会 議 録 - 所沢市

様式第 1 号
会
議
録
会 議 の 名 称 所沢市工業活性化施策策定委員会
(第2回)
開
催
日
時 平成24年8月24日(金)
13:30~15:45
開
催
場
所 所沢市役所高層棟6階 602 会議室
出 席 者 の 氏 名 別紙1のとおり
欠 席 者 の 氏 名 なし
説明者の職・氏名 シンクタンクみらい
水野
紀秀
シンクタンクみらい
福室
由利佳
(1)短期的に取り組む施策について
議
題
(中・長期的な取組への展開も視野に)
(2)工業的土地利用の可能性について
(3)その他
資料1:所沢市及び周辺・類似団体の工業活性化施策の実施状況
資料2:今後必要と考えられる所沢市の工業活性化施策と展開
会
議
資
料
プログラム(案)
参考資料1:所沢市及び周辺都市・類似都市、国、埼玉県の支援
施策一覧
参考資料2:工業活性化施策の効果的な実行体制に関する主な事例
参考資料3:製造業事業所の企業間連携支援のためのポータル
サイトに関する主な事例
産業経済部長
守谷 照雄
産業振興担当参事
担 当 部 課 名 産業振興課
兼 産業振興課長
村松 由朗
主幹 畑中 武
産業振興課
主任 村田 貴紀
産業経済部
産業振興課
電話 04-2998-9157
様式第2号
発言者
審議の内容(審議経過・決定事項等)
(1)短期的に取り組む施策について
(中・長期的な取組への展開も視野に)
資料について事務局より説明した後、意見交換を行った。
①資料に関する質疑応答
高橋委員
昨年度行った事業所アンケートの中で、最も求められていた支援施
策は何か。具体的にどういう内容の支援が求められていたのか。
事務局
第一位が「運転資金への融資」(26.3%)、第二位が「設備投資に関
する支援」(20.2%)であり、その他販路開拓や人材確保などへの支
援に対するニーズも高かった。またこうしたソフト施策と併せて、
市内の道路整備に対する要望も高かった。
柏木委員
「設備投資への支援」とは具体的にどのような内容の支援を求めて
いるのか。どの程度の規模の事業所からそういった声が多く聞かれ
たのか。
事務局
それぞれの選択肢の具体的な内容までは昨年度調査では把握して
いないが、従業員規模が 10~20 人の事業所が最も「設備投資への
支援」のニーズが高かった(39 社、39.4%)。
②設備投資に対する市内事業所のニーズの実態について
三上委員
近隣商工会議所と所沢商工会議所役員との会議の中でも、生産設備
に対する支援やエコに関連した設備に対する要望は多く聞かれて
いる。またリーマンショックにより受けたダメージがまだ癒えてい
ないため、運転資金に対するニーズも依然として高い。三ヶ島工業
団地内の事業所は市内でも特に活発な生産活動をしているため、設
備投資への支援や運転資金に対するニーズは高い。特に7社中4社
は移転も含めて事業所の拡張意向を持っているため、事業用地の確
保のための資金など、次のステップに向けた設備資金に対する支援
への要望は高い。
江田委員長
設備投資への支援ニーズが高い背景には、受注するものが変化して
きた中で既存の設備では対応できなくなりつつあるという事情も
あるのか。
三上委員
そういう背景もある。当社も今までは大量生産でやってきたが、4
年前位から多品種少量生産に切り替えてきている。そうした中では
どうしても今までの設備では対応できないものが出てくるため、新
たな設備が必要となる。
島田委員
松郷工業団地では月に1回例会を開くが、どの事業所も厳しい経営
状況にあるため、生産設備に対する要望はほとんど聞かれない。む
しろ後継者不足の方が深刻であり、後継者がいる事業所は半分くら
いしかない。ただ、建物の老朽化に対する補強や機械の老朽化に対
する更新への支援ニーズは若干ある。景気が悪いので、仕事がある
事業所は設備に対するニーズもあり、銀行と一緒になってそれぞれ
で取り組んでいるところは数社ある。
柏木委員
「設備投資への支援」とは具体的にはどういう要望なのか。高度化
支援の補助事業などもあるが、それよりも利子補給をしてほしいと
いうことなのか。
三上委員
色々なケースがあるだろう。当社のように経済産業省の補助を受け
て取り組んでいるところもあるが、企業規模によってはそこまでの
取組はできず、利子補給してほしいというところもある。
③市の産業支援組織のあり方について
江田委員長
今後市が短期的に取り組むべき施策を考える際には、市の今の組織
体制でできるのか、それとも新しい組織が必要か、という点も併せ
て考える必要がある。市の産業支援組織はどうあるべきか意見交換
したい。
島田委員
市では今年から新たに産業振興課を創設して体制を強化してはい
るが、行政の扱う事業は多岐にわたるため、市が支援して、商工会
