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沖縄医報 Vol.41 No.1
報 告
2005
報 告
国民皆保険制度を守る
沖縄県民集会 大盛会
副会長 當 山 護
会場風景
ゆうりきやーのお二人と當山副会長
命は平等、混合診療反対を旗印に沖縄県医療推進協議会(会長 県医師会長 稲冨洋明)主催の標記
集会を開催した。
26 団体加盟の同協議会は平成 16 年 12 月 6 日(月)パシフィックホテルにて約 550 人以上お集まり頂
いた一般県民を含め、県内マスコミ注目のもと下記決議文などを新城啓和県歯科医師会々長が読み上
げ採択した。
混合診療導入は最近、規制改革、民間解放推進会議がミニ本部を開き、その延長線上では中医協の
在り方まで踏み込みたいと主張している。導入されると外国資本の医療界進出や公的保険の縮小まで
随時なされるだろうと大方の医療関係者は予想している。
規制改革、民間解放推進会議の横暴は医療界のみならず教育界等々からも批判の嵐が吹きすさんで
いるが社会保障制度をどうするのかと云う哲学的理念なく遮二無二ごり押しがどこまで通用するのか、
そして日本の舵取りと将来の行く末を読み切っているかが問われる所である。最終的に小泉首相の決
断が平成 17 年明け早々と考えられる中、県民集会のもつ意義は大きかったと云える。
−6(6)
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沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
推進協議会
稲冨会長挨拶要旨
小泉首相は第 161 回通常国
会の所信表明にて「混合診
療」の解禁を明言したが、狙
いは国の負担軽減にあり、結
果として家庭負担の増大、
「国民皆保険制度」の形骸化
となる、この事を広く県民に知らしめたい。生
仲宗根雅広氏(県民の立場から)発言要旨
命と国民の尊厳を守るべき医療界に経済的弱肉
規制改革、民間解放推進
強食を持ち込む事は極めて危険であり、後顔の
会議は民間保険のオリック
憂いを残さぬ様、最大限の努力をしていく。
ス会長宮内氏が議長を務め、
メンバー 14 人の中、医療関
係者が一人もいない。
日本の医療制度は現物給付
は、フリーアクセスと云う良い面をもっている
が、宮内議長はリース会社と保険会社を運営
大城桂子協議会副会長(県薬剤師会会長)
発言要旨
し、自分の望める医療が受けられると言葉巧み
世界に誇れる日本の医療保
に国民をリードしているように考える。
険制度が崩壊の危機に直面し
ている。医療費抑制の為に
「混合診療」解禁をあげてい
るが、高価な薬品などが保険
適応から除外されることは人
我如古康子協議会副会長(県看護協会会長)
発言要旨
の命も金次第となり、弱者の切り捨てとなる。
26 団体の皆様方の御参加
に心から感謝する。ゆうりき
やーの劇やビデオで混合診療
の何たるかを理解頂いたと思
うが、国民皆保険制度を守る
山田君子参加者団体代表
(県老人クラブ連合会)
意見要旨
高齢者は誰でも病気のひと
つは持っている。私達が調査
為、引き続き署名活動に御力
添えをお願いし、本日の県民集会をもっと心強
いものにする為、御協力下さい。
した中で高齢者が不安に思う
事は第一に健康、第二に経済
である。医療費の高騰を問題
にするより公的機関の汚職や
無駄遣いを小泉首相は見直すべきであり、国民
皆保険制度を堅持し、高齢者の医療保険を守っ
て頂きたい。
−7(7)
−
沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
﹁
混
合
診
療
﹂
の
解
禁
を
目
論
ん
で
い
る
。
混
合
診
療
が
解
禁
さ
れ
決
議
報 告
国
民
皆
保
険
制
度
を
守
る
沖
縄
県
民
集
会
平
成
十
六
年
十
二
月
六
日
一
公
的
医
療
保
険
給
付
の
縮
小
反
対
一
国
民
に
不
平
等
を
も
た
ら
す
混
合
診
療
の
解
禁
反
対
一
国
民
が
安
心
し
て
受
診
で
き
る
国
民
皆
保
険
制
度
の
堅
持
記
し
左
記
事
項
を
強
く
要
求
す
る
。
な
医
療
が
受
け
ら
れ
る
国
民
皆
保
険
制
度
を
守
る
た
め
、
政
府
に
対
我
々
は
、
﹁
誰
で
も
、
い
つ
で
も
、
ど
こ
で
も
﹂
安
心
し
て
良
質
認
す
る
事
は
で
き
な
い
。
守
る
と
い
う
国
の
責
任
を
放
棄
す
る
重
大
な
問
題
で
あ
り
、
到
底
容
こ
の
こ
と
は
、
憲
法
第
二
五
条
に
基
づ
く
国
民
の
健
康
・
生
命
を
不
平
等
﹂
を
生
み
だ
す
こ
と
に
な
る
。
る
こ
と
に
な
り
、
結
果
と
し
て
、
経
済
力
の
差
に
よ
る
﹁
い
の
ち
の
た
ら
し
、
一
部
の
裕
福
な
人
の
み
が
優
遇
さ
れ
、
弱
者
は
切
り
捨
て
る
と
、
公
的
医
療
保
険
の
縮
小
と
相
俟
っ
て
患
者
負
担
の
増
大
を
も
政
府
は
、
患
者
の
医
療
の
選
択
範
囲
の
拡
大
と
い
う
美
辞
の
下
に
決議文を読み上げる新城啓和協議会副会長(県歯科医師会会長)
ゆうりきやー友情出演
(ゆうさん(左)、りきやさん(右))
りきやさん「混合診療は患者さんを沢山の医
者が囲んで混合して診る事ネ?」
ゆうさん「違うさ、患者さんを混ぜ合わせて
診る事さ。」
りきやさん「う∼ん?」
場内大爆笑でした。
−8(8)
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新潟県中越地震と日本赤十字社の救護活動
沖縄赤十字病院 院長 高 良 英 一
平成 16 年 10 月 23 日(土)夕方より深夜にか
けて、新潟県中越地方を中心に発生した震度 6
強の地震と続く強い余震により甚大な被害と多
くの死者、負傷者が発生し、さらに 10 万人近
くの避難住民が出たことが各報道機関を通して
報じられました。震源地に近い新潟県、長岡赤
十字病院では地震発生直後より救急搬送された
負傷者を受け入れ、翌朝には救護班先遣隊が避
難所を巡回したとの報告です。その後の一週間
は通常業務を中断し災害救護に専念し 600 名を
超える被災患者を診察。一日に 20 名近い患者
さんが倒壊の恐れのある病院から転入院したこ
ともあり、また奇跡的に救出された幼児の収容
写真―2:東小千谷中学校・校庭
左手の大型テント2張りは被災者用、手前の日本赤十
字社の文字が見えるテント2張りは救護班の居住用、右
隣に救護所用テント。左手は炊き出し、救護物資用のテ
ント。周囲に自衛隊などの設置した被災者用テントが見
える。
治療にあたるなど、長岡赤十字病院は災害時の
病院の各救護班(注 1 )を被害の大きかった小
医療救護の中心的役割を担いました。
日本赤十字社は小千谷市役所内に現地対策本
千谷市に派遣、24 日未明より dERU 、(国内型
部を置き(写真− 1)
、医療救護活動を早い時期
緊急対応ユニット、注 2 )の緊急仮設診療所を
より開始し、近県の富山赤十字病院、日赤医療
設置し、医療救護活動を開始しております。ま
センター、武蔵野赤十字病院、さいたま赤十字
た救護班とは別に他の 5 赤十字病院から 10 名の
看護師が発災直後の長岡赤十字病院看護部の応
援に直ちに派遣されました。
この様に日本赤十字社は被災地の属していま
す東部ブロックを中心に医療救護活動を地震発
生直後より始動させ、その後各県の日赤支部と
連携をとり救援の輪を拡大させております。
沖縄県支部の救護支援活動を報告することに
より、日本赤十字社の救護活動のあり方の一端
を紹介します。
沖縄赤十字病院の所属する九州ブロックで
写真―1:小千谷市役所内の日赤現地対策本部
毎日のスケジュールと各救護班の状況が壁に掲示され
ている。
は、 10 月 25 日夜、熊本赤十字病院を中心とす
る dERU 要員先遣隊が新潟県支部に到着し 27 日
昼に東小千谷中学校に救護所と大型テントを設
−10(10)
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沖縄医報 Vol.41 No.1
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写真―3:救護所での診療風景
写真―4:巡回診療風景、血圧測定用テーブルの工夫に注目。
置し、被災弱者を優先的に大型テント内に 100
道感染の患者さんが主であったようです(写
名収容。 27 日夕方には福岡県、長崎県の救護
真− 3)
。医薬品は十分足りていましたが、もし
班が合流し救護活動を開始しました(写真−
必要があれば日赤現地対策本部で補充が出来る
2 )。第 2 次は大分県、鹿児島県、第 3 次は沖縄
体制が構築されていました。診療以外の時間は
県と福岡県、第 4 次以降は一個班づつ熊本県、
手分けしてテント生活をしている人達のところ
佐賀県と続きました。
を訪問し体調を尋ねたり、メンタル・ケアを目
沖縄県からの救護班は渡口真佐夫 内科部
的に色々話を聞きながら避難所を巡回します。
長、与那覇美奈子 看護師長、末吉保子 看護
避難所に居る方々からは、赤十字のマークを付
係長、糸数久美子 看護師、上間 昇 施設係
けた職員が 24 時間体制で待機し、診療や健康
長、瑞慶覧長健 主事、県支部・真喜志淳 主
相談などに気軽に対応してくれることで気持ち
事の計 7 名で編成され 11 月 4 日那覇空港を出発
が落ち着きます、と感謝の言葉をもらったよう
しました。11 月 5 日に小千谷市役所内の日赤現
です。今回の日赤の救護班編成は、当初より心
地対策本部で到着報告を行い、直ちに東小千谷
のケア担当者を加える努力をしていました。
中学校で前任の大分、鹿児島県の救護班より業
巡回診療は宮崎県支部の救急車を借用し事前
務を引き継ぎ、9 日熊本県の救護班に引き継ぐ
に決められた地区の住民検診を担当しました
(写真− 4 )。巡回中は車中泊の人達にエコノミ
までの 5 日間救護業務に従事しました。
救護班長、渡口先生の帰任報告の概略を紹介
ークラス症候群の予防法についてアドバイスを
するなど健康管理にも心掛けたようです。しか
します。
東小千谷中学校には約 350 人の避難生活をし
ている人達がおり、一日 20 回前後余震が続い
し、現地医療機関の診療機能が回復したため 11
月 8 日より巡回診療は中止されました。
ている状況下で救護業務が行われました。時に
日赤は地元の医療機関の復旧に伴って医療救
は震度 4 を含む強い地震あり、下から突き上げ
護活動を縮小し、九州ブロックの担当は 11 月
られるような感覚を経験したようです。
15 日、佐賀県救護班を最後に撤退しました。以
