3)
(ポアソン比)
表1.1 典型的な金属材料の弾性定数
Material
E (GPa)
G (GPa)
ν
Aluminum alloys
72.4
27.5
0.31
Copper
110
41.4
0.33
Steel (plain carbon & low-alloy)
200
75.8
0.33
Stainless steel (18Cr-8Ni)
193
65.6
0.28
Titanium
117
44.8
0.31
Tungsten
400
157
0.27
塑性変形(Plastic Deformation)=力を徐荷しても残る永久変形
2
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1.2.応力とひずみ
1.2.1.ひずみと回転
仮定:
連続体
線形弾性論
微小変形理論(ひずみ成分の大きさが1に比べて十分小さい)
図1.2
変位(Displacement):
u ≡ (u1,u 2 ,u 3 )
(1.4)
u が物体内のどの部分でも同一なら、単に平行移動しただけ。
€
変形・・・u の場所による変化の議論
変形勾配(Distortion):
∂u i
∂x j
(i, j = 1,2,3)
(1.5)
変形勾配の対称成分をひずみ(Strain)εij、反対称成分を回転(Rotation) ωij と定義する。(対称
€
化操作による変形勾配テンソルからの剛体スピン成分の除去)
εij + ω ij ≡
€
∂u i
∂x j
3
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∂u j (
1 % ∂u
*
εij ≡ '' i +
2 & ∂x j ∂x i *)
伸泰
(1.6)
1 & ∂u ∂u j )
+
ω ij ≡ (( i −
2 ' ∂x j ∂x i +*
€
(注) 「ひずみ」という場合、工学せん断ひずみ
€
γ ij ≡
∂u i ∂u j
+
= 2εij
∂x j ∂x i
(i ≠ j)
(1.7)
を用いる場合もある。
€
#ε11 ε12 ε13 &
%
(
εij = %ε21 ε22 ε23 (
%$ε31 ε32 ε33 ('
)
∂u1
+
∂x1
+
+1 # ∂u
∂u &
=+ % 2 + 1(
+2 $ ∂x1 ∂x 2 '
+1 # ∂u 3 ∂u1 &
+2 %$ ∂x + ∂x ('
*
1
3
€
€
#ω11 ω12
%
ω ij = %ω 21 ω 22
%$ω 31 ω 32
1 # ∂u1 ∂u 2 &
+
%
(
2 $ ∂x 2 ∂x1 '
∂u 2
∂x 2
1 # ∂u 3 ∂u 2 &
+
%
(
2 $ ∂x 2 ∂x 3 '
1 # ∂u1 ∂u 3 &,
+
%
(.
2 $ ∂x 3 ∂x1 '.
)ε11 ε12 ε13 ,
1 # ∂u 2 ∂u 3 &. +
.
+
%
(. = +ε12 ε22 ε23 .
2 $ ∂x 3 ∂x 2 '.
+*ε13 ε23 ε33 .∂u 3
.
.
∂x 3
-
#
0
%
%
ω13 &
∂u .
( %1 + ∂u
ω 23 ( = % - 2 − 1 0
2 , ∂x
∂x 2 /
ω 33 (' % + 1
%1 ∂u 3 ∂u1 .
%2 -, ∂x − ∂x 0/
$
1
3
(1.8)
1 + ∂u1 ∂u 2 . 1 + ∂u1 ∂u 3 .&
−
−
0
0(
2 , ∂x 2 ∂x1 / 2 , ∂x 3 ∂x1 /(
1 + ∂u 2 ∂u 3 .(
0
−
0(
2 , ∂x 3 ∂x 2 /(
1 + ∂u 3 ∂u 2 .
(
−
0
0
(
2 , ∂x 2 ∂x 3 /
'
(1.9)
一般に、行列の対角成分の和(trace)は座標系の取り方によらない不変量(invariant)である。
€
ε11 + ε22 + ε33 = 不変量
(1.10)
V + ΔV = V (1 + ε11 ) (1 + ε22 ) (1 + ε33 )
≅ V (1 + ε11 + ε22 + ε33 )
€
(1.11)
よって、微小変形の場合、
€
ΔV
ε
+
ε
+
ε
=
11
22
33
€
V
(1.12)
ひずみ行列のトレース = 物体の体積変化率
€
4
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1.2.2.応力
力( force,
load )
表面力( traction );物体表面に作用
体積力( body force );物体全体に作用(電磁力、重力、etc.)
