目的 概要 - Autodesk

目的
この章では、以下の事柄について学びます。
1. 画層/画層グループのコントロール
2. 画層グループの表示
3. 画層グループに関するコマンド
概要
この章では、AutoCAD Mechanical で提供される画層システムと画層グループの機能について学習
します。
AutoCAD Mechanical では従来の画層機能を拡張し、階層化を行なっています。たとえば、部品ご
とに画層グループを作成し、画層グループ内で外形線や中心線といった画層分けが行なえます。こ
れにより、オブジェクトの描き分けがより細密に行なえます。
第3章
画層グループ
1.画層グループの管理
AutoCAD Mechanical 2006 の画層機能は、独自の画層システムを AutoCAD の基本画層機能に統合、拡
張させたものです。この機能により、AutoCAD Mechanical のコマンドを使用して作成されたオブジェ
クトは適切な画層に自動的に配置されます。例えば、
「中心線」
(AMCENTLINE)コマンドを使用して
作成されたオブジェクトは、現在画層に関係なく自動的に AM_7 画層に配置されます。
つまり、AutoCAD が、画層の定義および管理を完全にユーザにゆだねているのに対し、AutoCAD
Mechanical では、あらかじめ独自の画層を定義し、独自の画層コントロール機能で管理する仕組みと
なっています。
また、AutoCAD Mechanical の画層機能の 1 つとして画層グループという機能があります。画層グルー
プは、図面内の関連するオブジェクト群を 1 つのまとまりとして取り扱う上で便利な機能です。例え
ば、幾つもの部品で構成される組み立て図を作成する場合、各部品をそれぞれ個別の画層グループに
配置することで(画層グループはいくつも作成することができます)、画層グループ単位での表示/非
表示やロック/ロック解除のコントロールを行なえるため、作図過程での作業の煩雑さを解消できま
す。
■画層/画層グループコントロール AMLAYER
■操作手順の概要:画層/画層グループ管理
「画層/画層グループコントロール」コマンドを実行します。
ツールバー:
(画層/画層グループ管理)「AM:メイン」「AM:画層機能」
メニュー:
「補助」 → 「画層/画層グループ」 → 「画層/画層グループ管理」
コマンド:
AMLAYER
1. 「画層管理」ダイアログボックスが表示されます。
2. ダイアログボックスで必要な画層および画層グループの機能にアクセスします。
■「画層管理」ダイアログボックスのオプション
画層管理タブ
3-2
1.画層グループの管理
■
表示:画層リストエリアに表示する画層を選択するためのフィルタリング機能です。つまり、
ここで選択されたカテゴリの画層タイプのみが画層リストエリアにリスト表示されます。
■
画層グループ変更:操作対象とする画層グループを選択します。
■
画層リストエリア:使用可能な定義画層がリスト表示されます。
■
作成:画層リストエリアにリストされている定義画層から、1 つまたは複数の画層を選択し、そ
れらの画層の実体を図面内に作成します。
このオプションは、ユーザ独自の新しい画層を作成するための機能ではなく、あくまで、定
義画層の実体を作成するための機能です。
■
削除:画層の実体を図面から削除します。
AM_0 画層、現在層、および、オブジェクトや外部参照によって使用中の画層を削除するこ
とはできません。
■
現在:現在画層を設定します。
■
オブジェクト選択 <:図面内のオブジェクトを選択して画層を選択します。このオプションは、
図面内のオブジェクトがどの画層に配置されているかを確認するときに便利です。
このオプションは、現在の画層グループに関係なく動作します。つまり、選択されたオブジ
ェクトがどの画層グループに属していても、そのオブジェクトの画層が選択されます。
■
選択セット:リストから選択した画層に配置されているオブジェクトを選択セットに入れます。
選択セットに入れたオブジェクトに別のコマンドからアクセスするには P オプションを使用しま
す。
■
移動 <:オブジェクトをある画層から別の画層に移動します。最初に、移動先の画層をリスト
から選択し、
「移動」ボタンを押して、移動したいオブジェクトを図面内から選択すると、最初に
選択した画層にオブジェクトが移動します。
■
ハイライト表示:リストから選択した画層に配置されているオブジェクトを図面内でハイライ
ト表示します。
3-3
第3章
画層グループ
画層グループコントロールタブ
■
表示:画層リストエリアに表示する画層グループを選択するためのフィルタリング機能です。
選択された画層カテゴリに属する画層とアクティブな画層グループが画層リストエリアにリスト
表示されます。
■
作成:新しい画層グループを作成します。新しく作成された画層グループは、自動的に現在画
層グループとなります。
■
削除:選択されている画層グループを削除します。
基本画層グループ、現在画層グループ、および、オブジェクトや外部参照によって使用中の
画層グループを削除することはできません。
■
