分割7(PDF:1770KB)

表 5.5.5(8) 各注目種の概要(植物)
コウモリソウ(キク科)
【選定基準】④:N
【一般生態】本種は、関東地方∼近畿地方にかけて分布し、
福島県では中通りにごくまれに生育する。深山の適湿の林
下にはえる多年草。高さは30∼70㎝。茎は細く、葉身は3角
状ほこ状で5浅裂する。花期は8∼10月。頭花はまばらな円
錐花序で、白い小花が6∼10個つく。
【確認状況】現地調査では、イマイシ沢、本沢、剣桂で確認さ
れた。いずれも谷筋などの湿った場所に生育していた。
ヒメカイウ(サトイモ科)
【選定基準】③:NT
【一般生態】本種は、北海道・本州中北部にかけて分布し、
福島県では野生確認されていない。低地から山地の水湿地
にはえる多年草。長い根茎があり、葉は心形全縁。花期は6
∼7月。花茎は高さ15∼30㎝程になり、花序の下に1枚の仏
炎苞をつける。仏炎苞は広卵形または広楕円形で、白色、花
序を包まず、花後も脱落しない。
【確認状況】現地調査では、イマイシ沢付近の鞍部の湿性草
原で確認された。
エビネ(ラン科)
【選定基準】③:NT、④:B
【一般生態】本種は、北海道西南部∼琉球にかけて分布し、
福島県では全域でややまれに生育する。雑木林の下などに
生育する多年草である。高さ20∼40cm、葉は2-3個つく。花
期は4∼5月で、暗褐色だが、色には種々の変異がある。
【確認状況】現地調査では、江花で確認された。落葉広葉樹
林の林縁付近に生育していた。
コイチヨウラン(ラン科)
【選定基準】⑤:②
【一般生態】本種は、北海道・本州中北部・四国(剣山・白髪
山)・千島・樺太にかけて分布し、福島県では中通りと会津に
ややまれに生育している。針葉樹林下にはえる地生の多年
草。根茎は糸状に這い、先端に広卵形の1葉と10∼20㎝の
花茎がある。花期は7∼8月で、花序はまばらに総状、淡黄
色∼淡黄緑色の小花を2∼7個つける。
【確認状況】現地調査では、甲子山、甲子林道、小白森山で
確認された。針葉樹林の林床や登山道の脇などに生育して
いた。
83
表 5.5.5(9) 各注目種の概要(植物)
アケボノシュスラン(ラン科)
【選定基準】④:B、⑤:②
【一般生態】本種は、北海道∼九州・南千島・奄美大島にか
けて分布し、福島県では中通りと会津にまれに生育してい
る。落葉樹林にはえる多年草。茎の基部が地表を這い上部
が斜上し、高さ5∼10㎝。葉は4∼5個を互生し鋭頭。花期は8
∼9月で、花序は直立し、淡紅紫色の3∼7個の花をつける。
【確認状況】現地調査では、甲子山、甲子林道、小白森山、
本沢で確認された。針葉樹林の林床や登山道の脇などに生
育していた。
ミヤマウズラ(ラン科)
【選定基準】⑤:②
【一般生態】本種は、北海道・本州(中北部および大台ヶ原
山)・南千島・樺太に分布し、福島県では各地に生育してい
る。常緑針葉樹林下にはえる多年草で、茎は横に這い、先は
直立して高さ12∼25㎝程。葉は数個下部に集まって互生し、
ふつう広卵形。花期は8∼9月で、淡紅色の花を7∼12個一方
に偏ってつける。
【確認状況】現地調査では、八幡山、御霊櫃、深沢で確認さ
れた。針葉樹林の林床や登山道の脇などに生育していた。
クモキリソウ(ラン科)
【選定基準】⑤:②
【一般生態】本種は、南千島・北海道∼琉球にかけて分布
し、福島県では各地に生育している。山地の疎林下にはえる
多年草。葉は鈍頭で網目模様がみられない。花茎は高さ20
㎝程。花期は6∼8月。花は淡緑色、または黒褐色と変異が
あり、総状に5∼15個つく。
【確認状況】現地調査では、大白森山の登山道の脇で確認さ
れた。
アリドオシラン(ラン科)
【選定基準】⑤:②
【一般生態】本種は、北海道・本州(近畿地方以南)・四国・
千島に分布し、福島県では中通りと会津にややまれに生育し
ている。針葉樹林下にはえる多年草で、茎の高さ5∼10㎝
程。葉は3∼5個まばらにつき、広卵形で表面に粒状の微突
起をしく。葉柄は多少赤みを帯びる。花期は7∼8月、花は1∼
3個つき白色ときに薄桃色である。
【確認状況】現地調査では、甲子林道、小白森山、赤面山、
大白森山で確認された。いずれも、針葉樹林の林床に生育し
ていた。
84
表 5.5.5(10) 各注目種の概要(植物)
ジンバイソウ(ラン科)
【選定基準】⑤:①b②
【一般生態】本種は、北海道∼九州に分布し、福島県では中
通りと会津にまれに生育している。ブナ帯の森林樹下にはえ
る多年草で、根はひも状で茎は前年の中央から出て、高さ20
∼40㎝、やや細い。葉は2個、相接してつき根生状。葉身は
長楕円形で表面に光沢がある。花期は8∼9月。まばらに淡
緑色の花を5∼15個穂状につける。
【確認状況】現地調査では、八幡山の落葉広葉樹林下で確
認された。
オオヤマサギソウ(ラン科)
【選定基準】⑤:②
【一般生態】本種は、南千島・北海道∼九州・樺太に分布し、
福島県では各地にややまれに生育している。山地樹林下に
生育する多年草。茎はやや肥厚する根から出て、高さ40∼
60㎝。葉はふつう2個が大きく、倒卵状挟長楕円形で、鈍頭、
表面には光沢がある。花期は7∼8月、淡緑色の小花をやや
密に、多数、穂状につける。
【確認状況】現地調査では、甲子林道、小白森山で確認され
た。林道や登山道沿いの林床に生育していた。
ホソバノキソチドリ(ラン科)
【選定基準】⑤:②
【一般生態】本種は、北海道・本州中部・四国(剣山)・千島・
樺太に分布し、福島県では中通りと会津にややまれに生育
する。亜高山帯の日当たりの良い草地に生育する多年草。
茎は高さ20∼40㎝。葉は挟長楕円形または線上楕円形、鱗
片葉は2∼3個で披針形。花期7∼8月。黄緑色の小花をやや
多数、密につける。
【確認状況】現地調査では、赤面山の日当たりの良い登山道
の脇に生育していた。
85
5.5.3.哺乳類
1) ラインセンサス調査
現地調査の結果、表 5.5.6 に示すとおり、低山帯地域では 4 種、甲子地域では 6 種、
合計 3 目 5 科 7 種の哺乳類が確認された。
テンやニホンイノシシなどの樹林性の種、タヌキやキツネといった多様な環境を利用
する種などが確認された。
確認地点の多かった種は、キツネやイタチ科の一種、ウシ目の一種であった。
表 5.5.6 ラインセンサス調査全期結果(哺乳類)
調査地点
No.
目名
科名
深沢∼高土山
周辺の低山帯地域
種名
L-1
1 ネズミ リス
2 ネコ
イヌ
3
L-2
リス科の一種
L-3
L-7
L-8
注2)
○
○
○
○
注3)
○
キツネの可能性
○
○
イタチ科の一種
注4)
6
ジャコウネコ
ハクビシン
7 ウシ
イノシシ
ニホンイノシシ
−
ウシ目の一種
注1)
注2)
注3)
注4)
注5)
注6)
注7)
L-6
○
○
テン
アナグマ
合計 3目 5科 7種
L-5
ニホンリスの可能性
タヌキ
イヌ科の一種
イタチ
L-4
備考
○
キツネ
4
5
羽鳥・甲子山周辺地域
○
○
○
○
○
注5)
○
テンの可能性
○
オコジョの可能性
注6)
○
○
注7)
○
○
2種
3種
4種
○
1種
4種
4種
1種
6種
○
○
3種
4種
目名、科名、種名及び配列は「日本産野生生物目録」(環境庁,1993)に準拠した。
食痕からニホンリスと推定されるが、ムササビの食痕と類似するため同定は保留とした。
糞の形状からキツネと推定されるが、イヌの可能性があるため同定は保留とした。
イタチ科の一種は、テンあるいはイタチと推定されるが、糞による確認のため同定は保留とした。
糞の大きさからテンと推定されるが、同定は保留とした。
糞の大きさからオコジョと推定されるが、同定は保留とした。
ウシ目の一種は、ニホンイノシシ、ニホンジカ又はカモシカと推定されるが、足跡による確認のため同定は保留とした。
86
2) 自動撮影法
撮影データを解析した結果、表 5.5.7 に示すとおり、低山帯地域では 11 種、甲子地
域では 5 種が撮影された。なお、L-7 と L-8 では個体の撮影記録はなかった。
撮影頻度は、図 5.5.2 に示すとおり、L-3 で最も高く、次いで L-1、L-2、L-4 の順に
高かった。甲子地域は全体的に低かった。L-3 では、ニホンリスが 9 回撮影され、自動
撮影装置設置付近を移動ルートや餌場として頻繁に利用していることがわかった。また、
L-3 では、ノウサギやツキノワグマ、アナグマ、ハクビシンの撮影頻度も比較的高かっ
た。L-1 では、タヌキが 3 回撮影され、自動撮影装置設置付近を移動ルートとして利用
していることが明らかとなった。L-2 では、ノウサギ 4 回撮影され、林道沿いの草地を
餌場として利用していることがわかったが、撮影時間の間隔が短く、同一個体の可能性
がある。
表 5.5.7 撮影データ解析全期結果
No.