救護業務は東小千谷中学校にあります救護所
後は“こころのケア”を主体とする援助に移り
でテント内避難生活の人達を中心にした診療と
ました。沖縄赤十字病院からも下地 照看護師
地域の巡回診療の二つがあり、福岡県救護班と
長が 11 月 18 日より 22 日まで長岡赤十字病院を
交互にその任務に就きます。
拠点に、山古志村住民の避難所を巡回し被災者
救護所での業務は通常の診療業務であり、震
の不安、心身疲労の予防などの活動に参加しま
災初期の頃は外傷などの患者さんも受診された
した、12 月 4 日より比嘉 力看護係長が派遣さ
ようですが、沖縄赤十字病院の担当の頃は上気
れる予定です。
−11(11)
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沖縄医報 Vol.41 No.1
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報 告
多くの医療救護チームは個々に活動している
のではなく、新潟県日赤支部が中心になり大
たは所属する各ブロック単位で常に研修と訓練
を行っています。
学、地元医師会、日赤など医療救護活動に参加
災害発生の場合は、被災地の支部が主体とな
している各医療チームのミーテイングが毎日午
って必要なら近隣の支部の応援を得るなどして
後 8 時より小千谷市総合体育館にてあり、当日
救護活動を実施します。災害が大規模災、広域
の反省や翌日の活動計画などが毎日検討され、
に及ぶ場合は都道府県や地元市町村災害対策本
効果的な救護活動が計画されました。
部と連携を取り同本部の指示の下活動します、
救護班の活動中の日常生活ですが、基本的に
日赤本社は救護活動の全国的な調整を行いま
は大型テント内で寝袋を使って寝泊りし、自活
す。また災害の状況により各支部の判断で救護
生活を行います。三度の食事は同行の事務職員
班を派遣することも出来ます。
が担当し、持参した食料や買出しで調達した食
沖縄赤十字病院は救護班が五つあり、1 救護
材を使います。当然ですが救援物資を使用する
班は班長となる医師 1 人、看護師長 1 人、看護
ことはありません。テント生活ですので新聞、
師 2 人、主事 2 人の計 6 人を基準として、編成さ
テレビなどはなく情報収集はラジオのみで、彼
れています。
らは避難所を含めた近くの被災地の状況は十分
に把握しておりましたが、中越地震被災地全体
注 2)dERU(domestic Emergency Response
の経緯を知る機会は乏しかったようです。むし
Unit):国内型緊急対応ユニット。地震などの
ろ遠く離れた沖縄の我々が全体のことは知って
大規模災害発生時に即時対応できるよう、赤十
いたかもしれません。
字が考案した緊急仮設診療所と医師、看護師等
11 月 25 日現在、日赤の救護班は、延べ 115
からなる医療チームのユニット。訓練を受けた
班、 903 人(医師 141 人、看護師 351 人、薬剤
医療チームが登録され、必要な医療救護資機材
師 29 人、ここのケア要因 113 人、管理要員 269
やテントなどがコンテナ車に配備されており、
人)の派遣があり、11,004 人を診療し、こころ
災害発生時に即時対応できます。
のケアの対象となった被災者の方は 3,711 人で
医療資機材の総重量は 3 トン、エアーテント
1 張、外科用具など医療資機材 188 品、麻酔、
す。
抗生物質など医薬品 65 品のほか、診察台、簡
注 1 )救護班:日本赤十字社は、災害対策基本
易ベット、担架、貯水タンクなど 21 品目が積載
法により「指定公共機関」として位置付けら
されています。5 から 10 人程度の職員で 1 時間
れ、災害救助法により国に対する救助への協力
で立ち上げ、積載された医療資機材で 1 日 200
義務が規定され、その具体的な内容については
人程度の重症・中傷程度の傷病者に対して 72
「厚生大臣との協定」により取り決めがされて
時間治療が可能です。
今回の新潟県中越地震では dERU は 3 ヶ所に
います。そのため各赤十字病院はその規模に応
じて複数の救護班を編成し、日赤本社、支部ま
設置されました。
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報 告
台中市医師公会への表敬訪問報告
常任理事 真栄田 篤 彦
3 年前から、台中市医師公会と沖縄県医師会
約 1 時間の食事タイムのあとからは高速道路
とで姉妹医師会を締結するという企画が稲冨会
を走っての移動。台北から台中市までは 3 時間
長の提案で起こり、そして昨年 9 月に稲冨会長
かかりました。台中市の人口は約 100 万人で、
と安里常任理事が台中市医師公会を訪問して打
台北、高雄に次いで 3 番目の都市とのこと。
午後の 6 時過ぎから台中市内にある仁愛総合
ち合わせ会を持ちました。
私自身は、昨年 10 月下旬に県庁の感染症対
病院(1945 年創立)を視察。昨年は SARS 患者
策委員会として SARS 対策の一環として台湾
を引き受けて治療をした病院で、ベッド総数
(台北市)を訪問した際に、台中市医師公会ま
800 床。リニアック 2 台ほか、心カテ装置、心
で訪問し、メールによる「台湾における SARS
臓手術件数 150 以上の台湾では中間に位置する
情報」ネットワークを構築して参りました(会
総合病院とのことでした。
報 2 月号で既報済み)。そして今年の 2 月に台中
個室はホテル並み、待合室もホテル並みで
市医師公会のメンバー 20 数人が沖縄県を訪問
広々と、天井も高く、ゆったりと過ごせるよう
して、県医師会と姉妹会を締結の運びとなった
配慮したとのこと。診察時間は午後 9 時まで診
次第です。
察するのが台湾では普通とのこと。患者が混み
今回は平成 16 年 11 月 26 日∼ 28 日(2 泊 3 日)
だすのは午後 5 時以降で、患者は仕事を終了し
沖縄県医師会理事会の有志(稲冨会長、宮城副
てから受診するとのこと。外来での受診者の受
会長、友寄常任理事、筆者、安里常任理事、嶺
付はコンピューターでカードを用いて入力し、
井理事、稲田理事、那覇市医師会喜久村理事、
その後の流れは電子カルテで一人の患者は一つ
南部地区医師会名嘉副会長、そして事務局 3
のカルテで他科も全て一緒とのこと。台湾では
人)各理事自己負担で台中市医師公会を訪問し
医療費総枠制度があり、現在、仁愛病院では入
てきたので紹介します。
院を 60 %に制限しているとのことで、厳しいと
11 月 26 日(金)、午後 12 時那覇国際空港から
のことでした。
出発し、台北には約 1 時間で到着。空港には台
中市医師公会の王金明理事長ほか数名の理事に
お迎えいただき、直ちにバスでの移動開始。沖
縄県との時差は約 1 時間とのことで、ガイドの
指示で現地時間の 12 時に時計を戻し、1 時間得
したような感覚で、台中市へと向かいました。
乗車まもなく途中で完成したての大レストラン
にて昼食タイム。飛行機内食を食べたばかりな
のに、もう中華料理を!王金明理事長もご一緒
なので、中国式に乾杯!昼間からのビール(オ
リオンビールよりもアルコール度は低く、薄味
で飲みやすかった)は気が引けるようでした…。
−13(13)
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(自病院内で説明する廖仁先生)
沖縄医報 Vol.41 No.1
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報 告
稲冨会長一行は仁愛総合病院視察の後も宿泊
先へは行かずに夕食へ。レストランで 2 台の円
卓を囲んでの中華料理。王金明理事長の音頭で
乾杯! 台湾式乾杯はグラスを飲み干した後に
相手に見えるように向こう側にグラスを傾けて
見せ合いをするとのことで、すべてを一気に飲
み干すとのこと、友寄先生は飲めないお酒を無
理して頂き、はやくも顔面紅潮の状態でした。
約 1 時間半後夕食を切り上げ、仁愛総合病院
の廖仁先生主催の 2 次会へ移動。なかなか宿泊
(左より周明智中山大学教授、筆者、安里常任理事、
林榮一中山大学前病院長)
先のホテルまではたどり着けません。
2 次会はカラオケハウスで、スクリーンが 5 メ
ートル× 2.5 メートルの巨大画面のあるホール
ご馳走に。さすがに私も、ティーグランドでご
で、総勢 30 名位収容できるスペースで、カラオ
ろ寝して待っていました。お二人はほんとに良
ケの音楽は絶叫状態で、耳をつんざくほどの大
く食べました。ゴルフのスコア?お二人とも計
ボリューム。もはや静かに歌う曲でも絶叫型で
算できないくらい楽しく打っていました。スコ
叫んで歌う状態が台湾式なのかとビックリする
アが悪くても決してお怒りはなかったと思いま
やらでした。音がビリビリ割れて、耳が少し難
す。淡々としたプレイでした。私たち 2 人に付
聴になったかも知れません。
き合って頂き、とても恐縮しました。有難うご
痛くなった耳を押さえながら午後 11 時過ぎに
ざいました。謝謝!
やっと宿泊先のホテルへ到着。入浴後はバタン
ゴルフ終了後、周教授のお父様が創設した中
キューで、マオタイチュー、ウイスキー、ビー
山医学大学(地上 17 階地下 5 階)を見学しまし
ル各ミックスでのオール乾杯で、ふらふらの状
た。私立ですが医学生を教育しているので、税
態で就眠。
金はかからないとのことで、一日の患者は約
3,000 名位で、リニアック、ガンマナイフ 2 台
11 月 27 日(土)朝 7 時朝食の約束をするも起
床できず、8 時過ぎに朝食。
(内 1 台は診断用)
、今流行の PETS を 2 台、サイ
クロトロン作成機器常置、臓器移植、などな
観光コース組は 8 時半出発。私は安里先生と
ど、第 2 次世界大戦で中国の美術品を略奪した
台中市医師公会の周明智理事と林榮一理事 4 名
アメリカから買い戻したという歴史を感じるす
で台中市国際ゴルフクラブへ直行。
ばらしい芸術銅像を設置した、これら設備の凄
ゆったりとしたスタートで、ゴルフ中も売店
さにビックリ、地下 2 階にある放射線科は超一
に入っては中華料理の豚足入りスープをご馳走
流のホテルの感じで、昨日も感嘆でしたが、今
に、ゲームは後続組みにパスさせないという始
日はもっと感嘆の声を上げる始末。逆に安里先
末。ゴルフは前半と後半の間に昼食タイム。
生と筆者とで、採算性が取れるか心配になる程
約 50 分の休憩時間にこれまた中華料理が 5
の設備でした。1999 年に再建完成し、全てが電
皿、スープとビールで皆さん良く食べます。私
算化され、画像転送も出来るとのことでした。
は、遠慮しながら、ひたすらゴルフに専念した
午後 6 時団体撮影の時間に間に会うようご配
かったのですが、郷に入れば郷に従えの喩えの
慮いただき、駆け足で中山医学大学を後にし、
とおり、はいはいで乾杯!