現在:現在画層グループを設定します。現在層は、選択された画層グループの AM_0 画層とな
ります。
■
オブジェクト選択 <:図面内のオブジェクトを選択して画層グループを選択します。このオプ
ションは、図面内のオブジェクトがどの画層グループに配置されているかを確認するときに便利
です。
■
選択セット:リストから選択した画層グループに配置されているオブジェクトを選択セットに
入れます。選択セットに入れたオブジェクトに別のコマンドからアクセスするには P オプション
を使用します。
■
移動 <:オブジェクトをある画層グループから別の画層グループに移動します。最初に、移動
先の画層グループをリストから選択し、
「移動」ボタンを押して、移動したいオブジェクトを図面
内から選択すると、最初に選択した画層グループにオブジェクトが移動されます。
■
ハイライト表示:リストから選択した画層グループに配置されているオブジェクトを図面内で
ハイライト表示します。
3-4
1.画層グループの管理
■画層グループ表示設定 AMLAYVISENH
「画層グループ表示設定」コマンドを使用して、現在の作業セッションの画層グループの表示状態を
コントロールできます。組み立て図などでの煩雑な作業において、図面中の視認性や操作性を向上し
ます。
■操作手順の概要:画層グループ表示設定
ツールバー:
(画層グループ表示設定)「AM:メイン」「AM:画層機能」
メニュー:
「補助」 → 「画層/画層グループ」 → 「画層グループ表示設定」
コマンド:
AMLAYVISENH
1. 「画層グループ表示設定」ダイアログボックスが表示されます。
2. ダイアログボックスで必要な設定にアクセスします。
■「画層グループ表示設定」ダイアログボックスのオプション
■
モード:画層グループの表示モードを選択するためのオプションがリスト表示されます。
■
なし:画層グループの表示設定を行いません。
■
非アクティブなすべての画層グループの色を設定:現在画層グループ以外のすべ
ての画層グループに属するオブジェクトを、
「色」オプションで設定している色で
表示します。
■
ロックされたすべての画層グループの色を設定:ロックされた画層グループに属
するすべてのオブジェクトを、「色」オプションで設定している色で表示します。
■
非アクティブなすべての画層グループをロック:現在画層グループ以外のすべて
の画層グループをロックします。
■
非アクティブなすべての画層グループをロックして色を設定:現在画層グループ
以外のすべての画層グループをロックし、さらにそれらの画層グループに属する
すべてのオブジェクトの色を、「色」オプションで設定している色で表示します。
■
非アクティブな画層グループをフリーズ:現在画層グループ以外のすべての画層
グループをフリーズします。
■
色:画層グループが、非アクティブあるいはロック/フリーズされたときのそれらの画層に属
するオブジェクトの色を設定します。
3-5
第3章
画層グループ
■画層グループ用特殊コマンド
■すべての画層を既定表示に戻す AMLAYRESET
現在の環境設定に設定されている画層設定に変更します。
メニュー:
「補助」 → 「画層/画層グループ」 → 「すべての画層を既定表示に戻す」
コマンド:
AMLAYRESET
■他の画層へ移動 AMLAYMOVE
オブジェクトを他の画層へ移動します。
ツールバー:
(他の画層へ移動)「AM:メイン」「AM:画層機能」
メニュー:
「修正」 → 「オブジェクトプロパティ管理」 → 「他の画層へ移動」
コマンド:
AMLAYMOVE
■他の画層グループへ移動 AMLGMOVE
オブジェクトを他の画層グループへ移動します。
ツールバー:
(他のグループへ移動)「AM:メイン」「AM:画層機能」
メニュー:
「修正」 → 「オブジェクトプロパティ管理」 → 「他の画層グループへ移動」
コマンド:
AMLGMOVE
■パーツ画層へ移動 AMLAYMOVEPL
作業画層上のオブジェクトを(同一画層グループ内の)標準部品画層へ移動します。このコマンドは、
例えば、独自に作成した部品を標準部品と同等に取り扱いたい場合に使用します。
ツールバー:
(パーツ画層へ移動)「AM:画層機能」
メニュー:
「修正」 → 「オブジェクトプロパティ管理」 → 「パーツ画層へ移動」
コマンド:AMLAYMOVEPL
■作業画層へ移動 AMLAYMOVEWL
標準部品画層上のオブジェクトを(同一画層グループ内の)作業画層へ移動します。このコマンドは、
例えば、
(AM_*N 画層に配置されている)標準部品を通常のオブジェクトと同等に取り扱いたい場合
に使用します。
ツールバー:
3-6
(作業画層へ移動)「AM:画層機能」
メニュー:
「修正」 → 「オブジェクトプロパティ管理」 → 「作業画層へ移動」
コマンド:
AMLAYMOVEWL
1.画層グループの管理
■画層グループを複写 AMCOPYLG
ある画層グループのオブジェクトを、新規に作成される画層グループへ複写できます。パーツを丸ご
と抜き出すだけでなく、必要な部分のみを複写することが可能です。
■操作手順の概要:画層グループを複写
「画層/画層グループコントロール」コマンドを実行します。
ツールバー:
1.
