第2号 - 阿見町

回覧
阿見町自然環境調査だより
~冬の野鳥調査報告~
第Ⅱ号
阿見町環境総合調査
野鳥班
久留島昭彦
昨年10月から冬期の野鳥調査を行っていますが、これまでに80種類を記録し、夏
の調査結果と合わせて本年度は97種類になりました。この時期には、冬を越すために
渡って来るカモ、タカ、ツグミ、ホオジロなどの仲間が多く見られるのですが、今年は
例年に比べて種類も個体数も少ないのが、少々気がかりなところです。
とは言え、霞ヶ浦には、コハクチョウを始めとしてマガモ、ヒドリガモ、コガモ、ヨ
シガモ、オカヨシガモなど14種類のカモの仲間が見られ、湖上や湖岸の葦原付近で、
時には数百羽を超える群れをつくっていました。その他、南平台の水彩の池などにもハ
シビロガモやヒドリガモなどが沢山集まっています。
また、生態系の頂点に位置するタカの仲間も阿見町全域でよく見かけられ、この冬に
は、茨城県では絶滅のおそれがあるとされているミサゴ、オオタカ、ハヤブサなどを含
め7種類を記録しました。タカの仲間は、個体数はあまり多くありませんが、トビやノ
スリが輪を描いて飛んでいたり、ノスリやチョウゲンボウが電柱や木の枝に止まってい
たり、時にはオオタカやハヤブサがカモや小鳥をめがけて狩をする姿を見かけました。
特に魚を餌にするミサゴは、霞ヶ浦の湖上の杭に止まって休んだり、捕らえた魚を食べ
たりしている姿をよく見かけます。このように、タカの仲間が多く見られるのは餌とな
る生物が多いことを示し、阿見町には比較的豊かな自然が残されているということでし
ょう。
あまり知られていないようですが、チドリの仲間のタゲリやムナグロなどが、寺子、
三区上などの頻繁に車が行き交う道路脇の水田や畑などでよく見られ、また時には、嘴
の根本が黄色く、普通のカラスより一回り小ぶりで、数十羽の群れで行動するミヤマガ
ラスを、畑や草原で見かけることもありました。
このように阿見町では、少し気をつければ、身近なところで様々な野鳥に出会えます。
野鳥達をそっと見守り、このような自然環境を大切に残していきたいものです。
阿見町内のコハクチョウ
阿見町内のミサゴ
締結)となった友好の記念として北米の樹木
調査班からの町内レポート
が植林されています。その周辺は果樹園とな
<荒川本郷周辺と実穀小学校区の風景>
り、8種類程の果樹が実をつけます。遊歩道
を進むと林があり、東屋のある芝生広場、バ
近年急速に宅地化が進み、道路整備等も著 ーベキューコーナー、グランドゴルフができ
しい荒川本郷地区。生活圏の拡大や経済効果 る広場、展望台、トイレ等の整備が整ってい
の表裏には、自然の損失も著しい。そんな路 ます。
傍の一角にキツリフネソウが咲く。近くには
春は木々の新緑にコブシの白い花、林床で
フユイチゴも・・・。ヤブガラシやクズの大 はスミレを代表にして春植物が姿を現します。
群に負けずに居てほしい。他にアブノメ、ノ 房咲するイヌザクラや、ウワミズザクラも見
ジトラノオ、シュンランなど。
られます。夏は虫籠を持った子ども達に出会
実穀近隣公園周辺の溜池には雑魚が放たれ い、ヤマユリが香り、キツネノカミソリが群
葦やガマに大分占領されてしまったが、水面 れて咲き、暗い林の中が明るく感じられます。
近くチョウトンボが舞い、水面にはハゴロモ 秋にはヒヨドリバナ、オトコエシ、アザミが
モが可愛い小花をあちこちに覗かせている。 咲き、どんぐりも三種類見つかります。夕日
「すごーい!」と大声をあげた。先生が「水 を浴びた紅葉も美しいと思います。冬は木々
が滞っていての繁茂」と言われ、言葉を失う。 が葉を落とし、野鳥の姿が見つけ易く野鳥観
ミクリやミゾシダなどにも出会った。
察には打ってつけでしょう。
足に絡みつくのはメヒシバ、カゼクサ、エ
一年中何かしら出会いと発見が「ふれあい
ノコログサ・・・。外来のイネ科は行く先々 の森」で体験できます。