目名
科名
調査地点
深沢∼高土山周辺の
羽鳥・甲子山周辺地域
低山帯地域
合計
合計
L-1 L-2 L-3 撮影 L-4 L-5 L-6 L-7 L-8 撮影
回数
回数
種名
1 コウモリ
2 ウサギ
ヒナコウモリ
ウサギ
ヒナコウモリ科の一種
ノウサギ
3 ネズミ
4
リス
ネズミ
ニホンリス
5 ネコ
6
クマ
イヌ
7
8
イタチ
注3)
注4)
1
1
アカネズミ属の一種
ツキノワグマ
タヌキ
2
テン
アナグマ
1
1
9
10 ウシ
ジャコウネコ
イノシシ
ハクビシン
ニホンイノシシ
11
12
− −
シカ
ウシ
−
ニホンジカ
カモシカ
不明
3
4
1
3
1
8
1
9
9
2
2
1
2
5
1
1
2
2
2
2
3
1
1
1
2
2
1
1
1
1
注5)
1
1
合計 5目 11科 12種 注1)
注2)
注3)
注4)
注5)
1
1
7種 4種 7種
11種
1
1
1
3
1
ノウサギ?
1
1
1
2
1
−
備考
タヌキ?
ハクビシン?
ニホンジカ?
4種
1種 1種 0種 0種
4種
−
目名、科名、種名及び配列は「日本産野生生物目録」(環境庁,1993)に準拠した。
基本的には各地点に自動撮影装置を夏季と秋季の 2 回設置したが、L-4 と L-5 は夏季のみ、L-1 と L-6 は秋季のみ行った。
ヒナコウモリ科の一種は、ニホンテングコウモリあるいはニホンコテングコウモリの可能性がある。
アカネズミ属の一種は、アカネズミあるいはヒメネズミの可能性がある。
不明種は、画像に個体の一部しか写っていないため、同定が困難な種である。
87
25
不明
カモシカ
ニホンジカ
20
ニホンイノシシ
撮影回数
ハクビシン
アナグマ
15
テン
タヌキ
ツキノワグマ
10
アカネズミ属の一種
ニホンリス
ノウサギ
5
ヒナコウモリ科の一種
0
L‐1
L‐2
L‐3
L‐4
L‐5
L‐6
L‐7
L‐8
調査地点
図 5.5.2 自動撮影装置を用いた哺乳類撮影回数の頻度分布
88
3) 任意観察調査
現地調査の結果、表 5.5.8 示すとおり、5 目 9 科 13 種の哺乳類が確認された。
なお、確認種はラインセンサスでは出現しなかった種を補完しており、重複した種は
記録していない(注目種を除く)。
表 5.5.8 任意観察調査全期結果(哺乳類)
調査地点
No.
目名
科名
深沢∼高土山
周辺の低山帯地域
種名
L-1
1 モグラ
2 ウサギ
3 ネズミ
モグラ
ウサギ
リス
4
モグラ科の一種
ノウサギ
ニホンリス
○
ホンドモモンガ
リス科の一種
5 ネコ
6
7
8
9
10
クマ
イヌ
11 ウシ
12
13
イノシシ
シカ
ウシ
−
イタチ
イタチ科の一種
L-4
L-5
○
○
L-6
L-7
○
○
備考
L-8
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
ニホンリスの可能性
注5)
注7)
○
○
○
○
○
○
○
○
注4)
○
○
○
○
テンの可能性
○
○
○
○
6種
○
○
5種
9種
6種
○
5種
○
6種
4種
10種
○
○
6種
3種
目名、科名、種名及び配列は「日本産野生生物目録」(環境庁,1993)に準拠した。
モグラ科の一種は、ミズラモグラ属の一種あるいはモグラの可能性がある。
食痕からニホンリスと推定されるが、ムササビの食痕と類似するため、同定は保留とした。
糞の形状からホンドモモンガと推定されるが、ニホンリスの糞と類似するため、同定は保留とした。
イタチ科の一種は、テンあるいはイタチと推定されるが、糞による確認のため、同定は保留とした。
糞の大きさからテンと推定されるが、同定は保留とした。
ウシ目の一種は、ニホンイノシシ、ニホンジカあるいはカモシカの可能性がある。
89
注3)
ホンドモモンガの可能性
○
○
○
ニホンイノシシ
ニホンジカ
カモシカ
ウシ目の一種
L-3
○
○
○
○
ツキノワグマ
タヌキ
キツネ
オコジョ
アナグマ
合計 5目 9科 13種
注1)
注2)
注3)
注4)
注5)
注6)
注7)
L-2
注2)
羽鳥・甲子山周辺地域
注6)
4) 哺乳類相
現地調査の結果、表 5.5.9 に示す 6 目 12 科 16 種の哺乳類が確認された。
確認種は、東北地方の平野部から丘陵地・山地周辺の、樹林、草地・耕作地などに生
息する種である。調査対象地域は、広く落葉広葉樹林に覆われるほか、伐採跡地などが
草地となっている。ツキノワグマやテン、カモシカといった樹林性の種、タヌキやキツ
ネといった多様な環境を利用する種などが確認されているが、生息に広い面積の樹林環
境を必要とする種が多いことが哺乳類相の特徴と言える。
大型哺乳類のうち、ニホンイノシシ、ニホンジカは、比較的降雪の少ない低山地に広
く生息する。ツキノワグマやカモシカは、主に山地の斜面や広葉樹林に生息する。
中型哺乳類で山地の樹林に強く依存している種は、ニホンリス、ホンドモモンガ、テ
ンといった樹林性の種である。また、山岳地の岩場に生息している種としてオコジョが
挙げられる。
調査地域別に見ると、低山帯地域では 14 種、甲子地域では 14 種の哺乳類が確認され
ている。
90
表 5.5.9 確認種(哺乳類)
確認状況
No.