外力が物体に作用すると、物体は自ら変形することにより外力と釣り合う内力を生じる。内力の分
布状態は材料の形状寸法などにより変化するため、ひずみ(局部的な変形)に対応する局所的な内力
(応力(Stress))を定義する必要がある。
x3
x3
σ33
F = (F 1, F2, F3)
σ32
σ31
F3
σ23
σ13
x2
σ12
F2
σ21
x2
σ11
A
σ22
F1
x1
x1
図1.3.
図1.4.
面力
X=
F
A
(1.13)
応力の定義
垂直応力(Normal Stress)
€
σ 33 ≡
F3
A
(1.14)
せん断応力(Shear stress)
σ13 ≡
€
F1
F
, σ 23 ≡ 2
A
A
(1.15)
#σ11 σ12 σ13 &
%
(
σ ij = %σ 21 σ 22 σ 23 (
%$σ 31 σ 32 σ 33 ('
€
#σ ii
%3
%
=% 0
%
%0
$
€
0
σ ii
3
0
& #
σ
0 ( %σ11 − ii
3
( %
0 ( + % σ12
( %
σ ii ( %
σ13
3' $
静水圧(Hydrostatic)成分
€
σ 22 −
σ ii
3
σ 23
&
(
(
σ 23 (
(
σ ii (
σ 33 −
3'
σ13
偏差(Deviatoric)成分
(σ ii = σ11 + σ 22 + σ 33 )
€
σ12
5
(1.16)
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1.3.弾性変形における応力とひずみの関係
線形弾性論:フックの法則(Hooke's law)
σ ij = C ijkl e kl
(1.17)
Cijkl: 弾性定数(Elastic Constant )
弾性スティフネス(Elastic Stiffness)
€
e ij = C−1
ijkl σ kl
(1.18)
Cijkl-1:弾性コンプライアンス(Elastic Compliance)
応力成分、ひずみ成分が対称であること、弾性ひずみエネルギーがひずみの2次形式で表されるこ
€
とから、
C ijkl = C jikl = C ijlk = C klij
(1.19)
よって、独立な弾性定数は最大で21個。
結晶のように対称性が高い場合には独立な弾性定数の数はさらに減り、立方晶では3個。等方体で
€
は、2個の独立な弾性定数(Lame's
constant:λ、μ)があるのみで、
σ11 = ( λ + 2µ) e11 + λ (e 22 + e 33 )
σ 22 = ( λ + 2µ) e 22 + λ (e 33 + e11 )
€
€
€
σ 33 = ( λ + 2µ) e 33 + λ (e11 + e 22 )
(1.20)
σ12 = 2 µ e12
σ 23 = 2 µ e 23
σ 31 = 2 µ e 31
等方体の弾性定数としては、ヤング率E、ポアソン比ν、体積弾性率(Bulk
Modulus)Kなども
€
用いられる。
€
外部応力としてσ
11 のみの一軸応力を付加した場合、
€
E ≡ σ11 e11
ν ≡ −e 22 e11 ≡ −e 33 e11
(1.21)
体積弾性率は、静水圧σ
11=σ22=σ33=σH の付加の下で、
€
σ + σ + σ 33
σ
K ≡ 11 22
≡ H
€
3 (e11 + e 22 + e 33 ) e ii
(1.22)
以上の式より、
€
E=
µ ( 3λ + 2µ)
λ +µ
ν=
λ
2 ( λ +µ)
€
E = 2µ (1+ ν)
€
K=
€
(1.23)
3λ + 2µ
E
=
3
3 (1−2 ν)
6
€
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1.4.弾性ひずみエネルギー
力 F
k
伸び x
F
図1.5. 伸びたバネに蓄えられる弾性エネルギー
ES =
1
1
k x2 = F x
2
2
(1.24)
単位体積あたりの弾性ひずみエネルギー(弾性エネルギー密度)E0 は、
E0 =
1
1
C ijkl e ji e kl = σ kl e kl
2
2
E el =
1
1
∫ C ijkl e ji e kl dV = ∫ σ kl e kl dV
2V
2V
(1.25)
一般に応力、ひずみは場所によって異なるので、体積Vの物体に蓄えられる弾性ひずみエネルギー
€
Eel は、
€
€
7
(1.26)
