平成 19 年 no.91 六 つ の 花 舞 う 号 ●発行/(社)茶道裏千家淡交会新潟支部とき青年部 ●編集/広報委員 高野由紀 UR ASENKE NKOHK AI TAN SEINENBU ときタイムス (一人が嘘を言うとそれが次から次へと広がって万人がそれを事実 として受け止めてしまう 淡交社 「 茶席の禅語大辞典 」 より) 11 月 19・20 日、大徳寺に於いて宗旦居士三百五十年御遠忌法要並びに記念茶会 が営まれ、その茶席に寄せて頂くことができました。 今日庵席には宗旦筆 「 一人傅虚 万人傅実 」 が掛かり、お家元様より淡々斎宗匠 も好んでよく掛けられたお話などがありました。 「 一 人 伝 虚 ……一人虚を伝うれば 万人実と伝う 「 虚 」 はまさに現在の私達であり、今年を表す一字 「 偽 」 に尽きる1年でした。 いにしても、今一度自分自身や身の回りを振り返ってみなくてはいけないと強く感 じるのは私だけではないと思います。 今年も色々な出来事が有りました。自然の力の前にはどうする事もできず、ただ 今こうしている事に感謝をする1年でも有りました。 先生方をはじめ会員の皆様にはとき青年部の活動にご参加ご協力頂きまして誠に ありがとうございました。どうぞ、来年も宜しくお願い致します。 そして来る年が皆様にとりまして良い年になりますように願っております。 とき青年部部長 佐 伯 由 紀 万 人 伝 実 」 栄達を望まず、物資を欲せず、清貧に甘んじた宗旦居士の生き方には遠く及ばな マンションで「和敬清寂」の世界を楽しめたら―― “そんな思いから鳥取市の建設会社が 1 時間で組み立てられる広さ 2 畳の茶室を考案した。 12 月 1、2 の両日、米ロサンゼルスで開かれるジャパンエキスポに出展される。鳥取県 産の杉材や和紙も使用しており、県産品の海外 PR にも一役買いそうだ。” (「朝日新聞」2007 年 11 月 21 日より) ――いかがですか、こんな茶室。お宅にもひとつ。 お茶のことのは 名物一種だにあらば、わび数寄するが本意なり (武野紹鴎) 茶会において「名器は一つでよい、その一つをなんでもない道具にま ぜて使用してこそ、その一つの名器がりっぱなものに見える」と教え ています。茶会は一服のお茶を、亭主が心をこめて点て、客はそれを ありがたく感じながら飲むことが目的であるので、所持の名器を鑑賞 することに心を奪われてしまい、真の目的と違ったものになってしま わないように、ということです。井口海仙『茶道名言集』(講談社)より TOPICS ●主な内容 部長ご挨拶など……… 1 行事報告………… 2 ~ 3 おしらせ・本棚等 ……… 4 裏千家ホームページ http://www.urasenke.or.jp/ ときタイムス 2007 年 12 月号 行事報告 ばら園呈茶 10 月 21 日(日) 長岡市・国営越後丘陵公園 秋のばら園でお呈茶…のはずが 石井社中 田中敬子 10 月 21 日は、長岡にあります国営越後丘陵公園において、昨年の春・ 秋そして今年の春にも行った茶会委員会主催の「ばら園呈茶」の日で したが、無料入園日にもかかわらず生憎の雨でした。わたしって…雨 女…? 場所を「花と緑の館」に移して開催いたしました。 お点前体験が好評でした。今回はお客さまが少なかった分、中越青 年部の方や知り合いの方々とゆっくりお話ができて良かったです。 アメリカからのお客さまや、終わり頃になって「あ∼良かった! ばら園に行ったらやってなくて、今日はもうダメかと思ったわ! 春 に来て美味しかったから、両親にも飲ませようと思って!」と流暢な 日本語で話された中国人のお客さま。とてもうれしいお言葉で、やっ て良かった!と思った瞬間でした。国際色豊かな!?呈茶でもありま した。お菓子は「菖城の月」新発田 寿堂製。 来年はイングリッシュガーデンが全面改修工事に入るため、それよ りも、わたしが青年部を卒業してしまうため、ばら園呈茶はどうなる 運命なのでしょうか…。 わたしが僭越ながら「そうびの会」として続けていきたいと思って おりますので、青年部の皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。 