目名
科名
1 モグラ
モグラ
2 コウモリ ヒナコウモリ
3 ウサギ
4 ネズミ
ウサギ
リス
5
調査地点
深沢∼高土山周
羽鳥・甲子山周辺地域
夏季 秋季 辺の低山帯地域
L-1 L-2 L-3 L-4 L-5 L-6 L-7 L-8
種名
注3)
注4)
ヒナコウモリ科の一種
ノウサギ
ニホンリス
ホンドモモンガ
リス科の一種
6
7 ネコ
ネズミ
クマ
アカネズミ属の一種
ツキノワグマ
8
9
イヌ
タヌキ
キツネ
10
イタチ
11
12
○
○
モグラ科の一種
○
○
○
注7)
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
注6)
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
イヌ科の一種
テン
○
○
○
○
オコジョ
アナグマ
○
○
○
○
○
○
○
シカ
ウシ
ニホンジカ
カモシカ
−
ウシ目の一種
合計 6目 12科 16種 注12)
○
○
○
○
○
○
○
キツネの可能性
注8)
○
○
○
○
○
○
○
15
16
注5)
ホンドモモンガの可能性
○
○
ハクビシン
ニホンイノシシ
ニホンリスの可能性
○
○
○
ジャコウネコ
イノシシ
○
○
○
13
14 ウシ
○
○
○
○
○
注9)
○
○
○
○
イタチ科の一種
○
備考
○
○
○
○
○
○
注10)
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
テンの可能性
注11)
オコジョの可能性
○
○
○
○
○
○ ○
○
11種 7種 9種 7種
11種 15種
14種
○
○
○
7種
○
○
○ ○
5種 7種 8種
14種
注1) 目名、科名、種名及び配列は「日本産野生生物目録」(環境庁,1993)に準拠した。
注2) 調査結果は、ラインセンサス調査、自動撮影法及び任意観察調査を含む。
注3) モグラ科の一種は、ミズラモグラ属の一種あるいはモグラの可能性がある。
注4) ヒナコウモリ科の一種は、ニホンテングコウモリあるいはニホンコテングコウモリの可能性がある。
注5) 食痕からニホンリスと推定されるが、ムササビの食痕と類似するため、同定は保留とした。
注6) 糞の形状からホンドモモンガと推定されるが、ニホンリスの糞と類似するため、同定は保留とした。
注7) アカネズミ属の一種は、アカネズミあるいはヒメネズミの可能性がある。
注8) 糞の形状からキツネと推定されるが、イヌの可能性があるため、同定は保留とした。
注9) イタチ科の一種は、テンあるいはイタチと推定されるが、糞による確認のため、同定は保留とした。
注10) 糞の大きさからテンと推定されるが、同定は保留とした。
注11) 糞の大きさからオコジョと推定されるが、同定は保留とした。
注12) ウシ目の一種は、ニホンイノシシ、ニホンジカあるいはカモシカの可能性がある。
91
5) 注目種
現地調査の結果、確認された注目種及びその可能性のある種は、表 5.5.10 に示す 5
目 6 科 6 種である。表 5.5.11(1)∼(2)に各種の生態や分布状況、現地確認状況を
示した。
低山帯地域では 4 種、甲子地域では 5 種が記録された。希少種としてのランクの高い
(福島県 RDB においてランク B 以上のもの〕哺乳類は確認されなかった。
低山帯地域の L-1、L-3、甲子地域の L-7、L-8 では、注目種の確認種数が 3∼4 種と比
較的多いことがわかる。
確認地点の多かった種としては、ツキノワグマとカモシカが挙げられる。ツキノワグ
マはすべての地点で確認された。カモシカは、低山帯地域ではすべての地点で、甲子地
域では L-7、L-8 で確認された。ウシ目の一種の足跡が L-4、L-5 で記録されているため、
これらの地点においても生息している可能性はある。
確認地点の少なかった種としては、ヒナコウモリ科の一種、ホンドモモンガ及びオコ
ジョが挙げられる。ホンドモモンガとオコジョは甲子地域のみで確認されている。ヒナ
コウモリ科の一種は、自動撮影で確認しているが、画像からでは種を特定できなかった。
表 5.5.10 注目種確認状況(哺乳類)
選定基準
No.
目名
科名
種名
①
注3)
1 モグラ モグラ
モグラ科の一種
2 コウモリ ヒナコウモリ ヒナコウモリ科の一種注4)
3 ネズミ リス
ホンドモモンガ
4 ネコ
5
6 ウシ
確認状況
③
④
NT
VU
NE
D
NE
リス科の一種
ツキノワグマ
オコジョ
ウシ
イタチ科の一種
カモシカ
NT
NT
注6)
特
1種
調査地点
深沢∼高土山周
夏季 秋季 辺の低山帯地域
○
○
○
注5)
クマ
イタチ
合計 5目 6科 6種 ②
注2)
N
D
D
○
○
○
○
N
○
○
0種 3種 6種 3種 5種
羽鳥・甲子山周辺地域
L-1 L-2 L-3 L-4 L-5 L-6 L-7
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○ ○
○
○
○
○
3種
2種 3種 2種 2種
4種
○
1種
5種
L-8
○
○
○
○
4種
3種
注1) 目名、科名、種名及び配列は「日本産野生生物目録」(環境庁,1993)に準拠した。
注2) 選定基準:①「文化財保護法」(昭和 25 年 法令第 214 号)に基づく天然記念物
特:特別天然記念物
②「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(平成 4 年 法律第 75 号)に基づく希少野生動
植物種
③「哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物 I 及び植物 II のレッドリストの見直しについて」
(環境省
報道発表資料,2007)による選定種
VU:絶滅危惧 II 類、NT:準絶滅危惧
④「レッドデータブックふくしまⅡ 淡水魚類/両生・爬虫類/哺乳類」(福島県 2003)による選定種
D:希少、N:注意、NE:未評価
注3) モグラ科の一種は、ミズラモグラ属の一種であった場合、
「環境省レッドリスト」の NT、
「レッドデータブック福島Ⅱ」の
NE に該当する。
注4) ヒナコウモリ科の一種は、ニホンテングコウモリであった場合、
「環境省レッドリスト」の VU、
「レッドデータブック福島
Ⅱ」の D に、ニホンコテングコウモリであった場合、「レッドデータブック福島Ⅱ」の D に該当する。
注5) 糞の形状からホンドモモンガと推定されるが、ニホンリスの糞と類似するため、同定は保留とした。
注6) イタチ科の一種は、オコジョであった場合、
「環境省レッドリスト」の NT、
「レッドデータブック福島Ⅱ」の D に該当する。
92
表 5.5.11(1) 各注目種の概要(哺乳類)
モグラ科の一種(モグラ科)
【選定基準】ミズラモグラ③:NT、④:NE
【一般生態】ミズラモグラ:本州の青森県から広島県まで分布
する日本固有種である。低山帯から高山帯までの森林に生
息するが、生息数は多くない。昆虫類、ミミズ類、ジムカデ
類、ヒル類などを捕食する。地下に広葉樹の葉を使って径
36cm前後、高さ31cm前後の巣をつくる。
【確認状況】低山帯地域:L-3でモグラ塚が確認された。
甲子地域:L-7とL-8でモグラ塚が確認された。
モグラ塚による種の同定は困難であるが、注目種であるミズ
ラモグラの可能性もある。
ヒナコウモリ科の一種(ヒナコウモリ科)
【選定基準】テングコウモリ③:VU、④:D、コテングコウモリ④:D
【一般生態】テングコウモリ:北海道、本州、四国、九州に分
布する日本固有種である。樹洞や洞穴内を昼間の隠れ家と
し、夜間に飛翔する昆虫類を捕食する。
コテングコウモリ:北海道、本州、四国、九州等に分布する。
樹洞や樹皮の間隙、落葉の下、洞穴内等を昼間の隠れ家と
し、夜間に樹間、葉間で飛翔する昆虫類を捕食する。
【確認状況】低山帯地域:自動撮影法によりL-1で個体が撮
影された。注目種であるニホンテングコウモリあるいはニホン
コテングコウモリの可能性が考えられるが、鮮明な写真では
ないため、種の同定は困難である。
ホンドモモンガ(リス科)
【選定基準】④:NE
【一般生態】本州、四国、九州に分布する日本固有種であ
る。山地帯から亜高山帯の森林に生息する。夜行性で、樹上
で活動し、飛膜を使って木々の間を滑空する。主に樹洞を巣
にする。ほぼ完全な植物食性で、樹木の葉・芽・樹皮・種子・
果実、キノコ類を食べるとされる。年に2回、3∼5頭を出産す
る。生態・繁殖についての情報は少ない。