ホテルへ到着したのが 6 時 10 分前、駆け足で会
満腹状態で午後のスタート。5 番目で又売店、
場へ。
安里先生は周先生、林先生に従って、スープを
−14(14)
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報 告
歓迎晩餐会記念写真
歓迎晩餐会
稲冨洋明会長挨拶
台中市医師公会主催の懇親会の席上、王金明
台中市医師公会の皆様と懇親会を開催してい
ただき心より感謝申し上げます。本年 2 月、念
理事長からの歓迎御挨拶。
「子曰く、朋あり、遠方より来る、亦楽しか
らずや!」と孔子の故事を紹介。
願の姉妹会締結でき、王理事長はじめ多数の役
員の皆様方の御来沖心より感謝申し上げます。
特に姉妹会沖縄県医師会の来訪をうれしく思
います。
私ども沖縄県医師会として、沖縄の地で台中
市医師公会の皆様と直に交流の場が持てたこと
俗語曰く「一日姉妹(兄弟)であれば、この
交誼が永く続きます。」弊会が日本沖縄県医師
を大変嬉しく思っており、今後とも末永く友好
の輪を築いていきたいと思っております。
会と末永く縁を結ぶようにお祈りします。
近年、台湾と沖縄は、経済、観光等様々な分
遥々沖縄県から来ました皆さんにお会いで
野で活発に交流が進められております。台湾・
き、うれしく思っております。この 2 泊 3 日の
沖縄間における経済交流の促進を図るため、閣
訪問により、両会の距離を更に縮めることが出
僚級の派遣も視野に入れた連携強化を求めてお
来ました。お互いの理解を深め、相互信任と関
ります。
此れからもお互いに親睦の輪を広げ、医学、
心の友情を築くことが出来ると信じておりま
す。また、今回の両会を取り持った廖顧問と盧
医療の情報交換を図りながら、国際的な視野を
顧問に感謝申し上げます。
広め、台湾、沖縄の地で共に住民の健康・福祉
弊会幹部及び顧問が両手を開いて、真心を込
めて日本からいらっしゃった沖縄県医師会を熱
の増進に貢献できるよう務めてまいりたいと思
っております。
最後に、両医師会の益々のご発展と会員各位
烈に歓迎して、招待させていただきます。その
うち、弊会もまた貴会に訪問致しまして、お互
のご健勝をお祈り申し上げます。
いの経験を交流し、両方の友好関係を更に深め
ていくようにお祈り致します。最後に、皆様方
のますますのご健勝をお祈り致します。ありが
とうございました。
−15(15)
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沖縄医報 Vol.41 No.1
報 告
(御挨拶される王金明理事長と稲冨会長)
記念品の贈呈式
(王理事長から稲冨会長へ)
(稲冨会長から王理事長へ)
(胡顧問による乾杯)
(左から、嶺井理事、廖先生)
−16(16)
−
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報 告
(左から、稲冨会長ご夫妻、王理事長、胡衛生署顧問ご夫妻) (前列、廖董事長ご夫妻、後列左から、真栄田常任理事、宮城副会長ご夫妻、廖前理事長ご夫妻)
(左から、友寄常任理事、王理事長、安里常任理事)
懇親会は楽しく続き、其のまま 2 次会のカラ
オケ会場へと場所を移し、お互いの喉自慢で交
(左から、稲田理事、喜久村先生、陳先生、名嘉先生、稲冨会長、簡先生ご夫妻)
き、乾杯!約 1 時間の昼食の後、台中市を跡に
して、一路台北へと向かった。
流を更に深め、午後 11 時過ぎに閉会となりまし
沖縄へは午後の 6 時半頃無事に到着。入国手
続きで、SARS に関した検疫用の問診表に記入
た。
乾杯は数多くあり、多くの先生方が翌日は二
日酔いの状態でした。
使用としたときに、SARS 流行地からではない
ので、記入する必要がないということでした。
最終日の 11 月 28 日(日)は午前中市内観光
をして、11 時過ぎには昼食を 2 台のテーブルで
今年の冬はもう SARS 騒動はないだろうと思
いながらの通関でした。
囲み、最後まで王金明理事長が同席していただ
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沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
第 104 回九州医師会総会・医学会及び
関連行事(報告)
常任理事 友 寄 英 毅
第104回九医連総会・医学会 会場風景
去る 10 月 29 日(金)∼ 30 日(日)
、宮崎県医
師会の担当により、宮崎市において標記総会・
も阻止しなければならないというのが私どもの
大命題であると考えている。
日医は国民皆保険制度を守る国民運動を呼び
医学会及び関連諸行事が開催されたので、参加
した諸行事について、その概要を報告する。
かけており、九州各県においてもそれぞれ対応
することを常任委員会で決議した。3 割負担に
九州医師会連合会第 88 回臨時委員総会
負け、混合診療、株式会社の参入と、外堀、内
日時:平成 16 年 10 月 29 日(金)午後 4 時 30 分∼
堀が埋められ、最近、本丸である医療費の総枠
場所:ワールドコンベンションセンターサミット
管理として、医療費を GDP 以下に抑えるとい
(宮崎市)
う話が再浮上し、正に正念場を迎えている。
このようなことから九州の力を結集し、先陣
司会の宮崎県医師会の稲倉委員より開会が宣
された後、秦喜八郎九州医師会連合会長(宮崎
を切って戦いに挑む時期にきていることから先
生方も覚悟を決めていただきたい。
県医師会長)より次の通り挨拶が述べられた。
最後に、本日は九州各県医師会のリーダーの
小泉首相が年内に混合診療を全面解禁せよと
先生方がご参集されているが、これまでの九州
の指示を出している。これは株式会社参入との
医師会連合会に対するご協力に感謝すると共
セットの話であり、どうしても阻止しなければ
に、今後ともご指導をお願いしたい。
ならないし、皆保険制度の形骸化をなんとして
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−
沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
その後、座長に秦九州医師会連合会長が選出
され、報告、議事が行われた。
報 告
1) 第 267 回常任委員会について
秦会長より概ね以下のとおり報告があっ
た。
本委員総会に先立って開催された標記常任
委員会については、予め提案されていた議題
については全て原案どおり承認された。追加
九医連第88回臨時委員総会会場風景
として提案された新潟地震に対する九州医師
会連合会の対応については、各県 10 万円拠
議 事
第 1 号議案 第 104 回九州医師会連合会総会
出して九医連からの義援金としてお見舞いを
することとし、その他各県の取り組みは独自
の宣言・決議(案)に関する件
で対応することとする。
座長の秦会長より提案理由の説明が行われた
2) 九州医師会連合会事業現況について
後、宮崎県より宣言・決議(案)の朗読説明が
宮崎県の志多委員より、資料に基づいて、
あり、審議した結果、原案どおり承認され、翌
平成 16 年 4 月 1 日∼ 9 月 30 日までに行われた
10 月 30 日(土)の総会に上程することが決定
九州医師会連合会事業(常任委員会、委員総
された。
会、各種協議会等)及び関連行事について報
その他
告が行われた。
3) 九州医師会連合会歳入歳出現計について
(1)災害支援の対応について
宮崎県の志多委員より資料に基づいて、平
成 16 年 9 月 30 日現在の九州医師会連合会入歳
福岡県医師会の中村委員会から次のとおり提
案があった。
9 年前の阪神大震災の時、日医の救護班とし
出現計について、次のとおり報告があった。
歳入合計 54,725,321 円
て兵庫県の被災地に赴いた経験を踏まえて慰安
歳出合計 14,082,445 円
する。当時、会員の先生のお話しによると、診
差引合計 40,642,876 円
療所は無事だったが従業員が出勤できず十分な
4) 第 104 回九州医師会医学会及び関連行事に
診療活動ができなかったとのことであった。ス
ついて
タッフ不足の医療機関が把握できておれば有効
宮崎県志多委員より資料に基づいて、10 月
な手立てができていたのではと思う。
29 日(金)の前日諸会議、 10 月 30 日(土)
今年は、台風や地震の災害が多く被災地の会
の総会・医学会、 10 月 31 日(日)の一般分
員も困難を強いられているのではないかと思
科会、記念行事について報告があった。
う。できればこのような災害に際し、九医連と
して支援体制を組織できないものかご検討いた
だきたい。東京では東京 DMAT (災害医療派
遣チーム)を組織し被災地の支援活動を行って
いる。
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沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
理・資質向上委員会、自浄作用活性化委員会
等で検討し、少しずつ改善されてきているとは
いえ、マスコミ側からはそれらの活動を行った
うえで、医療事故の減少にどれだけの効果をも
たらしたか、あるいはリピーターに対して医師
会は実際にどう対処するのか具体的に示さなく
ては信用できないと言われており、今後日本医
師会としても具体的な対応策を示していきたい
と考えている。
このような意味では、医療改革は必要であ
特別講演された日医植松治雄会長
り、早急に取り組まなければならないものであ
日本医師会長 植松治雄
特別講演「医療改革−日本医師会の考え方」
る。我々が医療改革においてやらなければなら
ないと考えているのは、先ず医療事故を無くす
日時:平成 16 年 10 月 29 日(金)
午後 5 時 20 分∼
ことであり、それなくして医療への信頼の回復
場所:ワールドコンベンションセンターサミット
はない。
医学の進歩に伴い医療もまた進んでいくわけ
(宮崎市)
だが、高度化する医療において生じる不可避な
日医植松会長が、「医療改革−日本医師会の
残留リスクは国民に納得してもらわなくてはな
考え方」をテーマに講演された。安全、安心の
らず、そのためにも、ヒヤリハット、リピータ
医療で国民の信頼を得ることの必要性、また、
ーのような当然避け得られるような医療事故は
医療事故防止に向けて医師の資質向上のための
皆無にしていかなくてはならない。医療事故の
生涯教育の重要性について述べられた。医療改
防止に向けては、医師は、職業倫理を含めて医
革が、財政主導の市場経済原理によって論じら
の倫理を根底に置くと共に、絶えることのない
れていることへの問題を指摘、本来医療は平等
生涯教育によるスキルアップを図り、薬剤並び
にあるべきもの、心ある医療の大切さを述べら
に機材等については事故の起こりにくい工夫を
れ、混合診療導入については、国民と共に反対
行うと共にそれを扱う者の意識改革が必要であ
運動を展開することで、今後の活動においても
り、組織においては、医師のパターナリズムと
意義があるとし、会員の参画を要請した。講演
いう組織から脱却し、各職種それぞれの生涯教
の概要を以下のとおり報告する。
育が重要になってくる。
医師免許の更新については、試験を行って更
新をするまでもなく、日医生涯教育カリキュラ
医療安全の対策と生涯教育の重要性
日本の医療は WHO の報告にもあるように健
康達成度、平均寿命、健康寿命が世界一であ
ムの受講によって医師としての資質が十分に磨
かれるよう、取り組んでいきたい。
る。乳幼児死亡率も極めて低くダントツの世界
開業医の先生方の中からは、忙しくて生涯教
一となっている。しかも医療費は対 GDP 比 8 %
育講座を受講できないという声も聞こえるが、
とアメリカの約半分である。非常に安い医療費
患者のために当然やるべきものであるとご理解
で効果をあげながら効率的に医療が展開されて
いただきたい。
いる。しかしながら、国民はこれら医療の状況
医道審議会において処分された医師に対して
ついて満足しているとは決していえない。特
免許を再交付する際のカリキュラムについて
に、多発する医療事故による医療安全に対する
は、一般の生涯教育とは別のカリキュラムを研
不信感が根底にある。日本医師会では、医の倫
究中である。
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沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
プライマリ・ケアの推進
導のいわゆる市場経済原理による医療改革に過
プライマリ・ケアこそが医療の中心であると
ぎないものである。
認識している。医師の卒後研修が必修化される
社会保障改革については、厚生労働大臣さえ
ことになり、その目的の一つがプラマリ・ケア
入っていない経済財政諮問会議において決めら
に対応出来る医師の養成であるが、高度医療が
れようとしており、市場経済原理で世の中を運
進歩していく中で、“病を診て人を診ず”と言
営することが一番良いと訴えるこの会議のメン
われるように、全人的医療が希薄になってきて
バーは経済関係者ばかりである。
いる。そのようなことから、これからの生涯教
市場経済でなければ競争が起こらず、日本の
育においては、基本的医療課題と専門分野の組
医療は競争の原理が働いていないから進歩もせ
み合わせが大切であると考える。基本的医療課
ず、効率も悪いという言い分であるが、決して
題とは、全人的医療を視野に入れ、医療事故の
そのような事は無く各医療機関とも良い医療提
防止を考えると共に、患者に接遇する際の心構
供のためのスキルアップを行うと共に、アメニ
えを含めた倫理を示している。専門医制にあっ
ティーの充実、従業員の教育、診療時間の工夫
ては、この基本的医療課題をクリアしたうえで
等様々な対応を行っており、これは明らかに医
なければ、高度医療を行いながらも医の心が伴
