小型パッケージ“MiniSKiiP”製品の系列化 - 富士電機

新製品
紹介
小型パッケージ“MiniSKiiP”製品の系列化
Product Lineup of Miniaturized Package “MiniSKiip”
関野 裕介 * SEKINO, Yusuke
磯崎 誠 * ISOZAKI, Makoto
富 士 電 機 は, コ ン バ ー タ 回 路, イ ン バ ー タ 回 路, ブ
小松 康佑 * KOMATSU, Kosuke
とを実現している。
レーキ回路および温度センサを一体化した PIM(Power
1 特 徴
Integrated Module)において,富士電機の最新の「V シ
リーズ」IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)チッ
〈注 1〉
1 . 1 製品ラインアップ
プを小型パッケージ“MiniSKiiP”に搭載した新製品を開
発し,系列化した。
表 1 に,MiniSKiiP 製品と従来品の ECONOPIM 製品の
インバータ装置の高効率化と小型化を達成するため
ラインアップを示す。従来品の定格電流が 25〜150 A で
に,IGBT モジュールに対しては損失の低減および小型
あるのに対して,新製品の MiniSKiiP 製品は 8〜100 A と
化が強く求められている。これに対して富士電機は,イ
し,新たに 25 A 未満の定格をラインアップに加えて定格
ンバータの高効率化と小型化に貢献する PIM タイプの
電流領域を拡充した。
〈 注 2〉
“ECONOPIM ” 製 品 を 既 に 系 列 化 し て い る。 今 回, 新
また,MiniSKiiP 1 タイプは 8 A と 15 A,MiniSKiiP 2
製品として系列化した MiniSKiiP 製品は,銅ベースレス
タ イ プ は 25 A と 35 A,MiniSKiiP 3 タ イ プ は 50 A と
構造とスプリングコンタクト構造により,従来品である
75 A と 100 A であり,容量に応じてサイズが異なってい
ECONOPIM 製品と比較して設置面積を 36 % 縮小するこ
る。図 1 に MiniSKiiP 1 の内部回路構成を示す。三相のコ
表 1 MiniSKiiP 製品と ECONOPIM 製品のラインアップ
定格電流
パッケージタイプ
MiniSKiiP
(新製品)
15 A
25 A
MiniSKiiP 1
35 A
50 A
MiniSKiiP 2
75 A
100 A
MiniSKiiP 3
質 量
150 A
————
外 観
設置面積
ECONOPIM
(従来品)
8A
————
MiniSKiiP 1
MiniSKiiP 2
MiniSKiiP 3
1,680 mm2
3,068 mm2
(36%削減)
4,838 mm2
(36%削減)
————
35 g
58 g(68%削減)
91 g(70%削減)
————
ECONOPIM 2
————
パッケージタイプ
————
外 観
————
ECONOPIM 2
ECONOPIM 3
設置面積
————
4,837 mm2
7,564 mm2
質 量
————
180 g
300 g
————
ECONOPIM 3
〈注 1〉MiniSKiiP:SEMIKRON Elektronik Gmbh & Co.KG の商標
または登録商標
*
富士電機株式会社電子デバイス事業本部事業統括部モジュール技
〈注 2〉ECONOPIM:Infineon Technologies AG の商標または登録
術部
商標
2014-S08-1
富士電機技報 2014 vol.87 no.4
小型パッケージ“MiniSKiiP”製品の系列化
S
T
N
Gv
Gw
Eu
Ev
Ew
B
U
V
W
Gb
Gx
Gy
Gz
Nb
Ex
定格:1,200 V/100 A
条件:電流:50 A(実効値)
,
力率:0.85,制御率:1
T1
Ey
T2
c
:8 kHz,電圧:600 V,
100
240
Ez
図 1 MiniSKiiP 1 の内部回路構成
ンバータ回路,三相のインバータ回路,ブレーキ回路お
よび温度センサを 1 パッケージに収めているため,1 台で
200
80
160
60
48.4 cm2
120
40
80
20
40
0
三相交流インバータを構成することができ,インバータ
75.6 cm2
ECONOPIM 製品
(従来品)
取付け面積(cm2)
R
Gu
インバータ発生損失(W)
P P1
0
MiniSKiiP 製品
(新製品)
装置の小型化および装置設計の効率化に貢献する。