【確認状況】甲子地域:L-5で糞と食痕が確認された。
93
表 5.5.11(2) 各注目種の概要(哺乳類)
ツキノワグマ(クマ科)
【選定基準】④:N
【一般生態】本州・四国のブナ林を中心に生息する。春はブナ
の若芽や草本類、夏はアリ、ハチなどの昆虫類、秋はクリ、ミ
ズナラ、コナラ、サワグルミなどの堅果を多く採食する。シカ、
カモシカなどの死体、仔ジカを捕食することがある。12∼4月
まで冬眠し、越冬場所として、大木の樹洞、岩穴、土穴を利
用する。冬眠中に2∼3年間隔で1∼2頭の仔を出産する。
【確認状況】低山帯地域:L-1とL-2で爪痕や樹皮剥ぎ痕が
見られたほか、L-3では自動撮影法により個体が撮影され
た。
甲子地域:L-5∼8で爪痕や糞、食痕が見られたほか、L-4と
L-5では自動撮影法により個体が撮影された。
オコジョ(イタチ科)
【選定基準】③:NT、④:D
【一般生態】本州中部の北アルプス・中央アルプス以北の山
岳地と北海道に生息する。本州では一般に山地帯上部より
高い地域に生息する。夏は高山帯の岩場の間などでも活動
し、高山に生息する鳥類、ノネズミ類、昆虫など小動物を捕食
する。春に5頭前後の仔を出産する。
【確認状況】甲子地域:L-7(二岐登山道入口付近の岩場)で
個体が目撃された。また、イタチ科の一種のうち、L-4で確認
された糞については、大きさ(φ4.0mm)から、オコジョの可能
性がある。
カモシカ(ウシ科)
【選定基準】①:特、④:N
【一般生態】本州、四国、九州に分布する日本固有種であ
る。低山帯から高山帯にかけてのブナ、ミズナラなどが優占
する落葉広葉樹林、針広混交林に多く生息し、各種木本類
の葉、広葉草本、ササ類などを選択的に採食する。タメ糞を
する習性がある。出産期は5∼6月、交尾期は10∼11月、妊
娠期間は215日で、通常1仔を出産する。
【確認状況】低山帯地域:角研ぎ痕、糞、毛などの痕跡や声
により全地点で確認された。また、L-1とL-2では自動撮影法
により個体が撮影された。
甲子地域:L-7で糞、L-8で角研ぎ痕が確認された。ウシ目
の一種の足跡がL-4、L-5で記録されているため、これらの地
点においても生息している可能性はある。
94
5.5.4.鳥類
1) ラインセンサス調査
現地調査の結果、表 5.5.12 に示すとおり、低山帯地域では 22 種(調査範囲外含め
24 種)、甲子地域では 27 種(調査範囲外含め 30 種)、合計 30 種(調査範囲外含め 34 種)
の鳥類が確認された。
確認種の多くは森林に依存する種である。低山帯地域と甲子地域では、種構成に大き
な違いは見られなかった。
ウグイス、エナガ及びヤマガラについては、確認地点が多く、優占度の高い地点も比
較的多くみられた。ウグイスはすべての地点で記録された。本種の生息地となるササ群
落が林床に広い範囲でみられることから、好適な生息地になっていると考えられる。エ
ナガは繁殖後、家族群が集合して大きな群れを形成するため、秋季に群れが記録された
地点では、優占度の高い結果となった。ヤマガラは、秋季に確認記録が増加し、エナガ
やコガラ、シジュウカラなどの混群内で観察されることが多かった。
夏季にみられる繁殖行動としては、L-6 でヤマガラ、L -4 でキビタキの餌運びが確認
された。確認地点周辺で繁殖している可能性が高い。そのほか、キジバトやホトトギス、
ミソサザイ、トラツグミ、クロツグミ、アカハラ、ヤブサメ、ウグイス、センダイムシ
クイ、キビタキ、オオルリ、コガラ、ヒガラ、メジロ、ホオジロ、クロジの 16 種につ
いては、さえずりが確認されたため、確認地点周辺において繁殖している可能性がある。
アカゲラ、キビタキ、ヤマガラ、シジュウカラ、ホオジロ及びクロジについては巣立
ち雛を含む幼鳥が確認された。調査対象地域で繁殖したと考えられる。
95
表 5.5.12 ラインセンサス調査全期結果(鳥類)
調査地点
個体鳥・甲子山周辺地域
深沢∼高土山周辺の低山帯地域
L-3
L-4
L-5
L-6
L-7
L-8
No.
種名
L-1
L-2
出現数 優占度 出現数 優占度 出現数 優占度 出現数 優占度 出現数 優占度 出現数 優占度 出現数 優占度 出現数 優占度
(個体)
(%)
(個体)
(%)
(個体)
(%)
(個体)
(%)
(個体)
(%)
(個体)
(%)
(個体)
(%)
(個体)
(%)
1 トビ
(1)
2 ノスリ
(1)
3 ヤマドリ
1
1.3
1
2.2
4 キジバト
2
4.0
2
2.7
2
4.3
5 ホトトギス
1(1)
1.3
6 アマツバメ
(1)
7 アオゲラ
1
1.3
8 アカゲラ
(1)
1
1.2
1
1.3
1
2.2
9 オオアカゲラ
1
2.1
10 コゲラ
3
6.0
2
4.9
4
4.7
2
2.7
3
7.1
2
5.6
4
8.7
11 ツバメ
3
6.4
12 ヒヨドリ
7
14.0
4
9.8
12
14.1
10
13.3
10
27.8
13 ミソサザイ
2
4.9
5
5.9
6
8.0
2
4.8
1
2.2
3
6.4
14 トラツグミ
1
1.2
1
2.4
15 クロツグミ
1
2.0
2
2.4
(1)
16 アカハラ
(1)
17 ヤブサメ
1
2.0
5
12.2
2
2.7
1
2.2
18 ウグイス
3
6.0
6
14.6
2
2.4
4
5.3
2
4.8
4
11.1
3
6.5
18
38.3
19 エゾムシクイ
2
4.9
20 センダイムシクイ
1
1.3
1
2.2
1
2.1
21 キビタキ
2
4.0
2
4.9
4
4.7
2
5.6
2
4.3
1
2.1
22 オオルリ
3
6.0
1
2.4
1
1.2
3(1)
4.0
1
2.4
2
4.3
23 エナガ
8
16.0
6
14.6
24
28.2
16
21.3
2
4.8
24 コガラ
5
5.9
3
4.0
15
35.7
2
5.6
5
10.9
25 ヒガラ
2
4.0
7
8.2
5
11.9
4
11.1
3
6.5
3
6.4
26 ヤマガラ
11
22.0
7
8.2
5
6.7
5
11.9
7
19.4
9
19.6
27 シジュウカラ
1
2.0
1
2.4
5
5.9
2
2.7
2
4.8
1
2.8
5
10.9
6
12.8
28 ゴジュウカラ
3
7.1
2
4.3
29 メジロ
2
4.0
2
4.9
3
3.5
6
8.0
2
5.6
30 ホオジロ
2
4.0
5
12.2
2
2.7
5
10.6
31 クロジ
1
2.4
4
5.3
1
2.4
5(1)
10.6
32 カワラヒワ
1
1.2
33 カケス
2
4.0
2
4.9
1
1.2
3
4.0
1
2.2
1
2.1
34 ハシブトガラス
2
5.6
3
6.5
50(51)
41(42)
85(86)
75(78)
42
36(37)
46(47)
47(48)
合計個体数
100
100
100
100
100
100
100
100
合計種数
15(16)
14(15)
17(18)
20(21)
12
10(11)
17(18)
11
地域種数
22(24)
27(30)
注1) 種名及び配列は「日本鳥類目録 改訂第 6 版」(日本鳥学会,2000)に準拠した。
注2) 調査範囲は、ルートの両側 100m(片側 50m)及び上空 50m とした。
注3) 出現数の()内の数値は、調査範囲外で記録した個体数を示す。
注4) 合計個体数、合計種数及び地域種数での()内の数値は、調査範囲外の記録を含めた個体数又は種数を示す。
96
2) 定点観察調査
現地調査の結果、表 5.5.13 に示すとおり、低山帯地域では 18 種、甲子地域では 23
種(調査範囲外含め 26 種)、合計 28 種(調査範囲外含め 30 種)の鳥類が確認されたが、
どの地点においても、確認種数及び個体数は少なかった。
ヒヨドリやウグイス、コガラ、ヤマガラ、メジロなどの森林性の種や、森林周辺に生
息する種が多く見られた。
低山帯地域の L-2 終点及び甲子地域の L-4 終点では、合計種数及び合計個体数が比較
的多かった。L-2 終点では、秋季にツバメの群れが、L-4 終点では、秋季にコガラやメ
ジロ、カケスの小群が確認されたことで、個体数の多い結果となった。
キジバトやミソサザイ、トラツグミ、マミジロ、ヤブサメ、ウグイス、センダイムシ
クイ、キビタキ、オオルリ、メジロ、ホオジロ、クロジの 12 種については、繁殖行動
としてさえずりが確認されたため、確認地点周辺において繁殖の可能性が考えられる。
表 5.5.13 定点観察調査全季結果
調査地点
No.