議所の中に産業振興の情報拠点基地を設けても良いのではないか。
事業用地に関する不動産業者からの問い合わせも多いが、そういう
問合せへの対応窓口を一本化することもできる。企業対応の窓口の
一本化という点でも、商工会議所内に拠点を設けるのがよいと思
う。
三上委員
市役所の中や商工会議所の中に組織を作るのではなく、別の民間の
組織として窓口を設ける必要があると思う。行政は人事異動がある
ため、人が替わったことでこれまでの取組が白紙に戻る、はしごを
外されるということを何度も経験してきた。着実に取組を進めるた
めには、民間団体として実行部隊の窓口を作る必要があるのではな
いか。
江田委員長
商工会議所は業務が多岐のため、ややもすると機動性に欠ける面が
あり、また行政は行政で職員の人事異動が必ずネックになる。両者
の特性を組み合わせて、機動的でスピーディーに動ける専担組織を
作っていけると良いのではないか。
高橋委員
海外への販路拡大という観点からみると、所沢市内の企業はまとま
りが弱いという印象を受ける。例えば荒川区では「荒川区モノづく
りクラスター(MACC=マック)」を構築し、民間のコーディネーター
を中心に置いて区内のものづくり企業グループの研究会を開いて
いる。その中には海外ビジネスの展開を研究しているグループもあ
る。この事例にみられるように、企業をまとめていくにはコーディ
ネーターが必要であり、商工会議所でも市役所内でもいいので、専
門のコーディネーターを置いて、そのコーディネーターを中心に企
業支援に専念する独立した体制を作ることが必要ではないか。
④短期的に取り組むべき支援施策について
加藤委員
資料にあるように、各地で様々な幅広い施策が展開されているが、
全ての施策を実施していくのは難しい。また市でなくても、県や商
工会議所で行っている支援もある。このため、県や商工会議所との
連携を十分図り、市として何ができるかを検討することが重要では
ないか。またその際も、他の自治体でやっていて所沢市ではやって
いないから、という視点で考えるのではなく、市内の事業所のニー
ズに応える施策から優先的に実施するというようにメリハリをつ
け限られた予算を有効に活用することが重要であろう。
設備投資への支援など資金面での支援ニーズが高いのは当然であ
るが、市はきめ細かい支援策として何ができるのか、少し視点を変
えて検討する必要もあるのではないか。例えば、これまでの設備投
資への支援施策の多くは「融資」であるが、大田区のように返還不
要の助成金という形で設備投資を支援する例も出始めている。この
ように、積極的な事業展開を図る意欲のある企業については市も積
極的に応援するという姿勢を示すことが非常に重要であり、それに
よって、移転を考えている事業所も市内で操業を続けていこうと思
い直すきっかけになるのではないか。
柏木委員
色々と総花的に考えるのではなく、行政がやることと各企業がやる
ことを仕分けした方がいい。個人的には、あまり行政は色々と手を
出しすぎない方がいいのではないかと思っている。
産業活性化を図るためにまず短期的にできることとしては、企業経
営者同士が刺激し合う場を作ることではないか。例えば、狭山市の
商工会議所では、7年前から、意欲ある経営者に商工会議所が声を
かけて集まる場を作っている。参加企業からは会費を取っており、
今では十数社が毎月1回集まって意見交換をしている。このよう
に、市がやるのか商工会議所がやるのかは別にして、意欲的な経営
者を集めて議論する場を作るということは、限られた資源をどう集
めるかという観点からみても、また経営者が新しい知識を得るとい
う観点から見ても非常に重要である。経営者が集まる場を作れば、
企業同士が刺激し合って各企業がそれぞれ自分たちで考え動き出
すし、また企業間のマッチングも進むであろう。
その次の段階、すなわち中期的に取り組む施策としては、そのよう
な経営者同士の議論の中から出てきた具体的な資金ニーズに対し
て支援していくという支援モデルを構築するとよいのではないか。
実現可能性がないまま単に資金援助をするという政策ではなく、や
る気のあるところ、実現可能性のある取組に支援していくことが重
要である。
江田委員長
経営者同士が刺激し合うということはとても重要である。さいたま
市でも、やる気のある経営者をどう支援していくかという課題に対
処するには商工会議所よりももっと小回りの利く組織が必要と考
え、産業振興ビジョンの実行部隊としてさいたま市産業創造財団を
作った。また(財)秩父地域地場産業振興センターも、市からの補
助金に頼るのではなく、170 社余りの会員企業からの会費を中心に
運営しており、意欲ある経営者が中心となって土日も集まって意見