2.
3.
(画層グループをコピー)「AM:修正」
メニュー:
「修正」 → 「画層グループを複写」
コマンド:
AMCOPYLG
複写する既存の画層グループ名を入力するか、または[Enter]キーを押してオブジェクトを選択します。
新しく作成する画層グループ名を入力します。
基点、目的点を指示するか、移動距離を入力して複写を行ないます。
基本画層グループを複写することはできません。
■Design Center の使用
Design Center を使用して、画層グループとその内容を別の図面へ移動できます。これにより、データ
の再利用が簡単に行なえます。画層グループの表示、画層グループ間のデータコピー、別の図面より
画層グループの挿入、挿入時に名前を変更できます。また、単一の画層グループを、独立した図面フ
ァイルとして保存できます。
■
現在値にする:選択された画層グループを現在の画層グループに設定します。
■
選択:選択された画層グループ内のオブジェクトを選択状態にします。
■
フリーズ:選択された画層グループをフリーズします。
■
ロック:選択された画層グループをロックします。
■
注釈:プレビュー表示内での注釈オブジェクトの表示/非表示を切り替えます。
■
名前を付けて保存:選択された画層グループ内のオブジェクトを DWG ファイルとして書き出
します。
■
画層グループ表示設定:「画層グループ表示設定」ダイアログボックスを表示します。
3-7
第3章
画層グループ
1・画層/画層グループの管理
この演習では、4 つの部品で構成される組み立て図を使用します。各部品は、それぞれ個別の画層グ
ループに配置されています。画層および画層グループの管理方法と画層機能の操作方法を学習します。
■オブジェクトを他の画層へ移動する
1.
ch03-1.dwg を開きます。
この図面は、昇降式台車の組み立て図です。
2.
図面枠を非表示にします。
ツールバー:
(表題欄 表示/非表示)「AM:メイン」「AM:画層機能」
メニュー:
「補助」 → 「画層/画層グループ」 → 「表題欄画層 表示/非表示」
コマンド:
AMLAYTIBLO
大きいサイズの図面枠や、複雑な表題欄を使用している場合、これらの図形を非表示にする
ことによって、再作図のレスポンスを向上させることができます。
3.
3-8
マウスホイールをスクロールして、次図の P1 の部分を拡大表示します。
1.画層グループの管理
P1
4. 「他の画層へ移動」コマンドを実行します。ここでは、キャスターの一部を破線表示にするために、AM_3 画
層に移動します。
ツールバー:
(他の画層へ移動)「AM:メイン」「AM:画層機能」
メニュー:
「修正」 → 「オブジェクトプロパティ管理」 → 「他の画層へ移動」
コマンド:AMLAYMOVE
下図のハイライト表示されている部分のオブジェクトを選択し、[Enter]キーを押します。
5.
以下のように、AM:メインツールバーから、移動先の画層として「隠線」画層を選択します。
「オブジェクトを使用して画層を指定, 画層フィールドまたはキー入力 ([Enter] =ダイアロ
グ): 」のプロンプトに対しては、移動先の画層を選択する方法が何通りかあります。今回の
演習のようにアイコンをクリックする方法の他に、画層名を直接キー入力する方法、
[Enter]
キーを押し、
「画層管理」ダイアログボックスを表示させる方法、さらに、移動先の画層に属
するオブジェクトを図面上からピックする方法があります。
3-9
第3章
画層グループ
キャスターの一部が破線表示に変わります。
■画層管理における選択セットの使用方法
ここでは、
「画層管理」ダイアログボックスの「選択セット」オプションの具体的な使用方法を学びま
す。また、この手順では、「画層/画層グループコントロール」コマンドを割り込みコマンドとして使
用します。
6.