種名
深沢∼高土山周辺の低山帯地域
L-1
起点 終点
L-2
起点 終点
L-3
起点 終点
羽鳥・甲子山周辺地域
L-4
起点 終点
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
L-5
起点 終点
L-6
起点 終点
L-7
起点 終点
L-8
起点 終点
(3)
(1)
1
ノスリ
キジバト
2
1
1
アマツバメ
1
アカゲラ
1
1
コゲラ
1
1
1
1
1
1
ツバメ
1
6
2
イワツバメ
(14)
ヒヨドリ
3
1
1
2
2
1
2
1
1
ミソサザイ
1
1
トラツグミ
1
マミジロ
2
(1)
ヤブサメ
1
1
ウグイス
1
1
1
1
1
1
1
4
エゾムシクイ
1
1
センダイムシクイ
1
1
キクイタダキ
4
キビタキ
(1)
2
オオルリ
1
(1)
コガラ
2
4
3
4
1
3
1
ヒガラ
1
2
1
2
2
1
ヤマガラ
1
2
2
2
2
2
1
3
2
シジュウカラ
1
1
2
ゴジュウカラ
1
1
1
メジロ
1
4
1
3
1
4
1
ホオジロ
1
2
1
クロジ
2
1
カワラヒワ
1
ウソ
2
(2)
カケス
2
3
9
2
ホシガラス
1
合計個体数
4
7
11
19
16
6
8
27
10
11
5
2
7(8) 9(11) 5(23) 12(14)
合計種数
2
6
6
11
6
4
6
12
6
5
3
2
6(7) 7(9) 4(7) 7(8)
地域種数
18
23(26)
注1) 種名及び配列は「日本鳥類目録 改訂第 6 版」(日本鳥学会,2000)に準拠した。
注2) 調査範囲は、地点から半径 50m 及び上空 50m とした。
注3) 表の数値は個体数を示し、
()内の数値は、調査範囲外で記録した個体数を示す。
注4) 合計個体数、合計種数及び地域種数での()内の数値は、調査範囲外の記録を含めた個体数又は種数を示す。
97
3) 夜間観察調査
現地調査の結果、表 5.5.14 に示す 2 目 2 科 2 種の夜行性鳥類が確認された。
低山帯地域では、L-1 でヨタカが確認された。草地上空で採餌飛翔や、さえずりなが
ら飛翔するオス 1 個体が見られた。確認地点周辺で繁殖している可能性がある。
甲子地域では、L -7 でフクロウ及びヨタカの 2 種が確認された。フクロウは、成鳥メ
スと思われる個体と餌乞い鳴きする幼鳥が見られた。確認地点から比較的近い場所で繁
殖した可能性がある。ヨタカは、林道の地上から飛び立つメス 1 個体、樹頂にとまる 1
個体が確認された。
表 5.5.14 夜間観察調査結果(夏季)
No.
目名
1 フクロウ
科名
フクロウ
種名
調査地点
深沢∼高土山
羽鳥・甲子山周辺地域
周辺の低山帯地域
L-1
L-7
フクロウ
2
2 ヨタカ
ヨタカ
ヨタカ
合計 2目 2科 2種
1
2
1種
2種
注 1)目名、科名、種名及び配列は「日本鳥類目録 改訂第 6 版」(日本鳥学会,2000)に準拠した。
98
4) 任意観察調査
現地調査の結果、表 5.5.15 に示す 8 目 23 科 41 種の鳥類が確認された。低山帯地域
では 21 種、甲子地域では 30 種であった。
なお、確認種はラインセンサスでは出現しなかった種を補完しており、注目種を除い
て重複した種は記録していない。
表 5.5.15 任意観察調査全季結果(鳥類)
調査地点
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
目名
ペリカン
タカ
科名
ウ
タカ
種名
カワウ
ハチクマ
ハイタカ
ノスリ
ハヤブサ
チゴハヤブサ
キジ
キジ
ヤマドリ
ハト
ハト
キジバト
アオバト
カッコウ
カッコウ
ツツドリ
ホトトギス
ブッポウソウ カワセミ
アカショウビン
キツツキ
キツツキ
アオゲラ
アカゲラ
オオアカゲラ
コゲラ
スズメ
ツバメ
ツバメ
イワツバメ
セキレイ
キセキレイ
ヒヨドリ
ヒヨドリ
モズ
モズ
カワガラス
カワガラス
ミソサザイ
ミソサザイ
ツグミ
トラツグミ
マミジロ
クロツグミ
アカハラ
ウグイス
メボソムシクイ
エゾムシクイ
キクイタダキ
ヒタキ
キビタキ
エナガ
エナガ
シジュウカラ コガラ
ヒガラ
ヤマガラ
シジュウカラ
ゴジュウカラ ゴジュウカラ
ホオジロ
ホオジロ
アトリ
カワラヒワ
イカル
カラス
ホシガラス
ハシブトガラス
合計 8目 23科 41種
確認状況
夏季
○
秋季
深沢∼高土山
周辺の低山帯地域
L-1
○
○
○
○
○
○
○
○
L-3
L-4
○
L-5
L-6
○
○
L-7
L-8
○
○
○
○
○
○
○
○
○
L-2
羽鳥・甲子山周辺地域
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
28種
25種
5種
7種 10種
21種
8種
注1) 目名、科名、種名及び配列は「日本鳥類目録 改訂第 6 版」
(日本鳥学会,2000)に準拠した。
注2) 確認種は調査範囲外の記録を含む。
99
○
8種
0種
30種
7種
○
○
19種
5) 鳥類相
現地調査の結果、表 5.5.16 に示す 10 目 27 科 53 種の鳥類が確認された。確認種にお
ける生息環境区分別の種構成を表 5.5.17、渡り区分別の種構成を表 5.5.18 に示す。
調査対象地域は樹林が大部分を占め、一部に渓流などの水域や草地がみられる。この
ような環境を反映し、ヤマドリやアカゲラ、トラツグミ、ヤブサメなどの主に樹林に生
息する種や、ノスリやヒヨドリ、モズ、ウグイス、ホオジロなどの樹林とその周辺に生
息する種が全体の 9 割近くを占めた。そのほか、主に水域に生息するカワウやカワガラ
ス、水域とその周辺に生息するキセキレイ、村落や市街地などに生息するツバメなどが
確認された。
確認種を渡り区分別に見ると、ヤマドリやフクロウ、ヒヨドリなどの留鳥は 36 種、
ヨタカやツバメ、キビタキなどの夏鳥が 17 種記録され、留鳥が約 7 割を占めた。夏鳥
は約 3 割と留鳥に比べ少ないものの、平野部に比べ種数は多く、繁殖地として好適な生
息環境であると考えられる。
調査地域別に見ると、低山帯地域では 38 種、甲子地域では 47 種の鳥類が確認された。
100
表 5.5.16 確認種(鳥類)
No.
目名
科名
種名
生息環境
注3)
区分
渡り
区分
注4)
調査地点
確認状況 深沢∼高土山周
辺の低山帯地域
L-1 L-2 L-3 L-4 L-5 L-6 L-7 L-8
○
○
○
○
○
○
○ ○
○
○
○
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○
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○ ○
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○
○
○
○
○
○
○ ○
○
○
○
○
○
○ ○
○
○
22種 25種 26種 30種 19種 12種 28種 32種
44種 41種
合計 10目 27科 53種
38種
47種
注1) 目名、科名、種名及び配列は「日本鳥類目録 改訂第 6 版」
(日本鳥学会,2000)に準拠した。
注2) 確認種は調査範囲外の記録を含む。
注3) 生息環境区分は「日本鳥類目録 改訂第 6 版」(日本鳥学会,2000)、原色日本野鳥生態図鑑<陸鳥編>(中村登流・中村雅
彦,1995)及び原色日本野鳥生態図鑑<水鳥編>(中村登流・中村雅彦,1995)を参考にした。
森林:森林性種−主に森林に生息する種
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
ペリカン
タカ
ウ
タカ
カワウ
ハチクマ
トビ
ハイタカ
ノスリ
ハヤブサ
チゴハヤブサ
キジ
キジ
ヤマドリ
ハト
ハト
キジバト
アオバト
カッコウ
カッコウ