会員交流会 11 月 25 日(日) 新潟市歴史博物館内 旧第四銀行会議室 会員交流会に参加して 小林社中 近藤華代 11 月 25 日、みなとぴあの洋館を会場に行われた和菓子講習会に参 加させて頂きました。石川県より、老舗「行松旭松堂」の先生をお迎 えし、 「晩秋の和菓子」をテーマに、下染きんとん、寒椿、千代結び(干 菓子)の 3 種を教えて頂きました。 あんの色付けから、和菓子ができるまでの手順を教わり、先生の手 の中で次々と作られる芸術に何度も歓声が沸きました。その後、一人 一人に声をかけて頂き、丁寧に教わりながら、皆で思い思いに自分の 作品を作りました。 行松先生はお茶事の際はいつも水屋でお菓子を作り、出来立てをお 客様に提供するというお話がありましたが、お菓子づくりへの熱い思 いが伝わってきました。 講習会の最後に自分で作った出来立てのお菓子と美味しいお茶を頂 き、先生や会員の皆さんとお話をしながら楽しい時間を過ごしました。 教わった中でも干菓子は、簡単に作ることができたので、いつか茶 事などのおもてなしに使うことができたらと思っています。 未だ、青年部に入り日が浅いですが、会員の皆さんにとても温かく して頂いて、思い出深い 1 日となりました。これからの行事もとても 楽しみです。色々と準備をして頂いた役員の皆様、本当にありがとう ございました。 担当より…今年 5 月、金沢で行われた会員大会の薄茶席と同じく、金沢の興風園の「鵬雲」というお茶を召し上がっていただきました。 ときタイムス No.91 第 28 回 チャリティ茶会 12 月 2 日(日) 新潟市・伊勢丹「丹庵」 チャリティ茶会に参加して 田中社中 常木雅子 12 月 2 日に、伊勢丹の丹庵で行われたチャリティー茶会に参加させ ていただきました。お恥ずかしい話ですが、私は 6 月に青年部に入り ましてから、まだ 1 回もお茶の行事に参加しておりませんでした。そ のことが気がかりで、このまま年越しはできない(?)と思い、お願 いして水屋を担当させていただきました。 茶会前日の夕方に丹庵に集まり、その日担当の先生方のお席で、お いしいお茶を頂戴してエネルギーをチャージ!! その後、お道具を 実際に茶室に置いて菓子器を選びながら、どんな楽しい茶会になるか 思いを巡らせました。 当日は朝から冷たい雨が降り、お客様の出足が心配されましたが、 一席目から多くの方に来ていただいて安堵いたしました。 今回青年部の先輩方と一緒に水屋を担当させていただいて印象に 残ったのは、皆様が主体性をもって働いていたことです。これからは “お客様にお茶を楽しんでいただくには”を常に心がけて、主体性を 持って茶会に臨みたいと思います。よい勉強になりました。 今後とも宜しくお願いいたします。 北陸信越ブロック研修チーム研修会に参加して 米本社中 高野由紀 ものを作るってなんて楽しいんでしょう! そんな気持ちを、11 月 17 ∼ 18 日、富山県入善町 にある古民家「椚山いろり館」で行われたブロック研修チーム研修会で、富山、石川、新潟から集 まった7名のメンバーといっしょに、数奇屋袋と茶杓作りを通して体験してきました。 数奇屋袋は、型紙をとって布を裁断し、貼り合わせていくという単純作業なのですが、なかなか うまくいかないものでした。それでも完成すると個性的な数奇屋袋たちがテーブルに飾られました。 茶杓削りは、なにか心の贅肉をそぎ落としていくような小気味よさを感じながら、楽しくてつい削 りすぎてしまったほどでした。どちらの作品を作るときも、みんな真剣で無口になったり、ときど き笑い声が響いたり……作るのが楽しいと感じたのはきっと、みなさんと時間を共有するのが楽し かったということなのかもしれません。 夜は囲炉裏を囲んで、持ち寄った各地の名産や、事務局の方が作ってくださった料理をいただき ながら色々な話をし、有意義なひとときを過ごしました。そして帰る頃には、兄弟姉妹が別れると きのような淋しさでいっぱいになりましたが、またブロックの行事でお会いできる楽しみができま した。 茶杓の銘は「善キ友」にすることにしました。