まず、標準部品を非表示にします。
ツールバー:
(標準部品 表示/非表示)「AM:メイン」「AM:画層機能」
メニュー:
「補助」 → 「画層/画層グループ」 → 「標準部品 表示/非表示」
コマンド:
AMLAYPARTO
2 つのボルトが非表示となります。
7.
マウスホイールをダブルクリックし、図面全体を表示させます。
「パワーイレース」コマンドを実行します。
ツールバー:
3-10
「AM:メイン」
メニュー:
「修正」 → 「パワーコマンド」 → 「パワーイレース」
コマンド:
AMPOWERERASE
1.画層グループの管理
8.
続いて、「画層/画層グループコントロール」コマンドを実行します。
(画層/画層グループ管理)「AM:メイン」「AM:画層機能」
ツールバー:
メニュー:
「補助」 → 「画層/画層グループ」 → 「画層/画層グループ管理」
コマンド:
AMLAYER
「画層管理」ダイアログボックスが表示されます。
9. 「オブジェクト選択 <」ボタンを押します。
10. 図面中から、任意の寸法を 1 つ選択して[Enter]キーを押します。
「画層管理」ダイアログボックスに戻ります。このとき、AM_5 画層が選択されていることに注目してくだ
さい。
「ハイライト表示」ボタンを押します。寸法を含む AM_5 画層に属するすべてのオブジェクトがハイライト
表示されます。
この図面では、AM_5 画層に属するオブジェクトは寸法だけです。
11.[Enter]キーを押し、「画層管理」ダイアログボックスに戻ります。
12.「選択セット」ボタンを押します。
3-11
第3章
画層グループ
13. 以下のダイアログボックスが表示され、AM_5 画層に属するすべての寸法が選択セットに含められます。
「OK」でダイアログボックスを閉じます。
14.「OK」ボタンを押し、「画層管理」ダイアログボックスを閉じます。
15. そのまま[Enter]キーを押します。選択セットに入れられたすべての寸法が削除されます。
■画層グループ表示設定を使用する
ここでは、より複雑な図面を作成するときに役立つコマンドを学習します。「画層グループ表示設定」
コマンドには、現在画層グループとそれ以外の画層グループを識別するための色分けや、現在画層グ
ループ以外の全ての画層グループをロックする機能があります。
16.「画層グループ表示設定」コマンドを実行します。
ツールバー:
(画層グループ表示設定)「AM:メイン」「AM:画層機能」
メニュー:
「補助」 → 「画層/画層グループ」 → 「画層グループ表示設定」
コマンド:
AMLAYVISENH
17.「画層グループ表示設定」ダイアログボックスにおいて、下図の通りに設定し「OK」を押します。
現在画層グループ以外の全ての画層グループに属するオブジェクトの色が赤色に変わります。
3-12
1.画層グループの管理
■画層グループコントロールを使用する
画層グループコントロールを使用して、画層グループ単位でオブジェクトを取り扱う方法を学びます。
18.「画層/画層グループコントロール」を実行します。
ツールバー:
(画層/画層グループ管理)「AM:メイン」「AM:画層機能」
メニュー:
「補助」 → 「画層/画層グループ」 → 「画層/画層グループ管理」
コマンド:
AMLAYER
19.「画層管理」ダイアログボックスが表示されます。「画層グループコントロール」タブを選択します。
20. リスト内の WHEELS をダブルクリックします。WHEELS 画層グループが現在画層グループとなります。
21.「OK」ボタンを押し、「画層管理」ダイアログボックスを閉じます。1 個所のキャスターのみが、赤色で表示
されることから、この部分が、現在画層グループ WHEELS に属していないことが確認できます。
22. マウスホイールを使用して、赤色表示されているキャスター部分を拡大表示します。
23.「他の画層グループへ移動」コマンドを使用実行します。
ツールバー:
(他のグループへ移動)「AM:メイン」「AM:画層機能」
メニュー:
「修正」 → 「オブジェクトプロパティ管理」 → 「他の画層グループへ移動」
コマンド:AMLGMOVE
24.
次図のハイライトされているオブジェクトを選択し、[Enter]キーを押します。
3-13
第3章
画層グループ
25. 再度[Enter]キーを押すと、「画層管理」ダイアログボックスが表示されます。ここで、WHEELS 画層グル
ープを選択し、「OK」を押します。
選択されたオブジェクトが、WHEELS 画層グループに移動されます。
以上で演習は終了です。
3-14