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1.5.降伏条件・・・等方弾性体の降伏現象
金属材料の塑性変形機構は一般にすべり変形であることから、体積ひずみ変化 dεii(=dε11+ dε22
+ dε33 )は、ほとんど無視することができる。塑性仕事増分 dW は、偏差応力成分 σ’ij、圧力 P を
用いて、
dW = σ ij dεij = σ$ij dεij + P dεij
(1.27)
金属材料に対して提唱・使用されている2つの降伏条件
① Tresca の降伏条件:物体内で最大せん断応力が降伏せん断応力(χ)に達すると降伏する。
②€von Mises の降伏条件:偏差応力の二次不変量(J'2)が一定値に達すると降伏する。・・・
Taylor と Quinney の組み合わせ応力実験により妥当性が確認され、塑性流動解析にも有用。
von Mises の条件を、
(
J"2 = − σ"x σ"y − σ"y σ"z − σ"z σ"x + σ 2xy + σ 2yz + σ 2zx
)
(1.28)
と書くと、
より、
€
1%
− σ#xx σ#yy − σ#yy σ#zz − σ#zz σ#xx = ' σ xx −σ yy
6&
(
(
J"2 = σ xx −σ yy
€
= 一定 2
) + (σ yy −σ zz )
2
2
) + (σ yy −σ zz )
2
2
2(
+ (σ zz −σ xx ) *
)
(
+ (σ zz −σ xx ) + 6 σ 2xy + σ 2yz + σ 2zx
(1.29)
)
(1.30) (1.31) となる。 €
いま、単軸引張り(σ
xx = Y、他の成分はゼロ)を考えると、 2
J"2 = 2 Y =const. よって、von Mises の条件は、 2
(σ xx −σ yy ) + (σ yy −σ zz )
€ となる。テンソル表記を用いると、 € $3
'
% σ"ij σ"ij (
&2
)
1
2
2
2
(
)
+ (σ zz −σ xx ) + 6 σ 2xy + σ 2yz + σ 2zx = 2 Y2 = 6 χ 2
(1.32) =Y
と書けるため、左辺を相当応力 σ と定義すると、 €von Mises の条件=「相当応力が引張降伏応力に達すると材料は降伏する」 ということができる。 8
(1.33) 材料科学実験および演習
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1 . 6 . 材 料 試 験 に よ る 応 力 -ひ ず み 曲 線 の 測 定 前節で示したように、応力とひずみは3次のテンソル量である。しかし我々は、行列形式の複雑な
テンソル量を直感的に理解することが難しい。材料の機械的特性を数値として表し、理解するために、
単純な変形様式を用いた材料試験が行われ、応力— ひずみ曲線が得られる。用いられる単純な変形様
式としては、図1.6に示す、「引張」、「圧縮」、「せん断」、「ねじり」などがある。 図1.6 (a)引張、(b)圧縮、(c)せん断、(d)ねじり。 これらの中で、信頼性ある応力— ひずみ関係を得るためにもっとも良く用いられるのが、引張試験
(Tensile Test)である。典型的な引張試験機の構成を図1.7に示す。 図1.7 典型的な引張試験機の構成 9
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1.6.1.引張試験 引張試験片:丸棒状、板状・・・JIS で規定( JIS Z2201 ) 初期標点間距離L0、初期直径D0 の丸棒試験片(初期断面積A0 = π D02 / 4 )の単軸引張試験を
行い、標点間距離がLとなった時点(直径がD)の垂直荷重がPだとすると、 公称応力(Nominal Stress): s≡
公称ひずみ(Nominal Strain): e≡
P
A0 € L −L 0
L 0 真応力(True Stress): € σ≡
P
A 真ひずみ(True Strain): ε ≡ ln
L
D
= 2ln 0
L0
D € (1.34)〜(1.37)より、 € σ = s (1 + e) ε = ln (1 + e) また、 €ひずみ速度(Strain Rate): €
(1.34) (1.35) (1.36) (1.37) (1.38) (1.39) (1.40) (1.41) dε 1 dL
v
ε˙ = =
≅
dt L dt L p
Lp:各時刻における試験片の平行部長さ v:クロスヘッドの移動速度 絞り(Reduction in Area): €