交換をしたり様々な活動を展開している。
意欲的な経営者がいる企業は元気で活発である。そうした企業同士
が刺激し合う環境を作ることは重要である。
島田委員
所沢市は大企業が立地しておらず、周辺市にある大企業の下請けと
して町工場ができてきた経緯がある。そのような中小事業所の多い
所沢市では、経営者同士の交流を促して元気を出していくことは重
要である。元気が出てくれば、色々なアイデアが生まれ、次の事業
展開の話も自然と出てくるであろう。今後も工場の集約が必要であ
ると思う。
加藤委員
細かい支援メニューの中身を詰めるのが先ではなく、まず市として
産業をどうしていきたいのかというビジョン・方向性を明らかにす
る方が先決ではないか。
事務局
おっしゃる通りだが、これまで住宅の開発中心に発展してきた本市
がこれからどのように工業振興を図っていくかを考える際、様々な
資源や立地環境から見て何に着目していけば良いか、本市が力を入
れていくべき産業分野は何かなどについて専門の方々の意見を踏
まえて検討したいと考え、当委員会を立ち上げた。ぜひ専門的観点
からご意見・ご指摘をいただきたい。
三上委員
第5次総合計画では、工業振興の指標として、毎年製造品出荷額を
50 億円ずつアップさせていくという目標が示されている。この 50
億円は何を根拠に示したものか。
事務局
細かく積み上げて出てきた数字ではなく、そのくらい力を入れて産
業振興を図っていきたいという意気込みを目標値として示したも
のと捉えていただきたい。
三上委員
であれば、どういった分野の産業に力を入れていくのかという検討
も、今後の振興施策を検討する場合には同時並行で必要ではない
か。例えば医療機器の分野の伸びが期待できるからその分野に力を
入れるのか、あるいは航空発祥の地として航空機関連産業を推して
いくのか、といった検討も必要であろう。
加藤委員
またハード面でどういった整備計画を持っているかも重要である。
ハード整備は時間がかかる問題であり、完成までには解決すべき課
題が多くある。ハード面での長期ビジョンを作った上で、ゴールか
ら遡って必要なソフト対策を検討し、課題をひとつずつクリアして
いくという考え方も必要ではないか。
高橋委員
海外への販路開拓を視野に入れるなら、英語のサイトを作るべきで
ある。ただし、個々の中小企業が自力で英語のサイトを作るのは能
力的にも難しいため、行政がポータルサイトを立ち上げる際に英語
のサイトも併せて整備して総合的に紹介していくという支援もあ
り得るのではないか。
また、海外の見本市に出展することもビジネスチャンスの拡大につ
ながるが、一回の参加にやはり 100 万円近くは必要となる。見本市
への出展経費の補助は現状でも市として行っているが、海外見本市
は対象に含まれていないようである。JETRO でも様々な支援制度が
あるため、それらも活用しながら市としても経費を一部補助するな
ど、企業の海外進出を支援していくことも重要ではないか。
加藤委員
昨年度のアンケートで海外進出意向を示した企業は 20 社(3%)あり、
これは決して少ない数字ではないと思う。JETRO や県の支援制度も
あるため、そうした様々な機関の支援につないでいくことが市の重
要な役割になるのではないか。
江田委員長
確かに様々な機関の制度を紹介する窓口を市に作ることくらいな
ら、すぐにでも可能ではないか。その意味でも実行部隊を組織する
ことが市として第一に取り組むべきことといえるかもしれない。
三上委員
どんな企業でも支援するということではなく、やはりやる気のある
企業に対して選択的に支援してほしい。三ヶ島工業団地はわずか7
社で市の製造品出荷額の8%を稼いでいる。頑張っているところ、
伸ばすべきところに選択と集中で支援をしてほしい。
江田委員長
「やる気のあるところに支援する」という姿勢は重要である。民間
活力の活用も含めて検討すべき視点であろう。
(2)工業的土地利用の可能性について
事務局より、市内の工業団地の立地環境や土地利用の実態等につ
いて説明した後、意見交換を行った。
①三ヶ島工業団地周辺の整備の方向性について
江田委員長
三ヶ島工業団地は市街化調整区域内にあるが、工業団地内の企業の
安定的な操業環境の整備という観点から見れば工業的土地利用が
望ましいと考えられる。三ヶ島工業団地周辺について、工業専用地
域への用途変更は市として視野に入れているのか。
事務局
市の都市計画マスタープランについては来年の 12 月議会で審議・
改訂を行うスケジュールで見直しに入っている。
三上委員
三ヶ島工業団地内の企業からも用地拡張のニーズは高い。雇用の創
出にもつながるのでぜひ積極的に取り組んでほしい。
柏木委員
新たに大企業を誘致するための工業的土地利用ならやめた方がい
