6 National Instruments 社の計測・制御ソフト ウェアの開発・実行環境「LabVIEW 8.6」 GUI ツールを利用した モータ制御を体験する 古川 亨 最近,パソコンから制御できるモータなどが手ごろな価格で入 の開発・実行環境である「LabVIEW 8.6」の評価版を使い 手できるようになった.そこで本稿では,パソコンを使って ます.一般に LabVIEW は計測ソフトウェア開発に使われ モータを制御するパーカッション装置を製作する.制御ソフト がちですが,シリアル通信を使って外部機器を制御するこ ウェアの開発・実行環境には米国 National Instruments 社 ともできます.今回収録した LabVIEW 8.6 評価版は,30 の「LabVIEW 8.6」評価版を使用する.本製作を通じて,モー 日間,フル機能が使えます. タ制御の基礎が理解できる.今回付属 DVD-ROM に収録した LabVIEW 8.6 評価版は,30 日間,フル機能が使える. 1.ハードウェア構成と動作テスト (編集部) ● 角度の設定を簡単に行えるモータを使用 ちょっとした工作をするとき,手軽にモータを動かせる 今回使用したハードウェアは以下の通りです(写真 2). と便利です.最近ではロボット人気のせいか,パソコンか ¡モータ「DYNAMIXEL AX-12+」 ら制御できるモータなどが手ごろな価格で入手できるよう ¡USB-シリアル変換ケーブル になりました.そこで本稿では,パソコンを使ってモータ ¡モータと USB-シリアル変換ケーブルを接続する専用 を制御するパーカッション装置を作ります(写真 1). 本装置は,パソコン上で「タンタンタタタン」のようなパ ターンを作っておき,モータの先に付いた棒で打楽器をた たきます.開発環境としては,制御・計測用ソフトウェア ケーブル ¡USB ポートのある Windows パソコン 今回はベストテクノロジーが提供するモータ「DYNAMIXEL AX-12+」と専用インターフェースを使います. 写真 2 モータとケーブル 写真 1 製作したパーカッション装置の外観 モータと 100 円で買ってきたネジを,ワッシャとナットで固定している. Keyword 62 上からモータ,専用 ケーブル,USB-シ リアル変換ケーブル. モータ,LabVIEW,パーカッション,シリアル・ポート,DYNAMIXEL AX-12+,Dynamixel Configurator Design Wave Magazine 2009 February 特 無償ツールで 集 設計効率の向上を体験 NFINST1.2.3.0.exe AX-12+ は, 「角度を 300 にせよ」などの命令を受信する と,AX-12+ 自身が内部のエンコーダを使って指定した角 度に回転するモータです.従ってパソコン側で細かい制御 次に Dynamixel Configurator を使って,以下の手順で 構成とテストをします. ロジックを組まずに,角度指定さえすればよいという便利 1.COM ポートを選択して, 「Port Open」をクリック. なものです.本稿では使用していませんが,最大トルクや 2. [Auto Update]ボタンを押しこんだ状態にする. 動作可能な最大温度なども指定できます.また,現在位置 3. [Scan Start]ボタンをクリックして,接続されてい るモータの情報を取得. や温度を取得したり,複数のモータを数珠つなぎにしたり 1 することも可能です.制御には 1 線の双方向シリアル通信 4.画面右側の ID 欄に,「0」を入力. が採用されています. 5.画面左の丸いコントロールをドラッグして回転させ, モータの回転を確認. AX-12+ には3 ピンのポートが2 個付いています.ポート の一つに専用ケーブルをつなぎ,USB-シリアル変換ケーブ 6.テストが終わったら[Port Close]ボタンをクリック. ルを経由して,パソコンと接続します.もう一つのポート 7.Dynamixel Configurator を閉じる. 3 の,1 ピンのグラウンド(GND),2 ピンの電源(VDD)を 9V の電池につなぎました.もちろんほかの電源があればつな 2.LabVIEW でモータを動かす いでも問題ありません(図 1). 今回使用した部品のうちパソコン以外はベストテクノロ ジーのオンライン・ストアなどで購入できます. 4 ● LabVIEW をインストール 本誌付属の DVD-ROM に,「LabVIEW 8.6」評価版が収 録されています.LabVIEW フォルダ内の setup.exe を実 ● モータの設定ツールをインストールして動作確認 AX-12+ を使うには,デバイス・ドライバと「Dynamixel 行し,画面の指示に従ってインストールします.シリアル 番号の入力が求められたら,シリアル番号は入力せずに, Configurator」と呼ばれる専用設定ツールが必要です(図 評価版としてインストールする項目を選択します.デバイ 2).デバイス・ドライバは以下の Web ページからダウン ス・ドライバをインストールするか,というダイアログが ロードできます. 出てきたら[キャンセル]を選択してください. http://www.ftdichip.com/Drivers/CDM/CDM%202 この記事ではシリアル通信を扱うので,専用の API を使 います.NI-VISA フォルダ内の setup.exe を実行してイン .04.06%20WHQL%20Certified.zip インストールすると,Windows はUSB-シリアル変換ケー ストールしておきます. ブルを COM ポートとして認識してくれます.Dynamixel Configurator はモータの簡単なテストや設定を行うもので す.モータの ID 番号の設定やテストに必要なのでインス ● LabVIEW を使ってモータ制御プログラミング 送信データを作る LabVIEW でモータを動かすプログラ トールしておいてください. http://web.besttechnology.co.jp/download/DXCO AX-12+ 専用ケーブル パソコン GND DATA GND VDD 図1 USB-シリアル 変換ケーブル パソコンとモータの接続 モータAX-12+ に専用ケーブルと,電源を接続する.専用ケーブルは,USBシリアル変換ケーブルを経由して,パソコンの USB ポートに接続する. 2 図2 Dynamixel Configurator の画面例 モータのパラメータの取得や設定ができる専用設定ソフトウェア.ここで ID を設定しておく必要がある. Design Wave Magazine 2009 February 63 5 6 7
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