入善町の「善」と研 修チームの仲間の「友」です。ありふれた表現ですが、これしか思 い浮かびませんでした。ただいま筒に銘を書いてくださる方を募集 しています。 いつかみなさんと、ものづくりの楽しさ、その時間を共有できる喜 びを分かち合えることができますように。 今回企画してくださったブロック役員のみなさま、送り出してくだ さったみなさまに心より感謝いたします。 ときタイムス 2007 年 12 月号 『茶の湯 稽古場日誌 習い上手のくふう』 黒田宗光著 2006 年 3 月 24 日発行 淡交社刊 ケイコ の本棚 最終回 お稽古をしていて「お手前?お点前?何が違うの?」とか「どうして こうするのかな?」などちょっとした疑問が頭をかすめる時がありま せんか? この本はそういった疑問に見事に答えてくれます。とても 楽しくてあっという間に読めますが、その内容は盛りだくさん。ます ますお茶が好きになりますよ。 10 月に行われた地区大会で黒田先生とお会いすることができました。黒 田先生のファンのわたしは、もしや、と思いこの本を携えて空港にお迎 えに参りまして……サインをいただきました! 忘己利他 もうこりたとて 今日もお茶 宗光 「はじめに」にも書かれている伝教大師のお教えの言葉「忘己利他」。己を 忘れ他を利せよ。この言葉を常に思い、これからも精進いたします。 今年で卒業となりますが、どこかで見かけたらお声をかけてくださいね。 3 年間、拙い文章を読んでいただき、誠にありがとうございました。 (田中敬子) 青年部綱領 われわれ茶道を愛好する青年としての自覚により淡交会の諸活動に協力し、お茶を通じて良 識ある近代人としての人間形成に努め、同志的結合によって結ばれた友情と情熱で正しい地 域社会発展のために努めよう。 カレンダー これからの主な行事 2 月 17 日(日) 一月(睦月)の花入 越後獅子・翁など 二月(如月)の茶碗 えくぼ・かがり火など 3 月中 とき青年部総会(於・みなとぴあ) ☆元新潟大学理学部教授・石沢進先生より「椿」についての 講演を予定しております。詳細は後ほどご連絡いたします。 各委員会顔合わせ会 ☆詳細は後ほどご連絡いたします。 ☆次号は… 最後の LT 研修のレポート、茶会委員会主催のクリスマス茶会のご報告を中心に、 気持ちを新たに楽しいタイムスをお届けする予定です。どうぞお楽しみに。 編 リッツ・カールトンというホテルをご存知でしょうか? そのホスピタリティの質の高さで有名な世界中にあ るホテルです。そのホテルには「クレド」というサービス哲学を凝縮した理念があり、それをカードにしてスタッ フが持ち歩いているそうです。裏千家茶道でいう「ことば」のようなものでしょうか。「お茶の心=ホスピタ リティ」としてしまうには弊害があると思いますが、多くの共通点、学ぶところがあります。そのなかでとて も素晴らしいと思ったのは、“Having fun”(楽しむこと)を成功の要因の一つとしていることです。時には困 難にもふさがるし、葛藤も挫折もあります。それでも楽しいと感じられれば、充実感が生まれます。「誰かを 喜ばすことが楽しい」と思える青年部活動に通じるものがあるような気がします。 「石の上にも三年」と言いますが、早いもので 3 年分 18 号を発行することができました。最初は「一人委員会・ 一人委員長」でどうなることかと心配でしたが、皆さんが行事で楽しんでいただいたことを先生方、社中の方 にお話しいただいたり、感想をタイムスに寄せていただくことで、全員が広報委員会として活動してくださっ ていることに気が付き、今さらながら心より感謝しております。今年は私の生まれ年の亥パワーと皆さんの愛 情をたっぷりもらい、素晴らしい 1 年となりました。来年は「火焔宝珠」にあやかって、満願成就な年になる といいなぁと思います。あと 1 年どうぞよろしくお願いいたします。(YT) イコール 集 後 記 平成 19 年 12 月 25 日発行(隔月 1 回) ときタイムス No.91
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