【注意】発行当時の原稿をそのまま掲載しております。農薬について記載のある場合は、最新の農薬登 録内容を確認し、それに基づいて農薬を使用してください。また、成果情報によっては、その後変更・ 廃止されたものがありますのでご注意ください。 [成果情報名]トルコぎきょう F1 品種「山園 E1 号」の特性と現地適応性 約]トルコぎきょう F1 品種「山園 E1 号」は 5 月下旬∼6 月上旬に定植すると、約 90∼95 [要 日程度で開花、収穫期を迎える。白色、一重で小輪多花性であり、草姿のバランス、花持ちなどの 特性に優れ、流通関係者からの評価が高く現地適応性も高く有望である。 [部 [連 署]山形県農業総合研究センター農業生産技術試験場・野菜花き研究科 絡 先]TEL 0237−84−4125 [成 果 区 分]普 [キーワード]トルコぎきょう、小輪、山園 E1 号、地域適応性試験、F1 品種 -----------------------------------------------------------------------------------------[背景・ねらい] 従来にない小輪、スプレー咲きのトルコぎきょう F1 品種「山園 E1 号」を、庄内総合支庁産地研 究室(旧砂丘地農業試験場)、農業生産技術試験場(旧園芸試験場)において育成した。このため、 「山園 E1 号」の特性ならびに現地での適応性を検討する。 [成果の内容・特徴] 1.トルコぎきょう F1 品種「山園 E1 号」の発蕾日、収穫期は「つくしの雪」とほぼ同時期であり、 晩性タイプである。5 月下旬∼6 月上旬に定植すると 90∼95 日程度で 8 月下旬∼9 月上旬に収穫期 となる(表1)。 2.花は白色、一重で小輪多花性であり、切り花長も確保しやすい。側枝が多いためボリューム感が あり、草姿のバランスが優れ、流通、販売関係者からの評価も高い(表2、表3、表6)。 3.葉先枯れ症状は発生しにくい(表4)。 4.花持ち日数は市販品種と比較して同等である(表5)。 市販品種「アニーピンク」 「山園 E1号」 1cm 図1「山園 E1 号」の草姿 図2 「山園E1 号」の花 [成果の活用面・留意点] 1.切り花特性については、平成 18 年度成果情報「白色・小輪でスプレータイプのトルコぎきょう有 望 F1 系統「山園 E1 号」も参照。 [具体的なデータ] 表1 「山園E1号」「つくしの雪」の発蕾・収穫期 山園E1号 試験場所 定植日 つくしの雪 2) 収穫期(月日) 収穫期 (月日) 発雷日 発蕾日1) (月日) (月日) 始期 盛期 終期 (月日) 始期 盛期 終期 農生産技試 5/26 7/25 8/22 8/23(+88)4) 8/28 7/26 8/20 8/22 8/24 新庄市 6/1 7/30 9/4 9/6 (+97) 9/9 8/4 9/3 − 9/6 3) 鶴岡市 6/5 8/5 9/4 (+91) − 8/8 8/27 9/3 9/10 8/30 庄内産地研 5/29 8/1 8/24 8/27(+89) 9/2 8/3 8/27 8/28 9/5 1):頂花全体の50%が発蕾した日 2):切花適期の株が圃場の10%、50%、90%に達した時期 3):鶴岡市は収穫を行わなかったため、5花以上開花した株が圃場の10、50%となった日 4):定植後、収穫までの到達日数 表2 「山園E1号」の切り花特性(農生産技試、庄内産地研は20本調査、その他は10本調査) 1) 3) 花数(個) 花色 試験場所 一次 茎径 切花長 主茎長 調整重 展開 花径 八重一重 葉数 側枝 開花数 有効2) の別 花弁 花弁基部 (cm) (cm) (g) (対) (本) (mm) 花蕾数 (cm) の色 農生産技試 88 51 77 13.7 5.3 5.9 14.0 11.7 3.4 一重 白 黄緑 新庄市 84 56 55 14.5 5.3 5.1 13.3 6.7 3.7 − − − 鶴岡市 88 59 68 15.4 6.8 5.2 6.4 12.6 3.2 − − − 庄内産地研 92 54 80 15.2 5.9 6.2 14.3 9.6 3.6 − − − 1):切花長は株元から花蕾(無効花蕾も含む)の先端まで計測した。 2):花蕾は長さ1.5cm以上のもの。 3):花径は柱頭が開いた当日∼翌日に測定した。 表3 階級別収量 試験場所 調査株数 農生産技試 25本 新庄市 80本 鶴岡市 50本 庄内 産地研 50本 1) 階級別割合 % 80cm∼ 70cm∼ 60cm∼ 80cm∼ 70cm∼ 60cm∼ 80cm∼ 70cm∼ 60cm∼ 80cm∼ 70cm∼ 60cm∼ 96 4 0 100 0 0 100 0 0 100 0 0 表4 葉先枯れ症状発生程度(庄内産地研究室・7月中∼下旬 40本調査) 品種・系統 無 微 軽 中 甚 (本) (本) (本) (本) (本) 山園E1号 40 0 0 0 0 アニーピンク 30 1 1 4 4 つくしの雪 9 5 14 10 2 無:発生なし、微:軽微なもの、軽:葉先が褐変し肉眼で確認できるもの 中:葉先の褐変が3葉以上見られ、葉の先端部分が欠損したり新枝に影響を及ぼしているもの 甚:心止まりとなったもの 表5 花持ち性調査(10本調査) 試験場所 農生産技試 葉 花 1/3が萎れた収穫後日数1) 山園E1号 つくしの雪 アニーピンク 17 13 15 17 13 15 1)農生産技試、庄内産地研:株元から花蕾の先端まで 1):開花数の1/3、茎葉の1/3(達観)が萎れた日 新庄市、鶴岡市:株元から花の先端まで(農協の 1日目:夕方収穫後、室温にてCHRYSAL K-20Cを1,000倍処理 出荷基準)を計測 2日目:ELFバケットシステム(CHRYSAL TBag1袋/l)1を15℃恒温室内で処 3日目:昼にバケツに水生けし、25℃、150lx、12時間日長で置床 4日目以降:3日に1回3cm切り戻し、毎日水換えを行った 表6 求評調査 聞き取り対象者 東京都A卸売市場担当者 山形市A卸売市場担当者 山形市A小売商担当者 新庄市調査圃場生産者 鶴岡市調査圃場生産者 内 容 枝の位置のバランスが良く、茎がしっかりしている。日持ちは非常によい。 開花後、日数が経過しても白の色がくすまないのがよい。 市販品種と競合するものがない。茎が硬く花びらの質がよい。 他品種と比較して花弁が薄いのが気になるが、来年もぜひ作りたい。 大量ロットを扱う上では、この系統の需要は低いのではないか。 【農業生産技術試験場・栽培概要】 播種 3 月 26 日 畝幅 130cm,株間 10cm,条間 10cm 施肥(kg/a) N:1.5, P2O5 :3.1, K2O:2.5 全ての試験地で中 2 条抜き 4 条植え [その他] 研究課題名:園芸作物奨励品種決定調査・バイオ技術を利用した特産園芸作物の効率的育種 予算区分 :県単 研究期間 :平成 15∼19 年度(平成 19 年) 研究担当者:高橋玲子・五十鈴川寛司・佐藤純・佐藤裕則・菅原敬・渡辺朋恵・恩田美和 発表論文等:なし
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