ツツドリ
ホトトギス
フクロウ
フクロウ
フクロウ
ヨタカ
ヨタカ
ヨタカ
ブッポウソウ アマツバメ
アマツバメ
カワセミ
アカショウビン
キツツキ
キツツキ
アオゲラ
アカゲラ
オオアカゲラ
コゲラ
スズメ
ツバメ
ツバメ
イワツバメ
セキレイ
キセキレイ
ヒヨドリ
ヒヨドリ
モズ
モズ
カワガラス
カワガラス
ミソサザイ
ミソサザイ
ツグミ
トラツグミ
マミジロ
クロツグミ
アカハラ
ウグイス
ヤブサメ
ウグイス
メボソムシクイ
エゾムシクイ
センダイムシクイ
キクイタダキ
ヒタキ
キビタキ
オオルリ
エナガ
エナガ
シジュウカラ コガラ
ヒガラ
ヤマガラ
シジュウカラ
ゴジュウカラ ゴジュウカラ
メジロ
メジロ
ホオジロ
ホオジロ
クロジ
アトリ
カワラヒワ
ウソ
イカル
カラス
カケス
ホシガラス
ハシブトガラス
水域
森林
その他
森林
森林周辺
森林周辺
森林
その他
森林
森林
森林
森林周辺
森林周辺
その他
森林
森林
森林
森林
森林
人里
その他
水域周辺
森林周辺
森林周辺
水域
森林
森林
森林
森林
森林
森林
森林周辺
森林
森林
森林
森林
森林
森林
森林
森林
森林
森林
森林
森林
森林
森林周辺
森林
森林周辺
森林
森林
森林
森林
その他
留鳥
夏鳥
留鳥
留鳥
留鳥
夏鳥
留鳥
留鳥
留鳥
夏鳥
夏鳥
留鳥
夏鳥
夏鳥
夏鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
夏鳥
夏鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
夏鳥
夏鳥
留鳥
夏鳥
留鳥
夏鳥
夏鳥
夏鳥
留鳥
夏鳥
夏鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
留鳥
101
夏季 秋季
○
○
○
○ ○
○ ○
○
○ ○
○ ○
○
○
○ ○
○
○
○
○
○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○
○
○ ○
○
○ ○
○ ○
○
○ ○
○ ○
○
○
○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○
○ ○
○
○ ○
○ ○
○
羽鳥・甲子山周辺地域
森林周辺:森林周辺性種−森林のほか、その周辺の草地、農耕地などに生息する種
草地:草地性種−主に草地や農耕地、裸地に生息する種
水域:水域性種−主に池、川、湖沼、海上といった水域に生息する種
水域周辺:水域周辺性種−水域のほか、その周辺の草地、農耕地、森林などに生息する種
人里:人里周辺性種−主に村落、市街地、公園といった人里の周辺に生息する種
その他:生息環境選択幅が広く、様々な環境に出現する種。主に空中で生活する種。上記区分に該当しない種
注4) 渡り区分
留鳥:年間を通して同じ地域にみられる種
夏鳥:春季に南の地域から渡来して繁殖し、秋季には南の越冬地へ渡去する種
冬鳥:秋季に北の地域から渡来して越冬し、春季には北の繁殖地へ渡去する種
旅鳥:春季、秋季の渡りの途中に一時的にみられる種
表 5.5.17 生息環境区分別の種構成
生息環境区分
森林性種
種数
構成比
35
66%
森林周辺性種
9
17%
草地性種
水域性種
水域周辺性種
人里性種
その他の種
0
2
1
1
5
0%
4%
2%
2%
9%
53
100%
合計
主な確認種
ヤマドリ、ホトトギス、アカゲラ、トラツグミ、ヤブサメ、オオ
ルリ、ヒガラなど
ノスリ、フクロウ、ヨタカ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ホオジ
ロ、カワラヒワ
−
カワウ、カワガラス
キセキレイ
ツバメ
トビ、キジバト、アマツバメ、イワツバメ、ハシブトガラス
−
表 5.5.18 渡り区分別の種構成
渡り区分
種数
構成比
留鳥
36
68%
夏鳥
17
32%
冬鳥
旅鳥
0
0
0%
0%
合計
53
100%
主な確認種
ヤマドリ、フクロウ、アカゲラ、キセキレイ、ヒヨドリ、ウグイ
ス、ヤマガラなど
ハチクマ、ホトトギス、ヨタカ、ツバメ、マミジロ、ヤブサメ、
キビタキなど
−
−
−
102
6) 注目種
現地調査の結果、確認された注目種は表 5.5.19 に示すとおり、6 目 7 科 10 種が確認
された。表 5.5.20(1)∼(3)に各種の生態や分布状況、現地確認状況を示した。
低山帯地域では 8 種、甲子地域では 8 種が記録された。特に注目すべき鳥類としては、
希少種としてのランクの高い〔福島県 RDB においてランク B 以上のもの〕ハチクマ、ア
カショウビン、クロツグミが挙げられる。アカショウビンは低山帯地域のみ、そのほか
の種は両地域で確認されている。また、低山帯地域の L-3、甲子地域の L-7、L-8 では、
注目種の確認種数が 4∼5 種と比較的多いことがわかる。
注目種のうち、繁殖行動が確認された種は、ノスリ、ヨタカ、アカショウビン、マミ
ジロ及びクロツグミの 5 種である。ノスリはディスプレイ、そのほかの種ではさえずり
が確認された。
ハイタカ及びオオアカゲラについては、育雛期に生息が確認されたため、繁殖してい
る可能性がある。一方、ハチクマとチゴハヤブサは秋季の渡り時期に限って確認されて
おり、移動途中の一時的な利用である可能性がある。
表 5.5.19 注目種確認状況(鳥類)
注目種選定基準
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
目名
タカ
科名
タカ
種名
ハチクマ
ハイタカ
ノスリ
ハヤブサ チゴハヤブサ
ハト
ハト
アオバト
ヨタカ
ヨタカ
ヨタカ
ブッポウソウ カワセミ アカショウビン
キツツキ
キツツキ オオアカゲラ
スズメ
ツグミ
マミジロ
クロツグミ
①
②
③
NT
NT
VU
注2)
④
調査地点
確認状況 深沢∼高土山周
辺の低山帯地域
夏季 秋季 L-1
○
○
○
○
○
○
○
○
○
B
○
D
○
○
○
D
○
○
B
○
○
○
3種
9種 7種 8種
B
C
C
C
C
L-2
○
○
○
L-3
羽鳥・甲子山周辺地域
L-4
○
L-5
L-6
L-7
○
○
○
L-8
○
○
○
○
○
○
○
2種
○
○
○
○
5種
○
○
3種 4種
1種 1種 4種
合計 6目 7科 10種
0種 0種 3種
8種
8種
注1) 目名、科名、種名及び配列は「日本鳥類目録 改訂第 6 版」
(日本鳥学会,2000)に準拠した。
注2) 注目種選定基準:①「文化財保護法」(昭和 25 年 法令第 214 号)に基づく天然記念物
②「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(平成 4 年 法律第 75 号)に基づく希少
野生動植物種
③「哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物 I 及び植物 II のレッドリストの見直しについて」
(環
境省報道発表資料,2007)による選定種
VU:絶滅危惧 II 類、NT:準絶滅危惧
④「レッドデータブックふくしまⅠ植物・昆虫類・鳥類」(福島県 2002)による選定種
B:絶滅危惧Ⅱ類、C:準絶滅危惧、D:希少
注3) 確認種は調査範囲外の記録を含む。
103
表 5.5.20(1) 各注目種の概要(鳥類)
ハチクマ(タカ科)
【選定基準】③:NT、④:B
【一般生態】夏鳥として5月中∼下旬に渡来し、北海道、本
州、佐渡、四国、九州で繁殖する。丘陵地や低山の山林に生
息する。ハチの幼虫や蛹、カエル類、ヘビ類、鳥類、小型哺
乳類を捕食する。本州以南では標高1,500m以下の林で営巣
し、アカマツ、カラマツ、ナラ類等の地上10∼25mくらいの枝
上に巣をつくる。
【確認状況】低山帯地域:秋季にL-2で幼鳥2個体の飛翔が
確認された。渡りの移動途中であると考えられる。