療機関間の競争である。
医療界で競争が行われていないのが唯一価格
わないということに陥り、結果的に医療事故が
競争であるが、このことが相手側にとっては腹
起こることになる。
立たしいことのようである。
医療提供体制の再構築
しかしながら、医療はハンバーガーのように
従来から日医はプライマリ・ケアを最重要と
安く売ったり、高く売ったりできるものではな
位置付け、地域医療支援病院等が一連となって
いということを考えると、「いつでも、誰でも、
地域包括医療を完結させることが願いである
どこでも、安心して受けられる医療」という点
が、中々進んでいない状況である。診療所にお
からも、全国一律の費用体系であることこそが
ける病診連携はある程度進んでいるが、病院に
安心に繋がる。
市場経済原理は、売り手と買い手の関係であ
よる機能の分担と連携が十分でないと言わざる
り、これを医療に持ち込んだ場合、経済的余裕
を得ず、今後の大きな課題である。
厚生労働省も地域保健医療計画の見直しと医
のない患者は最良の医療を受けられないことに
療法の改正に取り掛かるべく準備をしていると
なる。医療は平等にあるべきものとして、医療
ころであるが、日医としては、自分たちで作っ
保険制度は創られたのであり、今更、市場経済
たものを厚生労働省に反映させることが本当の
原理で論じること自体ナンセンスである。中々
姿であると認識している。そのためには、長期
それをご理解いただけない状況ではあるが、最
の展望で国民のためにどうあるべきかというこ
近心強く感じたのが、新聞の論調の流れが変わ
とを視野において、これから検討をしていかな
ってきており、毎日新聞にも、医療改革につい
くてはならない。
ては、医師会並びに厚生労働省の言い分に理が
あるように思えるとの記事が載っていたことで
市場経済原理による医療改革に反対
ある。ただ、過去の姿を考えるとすぐに信じる
このように医療改革において、医療の安全、
わけにはいかないとも書かれてはいたが、我々
質の向上、国民の信頼を得るシステム作りを進
は臆することなく、理論を述べていくべきと考
めていこう考えているが、現在進められている
えている。
改革は全くそれとは異なるものであり、財政主
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沖縄医報 Vol.41 No.1
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報 告
国民と共に混合診療導入反対運動を
ルをみながら集計、提出することにしている。
政府が進めようとしている混合診療導入の根
住民と共に運動を展開することは、今後の活
底には、公的医療範囲の縮小が基礎にある。以
動において大変意義があるものと考える。非常
前は会員の先生方の多くが混合診療の導入に賛
に短い間での運動は大変だと思うが、ご理解賜
成されていたが、今は混合診療を解禁すること
り一緒に取り組んでいただきたい。
の弊害が理解されてきており、四病院団体協議
会や外科系学会社会保険委員会連合、内科系学
第 104 回九州医師会連合会総会・医学会
会社会保険委員会連合等が混合診療に反対の姿
日時:平成 16 年 10 月 30 日(土)午前 9 時 30 分∼
勢を示している。
場所:ワールドコンベンションセンターサミット
尾辻厚生労働大臣も混合診療ではなく、特定
(宮崎市)
最初に、開会の辞・国歌斉唱の後、平成 15
療養費制度の拡大に落としどころがないか検討
年 11 月 1 日から平成 16 年 9 月 30 日までにご逝去
されているようである。
なぜ、日医がこれほど強く反対しているかと
言うと、株式会社の医療経営参画の問題があ
された九州医師会連合会会員 231 名の御霊に対
し、黙祷を捧げた。
る。特区において高度医療を認める法律が出来
引き続き、九州医師会連合会秦会長(宮崎県
たが、手をあげるものがいなかったため規制を
医師会)より、出席者、来賓者に対しお礼が述
緩めるよう働きかける動きがみられる。厚生労
べられた後、概ね次のとおり挨拶があった。
働省と日医はこれを阻止するために、現時点で
国民の医療への理解を得るために、また、医
参入できる所がないか探っている状況である。
療への信頼を増すために「安心と安全の医療」
そのようなことから、一旦導入を許すと相手
というテーマを掲げた。
は次々と要求をしてくることは明確である。
しかしながらそれよりも問題なのは、混合診
今回、宮崎の場でせっかくの機会を得ている
ので、2 点ばかり、先生方のご理解を得たい。
療を導入すれば、国民の受診時の負担が増え、
一つは、介護保険の見直しに関する事であ
それに対応するために民間の医療保険に入らざ
る。介護は、医学と医療とでは違うという見方
るを得なくなるような状況になることであり、
があり、医療が福祉に入ってくるのを嫌う傾向
相手側はこれが目標なのである。
にある。勝手に論議が進んでいるような気がす
医師会としてこれを反対すると、エゴとしか
る。利用者負担を 3 割に引き上げるとか程度の
受け取られない。最善の方法は、医療関係団体
軽いところは免責にするといった手法を今度新
の枠組みではなく、やはり国民運動として皆保
しく出来た新高齢者医療制度へそのまま持ち込
険制度を守っていかなくてはならない。
まれる危険性がある。そのため、介護保険の見
これまで日本医師会は、制度改革に反対する
際に、住民との接点がないままにやってきたが、
直しについては、医師会がしっかり意見を言う
べきだと認識している。
この反省を踏まえて、国民医療推進協議会の発
もう一つは、混合診療の全面解禁の事である。
足に当たって 40 団体程度に声を掛け、原段階で
これは、株式会社参入の問題とセットになって
30 を超える団体から参加を得た。少なくともこ
おり、混合診療が認められれば、株式会社が医
れらの団体に、この問題について医師会がどう
療に参入してくるという構図が見え見えである。
考えているかを伝えただけでも意味がある。
九州医師会が一丸となり日医を支えて、将来
現在、混合診療問題を分かりやすく解説した
に亘る医療制度ましてや社会保障制度を悔いの
ビデオを作成中であり、医療施設内でご活用い
残らないよう構築すべきである。そのために
ただければと思う。また、署名運動については
は、先生方のご協力ご支援を賜りますようお願
11 月下旬を目指して展開し、国会のスケジュー
い申し上げます。
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沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
また、来賓として出席された宮崎日本医師会
り継承し、11 月 4 日に新人議員のトップを切っ
副会長より日本医師会長祝辞を代読すると共に
て厚生労働大臣の所信に対する一般質疑を行う
中央情勢報告があった。
ことになっている。
我々が取り組んでいる課題で概算要求といっ
植松日本医師会長祝辞は概ね次のとおり。
た予算編成は立法府における最大の課題であ
第二次小泉内閣が発足し、首相が進めようと
る。今年、国が従来と全く変わってきた。8 月
している医療改革は、医療費を抑制し、公的医
下旬の概算要求の時に、我々が懸念したもの
療保険の負担軽減を目的とするものであり、医
は、その中で 2,200 億円の財源を縮減しなけれ
療を良くしようと考えたものではない。日本医
ばならないという命題が降ってきた事である。
師会としては、如何なる状況の下でも国民が安
如何にして医療費等にしわ寄せが来ないように
心して質のよい医療を受けられるようにするこ
するにはどうすべきかと言っている矢先に三位
とを我々の使命と考え、社会保障の理念にたっ
一体という地方分権化改革の大きな議論が概算
て、混合診療の導入反対、国民皆保険制度の堅
要求の中に絡まってきた。特に、厚生労働省の
持を強く訴えていく所存である。
場合は約 9,440 億円という大きな補助金の財源
今般、日本医師会は国民の視点から国民皆保
を地方へ譲るという議論が出てきた。
険制度等の堅持を訴えるために国民各界・各層
我々は諸会議等の中で、国民保険制度の中で
の団体に幅広く呼び掛け国民と共に訴える組織
地方分権化改革を実現したい。そして、各都道
として、国民医療推進協議会を結成し、都道府
府県が中心となり、各地方自治体へ所要の財源
県や郡市区医師会の主体的協力を得ながら、署
を分けて、財政調整能力を身につけた形で国民
名運動、地域集会を行うこととした。この運動
健康保険についての地方分権化をやってみては
を強力に推し進めるために皆様のご尽力によ
いかがと提案している。
り、一人でも多くの国民の皆様から署名を集め
ていただき、国民の切なる願いとして、国会に
恐らくこれから、断続的に厚生労働省との公
開討論を含む諸議論が進展していく。
成案し、初期の目的を達成する決意であります
いずれにせよ大きな課題が山積している。来
ので、格段のご支援を賜るようお願い申し上げ
年度は、診療報酬の改定、診療報酬のあり方そ
ます。
のものの見直し等がある。これらを含んだ課題
また、武見参議院議員より中央状況の報告を
を視野に入れながら、先生方のご支援ご指導を
含めた挨拶が行われた。概要については、次の
きちんと受けた形で西島先生共々、国会活動を
とおりである。
続けていきたい。
今、我々が取り組んでいる大きな課題の一つ
が介護保険制度の改革である。これは、障害者
引き続き、九州医師会連合会委員総会おいて
福祉というものとどのような形で介護保険制度
了承を得た宣言決議が朗読され、協議した結
を合併させるかという議論になっている。従来
果、宣言決議案は満場一致で原案どおり承認さ
の障害者福祉の支援費のあり方について、どの
れた。
ように整理するかも議論の中に含まれている。
最後に、次回開催担当県医師会長挨拶とし
その中で、西島参議院議員は、現場を充分理解
て、本会稲冨会長から「来る平成 17 年 11 月 19
し、特に、精神疾患の患者等に関わる問題につ
、那覇市の沖縄ハーバービ
日(土)
、20 日(日)
いては、他の国会議員を寄せ付けず、知識に基
ューホテルをメイン会場に開催する。
づき改革のためのあるべき方針についての提言
等をされている。
紺碧の青い空と海はきっと皆様の心を癒して
くれるものと思いますので、是非多数の方々に
また、厚生労働委員会を宮崎前参議院議員よ
ご来沖下さり、南国沖縄をご堪能賜りますよう
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沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
〈特別講演Ⅱ〉
ご案内申し上げます。」と挨拶した。
「企業の危険管理について(リスクマネージ
なお、総会に先立ち九州医師会医学会テーマ
講演として、下記のとおり特別講演が 2 題、ラ
メント)」
蛇川 忠暉氏
ンチョンセミナーが行われた。また、総会終了
後に文化講演 2 題が行われ、盛況のうちに終了
〈ランチョンセミナー〉
「女性専門外来と性差医療の現状について」
した。
天野 恵子氏
【九州医師会医学会テーマ講演】
【九州医師会医学会文化講演】
〈特別講演Ⅰ〉
〈特別講演Ⅰ〉
「若山牧水−旅と故郷−」
「米国における医療安全への取り組み」
廣瀬 輝夫氏
伊藤 一彦氏
〈特別講演Ⅱ〉
「法人化後の国立大学の展望」 住吉 昭信氏
印象記(第104回九州医師会医学会に参加して)
常任理事 友 寄 英 毅
植松治雄会長が九州医師会連合会の正式行事に出席されるのは、西島先生の参議院選挙の時を
除くと初めてである。激しい会長選挙の後で九医連への遠慮があるように思えてならなかったが、
現在の医療界の置かれた厳しい状況下では、会長が会員に遠慮をする余裕はない。会長には常に
強いリーダーシップを発揮して頂きたいと思う。
植松会長の特別講演「医療改革−日本医師会の考え方」は正当な力強い講演だったと思う。プ
ライマリ・ケアを重視し、基本的医療課題をクリアした上で、専門医を目指すべきだと云う内容
は納得しながら拝聴できた。話しぶりは率直、平明、実戦的であり、新会長としての情熱が伝わ
ってくる講演であった。
ランチョンセミナー「女性専門外来と性差医療」は初めて聞く医療の分野の話であった。発症
率や病態の性差に基づいた医療とともに、「初診 30 分」「症状を問わない」「女医が診療」「主治医
制」を謳い、心と体を総合的に相談できる場として意義を持つ。同じ疾患でも発症率が異なるも
の、病態が異なるもの、社会的な男女の地位と健康との関連などの研究を進め、診断と治療や予
防に反映することを目的とする医療改革である。本年 3 月現在全国に 250 以上の女性外来があり、
県内にも同様な施設が増えつつある。聴講後の雑談では、かつてのウーマンリブ的な女性だけの
学会にはならない方が良いと云う意見もあった。
特別講演は 4 題とも興味深いテーマであったが、個人的な好みで云えば、
「若山牧水−旅と故郷」
が最も楽しい講演であった。講演終了後、講師の伊藤一彦先生に「とても良い講演でした」とお
礼を申し上げてから、引用された牧水の短歌 65 首の中に私の好きな歌が入っていない不満をお伝
えしたところ、「これも大変良い歌です。この歌も入れておくべきでした」と云うご返事を頂いた
ので、安心して会場を後にした。
「石越ゆる水のまろみを眺めつつこころかなしも秋の渓間に」
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沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
印象記 植松日医会長の特別講演
「医療改革―日医の考え方」を聞いて
副会長 當 山 護
日本の医療界をリードする日本医師会植松治雄会長の御講演を 1 時間余にわたって拝聴した。講
演内容についてはすでに友寄常任理事が一言の誤りもなく、本文にて伝えての通りである。