で厚顔である。世代交代に供い多くが放棄さ
(大森はるみ)
れるも、手入れの良い水田は美しく、暫しホ
ッとする。ナガホノアカワレモコウは、後日
「白もあるよ」と地元の人の声。次先度が楽
しみ。
向山地区には雑木林がほどよく広がる。コ
ナラ、クヌギなどの常連に加え、敷地林には
ニガキの大木やカマツカ・・・。林緑にはホ
ドイモ、ツルニガクサ、ツルマメの小群。林
床にはマムシグサ、ハダカホオズキ・・・。
私達はこの辺り一帯が、ほどよく手入れされ
つつ、残ってほしいと強く願った。他にはカ
ラスノゴマ、ヒメシロネ、イヌショウマな
ど・・・。
阿見町内のジュウニヒトエ
(永井和子)
<ふれあいの森>
<竹来阿弥神社周辺>
そう
竹来阿弥神社周辺の植物叢について概要を
阿見町のほぼ中央、若栗運動公園に隣接し
た森が、平地林の保全と町民が自然に親しむ
場所として整備された「ふれあいの森」です。
北側駐車場から入ると「スーペリアの森」
で、米国スーペリア市と姉妹都市」
(19974/11
記します。この地区には、町の自然を代表す
そう
るうっそうたる阿弥神社の樹叢があります。
この樹叢は、町で昭和 52 年に天然記念物に
指定されています。境内は、本殿裏のご神木
のスギ
(樹高約 25m胸高周 468cm)を始め、
そう
スギを中心とする樹叢に覆われ、低木下草も
発達しています。入り口の鳥居脇のモチノキ
も堂々たるもので、右奥のテイカカズラも年
代を感じさせます。ただ、神社裏の竹薮が荒
れ果て、立ち入りを拒むようになっているの
が惜しいですが、コクサギ、ウバユリ、イヌ
ショウマやその他多くの花々が趣を添えてい
ます。
また、神社周りの植生も豊かで、シュンラ
ン、アワコガネギク、ハッカなどの株や群落
が認められています。境内周りも含めてこの
そう
ような豊かな植物叢を始めとする生態系を未
来の子ども達のためにも大切に残していきた
いものです。
(稲川雅信)
カブトムシの生息情報も、やや偏りがあるよ
うです。ヒキガエルの情報はまだ少ないよう
です。
「生き物マップ」では、まだ空白の地区
がかなりあります。ぜひ、情報をお寄せくだ
さい。多くの町民情報で、現在の阿見町の自
然環境を反映する「生き物マップ」を完成さ
せましょう。それは未来の世代への贈り物に
なります。
その他、ヤマカガシ、ホトトギス、フクロ
ウ、アオバズク、カメ類、イモリ、ヘイケボ
タル、メダカ、モツゴ(クチボソ)、ヤマユリ、
キンラン、ギンランなどの情報も募集してい
ます。まだ、イモリの情報はありません。阿
見町では、イモリは絶滅してしまったのでし
ょうか?イモリを見つけた方は、ぜひ、お知
らせください。
生物情報:生物名、メッシュ番号、地名、
年月日、見つけた時の状況など、氏名、住所、
電話番号をそえて、役場環境政策課へご連絡
ください。
そう
阿弥神社拝殿と樹叢
タヌキの目撃情報
生き物マップの情報をお寄せください!
阿見町環境総合調査の一貫として、昨年町
民の皆様から、環境の指標になる代表的な生
き物の目撃情報を寄せていただき、それを「生
き物マップ」にまとめてみました。
タヌキ、イタチ、ハクビシン、ヤモリの情
報は、北部の市街地化した地域から多く寄せ
られています。これらの動物は、自然が残る
南部地域にも生息していると思われます。キ
ジ、ウグイス、オニヤンマ、アオスジアゲハ、
イタチの目撃情報
ヤモリの目撃情報
オニヤンマの目撃情報
ヒキガエルの目撃情報
阿見町内のマガモ
阿見町自然環境調査便り 第Ⅱ号
発行日:平成24年3月23日、
発行者:阿見町環境総合調査班(阿見町役場
環境政策課)
TEL:029-888-1111(内線 116)
FAX:029-887-9560
E-mail:[email protected]
「便り」は今後、年 2 回程度発行していく予
定です。町民の皆様のご意見、ご感想、そし
て生物情報をお寄せください。
キジの目撃情報