甲子地域:秋季にL-7で成鳥オス1個体の飛翔が確認され
た。
ハイタカ(タカ科)
【選定基準】③:NT、④:C
【一般生態】北海道と本州で繁殖し、冬には北海道から九州
に分布する。平地から亜高山帯の林に生息するが、秋と冬に
は海岸近くの農耕地などでも見られる。ツグミくらいまでの鳥
類やネズミ等の小型の哺乳類を餌とする。営巣林はアカマツ
やカラマツ、スギ等の針葉樹の単相林であることが多い。地
上3∼30mの樹冠近くの樹幹部や又状部に巣をつくる。
【確認状況】低山帯地域:夏季と秋季にL-2で飛翔する個体
が各1個体確認された。
甲子地域:秋季にL-7で枯死木にとまり、探餌を行う幼鳥1個
体が確認された。
写真なし
ノスリ(タカ科)
【選定基準】④:C
【一般生態】北海道、本州、佐渡、伊豆諸島、小笠原諸島、
四国などで繁殖し、冬には分布が広がる。平地から亜高山帯
の林に生息し、周辺の河原、農耕地、干拓地で、小型哺乳
類、カエル類、ヘビ類、昆虫類、鳥類等を捕食する。針葉樹
林や針広混交林に営巣し、地上7∼15mの樹幹部や又状部
に巣をつくる。
【確認状況】低山帯地域:夏季にL-2で飛翔する1個体が、L3で成鳥2個体の飛翔が確認され、ディスプレイも見られたこと
から、確認地点周辺で繁殖の可能性がある。
甲子地域:秋季にL-5ではカラマツにとまる個体が、L-8では
飛翔する3個体が確認された。
チゴハヤブサ(ハヤブサ科)
【選定基準】④:C
【一般生態】夏鳥として4月下旬∼5月上旬に渡来し、北海道
と東北地方の北部で繁殖する。平地の疎林に生息し、周辺
の農耕地や草原等の広い空間で狩りをする。主にヒバリ、ツ
バメ、スズメ等の鳥類を捕食するが、トンボやバッタ等の昆虫
類、コウモリ類も餌とする。巣は、カラス類やハイタカ、カケス
等の古巣を利用する。
【確認状況】甲子地域:秋季にL-8で探餌飛翔する1個体が確
認された。渡りの移動途中であると考えられる。
写真なし
104
表 5.5.20(2) 各注目種の概要(鳥類)
アオバト(ハト科)
写真なし
ヨタカ(ヨタカ科)
写真なし
アカショウビン(カワセミ科)
写真なし
【選定基準】④:C
【一般生態】本種は、北海道、本州、四国、九州で繁殖し、北
海道では夏鳥、他は留鳥である。山地帯の常緑広葉樹林、
落葉広葉樹林に生息する。樹上、特に小枝や葉が茂る樹冠
部や、林内や林縁の地上で、草の実・果実・種子、どんぐりの
ような堅果を採食する。巣は地上1∼6mぐらいの樹木の枝上
に、小枝を集めて粗雑な巣をつくる。
【確認状況】低山帯地域:秋季にL-3で飛翔後、尾根付近の
斜面落葉広葉樹にとまる6個体が確認された。
【選定基準】③:VU
【一般生態】夏鳥として渡来し、九州以北の各地で繁殖する。
主に標高2,000m以下の山地帯に生息し、東北地方では低山
帯に多い。草原や灌木が散在する落葉広葉樹林や針葉樹林
で、地面が乾いた明るい林を好む。夜間に飛び回り、昆虫類
を捕食する。繁殖期は5∼8月。主に林縁の地上に浅い窪み
をつくり巣とする。
【確認状況】低山帯地域:夏季にL-1でオス1個体のさえずり
や採餌飛翔などが観察されたことから、確認地点周辺で繁殖
の可能性がある。
甲子地域:夏季にL-7で林道の地上から飛び立つメス1個
体、枯死木の樹頂にとまる1個体が確認された。
【選定基準】④:B
【一般生態】夏鳥として渡来し、北海道から南西諸島で繁殖
する。低地や低山帯の常緑広葉樹林、落葉広葉樹林等に生
息し、小さい渓流沿いや小さい湖沼のふちで生活する。小
魚、サワガニ、カエル類、昆虫類を捕食する。繁殖期は5∼7
月。樹洞や崖の洞穴を利用して営巣することが多いが、朽ち
木や土壁等に巣穴を掘ることもある。
【確認状況】低山帯地域:夏季にL-3のスギ植林内でさえずり
が確認されたことから、確認地点周辺で繁殖の可能性があ
る。
オオアカゲラ(キツツキ科)
【選定基準】④:D
【一般生態】留鳥として北海道から本州、四国、九州、奄美大
島に分布する。低山帯、亜高山帯の樹林に生息し、原生林
や自然木の多い森林地帯に多く、二次林や造林地ではあま
り見られない。枯死木でアリ類、甲虫の幼虫などを捕食する。
繁殖期は3∼6月。枯死木の樹幹に巣穴を掘る。
写真なし
【確認状況】低山帯地域:夏季にL-1で飛翔するオス1個体が
確認された。
甲子地域:秋季にL-8で飛翔する1個体が確認された。
105
表 5.5.20(3) 各注目種の概要(鳥類)
マミジロ(ツグミ科)
クロツグミ(ツグミ科)
【選定基準】④:D
【一般生態】夏鳥として渡来し、北海道や本州中部以北の山
地で繁殖する。平地から山地の広葉樹林、針広混交林、亜
高山帯のシラビソ、コメツガ等の針葉樹林に生息する。ミミズ
類や昆虫類、ミヤマザクラなどの実を餌とする。繁殖期は5∼
7月。ミヤマイボタ、ウツギなどの灌木の枝に、草本の枯れ茎
や根を多量に用いて、泥で固めて椀形の巣をつくる。
【確認状況】甲子地域:夏季にL4、L-7、L-8、秋季にL-7で確
認された。L-4では、とまりや採餌する成鳥オス・メスなど、計
3個体が観察された。L-7では、夏季に落葉広葉樹林内でオ
スのさえずり、秋季にササ藪の地上で採餌する若鳥オス(第
1回冬羽)が観察された。L-8では、落葉広葉樹にとまる成鳥
メスが確認された。
【選定基準】④:B
【一般生態】夏鳥として渡来し、九州以北の各地に分布する。
主に本州中部以北で繁殖し、低山帯の林から標高1,000m以
下の山地に生息するが、平地林で繁殖することもある。ミミズ
やゴミムシ等を捕食するほか、ヤマザクラ、ノブドウ、ヒサカキ
等の果実も餌とする。繁殖期は5∼7月。木の枝の上にコケ類
や枯れ草、土等を材料に椀形の巣をつくる。
【確認状況】低山帯地域:夏季にL-1でさえずるオスが、L-3
で3個体のオスのさえずりが確認され、確認地点周辺で繁殖
の可能性がある。
甲子地域:夏季にL-6とL-8でオスのさえずりが各1個体確認
された。周辺で繁殖の可能性がある。秋季にL-4で若鳥(第
1回冬羽)の小群が計6個体確認された。
5.5.5.昆虫類
今回の現地調査では、補足的に昆虫類の任意確認をしており、表 5.3.5 に示したよう
な良好な森林を指標する種は確認されなかった。ただし、調査対象地域内に生息している
可能性は否定できない。
106
5.5.6.両生類・爬虫類
1) 確認状況
両生・爬虫類について、哺乳類や鳥類、植物の調査中に確認された種は、表 5.5.21
に示すとおり、両生類は 2 目 5 科 6 種、爬虫類は 1 目 1 科 2 種であった。
両生類・爬虫類の調査は補足的に行ったため、多くの種を確認することはできなかっ
たが、この他にも両生類ではクロサンショウウオやカジカガエル、爬虫類ではアオダイ
ショウやジムグリなどが生息していると思われる。
表 5.5.21 確認状況(両生類・爬虫類)
両生類
調査地点
No.
目名
科名
深沢∼高土山
周辺の低山帯地域
種名
L-1
1
2
サンショウウオ
カエル
サンショウウオ
ヒキガエル
トウホクサンショウウオ
アズマヒキガエル
3
アマガエル
アマガエル
4
アカガエル
タゴガエル
アオガエル
モリアオガエル
5
L-2
L-3
L-4
L-5
L-6
○
○
L-7
L-8
○
○
○
○
○
○
○
○
○
ヤマアカガエル
6
羽鳥・甲子山周辺地域
○
○
○
合計2目5科6種
3
3
4
0
2
1
1
0
爬虫類
1
トカゲ
ヘビ
2
○
○
ヒバカリ
ヤマカガシ
合計1目1科3種
○
2
0
注1) 目名、科名、種名及び配列は「日本産野生生物目録」(環境庁,1993)に準拠した。
107
0
0
0
0
0
1
2) 注目種
現地調査の結果、確認された注目種は表 5.5.22 に示すとおり、両生類では 2 目 2 科
2 種、爬虫類では 1 目 1 科 1 種が確認された。表 5.5.22 に各種の生態や分布状況、現
地確認状況を示した。
表 5.5.22 注目種確認状況(両生類・爬虫類)
両生類
調査地点
No.