それ故ここでは側面から感じた私なりの印象を記し、我々のリーダーの姿と講演内容を通じて
の問題を追記としておく。
恐らく、植松会長が平成 16 年 4 月の日医会長就任後、今回、初めて九州を訪れ講演なさったの
ではないかと推測する。私自身は世界医師会東京総会で外国人医師へ向けてのお話は伺いしたし、
会長就任当時の所信表明はすでに承っている所ではある。
然し、一般会員、取り分け九州医師会、医師会関係者へのお話、即ち会長自身から直接的に訴
える場はこれまでなかったのである。お忙しい要職におられる方であるが、世間の雀は日医会長
選のしこりを噂する向きもあった。その点、今回の御講演は一部の噂を払拭し、素晴らしい講演
内容と共にひとつの価値があったと云ってよい。
お話ぶりは実に朴訥と実直さが滲み出ており、坪井前会長の日医が理想像を訴え語るプレース
タイルとは趣を異にした。
特に国民の信頼を得るには医療の安全性と生涯教育がもっとも大切だとし、プライマリ・ケア
ーを含めた医療の提供体制再構築へ向けてのお話などは植松執行部の屋代である事がうがい知れ
た。
小泉内閣の推し進める医療改革に関しても外食産業のハンバーグと医療とは違うと強調され、
しっかりした日医の理論構築をもって国民と共に歩んでいきたいと結ばれた。
平成 17 年度、九州医師会、医学会は沖縄県医師会が担当である。すでに 11 月 20 日(日)に植
松会長には講演をお願いしている所であり、1 年後、この続きを沖縄の地(ハーバービューホテ
ル)でお聞きしたいと今から心待ちにしている。
第8回沖縄県医師会県民公開講座
「ゆらぐ健康長寿おきなわ」
沖縄の肥満 ∼子供の肥満・大人の肥満∼
日 時 平成17年2月26日(土)13:30∼15:30
場 所 ロワジールホテルオキナワ(天妃の間)
司 会 當山 護(沖縄県医師会副会長)
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沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
九州医師会連合会第 266 回常任委員会(報告)
会 長 稲 冨 洋 明
九医連第266回常任委員会
みだし常任委員会が平成 16 年 10 月 15 日(金)
・ 臨時委員総会への来賓出席予定者
午後 3 時から城山観光ホテル(鹿児島)で開催
植松治雄日本医師会長
された。
武見敬三参議院議員
西島英利参議院議員
始めに秦九州医師会連合会長より、鹿児島県
医師会のお世話を得て常任委員会を開催するこ
とについてお礼があり、早速報告・協議に移っ
協 議
た。
1) 第 268 回常任委員会及び第 2 回各種協議会
報 告
( 1 月 22 日(土)宮崎市)の開催について
1) 九州医師会連合会総会・医学会及び関連行
(宮崎)
みだし常任委員会を平成 17 年 1 月 22 日、午後
事について(宮崎)
来る 10 月 29 日から 10 月 31 日に宮崎県で開催
3 時から宮崎観光ホテルで開催することに決定
される九州医師会連合会総会・医学会及び関連
した。協議会開催種目については、後ほど各県
諸行事について、開催日程並びに内容等につい
へ照会することになった。
て説明があった。
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沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
2) 日本医師会「国民皆保険制度を守る国民運
3) 西島英利参議院議員への九州地区での支援
動」について(宮崎・長崎・佐賀)
体制について(福岡)
現在、小泉内閣の混合診療解禁の推進表明を
現在、日医連から西島先生が活発な政治活動
受けて、日本医師会から混合診療解禁に反対し
を行うためにも支援していただきたいとの案内
国民皆保険制度維持を訴える国民運動を展開す
が各県へ届いているが、西島先生の活動を強力
るよう、各都道府県医師会並びに郡市医師会に
に支援すべく各県で「英仁会」の支部組織を立
要請がなされている。
ち上げ、積極的に入会を図っていただきとの要
みだし国民運動の推進について、宮崎、長
崎、佐賀県より①医療推進協議会の設置並びに
望がなされた。結果、各県で検討し進めていく
ことになった。
形態、②協議会の構成団体、③集会の開催並び
に開催方法、④署名活動の対応、⑤その他独自
4) その他
の活動等についてご教示頂きたい旨提案があ
①九州各県・政令指定都市保健医療福祉主管部
り、意見交換、協議が持たれた。
局長及び九州各県医師会長合同会議の当番に
○医療推進協議会の設置並びに形態等に関して
ついて(鹿児島)
は、大半が各県に組織された保健医療関係団
先般の常任委員会に引き続き提案された。み
体並びに 4 師会を中心に説明、協力をお願い
だし会議を進める上で、同会議の開催を担当す
していきたいとの方針が示され、本会からは
る医師会と九州医師会連合会を担当する県が異
日医の例に倣い医療推進協議会の名簿づくり
なり、運営上一部不都合を生じることから、同
を進めていることについて説明した。
部局長との合同会議の開催に関する事務は、今
○集会の開催については、福岡県では 4 ブロッ
後開催担当県が行うことになった。
クに分けて開催する予定にしており、鹿児島
では県民向けのセミナー、佐賀県では健康セ
②医師会勤務医部会連絡協議会への参加依頼に
ついて(熊本)
ミナーの場を活用して説明すること等が紹介
九州各県からの参加協力方についてお願いがあ
された。
った。(申込者 332 名)
○署名活動は各県実施する方針である。
結果、同「国民運動」の推進については、各
県単位でそれぞれ進めていくことが確認された。
閉 会
−27(27)
−
沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
平成 16 年度(第 26 回)九州各県・政令指定
都市保健医療福祉主管部局長及び
九州各県医師会長合同会議(報告)
∼九州各県の県立病院の問題、現状について∼
会 長 稲 冨 洋 明
九州各県医師会長合同会議
みだし合同会議が去る 10 月 15 日(土)午後 4
田坂九州厚生局長挨拶
日頃、保健、医療、福祉行政の推進にご尽力
時から城山観光ホテルで鹿児島県医師会の担当
いただいていることについてお礼があり、九州
により開催された。
同合同会議は、九州管内における保健・医
厚生局の事業概要の説明に続き、トピックスと
療・福祉に関わる諸問題について、行政と医師
して①卒後臨床研修制度②心身喪失等医療観察
会が意見交換を行う場として毎年 1 回開催され
法③三位一体改革の問題について述べられ、特
ている。
に心神喪失等医療観察法については次のとおり
はじめに、今回担当の橋口鹿児島県医師会常
コメントがあった。
任理事より開会の辞があり、秦九州医師会連合
「心神喪失等の状態で、重大な他害行為を行
会長並びに開催地を代表して鹿児島県知事(和
った者に対して適正な医療を提供して病状の改
田出納長代読)から、それぞれ挨拶があり、続
善、或いは社会復帰を促進することを目的とし
いて田坂厚生労働省九州厚生局長より来賓挨拶
た法律で、同法律が、昨年制定され施行が来年
を頂いた。
7 月に迫っている。全国ブロックごとに国立病
院機構の病院が受け皿作りを進め、各県におい
てもその受け皿作りを進めているところであ
り、社会的必要性に鑑み前向きにご検討いただ
きたい。」
−28(28)
−
沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
引き続いて、慣例に従い座長に秦九州医師会
けて作業を進める。
連合会長を選出し議事が進められた。以下、議
事概要等について報告する。
各県の状況
議事
その他、各県の県立病院のあり方に関する状
(1)県立病院問題について九州各県(特に福岡
況として、佐賀県は今後「地方公営企業法の全
県)の現状について(鹿児島県医師会)
部適用」や「地方独立行政法人化」など運営形
米盛会長より提案理由の説明があり協議が行
態の見直しについて検討を行う必要があるとし
われた。
ている。
「福岡県では、県立病院が移譲されると聞い
宮崎県、鹿児島県は「あり方検討委員会」を
ているが、その背景と現状についてお伺いした
設置し、現在検討が進められている。又、熊本
い。併せて九州各県の現状についてもお伺いし
県では経営改善計画が策定され経営収支の健全
たい。」
化に取り組んでいる。
福岡県
大分県では平成 18 年 4 月から「地方公営企業
県立病院改革に至った背景として、医療機能
面から県内の医療提供体制の充足度が質、量と
法」の全部適用に向け準備が進められている状
況にある。
もに高まるにつれ、県立病院としての存在意義
福岡県以外で、具体的に改善への取り組み作
や役割が希薄化した。また、経営面から恒常的
業が行われているのは長崎県と沖縄県である。
な赤字の収支構造にあり、不良債権や長期借入
長崎県では平成 16 年 4 月から「地方公営企業
金などの深刻な問題を抱えていた。
法」を全部適用し、知事部局から独立した病院
このため、県直営での改革は困難と判断し、
局として経営健全化に取り組みがなされてい
「県立病院改革(移譲及び公設民営化)に関す
る。3 つの県立病院のうち、成人病センター多
る計画」を策定し、次の基本方針に基づいて県
良見病院は平成 17 年 4 月 1 日に日本赤十字社へ
立病院改革を行うことにした。
移譲することにしている。
[基本方針]
沖縄県の状況については、平成 15 年 1 月に
・法により県に設置義務がある太宰府病院は公
「県立病院のあり方検討委員会」を設置。同委
設民営化、一般医療を行う他の病院は移譲。
員会からの提言として県立 7 病院のうち、県立
・平成 17 年 4 月に朝倉病院、遠賀病院の移譲。
南部病院に関しては、その機能が他の医療機関
太宰府病院の公設民営化を先行して実施。柳
で代替可能な状況になっていること等から、廃
川病院、嘉穂病院は先行病院の改革状況等を
止や経営移譲の方向で検討すべきとして、今年
勘案し、移譲時期を決定する。
度中に方向性を決定し実施方策をまとめる予定
[改革の現状]
である旨説明が行われた。
・平成 16 年 9 月、移譲先、指定管理者の選定
※当日の添付資料(表 1 参照)
(内定)
「九州各県の県立病院の現状」について(平
成 14 年度)
移譲先 朝倉病院
社団法人 甘木朝倉医師会
遠賀病院
次回開催地の選定
社団法人 遠賀中間医師会
指定管理者 大宰府病院
次回開催地は宮崎県行政に決定し、葛西福祉
保健部次長より挨拶があった。
財団法人 医療・介護・教育
研究財団
九州厚生局からの情報提供
・今後、平成 17 年 4 月の移譲、公設民営化に向
−29(29)
−
田坂九州厚生局長より「臨床研修制度と地域
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報 告
医療」について説明並びに提案があった。
トの活用、リーフレットの配布等地域に根ざ
①地域に根ざした情報提供の必要性について
した情報提供を行う必要性が考えられる。
初期臨床研修を受けている医師が 2 年後ど
うなるのか不安を頂くところが出てきてい
③情報提供体制(案)について
・九州館内で県単位に実施することを検討して
いく必要がある。
る。初期臨床研修を終了した医師が、更に後
期臨床研修を希望した場合、研修病院、研修
・情報提供は説明会或いはインターネット、リ
ーフレットを用いる。
プログラムに関する十分な情報を得るシステ
ムがないので、適切な情報を提供していくこ
・本件は制度化の問題ではなく九州管内におけ
る自主的な対策として提案し、今後各県別に
とが地域医療の観点から望ましい。
調整させていただきたい。
②臨床研修医を対象にした説明会の開催
上記の方策として、行政、医師会、大学医
学部及び研修病院が研修医を対象として「後
閉会
期臨床研修」に関する説明会やインターネッ
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沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
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第 2 回「指導医のための教育ワークショップ」
∼指導医の不安から、研修医と共に学ぶ自信への二日間∼
常任理事 安 里 哲 好
講師の山城清二先生
基調講演・プレナリーレクチャー風景
行う)の機会が増えてくるものと思われる。
第 2 回沖縄県医師会臨床研修・臨床実習[指
導医のためのワークショップ]が、平成 16 年 10
研修医や医学生の教育に携わる会員は指導医
月 23 ・ 24 日(一泊二日)の日程で残波ロイヤ
としての教育能力(教育原理と教育手法およ
ルホテルにて開催された。
び診療現場における実際的指導法・評価法)
を身につけることが必要である。
2) 各々の診療(所)現場に即した、研修カリ
趣旨として、
1) 新しい臨床研修制度下でプライマリ・ケア
キュラムの作成の一助となり、かつ、可能な
重視の方針が明確に打ち出され、地域保健・
ら県医師会が中心となり、地域保健・医療に
医療における研修の必修化に伴い、診療所医
関する標準的研修カリキュラムを作成するこ
師による研修医の指導が求められることにな
とが望まれる。
った。加えて、医学部教育の一環としての卒
3) 指導医同士がネットワークを形成し、自信
前実習(医学生が地域の診療所で臨床実習を
を持って標準的指導ができるよう、課題と問
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沖縄医報 Vol.41 No.1
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ロールプレイ風景
題点を分析し解決していくための交流の基点
印象記として、
とする。
30 名(診療所 10 名、協力型研修病院・研修
