景観と安全に配慮した施工

魅せる!現場 ~現場を支える人々編~
な
ち
が わ し り
け ん
た に
が わ に
ご う
え ん て い こ
う
じ
発注者:紀伊山地砂防事務所
の
施工者:株式会社 野平組
滋賀県
兵庫県
ひら ぐみ
http://www.nohiragumi.com
京都府
紀伊半島大水害の要因となった平成23年台風12号とは・・・
大阪府
奈良県
三重県
和歌山地方気象台の報告では8月30日18時から9月4日24時までに
総雨量が那智勝浦町色川で1,093.5ミリを観測し、9月4日早朝には新
宮市で、1時間132.5ミリの猛烈な雨を観測する等、記録的な大雨と
なりました。
和歌山県
その被害は甚大で、和歌山県内では死者が50名を超えており、住宅
の全壊・半壊合せて2,000棟以上、浸水(床上2,500棟・床下3,000
棟以上)の被害がでております。そのうち死者及び住宅の倒壊の半数
が那智勝浦町における被害でした。
那智川地区
ここ那智川地区では、土砂災害緊急対策工事が進められており、当
工事はその那智川の支川となる尻剣谷川にて、地域の方の安住を取り
戻すべく、土砂災害防止となる砂防堰堤の建設を進めております。
工事
着手前
紀伊山地砂防事務所ホームページ
http://www.kkr.mlit.go.jp/kiisanchi/
現在の
ようす
立木伐採後
平成26年4月10日撮影
平成26年6月10日撮影
2号堰堤施工中
平成26年10月10日撮影
技術者に聞いてみました!
・・・
尻剣谷川2号堰堤のちから
☞ 尻剣谷川2号堰堤は、透過型のえん堤で、中央部に鋼製の格子枠
を設けて、流木や巨石等の土石流を捕捉して流出を防止し、水を
通すタイプの構造となっており、土砂災害を予防します。
参考写真(透過型えん堤)
どんな工事に携わり、苦労している点・工夫している点など工事
への思いを実際作業している方々に語っていただきました。
環境に配慮した現地材有効活用による砂防ソイルセメント
工法(INSEM工法)を用いた土石流対策砂防えん堤の築造
☞
ここで、流木や土石流を
ストップ!!
尻剣谷川2号堰堤の両袖には、コンクリートではなく、INSEM(インセム)工法といって、現地の土砂にセメント材
を混ぜて改良し、一体とする構造となっております。表面はSBウォール工法といって、上流側は鋼製壁面(スチール)
下流側はコンクリートブロック壁面(ブロック)となっております。
下流側
上流側
2号堰堤
INSEM材
製造
株式会社 野平組
那智川尻剣谷川2号堰堤工事
現場代理人 兼任 監理技術者
野平 勝人(39歳)
INSEM材製造現場練り
土砂とセメント材を
混合して、現場練り!
袖部(左岸・右岸)
SBウォール工法により、上流側は鋼製壁面、
下流側はコンクリートブロックのスチール&ブロックの
表面となっています。
そして、中身はコンクリートではなく、経済的
なINSEM工法により、土石流にて現地に溜
まった土砂を有効利用しています。土とセメン
トとの改良体として強度を保持し、えん堤に
必要とされる耐摩耗性、耐衝撃性、耐久性
を満足させています。
悲劇を繰返さないことへの使命感
本工事を担当する工事責任者の野平です。
まず、台風12号にて被災された方々にお悔やみ申し上げます。
上流側壁面(鋼製塗装矢板)
土の状態を試験し、
加水量を判断して、
その日の配合を決め
ています!
品質が決まるので
責任重大。
下流側壁面(コンクリートブロック)
地域初となるINSEM工法、SBウォール工法
であった為、勉強会にて工法理解度をUP!
INSEM材は、土砂盛土と同様に、締固めが重要で、
尚且つセメントが固まる前に締固めなければならない。
端部への施工も機械を入替えて、留意して行っています。
INSEM材締固め
勉強会の実施
被災直後の惨状は、目を疑うものばかりでした。紀伊半島大水害
の災害復旧活動から復旧工事へと、ここ3年携わってきましたが、各
地域それぞれの被災者の方の想いや苦しみ、また、自然の脅威とい
うものを痛感させられました。
こんな想いは一度で十分。二度と悲劇を繰返さない、少しでも安
住できる地に戻れるように、この工事がその手助けとなる。そう思うと、
自然と力がわいてきます。
SBウォール、INSEM工法は材料
手配が肝心。
土も品質に影響する為、徹底
して降雨対策しなければなりま
せん。