目名
科名
選定基準
種名
①
1
サンショウウオ
サンショウウオ
トウホクサンショウウオ
2
カエル
アオガエル
モリアオガエル
合計2目2科2種
②
注2)
③
深沢∼高土山
周辺の低山帯地域
④
L-1
L-2
D
0
0
0
0
0
L-3
L-4
L-5
L-6
L-7
L-8
○
○
D
0
羽鳥・甲子山周辺地域
2
0
2
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
爬虫類
1
トカゲ
ヘビ
合計1目1科1種
ヒバカリ
D
1
○
注1) 目名、科名、種名及び配列は「日本産野生生物目録」(環境庁,1993)に準拠した。
注2) 選定基準:①「文化財保護法」(昭和 25 年 法令第 214 号)に基づく天然記念物
②「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(平成 4 年 法律第 75 号)に基づく希少野生動
植物種
③「哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物 I 及び植物 II のレッドリストの見直しについて」
(環境省
報道発表資料,2007)による選定種
④「レッドデータブックふくしまⅡ 淡水魚類/両生・爬虫類/哺乳類」(福島県 2003)による選定種
D:希少
108
表 5.5.23 注目種の概要(両生類・爬虫類)
トウホクサンショウウオ
(サンショウウオ目サンショウウオ科)
【選定基準】④:D
【一般生態】丘陵地から山地の落葉広葉樹林、針広混交林、
湿地に生息する。産卵期は多くが3∼4月だが、降雪のある
山地では融雪後の5∼7月に産卵する。産卵は山間のゆるや
かな流れや湧水たまり、湿地などで行う。卵嚢は透明なコイ
ル状で水中の枝や枯れ葉、石などに産み付ける。成体は周
辺の林床で半地中生活し、行動圏はそれほど広くない。
【確認状況】低山帯地域:夏季にL-2の崖下の水たまりで幼
生、秋季に側溝の水たまりで幼生と幼体が複数個体確認さ
れた。
モリアオガエル(カエル目アオガエル科)
写真なし
ヒバカリ(トカゲ目ヘビ科)
【選定基準】④:D
【一般生態】本州、佐渡島に分布し、水田、丘陵部から高山
帯に生息する。繁殖期は4∼7月で水田の畦や林道の水たま
り、池や沼周辺の樹木の枝先に、白い泡状の卵塊を産み付
ける。樹上に産み付けられた卵は1∼2週間で幼生に成長し、
水中へと落下する。成体は繁殖期以外は周辺の樹林で生活
する。
【確認状況】低山帯地域:夏季にL-2の崖下の水たまり付近
で鳴き声が確認された。
【選定基準】④:D
【一般生態】本州、四国、九州と及びその周辺の島嶼に分布
する。平野部から山間の水田や湿地周辺の樹林や草地に生
息する。水辺を好み、主にカエル類や小魚などを捕食する。
【確認状況】低山帯地域:夏季にL-1で捕獲により1個体が確
認された。
109
6. 聴き取り調査
調査結果をもとに、専門家への聴き取り調査を行い、保護林の位置及び区域の設定のため
の考察の参考とした。聴き取り調査結果を表 5.5.1 に示す。
表 5.5.1(1) 事後聴き取り調査議事録
学識者
出
席
福島大学名誉教授
樫村利道先生
者
受注 者 側
日
時
場
所
打合せ方式
早川、桑原
2011 年 1 月 20 日(木)
13:00∼15:00
樫村先生宅
会
議
1.調査結果の説明
中間報告【概要版】をもとに今回の調査結果の説明をした。
2.注目すべき植物・植物群落・について
◎深沢のヒノキアスナロの植物群落保護林付近の植生は、アスナロも混在している可能性がある。調
査地域はアスナロの北限付近、ヒノキアスナロの南限付近であることから、これらの植物群落は重要
である。調査の結果、この保護林周辺にもヒノキアスナロが生育している箇所があるため、保護林の
拡張が望ましい。
◎御霊櫃峠付近で調査したアカマツ群落は、中間報告書では植林として扱っていたが、この地域の土
地的極相に近い可能性がある。自然林の指標として残す価値があるものである。規模が小さいため、
保護林として設定はしないまでも、緑の回廊内における自然植生の一類型として管理、保護していく
必要がある。
◎八幡山付近に位置する高齢林(コナラ、イヌブナ、ミズナラの群落)は福島県内陸部としての極相
林である可能性もあるが、人の手が入った二次林の高齢林である可能性も否定できない。特筆すべき
群落とまではいえない。八幡山近辺でアカヤシオが確認されたことは新知見である。
◎羽鳥地区では特筆すべき群落はないが、所々に小規模な高齢林がある。このなかのコナラやミズナ
ラの大径木は残す価値のあるものだと思われるので、伐採せずに残していくべきである。
◎甲子地域では、ブナ群落以外にも様々な群落が確認された。風衝低木群落や尾根筋などの針葉樹林
(クロベ群落、ヒノキアスナロ−ブナ群落)
、渓畔林(カツラ群落、サワグルミ群落)、湿性草地など
様々な群落が多様な環境のうえに成立しており、面積的にも広く残されている。つまり多様な生態系
が残されていると考えることができ、生物多様性の観点からも非常に重要であるといえる。また、太
平洋側、日本海側の両要素が交わり複雑な植物相をもつ独特の地域であり、学術的にも価値のあるも
のであることから、保護林として広い面積でこれらを一体的に保護していく必要がある。また、ヒメ
カイウは宮城、群馬でも確認されているが、福島県ではこれまで確認記録がなかった。今回の確認は
新知見であると言える。
以上
110
表 5.5.1(2) 事後聴き取り調査議事録
福島大学教授
学識者
出
席
木村吉幸先生
者
受注 者 側
日
時
場
所
2011 年 1 月 21 日(金)
10:00∼12:30
福島大学
打合せ方式
早川、桑原
会
議
1.調査結果の説明
中間報告【概要版】をもとに今回の調査結果の説明をした。また、先だって行った樫村利道先生、高橋
淳一先生のヒアリング結果も踏まえて説明した。
2.注目すべき植物・植物群落・動物などについて
◎調査の結果、中型以上の哺乳類は、一部の種を除いて確認されている。
◎小動物の調査(トラップ調査など)を行えば、ミズラモグラやヤチネズミなども確認できると思わ
れる。
◎イノシシやニホンジカが調査地各地で確認されているが、これは本来の分布域ではなく、注意すべ
きこととしてあげられる。起源は不明であるが、温暖化の影響による分布可能域の北上や、飼育され
ていた個体の逸出由来の可能性も考えられる。
◎センサーカメラに写っていたヒナコウモリ科の一種は、ニホンテングコウモリの可能性が高い。
3.保護林の設定について
◎樫村先生、高橋先生両氏の意見に賛同。
◎クマやシカ・サルなどによる人身被害や農林業被害などが出ているが、本来の生息地である自然林
を広範囲で残すことで、そのような被害を抑止することもできる。そのような意味でも、今回の保護
林設定の意義は大きいと思われる。
4.春季調査について
◎調査項目(時期) ・ネズミ、モグラ、コウモリなどの小動物調査が望ましい(指定時期は特にない)
※トラップは1地点最低 100 個程度設置する必要がある
・サンショウウオやアカガエル、ヒキガエルなどの春季に卵塊や成体を確認でき
る両生類調査が望ましい(2 月下旬∼3 月下旬)
・その他両生爬虫類もできる限り調査を行う(5 月下旬∼)
◎調査地域 夏季、秋季と同じ箇所
※夏季・秋季と比較できるようにするため。なお、夏季・秋季で手薄になっていた箇所もできれば調
査する。(甲子林道以南の沢筋など)
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表 5.5.1(3) 事後聴き取り調査議事録
学識者
出
席
者
受注 者 側
高山の原生林を守る会
会長
高橋淳一先生
日
時
場
所
2011 年 1 月 20 日(木)
15:45∼18:30
高橋先生宅
打合せ方式
早川、桑原
会
議
1.調査結果の説明
中間報告【概要版】をもとに今回の調査結果の説明をした。また、先だって行った樫村利道先生のヒ
アリング結果も合わせて説明した。
2.注目すべき植物・植物群落・動物などについて
◎八幡山のアカヤシオ、また小面積ではあるがイヌブナ、ブナの混交する林分に関しては、保護林の
設定も視野に入れて、今後の課題とすることが望まれる。春季調査時にも再度確認する必要がある。
◎できれば権太倉山付近の調査がもう少し行われるとよい。レンゲショウマが多産しているのを確認
している。夏季に確認するとよい。
◎ヤマグルマとブナが混交する林は福島では会津地方(烏帽子山)にて確認されているが、高頻度でみ
られる甲子地域は、その点でも特筆すべきものである。
◎鬼面山のオオシラビソは、風穴により低標高に生育し、特筆すべきものである。
3.保護林の設定について
◎基本的に樫村先生の意見に賛同。
◎甲子地域のブナ林と二岐山のブナ林とあわせて保護林にすべきで、パッチ状に伐採された林班も含
めて一元的に保護林にすべきである。
◎甲子道路が開通したことによって、これからも甲子の自然林への人為的影響は大きくなっていくこ
とが予想される。保護林設定によってこの希有な自然林を開発等から守っていくという意味でも、保
護林設定の意義は大きいと思われる。
4.春季調査について
◎調査項目(時期) ・春に確認できる植物の任意踏査(5 月上旬∼6 月上旬)
・繁殖期における鳥類の調査(5 月下旬∼6 月中旬)
・求愛期における猛禽類の調査(2 月下旬∼3 月下旬)
◎調査地域
夏季、秋季と同じ箇所
※夏季・秋季と比較できるようにするため。
羽鳥湖の東側地域も調査地域に加えるのが、望ましい。
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7. まとめ
7.1. 特に重点的に遺伝資源の保存を図る必要がある生物の分布
現地調査の結果から得た各項目の注目種等の分布を図 7.1.1∼図 7.1.5 に示す。
図 7.1.1 注目群落の位置(植生)
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図 7.1.2(1) 注目種の位置(植物)
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