4) テーマは、①カリキュラムプランニング
協力施設 9 名、管理型研修病院 8 名、大学病院 3
(研修プログラムの立案)、②地域保健・医療、
名)の方々が参加して、朝の 9 時半から夜の 9
③新たな医師臨床研修制度、④プライマリ・
時まで、次の日は朝の 8 時より午後の 4 時 30 分
ケアの基本的診療能力、⑤医療面接で、主な
までの二日間の強行スケジュールにもかかわら
る目標(一般目標)は研修医に対して適切な
ず、最後までタフで充実した時間を積極的にグ
医学教育―とりわけ「地域保健・医療」の教
ループワークがなされた。昨年に比べ、土曜日
育を推進するために、教育への関心を深め、
の午前から開始したのか、なれてきたのか、プ
望ましいカリキュウラムを理解し、実践する
ログラムにおける時間配分やミニレクチャー、
能力を身につける。
プレナリ・レクチャー、基調講演や特別講演は
充実しわかりやすい感じがした。特に富山医科
薬科大学総合診療部山城清二先生の基調講演
(プライマリ・ケアの専門性と卒後教育の現状)
は「プライマリ・ケアとは」とか「プライマ
リ・ケアの 5 つの理念」について話され、アメ
リカの家庭医やイギリスの GP, カナダの総合内
科学(GIM)について述べ、加えて日本におけ
る総合診療部の歴史と現状について話されすご
く理解しやすかった。厚生省主導の家庭医構想
に日本医師会との調整がつかず、日医は「家庭
医」より「かかりつけ医」を提唱、大学医学部
や総合病院では家庭医医療科の代わりに総合診
グループ作業風景
療部・科を設置するようになったとのこと。
−33(33)
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沖縄医報 Vol.41 No.1
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報 告
模擬患者風景
「プライマリ・ケア」とは患者さんが最初に接
する医療の段階で一般医・家庭医(プライマ
記を 2 名の人が提出する。その後、GW2 へと進
む。
リ・ケア医)がその任にあたると説明してお
GW2 では、A ∼ D の 4 つのグルプがそれぞれ
り、かかりつけ医もその任にあろうが、未だそ
のテーマと一般目標の作成に取り組み、短期間
の位置づけが混沌としている。
で以下のような素晴らしいテーマと目標が提示
参加者にとってはすべてが新しい知識で、鮮
された。 A :テーマ「自己能力と自己責任」、
烈なる経験であっただろうと推測する。初日の
一般目標「自立して患者を診ることが出来るた
午後の「ワークショップとは」に引き続き Ice-
めに、一人で学習できる技術を持ち、診療所の
braking までは心地よい感じであったと思われ
特性を理解したうえで、主治医として責任を持
る。 GW (グループワーク) 1 では「診療所に
てる力を身につける」
。B :テーマ「コミュニケ
おけるプライマリ・ケア卒後教育について」の
ーション」、一般目標「研修医は、良好な医師
KJ 法を用いたグループ作業であった。GW での
―患者関係を構築するために、患者の特性を理
司会・記録係、検討した結果を発表する担当を
解し患者のおかれている状況を思いやるための
決めて、静かなグループワークが始まり、記入
もゆっくり、紙(文殊)に向かってじっと考え
る人も居れば、さっと書く人も居る。そして、
三人が記入したら文殊を引き剥ぎ次に進む、雑
多なそれでいて重要な多くの諸問題を何十と集
める。それらをグループ分けし、その中から、
いくつかの重要なテーマを抽出する。それに至
った過程とその重要性について全体の前で担当
者が発表する。最初の頃の質問は 0 ∼ 1 名程度
だが、進んでくると質問の嵐になる(少なくと
も 5 ∼ 6 名より質問される)、グループの仲間も
必死にサポートする。加えて、全体討議の印象
−34(34)
−
研修医
沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
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医療面接の技能を修得する」。 C :テーマ「患
2 日目の昼食前に、武田裕子先生による「研
者対応」、一般目標「研修医が患者様とのより
修医指導に役立つ教育技法」のミニレクチャー
良い関係を作るために性格、生活習慣などの患
の後、参加者が最初は良い指導医と研修医の役
者背景に考慮したコミュニケーションの技法に
を演じ、次に望ましくない指導医と研修医の役
ついて習得する」。 D :テーマ「診療所の運営
を演じた。午後から、「医療面接とその指導法」
と経営」、一般目標「研修医が診療所の運営と
のロールプレーが行われた。参加者 30 名が 5 グ
経営を理解するために保険診療の実際を学びチ
ループに別れ、 5 名の研修医と 5 名の模擬患者
ーム医療の一員としてコメディカルスタッフと
(ボランティア)の協力のもとに行われた。こ
こでも、指導医役がおり、ロールプレー後のグ
ともに地域の完結型の医療を習得する」。
理解が難しいと思われた GW3 (昨年は十分
ループ内での討議の司会がおり、要約する人が
に理解されないままに進んだ傾向があったので
おり、全体討議で発表する人がいる。ロールプ
2 日に分けた)の「カリキュウラムの作成と方
レー時の吐息が聞こえるほど近くに接し、一言
略」は行動目標を達成するための学習方略に基
も聞き漏らさないと皆が真剣である。全体討議
づいて 1 ∼ 4 週間のスケジュールがきちっと立
の中で、より臨床現場に即したロールプレーに
案され、発表も充実しており、質疑応答も活発
は多くの意見が出され、指導医として十分な力
であった。今回の初日は夕食の時間も比較的十
量と優しさを持ち効果的に指導されていたと述
分にとって、午後 9 時ごろに終了したが、その
べていた。
後もグループ別に部屋や懇親会会場でテーブル
模擬患者として協力して頂いたボランティア
を並べ、グラス片手にグループワークとしての
の方も研修医の育成にこれ程熱心なされている
ディスカションを続け、実際に皆なで懇親の時
ことを見て感動し、研修医が先に診察しその
間を持ったのは 10 時過ぎてからであった。多く
後、指導医が指導しながらの診察をされると更
の方が参加され夜遅くまで、研修医の指導、医
に安心だと述べていた。協力頂いた研修医の一
療現場のことや人生相談も含め色々な話がなさ
人は、沖縄は医師卒後研修で有名ですが、診療
れ、交流を深めた一夜であった。
所の先生方がこれ程誠心誠意情熱を込めて、丁
GW4 は評価の作成で全体講義も素晴らしか
寧に指導していただけるなんて素晴らしく、そ
つたし、皆が多くの、かつ何度も確認しつつデ
の理由が良く解りましたと述べていた。今回、
ィスカションをして統一見解をだされ、皆が同
チーフ・タスクフォースをしていただいた山城
程度に理解し一気に模草子に書き上げ、発表し
清二先生は沖縄県の「指導医のワークショッ
ていた。
プ」はオリジナルでかつ内容が充実していて全
GW5 は「診療所における研修医教育の問題
国のモデルケースになりますねと話されてい
点と対策」について KJ 法と二次元展開法を用
た。昨年は「愛と情熱を持って」研修医の指導
いて行うことであるが一番燃えたコーナーであ
をと言う結論であったが、今年は「研修医と共
った。そろそろ慣れてきたこと、グループがチ
に学ぶ」と言う気持ちが強く現われた 2 日間で
ーム(仲間)と言う意識に変わり自由に意見の
あった。17 年度も診療所の先生を中心に「指導
交流がなされ、そして課題が解りやすかった点
医のための教育ワークショップ」を計画してお
であろう。問題点は各グループについて、A :
り、添付したワークショップ・プログラムを参
「患者の対応」
、B :「指導体制」
、C :「指導医
照いただき、多くの会員の参加を切に希望する
の不安」、 D :「指導医の時間の問題」等であ
と同時に、皆で若き医師たちを育成して行こう
った。対策については、後日の報告書をご参照
ではありませんか。
いただきたい。
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報 告
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報 告
後列左より本村和久先生、湧波満先生、仲本昌一先生、安谷正先生
前列左より武田裕子先生、講師の山城清二先生、小生(安里哲好)
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沖縄医報 Vol.41 No.1
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当日のワークショップに参加された先生方の
した。最初の挨拶でどの先生も、「みなさんが
中から、3 名の先生に参加しての感想をご寄稿
主役でありタスクフォースはみなさんの学習の
いただきましたので、以下に掲載いたします。
お手伝いです」というようなことをおっしゃっ
て下さり、とても親近感がわきうれしくなりま
した。私たちの指導は大変だったと思います
が、実りあるアドバイスを下さりありがとうご
指導医のための教育ワーク
ショップに参加して
ざいました。
さて今回、忘れられない出来事がありまし
た。打ち解けるために全員輪になって自己紹介
徳山クリニック
藤 本 奈央子
をするアイスブレーキングというものがありま
したが、その 5 分前に悪夢がおこりました。ど
ういうわけか、私の左の鼻から無情にも鼻○
最初に合宿形式と聞いた時には、懐かしい学
(赤いもの)が出てきたのです。5 分で止まるは
生時代のサークル合宿を思い出しましたが、今
ずもなく、恥ずかしながら、ハンカチで顔を抑
回それと大きくちがったことは、「とても頭を
えながらの自己紹介となってしまいました。ア
使ったこと」でした。課題は「カリキュラムプ
イスブレーキングでは、 30 秒間に名前、所属
ランニング」でした。あまりなじみのない言葉
と、「うれしかったこと」「悲しかったこと」
に、思わず大学で講義を受けていた学生時代を
「びっくりしたこと」「怖かったこと」を何かひ
思い出し、一番心配になったことは「居眠りし
とつ盛り込むことになっていました。もちろん
てしまわないだろうか」ということでした。資
異様な姿の私は「びっくりしたこと」で鼻○が
料をみると、KJ 法だのタキソノミーだの聞きな
でていることを白状し、爆笑を買ってしまった
れない言葉があり、ますます不安になりまし
のでした。情けないやら恥ずかしいやらでした
た。しかし、今回は「講義」ではなく、「ワー
が、みなさんの優しさのおかげで笑いをとるこ
クショップ」でありました。頭も使うが体も使
とができました。その後も次の日も、「もう止
い、考えを創造しまとめていく、まったく新し
まった?」といろんな方から声をかけてもらえ
い手法による学習で、気がつくと居眠りなどし
て、「人間万事塞翁が馬」を実感したのでした。
ている暇はなく、あの聞きなれなかった KJ 法
皆さんのスピーチもおもしろいものばかりでし
だのタキソノミーだのが、どんなものだとわか
た。
る仕掛けになっていました。その仕掛けのカギ
余談ですが、学生時代の合宿と大きく違った
はグループワークでした。グループのメンバー
ことがもう一つ。それはとても豪華でおいしい
はあらかじめ組まれており、テーマごとに、司
食事がついていたことです。時間は限られてい
会者、記録者、発表者の役割が全員にまわって
ましたが、デザートまでしっかり堪能させてい
くるように工夫されていました。初対面の先生
ただきました。
も多かったのですが、時間制限があること、役
さて、近い将来、実際に私たちのクリニック
割があること、発表しなければならないこと
でも研修医の先生方を受け入れることになるか
で、遠慮している暇はなく、聞きなれなかった
もしれません。ロールプレイの時に来てくれた
手法を実際に用いながらなんとかまとめ上げ、
本物の研修医の先生方は、みんなとても優秀で
いつしかメンバー間に気心の知れた雰囲気も生
した。最近の卒前教育では、 OSCE (オスキ
まれていて、おもしろい学習でした。この作業
ー)という方法で行われる患者対応の実技試験
を指導してくださったタスクフォースの先生方
をパスしてくるとのこと、さすがに話を聞く態
は、私たち以上に懸命に取り組んでくださいま
度がとてもよかったです。こういう先生方が私
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たちのクリニックに来てくれたらうれしいと思
る。『診療所におけるプライマリーケアについ
います。逆にこちらが教えてもらうこともきっ
て』という題で 4 グループに分かれ討議が始ま
と多いでしょう。また、新しい出会いの楽しみ
った。思いついた事をカードに書いていくので
が増え、他の病院とのパイプも増えるだろうと
ある。 KJ 法、川喜多二郎氏の考案による小集
期待しています。ちゃんと満足のいく研修をさ
団で思考をまとめる方法とのこと。私が 5 枚書
せてあげられるかどうか不安ですが、一緒にが
いたころ早いメンバーは 20 枚書いている。大き
んばっていくことができたらうれしいと思いま
な模造紙に分類しながら貼っていく。司会、記
す。
録、報告者と分担され 50 分後にどうにか出来
2 日間の研修はあっという間でしたが、とて
上がった。各グループが集まり発表する場に移
も充実した内容でした。とくに今回教えていた
動した。毎回我がグループは早かった。どうや
だいた研修医指導方法は、職場のあらゆる部署
ら宜野湾記念病院の今山先生、武内整形の先生
での先輩から後輩への指導、部署間のコミュニ
がリーダーシップを発揮していた様だった。出
ケーション、はたまた家庭内でも役立ちそうな
来上がりは問わないとして早く出来るのは気持
もので、受けに行ってよかったと思いました。
ちのいいものであった。
