J - PAD による パラダイム・シフト 自治医科大学 医学部 麻酔科学・集中治療医学講座 集中治療医学部門 教授 座長 布宮 伸 先生 筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター 准教授 水戸協同病院 救急・集中治療科 演者 日時 会場 長谷川 隆一 平成 26 年 先生 12 月 5 日(金) 17:00∼18:00 41会議室 アクトシティ浜松 コングレスセンター 4 階 浜松市中区板屋町 111−1 共催:日本蘇生学会第 33 回大会 ホスピーラ・ジャパン株式会社 丸石製薬株式会社 日本蘇生学会第 33 回大会 イブニングセミナ− J-PADによるパラダイム・シフト 日本集中治療医学会 J-PAD 作成委員会 筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター 准教授 水戸協同病院 救急・集中治療科 長谷川 隆一 先生 【本家 PAD ガイドラインと J-PAD ガイドライン】 ■ 本家 PAD ガイドライン 昨年米国の ICU における鎮静のガイドラインがおよそ 10 年ぶりに刷新された。 Clinical practice guidelines for the management of pain, agitation, and delirium in adult patients in the intensive care unit. というタイトルには「sedation(鎮静)」という語は見当たらない。そこには鎮静ありきで はなく患者を中心に考え、疼痛や不穏、せん妄といった問題にいかに適確に対応するかが大切で ある、というメッセージが込められている。 ■ J-PAD の意義 海外のガイドラインは単に和訳しても、われわれにとって必ずしも使いやすいとは限らない。 J-PAD は米国のガイドラインのコピーではなく、本邦の実情を勘案して推奨度を決め、新しい CQ を取り入れたオリジナリティのあるガイドラインとなっている。 【J-PAD のインパクト】 ■ リハビリテーションに注目 J-PAD では、 「痛み(Pain)」 「不穏(Agitation)」 「せん妄(Delirium)」のそれぞれに対し、積極的な 介入と評価、早期の対応を推奨している。特に痛みが出現する前に鎮痛すること pre-emptive analgesia や鎮静に先んじて鎮痛を行うこと analgesia first sedation を強調した。さらに 浅めの鎮 静 を行うこと、せん妄を早期に評価し治療介入を行うこと、これらが重症患者の生命予後の改善 につながるということを key concept として盛り込んだ。一方せん妄予防、長期予後・社会復帰率 を改善するための最も有力な方法として、近年早期離床と運動療法を中心とするリハビリテー ションの効果が示され、J-PAD ではリハビリテーション単独で章を設け重要性を強調した。 ■ 実践するための管理方法 どんなに有用な方策でも実際に運用されなければ効果は上がらない。J-PAD では臨床応用のため のプロトコールの作成・導入と医療チームによる教育やチェックリストなどを用いた啓蒙活動を 推奨した。これが実現すればコメディカルの役割が強調され、それぞれの専門を活かした多面的な 業務形態が常体化し、ICU におけるパラダイム・シフトが進むものと考えられる。
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