ガーネット系酸化物固体電解質 Li6.5La3Zr1.5Ta0.5O12 の 特性に及ぼす Al 添加の影響 (豊橋技術科学大学)○日下部晃司・岡田貴之・東城友都・稲田亮史・櫻井庸司 Influence of Al substitution on the property of garnet-type Li6.5La3Zr1.5Ta0.5O12 solid electrolyte / K. Kusakabe, T. Okada, T. Tojo, R. Inada, Y. Sakurai (Toyohashi University of Technology) / Li7La3Zr2O12 (LLZ) with garnet-type structure has cubic and tetragonal crystal structures and the former has high lithium ion conductivity above 10-4 S cm-1 at room temperature. Substituting Zr4+ in LLZ by higher valence Nb5+ or Ta5+ is effective to stabilize cubic phase and enhance bulk ionic conductivity. In this study, the influence on Al substitution on the properties on Ta substituted LLZ Li6.5La3Zr1.5Ta0.5O12 (LLZTa) was examined. As a result, appropriate amount of Al substitution is found to be effective to enhance the total ionic conductivity of LLZTa. 問合先:E-mail:[email protected] 【諸言】 全固体リチウムイオン電池用固体電解質材料として,ガーネット型結晶構造を有する Li7La3Zr2O12[1](以降 LLZ)が注目されている。LLZ には立方晶[1]と正方晶[2]が存在し,前者において室温下で 10-4 Scm-1 を超える 高いイオン伝導率を発現する。近年,立方晶 LLZ の Zr の一部を Nb[3]や Ta[4,5]で置換することによって,立方 晶構造が安定化し,室温下でのイオン伝導率(粒内および粒界伝導率の総計)が約 10-3 Scm-1 まで向上するこ とが報告されている。後者の Ta 置換 LLZ(Li7-yLa3Zr2-yTayO12,以降 LLZTa)では,Ta 置換量 y = 0.5 付近で イオン伝導率が極大を示すことが報告されているが[4,5],高温焼結の際に坩堝からの Al 流入がある場合の方 が高い特性を示すことが確認されている。本研究では,Al フリー坩堝を用いて Al 添加 LLZTa を合成し,Al 添加量の違いが LLZTa の諸特性に及ぼす影響を考察した。 【実験方法】 Al 添加 LLZTa は固相反応法により合成した。Li2CO3, La(OH)3, ZrO2, Ta2O5, AlOOH を出発原料として,モル 比が Li:La:Zr:Ta:Al = 6.5×1.1:3:1.5:0.5:x(10% Li 過剰,x = 0, 0.1, 0.2)となるよう秤量を行い, 遊星ボールミルにより湿式粉砕・混合を行った。焼成時に坩堝からの Al の混入を防ぐため,Pt-Au5%合金坩 堝を使用し,900℃,6 時間の仮焼を行った。仮焼後の粉末をボールミルにて湿式粉砕し,一軸プレスでペレ ット状に仮形成した後,更に冷間等方向プレス機(CIP)を用いて 300MPa で 3 分間加圧形成した。焼結の際 のペレット周囲からの過剰な Li 揮発を防ぐため,仮焼粉末でペレ ット周囲を覆った上で,Pt-Au5%合金坩堝中で 1150℃,15 時間焼 結し,完成試料を得た。 作製した試料の結晶相同定および微細組織の観察は XRD およ び SEM にて行った。また,ペレット両端面に Au 電極をコートし, 周波数 5Hz~5MHz,環境温度 27℃~102℃の条件において交流イ ンピーダンス測定を行い,イオン伝導率を評価した。 【実験結果・考察】 Al 添加 LLZTa 焼結体の XRD 分析結果を Fig. 1 に示す。Al 添加 量 x = 0~0.2 のすべての試料において立方晶ガーネット由来の回 折ピークのみが観測され,異相に由来するピークは見られなかっ た。また,Al 添加に伴うピークシフトは殆ど見られなかった。Fig. Fig. 1. XRD patterns of LLZTa with different Al contents x. 2 は,27C での Al 添加 LLZTa のリチウムイオン伝導率 σLi(粒内 および粒界伝導率の総計)を Al 添加量 x に対してプロットしたも のである。全試料が 10-4 Scm-1 を超える σLi を示し,x = 0.1 とした試 料において,最も高い σLi =7.3 × 10-4 Scm-1 が得られた。一方,x = 0.2 とした試料の σLi は無添加試料よりも低く,伝導率の向上には適切 な Al 添加量があることが示唆された。 【謝辞】 本研究の一部は,JSPS 科研費 26630111 ならびに中部電気利用基 礎研究振興財団研究助成 R-25209 の支援により実施した。 【参考文献】 [1] R. Murugan, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 46, 7778-7781 (2007). [2] J. Awaka, et al., J. Solid State Chem., 182, 2046-2052 (2009). [3] S. Ohta, et al., J. Power Sources, 196, 3342-3345 (2011). Fig. 2. Ionic conductivity σLi of LLZTa [4] Y. Li, et al., J. Mater. Chem. 22, 15357-15361 (2012). plotted against Al contents x. [5] R. Inada, et al., Solid State Ionics 262, 568-572 (2014).
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