お忙しい中準備してくださった先生方、本当に
富山医科薬科大学の山城清二教授のご講演が
どうもありがとうございました。参加された先
あった。先生は各セクションで最適なアドバイ
生方、本当にお疲れ様でした。
スをなさって下さった。中部病院研修後、ハー
バード大学に留学した先生のお話に深い感銘を
受けた。紙上で感想を書くより、先生方が直か
にお話を聞いていただきたいので割愛させてい
「指導医のための教育ワーク
ショップ」に参加して
ただく。研修医指導に役立つ教育技法として、
琉大の武田裕子先生の講演があり、医学面接と
指導法を教わった。3 年前から基本的臨床技能
いとむクリニック
呉 屋 五十六
や態度を臨床実習前に学習し評価していると話
された。身だしなみ、言葉遣い、患者さんへの
敬意が感じられる態度、患者さんとの良好な共
土曜日で患者さんに悪いと思いながら結果的
に得る事が多かった。残波ロイヤルホテルに朝
感的コミュニケーションをとっていく事を話さ
れた。
9 時半集合。30 名の先生が参加した。指導スタ
さて、2 年目の研修医がボランティアの模擬
ッフは 12 名であった。大変な集まりと聞いて緊
患者 40 歳・仮名 松田恵子さんを相手に問診
張していた。自己紹介が始まった。何を話した
を始める。場面設定は内科クリニック初診。主
かあまり覚えていない。集まりはカジュアルな
訴は頭痛。近所の人で頭が痛いと訴え数日後に
服装とパンフレットにあったが、お一人「事前
脳出血で入院された。自分も心配になり受診し
に読んでませんでした。」と反省の弁に湧いた。
たとの事。痛みの様子、何分くらい続くのか前
ワークショップの説明が始まった。英語が多
兆を丁寧に聞いていく。患者さんと目線を合わ
い。なぜ英語が多いのですかと質問が出され
せ優しく問い直しながら聞いていく。検査の希
た。この医療改革は、15 年前にカナダ・アメリ
望は等々、医療人として必要な基本的姿勢態
カの医学部から始まって日本に新しい学問のた
度、患者さんへのマナーが出来ている。グルー
めと答えがあった。ワークショップは参加者が
プとして指導できる事はほとんど無かった。逆
意見を出し合い、討論討議により新しいものを
に研修医の先生から患者さんへの接し方を学ん
作り出す協同作業、グループ学習との事であ
だ。多くの先生方の感想も指導医を目指す者が
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研修医に指導を受けた方がいいという話が出た
Resources, SP, Formative Evaluation,
程であった。今回のワークショップに参加し
Summative Evaluation, Blue Print, OSCE,
て、明日からの診療に生かせると喜んだ。
Key Validation 等である。初めて接するこれら
30 年前に卒業し今の時代との大きなギャップ
の用語は何のことかよく分からぬが、これから
を直かに感じた。昔はお医者様、今は患者様の
もよく使われるので憶えておくとよいと勧めら
時代である。私は言葉遣い、診察態度を自己反
れた。2 日間にわたり、説明を受けながら実践
省し苦しかったが実り多きセミナーを終えた。
していると、おぼろげながらその意味するもの
スタッフ、研修医、5 名の模擬患者ボランティ
の素晴らしさに気づいて来る。それを端的に表
アに感謝致します。
現する言葉を知らないが、私の体験の中では、
インターネット実技を医療界で初めて体験した
1995 年の松山市での医療情報システム連絡協
議会での驚きに満ちた素晴らしい目の覚めるよ
「指導医のための教育ワーク
ショップ」に参加して
うな感動にも似たようなものがあった。
2 日間のワークショップのプログラムは別に
三原内科クリニック
喜久村 徳 清
紹介されると思うが、ミニレクチャーの後、頭
を柔軟に、発想し易い様にする Ice-braking, そ
して KJ 法, 二次元展開法を用いて GW1 、「診療
川喜田二郎氏の開発した KJ 法、brain storm-
所におけるプライマリ・ケア卒後教育」が始ま
ing には以前より興味をもっていたし、その手
る。 30 名の参加者を 4 グループに分け、(なる
法を用いた Group
work を行うとのことでし
べく知らない者同士に分けて、互いに上下関係
たので参加申し込みをした。第 1 回目は昨年 3
なく、平等に発言できるように、先生ではなく
月 6 日、7 日に行われ、その概要が本誌 4 月号に
さん 付けで名前も呼ぶようにし)自由に何でも
掲載されているが、そのパニック的な体験談に
言える雰囲気造りをする。グループは各々に司
接して、不安感をもちながらの参加となりまし
会者、記録者、発表者を決めて、1 つの目標に
た。しかし、今回、無事ハードな 2 日間の work
向かって知恵を出しあい、それをまた、皆で整
shop を終えて、最終日に総括されたチーフタ
理しながら 1 つの成果(プロダクト)を出して
スクフォースの山城清二富山医科薬科大学教授
いく。KJ 法の手法はアイディアをカードに書き
から、「平成 15 年から数えて、沖縄では 4 回目
込み、それを隣の人に手渡し、それから連想さ
の開催になるが、回を重ねる毎に進歩がみられ
れる言葉を受けとった人が書き込み、次々と隣
る。沖縄県は卒後臨床教育の面でも全国的に進
の人に渡して書き込んでいく。そして、出来上
んでおり、注目されている。」とのお誉めのお
がったカードの中で似たもの同士を集め、さら
言葉を頂き、嬉しくなった。今回、本医師会報
に重要度と緊急度の程度別に分けていき、それ
に感想文を求められたので、幾つか後学のため
から全体を概観して全カードに共通するテーマ
に記しておきたい。
になる言葉を決めていく。いちどきに大脳皮質
●
●
の異なる全ての機能、右脳も左脳も駆使してア
本ワークショップに用いられた教育法は、米
イディアを出していく。
国カナダに源を発する科学的な方法が用いら
れ、やたらと横文字(ローマ字、略号も含む)
が頻用された。例えば、 WS, TF, DI, SGD,
小生の属するグループのテーマは「患者応
対」に決まった。
GIO, SBOs, Taronomy, Three Domains, LS,
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沖縄医報 Vol.41 No.1
2005
報 告
一般目標 GIO は「研修医が患者様とのよりよ
目標の作成」、GW3 「カリキュラムの作成と達
い関係をつくるために、性格、生活習慣等の患
成 の た め の 工 夫 」、 G W 4 「 評 価 表 の 作 成 」、
者背景について配慮したコミュニケーションの
GW5 「診療所における研修医教育の問題点と
技法を修得すること」が KJ 法によって出来上
対応策」が行われた。
がった。それを実現するための具体的な行動目
標 SBOs は、
武田裕子チーフタスクフォースによる ML
①患者様の性格や行動様式(パターンの変容)
「研修医指導に役立つ教育技法」は、
Educational biopsy, Think out aloud, 批判のサ
について列挙できる(想起)
②患者様、医師関係のあり方について列挙する
ンドウィッチなど、研修医指導のみならず一般
ことができる(知識、想起)
的な教育技法、成人学習、コミュニケーショ
(例:インフォームド・コンセント、パター
ン、人間関係、問題解決等に役立つ原理原則を
ナリズム)
コンパクトに紹介したもので、示唆に富み大い
③プライバシーへの配慮をする(態度)
に啓発された。そして、それに続く「ロールプ
④患者様の目線にあわせて、話を聞く(態度)
レイを用いた医療面接とその指導法」は、実際
⑤患者様の背景について情報収集できる(技術)
の研修医と患者様のボランティアが模擬患者シ
⑥病状についてわかりやすく説明できる(技術)
ナリオに沿って場面設定された診療を演じ、そ
⑦治療のすすめ方について合意を得ることがで
れを指導医が指導する場面を見てグループで意
見、感想を述べ合い、あるべき指導法を体得す
きる(技術)
等々、10 項目(一部省略)ができ上がった。因
るプログラムであった。立場が違えばこれほど
みに他の 3 グループのテーマは「自己能力と自
までに異なった意見が出るのかと、勉強になっ
己責任」、「コミュニケーション」、「診療所の運
たが、紙面の都合上割愛します。
営と経営」等々ができ上がり各々全体討議で詳
2 日間のハードなスケジュールをこなし、全
細が披露された。
員が心地よい疲労感と、満足感に満たされて終
「診療所の運営と経営」のテーマを発表した
了した。総括、各人のコメントには新鮮な体験
グループで、KJ 法による最初のアイディアを書
をした、今後、診療、コミュニケーション等に
き留めたカードの中に「掃除の仕事」というの
も役立て利用できるとの発表が多かった。「教
があった。研修医に掃除を教えるのかと、爆笑
えることは、学ぶことでもあり、その相互作用
が起こった。掃除は、毎朝規則正しく行ってい
でレベルを上げていきたい」、「医師が生涯教育
るとしつけの面でいいという意見が出て、清潔
の一環として体得するのもいい」等々の発言が
にすること、院内感染を防ぐことで重要な面が
相次いだ。
あるとの発言も出た。どんなアイディアも没に
せず議論していくことに GW の良さがあり、誰
「4 回の開催を通じて、レベルが上がってき
でも思いつく同じアイディアより、突拍子もな
た」という山城教授の指摘は、計画、運営に携
いアイディア(孤独なカードと KJ 法では呼ぶ)
わったタスクファース、ボランティア、参加者
こそ重要で、大切にする必要があるという説明
の皆さんのことであった。これからも回を重ね
があった。
て開催されるとのことなので、皆様方もこれか
らは参加しませんか。以前に誰もが経験したイ
同様な作業工程で 2 日間にわたり GW2「研修
ンターネット講習会を受けるような感覚で―。
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沖縄医報 Vol.41 No.1
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報 告
平成 16 年度 第 3 回福祉保健部・県医師会連絡会議
副会長 宮 城 信 雄
ついては、この度の三位一体改革による沖縄
去る 10 月 14 日(木)、沖縄県福祉保健部にお
県の福祉保健部関連の補助金削減内容並びに、
いて標記会議を開催したので報告する。
会議に先立ち、本会の稲冨会長から稲福部長
に対し、この度、地方六団体が取りまとめた
今後の対応等、福祉保健部の見解をお尋ねした
い。
「三位一体改革」についての稲嶺知事宛の陳情
書を手渡し、県民の医療福祉、向上のための善
【福祉保健部の回答】
比嘉福祉保健企画課長から、概ね以下の通り
処方を要望した。
回答があった。
全国知事会等地方六団体から国に提出された
議 題
冒頭、稲福部長から、去る 9 月 1 日付で厚生
「国庫補助負担金等に関する改革案」の中に、
労働省から福祉保健部参事に着任された小河参
廃止対象補助金として医療施設運営費等補助
事の紹介があった。
金、地域医療対策費等補助金、医療施設等設備
整備補助金、歯科保健医療事業補助金、疾病予
(1)三位一体改革にかかる福祉保健部の見解に
防対策事業補助金、保健衛生施設整備費補助
金等の保健医療に係る補助金が含まれている。
ついて(県医師会提案)
但し、同改革案には、補助金等の廃止の前提
當山副会長より、以下のとおり提案趣旨の説
として、
明があった。
本件については既にマスコミでも取り沙汰さ
①「税源移譲額が国庫補助負担金廃止に伴い財
れており、また、先程稲冨会長から知事宛に要
源措置すべき額に満たない地方公共団体につ
望のとおりであり、県民の医療を預かる団体と
いては、地方交付税の算定等を通じて確実に
して些か不安である。
財源措置なされるべきであること」
三位一体改革について、地方分権改革により、
②「税源の乏しい離島などの地方公共団体にお
地方公共団体の自己決定、自己責任の幅を拡大
いても、安定的な財政運営が可能となるよ
し、地方独自の特性を活かした施策を展開する
う、地方交付税上、特段の必要があること」
ことは重要かつ不可欠なものと認識しているが、
③特定地域において講じられている補助制度等
この度、地方六団体が取りまとめた改革案は、
各種の特例措置については、補助率の嵩上げ
元来、国が責任を持って対応すべき「国民の健
相当額を地方財源として移譲し、地方交付税
康と生命を守る」社会保障関係費の削減移譲
等により、適切に財源措置が講じられる必要
があること」などが含まれている。
(救急医療、へき地医療対策、感染症対策、医療
関係者養成確保等)が含まれている。これらの
県としては、これらの意見を踏まえ、保健医
施策に国の関与がなくなると、地域格差の解消
療施策の推進に支障が生じないよう地方六団体
がますます困難となり、特に、離島県である本
と共に明確かつ確実な財源措置が行われるよう
県はその大きなしわ寄せを県民に押し付けられ
国に強く求めていく事にしている。
るのではないかと懸念するところである。
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沖縄医報 Vol.41 No.1
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報 告
また、福祉保健部としては、これら三位一体
○医師会
改革が実施された場合であっても、必要な県予
福祉保健部として、次年度の予算編成はど
算の確保に努めて行きたいと考えている。
のように臨むつもりか。
○福祉保健部
以上の回答を踏まえ次のとおり質疑が行われ
未だ、県としての予算編成方針が示されて
た。
いないのでわからない。
○医師会
○医師会
福祉保健部関連の予算の中で、対象になる
当改革案が実施された場合、財源次第で
事業はどのようなものか?