図 3 インバータの発生損失とモジュールの取付け面積
1 . 2 パッケージの小型化
表 1 に示すように,同一定格電流で比較すると,Mini-
SKiiP 2 は ECONOPIM 2 に対して設置面積で 36 %,質量
よるはんだ付け工数の削減により,インバータ装置の組
立が簡素化できる。
で 68 % 削 減 し,MiniSKiiP 3 は ECONOPIM 3 に 対 し て
1 . 4 インバータの低損失化
設置面積で 36 %,質量で 70 % 削減している。
図 ₃ に,1,200 V/100 A 定 格 の MiniSKiiP 製 品 と
ECONOPIM 製品のインバータ発生損失とモジュールの取
1 . 3 装置取付け工数の削減
図₂ に,MiniSKiiP と ECONOPIM をインバータ装置に
付け面積の比較を示す。MiniSKiiP 製品は,ECONOPIM
取り付けたときの断面図を示す。MiniSKiiP 製品は,はん
製品と同等の低損失でありながら,モジュールの設置面
だを使用しないスプリングコンタクト構造を採用してい
積の低減を実現している。
るので,1 回のねじ締め工程によってモジュール,ヒート
シンク,PCB(Printed Circuit Board)を同時に一括実装
2 背景となる技術
組立を行うことが可能である。一方,ECONOPIM 製品は,
モジュールと PCB を別々にねじでヒートシンクに組付け
MiniSKiiP 製品は,高密度実装,スプリングコンタクト
した後,はんだやプレスフィット構造による圧入で端子
構造の適用および絶縁封止材料の最適化により,小型化
と PCB を接合し実装する。このように,MiniSKiiP 製品
を実現している。
は,ねじ締め工数の削減とスプリングコンタクト構造に
2 . 1 高密度実装
ねじ
抑え用ふた
Mini
SKiiP
図₄ に,MiniSKiiP 製品と ECONOPIM 製品の内部構造
を示す。ECONOPIM 製品は DCB(Direct Copper Bond-
PCB
DCB 基板
放熱用グリス
スプリングコンタクト
ヒートシンク
スプリング端子
アルミニウムワイヤ
チップ
(a)MiniSKiiP
はんだ
端子
端子ケース
ゲル
DCB 基板
PCB
(a)MiniSKiiP 製品(新製品)
ECONOPIM
端子ケース
ねじ
端子
端子ケース
アルミニウムワイヤ
銅ベース
ゲル ワイヤ接合
チップ
放熱用
グリス
DCB 基板
銅ベース
(b)ECONOPIM 製品(従来品)
(b)ECONOPIM
図 2 装置取付け時の断面図
富士電機技報 2014 vol.87 no.4
図 4 内部構造
2014-S08-2
小型パッケージ“MiniSKiiP”製品の系列化
ing)基板と外部接続した端子間をアルミニウムワイヤで
装後の断面図を示す。PCB と MiniSKiiP 製品を同時に締
接合していたため,DCB 基板面積の縮小化に限界があり,
め付けることで生じる応力によりスプリングが圧縮され,
設置面積が大きくなっていた。これに対して MiniSKiiP
PCB と端子間で安定した接合が可能である。
製品は,DCB 基板上に外部接続端子を配置したため,設
置面積を縮小化できる。この結果,大幅な小型化を可能
2 . 3 絶縁封止材料の最適化
ECONOPIM 製 品 は, 絶 縁 耐 圧 を 考 慮 し て 十 分 な 沿
とした。
面距離を確保していたが,MiniSKiiP 製品は小型化によ
2 . 2 スプリングコンタクト構造
る沿面距離の減少により,絶縁耐圧の低下が懸念され
MiniSKiiP 製品には,インバータ装置の組立工程にお
た。そのため,従来採用していた封止材では,絶縁耐圧
けるはんだレス組立を実現するために,スプリングコン
が市場要求を満足できないため,新たにゲルを開発し,
タクト構造の外部接続端子を採用した。図₅ に PCB 実
ECONOPIM 製品と同等以上の絶縁耐圧を持つ高信頼性
パッケージとした。
PCB と端子の接合
PCB
発売時期
2015 年 4 月
締付け圧
DCB 基板
端子ケース
お問い合わせ先
富士電機株式会社電子デバイス事業本部
事業統括部モジュール技術部企画課
端子と DCB 基板の接合
電話(0263)25-2943
図 5 PCB 実装後の断面図
(2014 年 12 月 19 日 Web 公開)
2014-S08-3
富士電機技報 2014 vol.87 no.4
*本誌に記載されている会社名および製品名は,それぞれの会社が所有する
商標または登録商標である場合があります。