反応工学 Reaction Engineering 講義時間:木曜2限 場所 :C-3C 担当 :山村 1 回分型(BR) 反応器 http://www.asahibeer.co.jp/factory/brew ery/process/index.html 複雑な渦構造 6枚パドル翼 邪魔板 http://ansys.jp/news/images/pdf/news_fall04/news_fall04_5.pdf 酵素反応(1) S:原料 P:分解物 (Substrate) (Product) 一般的な1次素反応 rP LIPASE (触媒:脂肪分解酵素, Enzyme) 出典http://www.asahi-net.or.jp/~yq6k-srtn/lipase.htm 酵素反応 Cs 原料濃度を増加させても 反応速度がある一定値以上にはならない 3 酵素反応(2) 酵素触媒 素反応 1 2 3 中間体 E+SES ESE+S ESE+P r1 =k1CECS r2 =k2CES r3 =k3CES 酵素触媒反応の特徴 酵素Eは触媒であり反応により消滅しないので 酵素の和は反応前後で一定に保たれる。つまり 酵素濃度CEと中間体濃度CESの和は一定 C E C ES C E 0 (1) 4 酵素反応(3) 律速段階近似: 素反応3は他の反応に比べて非常に遅く 全体の反応速度を律速 E+S ES ESE+P 速い平衡反応 遅い反応 r1=r2 ∴-k1CECS+ k2CES=0 この仮定より 整理すると C ES k1 CE CS k2 (2) 5 酵素反応(4) (1)(2)からCESを消去すると k1 C E0 C E C E C S k2 k1 とおけば k2 CE C E0 1 CS (3) (1)に代入して C ES C E0 C S 1 CS (4) 6 酵素反応(5) 生成物Pの反応速度は rP r3 k3C ES k3 C E0 C S 1 CS Michaelis-Menten式 CS→∞では rP k3 C E0 C S CS k3C E0 rP CS となり、初期酵素濃度[E0]で決まる一定値に漸近する ―原料濃度を増加しても反応速度は一定値へ 7 酵素反応:定常状態近似(1) 同じ酵素反応を定常状態近似を用いて解析する場合 中間体ESに着目すると rES= k1CECS-k2CES-k3CES ---(5) ここで生成したESはただちに消費され、ESの正味の反応速度は非常に小さい (見かけ上反応が止まって見える)と考え、定常状態近似を用いると rES0 (5)に代入して整理すれば CES k1 C E CS k 2 k3 (6) 8 酵素反応:定常状態近似(2) 分解脂肪生成反応の速度rpは rP= k3 CES -(7) (6)を代入すれば rP k3CES k1k3 C E CS k 2 k3 (8) (2)と(6)より k1 CE C E C S C E0 k 2 k3 整理して C E0 CE k1 1 CS k 2 k3 (9) 9 酵素反応:定常状態近似(3) (9)を(8)に代入すれば C E0 k1k3 rP CS k 2 k3 1 k1 C S k 2 k3 k1k3C E0 CS k 2 k3 k1CS k 3C E 0 C S (k 2 k3 ) / k1 CS rP k3C E0 CS K CS , K (k 2 k3 ) / k1 Michaelis-Menten式 10 回分型反応器の設計方程式(1) 時間Dt間の成分Aの物質収支を考える。 モル数の変化DnA = 反応による生成量rAV Dt +反応器への流入量FA0 Dt - 反応器からの流出量FA Dt 回分型反応器では反応器への流入・反応器からの 流出はないので FA0 =0, FA =0 体積V Dn A rAV Dt Δt→0の極限をとれば dn A rAV dt 11 回分型反応器の設計方程式(2) モル濃度は定義からCA=nA/V 体積Vが一定(定容系)なら、両辺をVで除して dC A rA dt 12 回分型反応器の設計(1)定容系1次反応の場合 設計方程式は dC A rA dt 1次素反応ACの反応速度rAは rA kCA 上式に代入して dC A kCA dt 定容系でCA=CA0(1-xA)であることに注意すると dx A k (1 x A ) dt 13 回分型反応器の設計(2)定容系1次反応の場合 時刻t=0からtまで積分する。 t=0で反応していない(xA=0)ので xA 0 t 1 dx A kdt 0 1 xA (補) X 1 x Aとおくと dX / dx A 1なので 積分を実行すると ln(1 x A ) xA 0 1 1 dx A (dX ) ln X 1 xA X ln(1 x A ) k[t ]t0 0.8 k=1 0.7 ln(1 x A ) kt 0.6 整理すれば xA (t ) 1 exp( kt) xA 0.5 0.4 0.3 0.2 回分型 連続槽型 0.1 0 0 0.5 1 time 比較例 1.5 14 ミッション: □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 単一反応、複合反応の反応速度を記述をすることができる 定常状態近似により反応速度式を導出することができる 律速段階近似により反応速度式を導出することができる 連続槽型反応器の設計方程式を導出することができる 回分反応器の設計方程式を導出することができる 管型反応器の設計方程式を導出することができる 自触媒反応器の最適設計ができる 循環流れを伴う反応器の設計計算を行うことができる 回分ラボ実験データから実スケールの反応器体積を求めることができる 回分反応器を用いた簡単なバイオリアクターの設計ができる 回分反応器を用いた並列反応の設計計算を行うことができる 回分反応器を用いた逐次反応の設計計算を行うことができる 晶析反応器の設計計算を行うことができる 未反応核モデルを用いて管型反応器内の粒子反応を設計できる 非等温反応器の安定操作条件を算出することができる 15 回分型酵素反応器の設計 report 4 氏名 酵素Eを触媒とする液相反応S Pについて中間体ESを有する次の反応機構が 提案されている。ただしCiは成分iのモル濃度である。 E+S ES 反応速度 r1 =k1 CECS (1) ES E+S 反応速度 r2 =k2 CES (2) ES E+P 反応速度 r3 =k3CES (3) 活性中間体ES及び原料Sの反応速度がそれぞれ次式で表されるとき、 回分型反応器を設計したい。次の問いに答えよ。 rES=k1CECS-k2CES-k3CES rS= - k1CECS+k2CES 1.活性中間体ESに対して定常状態近似(rES=0)を適用し、中間体の濃度CESおよびSの 反応速度rSがそれぞれ(A)(B)式で表されることを導け。 C ES k1 CE CS k 2 k3 rs k1 k 3 CE CS k 2 k3 ( A) ( B) 2. 酵素は触媒であり反応により消費されないので初期酵素濃度をCE0とすれば CE0=CE+CESが成り立つ。これと(A)式からCEを求め(B)式に代入すると ミカエルス・メンテン式と呼ばれる(C)式が得られることを示せ。 rs GCS kk k1 (C ) ただしG 1 3 C E 0 , 1 C S k 2 k3 k 2 k3 3.原料Sに対して反応器内の物質収支をとり、体積Vの回分型反応器に対する 次の設計方程式を導け。ただしtは反応時間である。 dns rsV dt 4.反応器内の反応率がxSのとき定容系のモル濃度CSは CS nS / V CS 0 (1 xS ) と表される。式(C)を上の設計方程式に代入して積分することで反応率xSが 時刻tの関数として次式で表されることを導け。ただし成分Sの初期モル濃度CS0、 反応速度定数kおよび体積Vは時間によらず一定と仮定してよい。 ln(1 xS ) CS 0 xS Gt 16
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