は、その地方公共団体の判断で従来の事業が
○福祉保健部
廃止されることもあり得ると言うことか。
①県立病院・診療所、市町村立診療所、へき
○福祉保健部
地診療所の運営費
それはあり得る。
②医療情報システム整備費(民間医療機関対
○医師会
象、遠隔診療等)
改革が実施された場合、初年度は前年度予
③救急医療施設運営費(県立中部病院等)
算に近い形での弾力的な運用になることは考
④感染症、エイズ、SARS 、結核、難病対策
えられないか。
費等
○福祉保健部
⑤医療施設近代化資金
実際はよく分からないが、予算は減ると思
⑥地域医療連携推進事業(現在南部地区医
師会が実施)
う。例年通りにはいかないのではないか。
三位一体改革が実施された場合、県として
○医師会
も県民の健康福祉を守るための予算獲得に際
額としてはいくらぐらいになるのか。
し、関係諸団体のお力添えが必要になること
○福祉保健部
もあると思うので、その節は医師会にもよろ
これまれの事業で見ると 140 億円となる。
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しくお願いしたい。
沖縄医報 Vol.41 No.1
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報 告
(2)長谷川敏彦先生講演会への参加依頼につい
健康福祉立県という話が出たが、立県という
て(県医師会提案)
場合「産業」としての医療・福祉を考える必要
當山副会長より、以下のとおり提案趣旨の説
がある。医師会の持つシンクタンク(日医総
研)を利用してそのようなデータを出していた
明があった。
沖縄県医師会では、沖縄県の長寿の現状、危
だけないだろうか。
機的状況を正しく把握したうえで、保健医療関
係者が諸々の事業に取り組む必要があることか
【県医師会コメント】
ら、来る 11 月 25 日(木)沖縄ハーバービュー
医療・福祉を産業としてみた場合の雇用等が
ホテルにおいて、国立保健医療科学院政策科学
生み出す効果のデータは出されている。しか
部長の長谷川敏彦先生を招聘し「長寿県沖縄の
し、沖縄県という地域特性等までを含めたデー
将来展望として−アップルパイナップルプロジ
タを出す必要があると考えるため、沖縄県とし
ェクトの結果から−」と題した講演会を開催す
てもそのようなデータを示していただきたい。
また、医療は消費ではなく投資であるという
ることになった。
その際に、長谷川敏彦先生より沖縄県の福祉
考え方を持っていただきたい。福祉保健部とし
保健に携わっている行政の方々に対してもお話
てもそのような考え方のもとに予算の調整等取
させていただきたい旨要望があった。
り組んでいただきたい。
ついては、本講演会に貴部関係者が多数参加
(3)介護保険制度の実施に関する医師の協力に
いただくようご高配をお願いしたい。
ついて(福祉保健部提案)
【福祉保健部の回答】
要介護認定に係る医師意見書は、被保険者の
沖縄県医師会が、県民向けの講演会等多数開
介護度を決定する際の基礎となる重要な資料で
催していただいていることを心強く思う。当講
あり、その適正な記載と記載内容の平準化を図
演会についてもできるだけ参加を呼びかけてい
るため、意見書を記載する医師に対する研修を
きたいと考えている。
県医師会に委託して実施いただいているところ
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沖縄医報 Vol.41 No.1
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○第 2 号被保険者については、
「
(1)診断名」の
である。
今年度の研修実施にあたって、医師会事務局
直接の原因となっている傷病名についての根
から、意見書の記載方法等について要望や意見
等があれば研修に役立てたい、という要望があ
拠を確実に記載してもらいたい。
○その他計 10 項目の要望及び意見
り、市町村担当者からの要望及び意見を取りま
とめてありますので、その内容についてご報告
【県医師会の回答】
したい。
このような要望及び意見については、県医師
また、介護サービス計画(ケアプラン)作成
会としても十分に理解している。
については、医療の視点からの医師の意見が必
主治医意見書の記載方法については、来る 10
要になる場合があり、介護支援専門員(ケアマ
月 15 日(金)大分県より講師を招聘し研修会
ネージャー)から協力を求められた場合に、可
を開催することになっている。また、その研修
能な範囲で医師の協力をいただけるよう、医師
会において、長寿社会対策室からいただいた資
会会員各位への周知方をお願いしたい。
料(要望及び意見)を研修会資料に盛り込み、
県としては、意見書記載方法等の説明をして
参加者全員に配布することにしている。
いただきたい旨要望があれば、講演会や勉強会
更には、沖縄県医師会報 12 月号に、小渡敬
等に出向き説明したいと考えている。ご利用い
先生(老人保健担当理事)の書かれた主治医意
ただきたい。
見書記載に関した記事を掲載する予定としてい
る。
<主治医意見書の記載に対する要望及び意見
(概要)>
しかし、今後、介護保険に興味の無い先生方
に対して、いかに啓発していくかが課題である
○記載漏れが無いよう注意してもらいたい。
と考える。
○できるだけ読みやすい字で書いてもらいたい。
印象記
副会長 宮 城 信 雄
三位一体改革で地方六団体取りまとめた改革案は、国が責任を持つべき「国民の健康と生命を
守る」社会保障費の削減委譲が含まれている。これまでの福祉保健部の事業費は 140 億円であっ
たが、来年度の予算は大幅に減らされる可能性がある。今以上に沖縄県医師会は福祉保健部と連
携をしながら、
「健康福祉立県」確立の為に活動し、県の予算編成に影響を与えるべきだと思われ
る。
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沖縄医報 Vol.41 No.1
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報 告
全国医師協同組合連合会
∼第 32 回通常総会∼
沖縄県医師協同組合 専務理事 真栄田 篤 彦
第 1 号議案:平成 15 年度決算関係書類の承認を
求むる件
第 2 号議案:平成 16 年度事業計画案並びに収支
予算案の承認を求むる件
第 3 号議案:平成 16 年度賦課金決定の件
第 4 号議案:平成 16 年度借入金最高限度額決定
の件
第 5 号議案:平成 16 年度役員報酬の件
協議の結果、全てが賛成多数で可決されたこ
とを報告します。
永井龍行会長挨拶
以下に平成 16 年度の事業計画案(平成 16 年 9
全国医師協同組合連合会の第 32 回通常総会
月 1 日∼平成 17 年 8 月 31 日)について紹介しま
を沖縄県医師協同組合が担当県として初めて当
す。
地で開催致しましたので報告します。
1)全医協連組織の拡大と充実
まず、本年の 3 月には同連合会の移動理事会
現在、医協未設置県に対してより多くの医協
が設立されるよう努力する。
を、恩納村のブセナリゾートホテル内にあるサ
ミット会場で開催し、沖縄での通常総会開催に
各単医協、連合会の充実に努め、昨年同様
ついても協議しております。それを受けて、本
ブロック会議への補助金及び連合会・協議会
年 10 月 23 日に那覇市在のホテルで総会を開催
運営のための助成金を支給する。
しました。開会に続き、永井龍行会長が此れま
地域拡大、組合増員活動には援助する。
での本会の経過と発展について述べ、そして、
昨年に引き続き、組合員に傷害保険を付保する。
新たに宮城県が本会に加入されたことを紹介さ
2)広報の強化
全医協ニュースを年 4 回発行。
れました。
通販をさらに充実させ、購買、福祉の支援を
その後、全国で今年度成績優秀な協同組合事
していく。
業所の表彰を行った。
祝辞は日医の松原謙二常任理事からあり、特
3)単医協職員の研修
に混合診療に関して日医の反対意見を紹介し
4)情報化社会への対応
て、会員の強い協力をお願いした。
「情報化促進企画委員会」を必要に応じて開
以後は、慣例に従い沖縄県医師協同組合稲冨
洋明理事長が議長となり、議案を審議しました。
催。
ホームページや掲示板をより良い情報を提供
するとともに、各医協との情報交換を積極的
に推進。
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報 告
〈福祉部〉
4) 教育指導の充実
福祉部では、各単医協の代理店活動を積極的
に支援。取り扱い商品の拡大を図り、保険業界
5) 表彰組合選定
〈購買部〉
の情報収集を行い各単医協に対し迅速かつ、的
購買事業を取り巻く環境は本年度も一層厳し
確な情報提供に努め、以下のような施策を福祉
くなると予想。各医協をバックアップする為、
事業として推進。
下記の施策を推進。
1) 当連合会の損害保険代理店事業と単医協と
1)情報活動
の連携方式の推進。
2) 取引実績拡大。
2)COOP 商品、取扱商品、新商品について
3)研修会について
3) 保険業変革への対応。
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