いのではないか。武蔵村山市の日産の跡地や立川市の日野自動車の
跡地を見ればわかるように、大企業の跡地は大きすぎて買い手がな
く後で困ることになる。現状の用途地域を連担させて広げていく方
向での見直しなら問題はないが、白地に色を塗るのは立地企業が来
てからにした方がいいのではないか。「待ち」の手法も必要である。
三上委員
「待ち」の手法では対応が後手に回る。既にこれまでも三ヶ島工業
団地にアプローチをしてきた大企業が3社あったが、適地がないた
めに断ってしまった。
加藤委員
巨大な工業団地を作るということではなく、三ヶ島工業団地のよう
に、茶畑の中に工場がぽつぽつとあるような環境は改良して、きち
んと「工業団地」らしい整備をする必要があり、無節操に工業用地
が周辺に広がるのを避けるためにも、土地利用の見直しは必要では
ないか。
江田委員長
三ヶ島工業団地は、せっかく活発な事業活動を展開しているのに、
調整区域のままではこれ以上発展していくのは難しい。市としても
やはりきちんと工業用地化して整理していく必要があるのではな
いか。
三上委員
三ヶ島工業団地の拡幅整備は以前から強く要望していたことであ
る。企業が努力して解決できる問題ではない。またどんな企業でも
いいから来てもらいたいというわけではない。やはり環境事業団が
作った工業団地なので、環境に配慮した企業に入ってきてほしいと
考えている。
柏木委員
農業振興地域の除外は容易ではない。また工業専用地域への用途変
更には 20ha 必要であるため、本当にやろうと思うと 20 年はかかる
のではないか。
事業手法は検討しているのか。三ヶ島工業団地組合が市とジョイン
トして、組合施行で整備したらどうか。
事務局
工業的土地利用の適地の中でもどこから取り組むか、優先順位をつ
けてから事業手法も含めて検討していきたいと考えている。
②松郷工業団地周辺の整備の方向性について
島田委員
松郷工業団地は1万坪の広さがあるが、空き工場が出てもすぐに埋
まる状況である。関越道の所沢 IC の北側に農家が作った貸し工場
が多くあるが、そうした事業所からの移転ニーズが高い。市街化調
整区域にある事業所には発注しないというケースが増えている背
景もあるようである。工業団地としても、このような調整区域内で
操業している企業を誘致していきたい。
また松郷工業団地は以前から得意先を紹介し合うなどして団地内
で協力しながら操業してきた。今後の事業発展のためにもぜひ拡張
してもらいたい。
加藤委員
街中から松郷工業団地に移転したいという需要は今もあるのか。
島田委員
今でも若干はあるだろう。集約した方が活気も出るので、団地に入
るメリットはある。また、周辺が農振農用地で住工混在という状況
にある工場が工業団地の空きを買いに来ている。
③その他の工業的土地利用の適地について
江田委員長
2つの工業団地の周辺のほか、所沢 IC 周辺が比較的開発しやすい
要件を備えているということであり、これも工業的土地利用の適地
の一つと考えられるのではないか。
島田委員
当該地域には国道463号線に面して物流施設の立地が可能とな
っている。
柏木委員
それに連担させるような土地利用を図るとよいのではないか。
④土地利用の見直しと企業誘致の姿勢について
三上委員
経営者が最も重視しているのは従業員である。人が替われば製品も
変わってしまうため、雇用は守りたい。となると、どうしても今の
事業所から遠くには移れない、ということになる。現にいま所沢市
に来ている立地の相談も、近隣にある事業所からが多く、従業員が
西武線沿線で通勤できるようにという条件の中で立地できる場所
を探しているようである。
加藤委員
どのような業種の誘致を図るかではなく、まさに「遠くにいけない
から近くで探したい」というニーズを把握することが重要である。
東京では地価が高いが従業員の雇用は維持したいという観点から
の所沢市近郊への移転ニーズは少なくないだろう。その場合問題と
なるのは所沢市の地価の高さである。
(3)その他
事務局
次回は 10 月 22 日(月)午前中の開催を予定している。
また第1回委員会でリクエストがあったため、次回会議では都市計
画課に出席を要請する予定である。
(別紙1)
所沢市工業活性化施策策定委員会
出席者表
(第2回)
(50 音順)
氏
名
備
考
出 欠
江 田
元
之
㈶さいたま市産業創造財団理事
出席
柏 木
孝
之
西武文理大学 サービス経営学部長
出席
加 藤
秀
雄
埼玉大学 経済学部教授
出席
島 田
孝
男
所沢商工会議所推薦(松郷工業団地代表)
出席
高 橋
弘
紀
日本貿易振興機構 関東貿易情報センター所長*
出席
所沢商工会議所推薦(三ヶ島工業団地代表)
出席
三 上
誠