φ≡
A0 − Af
A0 €
10
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公称応力-公称ひずみ曲線 (a) 明瞭な降伏(点降下)現象(Yield Drop; Discontinuous Yielding)のある場合・・・軟鋼など s
M
σB
N:くびれ開始点
x 破断
σyu
σyl
E
P
e
eu
el
ef
図1.8 P: 比例限 E: 弾性限 σyu: 上降伏応力(Upper Yield Stress) σyl: 下降伏応力(Lower Yield Stress) σB: 引張強さ(Tensile Strength ) eu: 均一伸び(Uniform Elongation) el: 局部伸び(Local Elongation) ef: 全伸び(破断伸び;Total Elongation) (b) 明瞭な降伏現象のない場合・・・アルミニウムなど s
σB
x
σ0.2
e
e = 0.2%
図1.9 σ0.2: 0.2%耐力(0.2% Proof Stress; 0.2% Offset Stress ) 11
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ところで、引張試験の途中で除荷を行なうと、図1.10に示すように、弾性定数の傾きに平行に
左斜め下に曲線が推移し、応力ゼロの地点のひずみがその応力での塑性ひずみを表す。つまり、降伏
以降も、材料の変形には、負荷荷重に応じた弾性変形分が含まれることに注意しなければいけない。 図1.10 除荷、再負荷時の挙動 図1.11には、引張試験により得られる公称応力— 公称ひずみ曲線と、真応力— 真ひずみ曲線と
の関係を模式的に示す。 図1.11 公称応力— 公称ひずみ曲線と真応力— 真ひずみ曲線の関係 12
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1.6.2.くびれの発展条件(塑性不安定(Plastic Instability)) 引張試験中の試験片の外形変化を、応力— ひずみ曲線に対応させながら模式的に示したのが、 図1.12である。引張試験においては、いずれ試験片のくびれ(necking)が生じ、破断に至る。 図1.12 引張試験中の試験片の外形変化の模式図 ここで、試験片のくびれが発展していくかどうかの条件を考察してみる。 F
F
A
L
A + dA
σ
L + dL
σ + dσ
図1.13 変形が局所的に起こり、長さLなる領域のみが L+ dL(dL>0)に変形し、断面積もA + dA(d
A<0)に減少したとする。一方、加工硬化(Strain Hardening, Work-Hardening)のために、この
領域をさらに塑性変形させるための応力が σ + dσ(dσ>0)へと増加したとすると、くびれの進
展する条件は、 13
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(σ + dσ ) ( A + dA) ≤ σ A ∴ A dσ + σ dA ≤ 0 体積一定条件(AL = 一定 )および真ひずみの定義より、 €
€ −
dA dL
=
= dε
A
L
よって、くびれの開始条件(塑性不安定条件)は、 (1.42) (1.43) dσ
≤σ
dε
(1.44) € 左辺は加工硬化率(Strain Hardening Rate)である。(注:変形応力(変形抵抗; flow stress )が
ひずみ速度の関数であれば、(1.44)式の表現は異なるものとなる。) €
いずれにせよ、 「加工硬化が大きいほど、くびれは発生しにくく、材料の塑性変形は安定に進行する」 1.6.3.変形応力の実験式 n乗硬化則: σ = K ε n (1.46) σ = K (B + ε) (1.47) Ludwik の式: € € n
σ = Y + K ε (1.45) Swift の式: n
€
14
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1.6.4.圧縮試験 圧縮試験では、治具と試験片の間の摩擦の影響が大なり小なり生じ、材料中の変形は均一ではない ⇨ 潤滑の重要性 図1.9 I :不変形領域( dead cone )、II :主変形領域、III :均一変形領域 s
圧縮
x
引張
e 図1.10 引張試験、圧縮試験により得られる公称応力-公称ひずみ曲線 15